光りの大空
✻幼少期編✻
葎都が人間界に降りたって数ヶ月、葎都の魂はある1家族のところに魂のまま現れる。
「……家光さん」
「なんだ奈々?」
家光は横になった身体を起こし奈々の方を見る。
「っ……!」
そこには真っ白い球体が奈々の前に浮かんでいて、家光は驚き奈々を守る為に奈々の前に立つ。
真っ白な球体は葎都で二人の回りをぐるぐると回ると二人に話しかける。
「私の名前は葎都。天界から来た神の子供です。修行の為、人間になり様々な事を学ぶ為に来ました」
「「……………。」」
「そして色んな人達を見て私は二人の子供になりたいと思いここまで来ました」
「私達の子供に?」
「はい。二人はとても仲が良くってとても暖かい夫婦なのが分かります。二人の子供になりたいと思いました。駄目でしょうか?」
「いや、駄目じゃ無いぞ!」
「そうよ!」
二人は葎都に笑いかける。
「ありがとうございます」
葎都は二人の回りをくるくると回ると奈々の身体に消えていく。
奈々は自分のお腹をいとおしそうに撫でる。
それから数ヶ月後奈々は妊娠し驚く事に双子で二人は喜ぶ。
そして10月14日、奈々は双子の兄妹を産む。
「私の大切な子供達」
「良く頑張ったな奈々……」
「家光さん…この子達の名前は」
「男の子は綱吉、女の子は葎都」
「綱吉、葎都」
奈々は隣のベビーベッドで眠っている子供達を見る。
そして双子の兄妹達すくすくと育ていき5歳になる。
勿論とても仲が良く二人は何処に行く時も二人で遊びに行く。
そんな時、二人は公園で運命の出逢いをする。
「葎都、今日は何して遊ぶ?」
「今日は天気が良いから ひなたごっこしよう?」
「良いよ!」
綱吉は葎都の手を握りながら日当たりの良い場所を探す為に歩き出す。
その時、二人の耳に何かが倒れる音が聞こえ二人は音が聞こえた方に歩いて行く。
その場所に行くと小さな男の子が三人の男の子達を倒していたところだった。
「なんのようだい?」
「……………」
「怪我してる……」
少年は自分の頬を触り手のひらについている血を見る。
「たいした事無いよ…」
少年はそう言ってその場を去ろうとすると葎都は綱吉から手を離すと少年に近づき彼の頬に触る。
「っ…?!」
「癒しの力よ…彼の傷を治したまえ」
葎都がそう唱えると少年の傷が治っていく。
少年は驚き固まり、綱吉は慌てて周りに人が居ないか確認する。
「葎都!その力はむやみに使っちゃ駄目て言われてるでしょ!」
「……君たち何者?」
「僕達は双子の兄妹だよ」
「ふぅん…まぁ良いや。君たち気に入った。名前教えてよ」
「沢田綱吉」
「沢田葎都だよ」
「綱吉と葎都だね。僕の名前は雲雀恭弥だよ」
こうして三人は仲良くなり遊ぶようになる。
その半年後、事件が起きる。
三人はいつものように公園で遊ぶ為に歩いていた。
「今日は何して遊ぶ?」
「うーんブランコで遊びたい!」
「ねぇ、たまには僕の家で遊ばないかい?」
「恭弥君の家?」
「うん。公園は群れてて嫌だ……」
綱吉達は雲雀の性格をこの半年でわかってきた。
雲雀は群れを見るとすぐに咬み殺す。
そして意外と可愛い物が好きな事を。
双子はお互いの顔を見つめて笑いながら雲雀の顔を見る。
そんな双子を雲雀は訳が解らず見つめる。
その時三人の前にに黒服の男達が現れ、三人は驚き警戒する。
「…僕達に何のようだい」
綱吉は葎都を護る為に背中に隠し、男達が無言で三人に近づいてくる。
「綱吉、葎都を連れて逃げろ!」
「恭弥君は!」
「僕はこいつらを足止めする!」
「分かった!葎都行くよ!」
綱吉は葎都の手を握り走り出す。
しかし子供の足じゃ大人にはかなわず、すぐに追いつかれてしまう。
「っ…!?」
「どうしようツナ……」
「葎都は僕が守る!」
「二人共、俺達と来て貰おう」
「嫌だ!」
黒服の男達は舌打ちすると二人を捕まえ、綱吉達は抵抗して暴れる。
「嫌、離して!」
「葎都、離せ!!」
すると二人の声を聞き通りすがりの警官が駆けつけてくる。
「お前達、何をしている!」
「ちぃ!」
警官を見た男は綱吉を警官に投げ葎都を連れて逃げてしまった。
「やだ!離して!綱吉!綱吉ぃ~!」
「葎都―――――!」
綱吉は半狂乱になり叫び出し、その声を聞きつけてぼろぼろになった雲雀がが慌てて走ってくる。
「綱吉!」
「あ…あぁ……葎都、律都!!」
警官はすぐに無線で誘拐事件が発生した事を報告する。
そして警官は綱吉と雲雀を並盛警察署に連れて行く。
暫くして奈々と雲雀の母親の弥華が駆けつけてくる。
「ツッ君!」
「恭弥!」
「母さん……」
「ツッ君?」
綱吉は目前で葎都を連れて行かれたショックで虚ろな目をしていて、奈々はそんな綱吉を抱きしめる。
「犯人はまだ捕まっていません。しかし必ず捕まえます」
しかしいくら探しても犯人は見つからなかった。
奈々はすぐに家光に連絡して家に帰ってくるように言うと家光は電話の後すぐに日本に帰ると言い、家に帰って来て綱吉を見て驚く。
「綱吉…大丈夫だ。必ず葎都を助ける」
「っ…ヒッ、ク……葎都を……守…れなかった!」
その時初めて綱吉は涙を流し、家光は綱吉を抱きしめる。
その後綱吉は泣き疲れて眠ってしまう。
家光は綱吉を子供部屋に連れて行き綱吉を子供部屋に寝かせ、リビングに戻る。
「奈々……」
「家光さん、リッちゃんが……。」
「葎都は必ず助け出す!」
奈々は涙を流し、家光に抱きつく。
そんな奈々を優しく抱きしめる。
しかし警察がいくら犯人を探しても見つからなかった。
家光は9代目に頼みボンゴレの諜報部を動かして貰い葎都を誘拐した組織を探して貰う。
でもどんなに探しても犯人の手がかりは見つからなかった。
天界では神は何もできない事を悔しげに人間界を見ていた。
「葎都……」
「神よ……。私が姫様を助け出します!」
「ヒカル……」
神にヒカルと呼ばれた人物は神に支える神官の1人だ。
「私は貴方に拾われ、様々は事を学び神官になりました。今度は私が貴方に恩返しをする番です」
「しかし、人間界に行けばお主は、消えてしまうかもしれないのだぞ!」
「私なら大丈夫です。一度は死ぬ運命だったのを貴方に救われ今まで生きて来ました。とても幸せでした」
ヒカルはそう言ってふわりと笑う。
「…ヒカルよ。お主に一つの魔法をかける。この魔法は転生するものだ。私にも何に転生するか分からない。そして必ず葎都と一緒に天界に帰って来るのだ!」
「はい!」
ヒカルは自らの力を使い人間界に降り立つ。
しかし天界と人間界の時間の流れは違い葎都が誘拐されてから2年が経っていた。
ヒカルは葎都の気配を探しだしイタリアに向かう。
そこで見たのは30人程の子供達がいて人体実験をされていた。
「これは酷い……姫は何処に?」
ヒカルは一つ一つの部屋を見て回るが何処にも律都の姿はなかった。
そして最上階のボスの部屋に向かうとぼろぼろの姿の律都が立っていた。
中には律都が1人だけしかいなくってボスは出掛けていていなかった。
「っ…姫!」
「………………」
律都はヒカルの姿を見ても何の感情もない目で見る。
「姫…」
その時、律都の力が暴走し始める。
大地が揺れ嵐が起こり世界各地で起こる。
「姫!落ち着いて下さい!」
しかしヒカルの声は律都には届かなかった。
そして日本に居る綱吉は虚ろな目をしながら家の縁側に座っていた。
「………………」
「ツッ君……」
「奈々、すまん。色々調べているんだが律都の情報は入ってこない。しかも綱吉がまさかショックで脱け殻のようになるとは……」
「家光さんのせいじゃないわ。悪いのはリッちゃんを連れ去った人達よ!」
その時並盛町に大きな地震が襲う。
「地震!」
「家の外に逃げるんだ!」
「はい!あ、ツッ君!」
「綱吉は俺が連れて行く。奈々は急いで外に!」
「分かりました!」
奈々は急いで外に避難する。
家光は縁側に座っていた綱吉の元に向かう。
しかしそこにいた綱吉は庭に降りて空を見ていた。
「綱吉?」
「…律都、駄目。落ち着いて……」
「?!」
次の瞬間、綱吉の身体から大空の死ぬ気の炎が現れ、綱吉の身体は消えてしまった。
「綱吉!」
奈々は家光の叫び声が聞こえ慌てて庭に向かい家光の側に近寄る。
「家光さん、ツッ君がどうしたの!」
「っつ~?!それがいきなり消えてしまったんだ!」
「そんな…どうして!」
そして綱吉はイタリアの地にいた。
「キミが綱吉君だね?」
「……………」
綱吉は目の前に居る人物を虚ろな目で見る。
「キミは律都様の兄上。落ち着いて聞いて欲しい。律都様はここに居る。しかし力が暴走して世界を滅ぼそうとしている。律都様を止められるのはキミしか居ない!だからお願いだ。律都様を助けてくれ!」
話しを聞いた綱吉の目に光が戻る。
確かに地震が起きる前に律都の声が聞こえた。『助けて』と。
「……本当に律都がここに居るの?」
「あぁ、いる。ついて来てくれ」
ヒカルは屋上から律都が居る部屋に向かい、綱吉はヒカルの跡を追う。
「中に律都様がいる」
綱吉は扉を開け部屋の中に入る。
そこには身体中包帯だらけの律都が立っていた。
「っつ~?!律都!」
綱吉は走り出し律都を抱き締め、涙を流す。
「律都。護れなくってごめん。今度こそ護るから戻って来て……俺の大切な半身で妹で大切なんだ!」
「……ツナ?」
その瞬間、律都の力は収まり地震や嵐は収まる。
そして律都は気を失って綱吉の身体に倒れ込んでしまった。
「律都!」
「大丈夫だよ。気を失っているだけ。律都様を止めてくれてありがとう」
「貴方は誰?」
「僕はヒカル。律都様の本当の父親の部下で律都様を助ける為に来たんだ。でも僕にはもう力は残ってない。キミをここに連れて来る為にかなり使ってしまったから」
「ヒカルはどうなってしまうの?」
「…僕は消えてしまう。元々、僕はこの世界の人間じゃない。無理して来たんだ。その代償だよ」
「そんな!」
「大丈夫だよ。いつか必ずまた会えるよ。それまで元気で居て欲しい」
「…うん」
「さぁ!僕の力を使い律都様の身体の傷を綺麗に治す!綱吉君、後はよろしくお願いします!僕はこのまま消えてしまうけどキミなら大丈夫だよ」
次の瞬間、黄金の光が律都の身体から輝き出し綱吉は目を瞑る。
そして光が収まり目を開くとヒカルはいなくなり律都の身体にあった傷痕は綺麗になくなっていた。
「っつ~!とりあえずここから逃げないと。」
綱吉は律都をおんぶして部屋を出て階段を降りて行く。
もしかしたら誰かに捕まえられるかも知れないと思っていたが誰もいなかった。
綱吉は安心して外に向かい、外に出て綱吉驚く。
周りは森で建物がなかった。
「ここは何処?それに逃げないと」
綱吉は唯一ある道を見つけると少し道から離れて歩き始める。
歩くこと数時間、綱吉は少し離れた所から車のエンジンを聞き隠れる。
一台の黒い車が律都が居た建物の方に走って行く。
綱吉は車の中にいた人物を見る。
運転していたのは2年前律都を連れ去った人物で後ろには父親と同じ位の男が座っていた。
「アイツが律都を!必ず捕まえてやる!」
綱吉は律都をおんぶしてまた歩き始める。
そして何度も休んでは歩き数時間以上歩き街中に出る。
そして街中にある国旗を見てイタリアだと気づく。
「イタリア……」
綱吉は歩き始め、街の中心部に向かう。
そして家光に聞いていたボンゴレ本部に向かった。
「ボンゴレ本拠地。確か9代目が居るはず」
綱吉は門番に話しかける。
「あの…9代目に会わせて下さい。」
『誰だこのガキども?しかも何を言ってるんだ?』
『さあ?』
「言葉が通じない。どうしよう……」
その時一台の黒い車が門の所で停まると中から9代目の守護者、コヨーテ・ヌガーが出てくる。
『何事だ?』
『それがいきなり子どもが話しかけて来て』
『子ども?』
コヨーテは門番が言っている子どもを見る。
そこには琥珀色の髪をして茶色い目をした男の子と良く似た女の子をおんぶして居た。
『まさか!』
コヨーテは日本語で話しかける。
「キミは沢田家光の息子の沢田綱吉君じゃないかい?」
「うん。おじいちゃんに会いたいんだ」
「良いだろ。ついておいで」
コヨーテは門番に門を開けるように言い、綱吉達を車に乗せ屋敷の中に入れる。
そして綱吉達を応接間に連れて行きコヨーテは9代目を呼びに行く。
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