伝説の三振り



琥珀「貴方の気持ちは分かります、でも貴方の練度は1。母屋にいる一期一振殿は練度は母屋にいるどの刀剣男士達寄りも低い。今のままじゃ救いだす前に返り討ちにあってしまう」
一期「では一体どうしろと?傷付き今なお苦しんでいる弟達を見捨てろと言うのですか!」
琥珀「見捨てろなんて言わない。でも今のままじゃ駄目だ。オレは弟として兄2人がいるから少しは分かる。兄といたいって。だからこそ貴方には短時間で練度をあげ、そしていずれ来る弟達や母屋にいる弟達の受け入れ守ってくれる存在が必要」
一期「………………」
琥珀「大丈夫だよ、オレは神刀だ、他の刀剣男士が出来ない力がある。自分の神気を他者に渡す事が出来る」
一期「なっ…!」

 一期や岩融が驚いた顔をさせ琥珀を見る。

琥珀「それにほんの少しずつならあの一期一振殿は気付く事は出来ないだからこそ貴方には今は我慢して欲しい」
一期「本当に大丈夫なんですね」
琥珀「うん、信じて」
一期「分かりました、では私は私にしか出来ない事をやります」
琥珀「うん」
岩融「しかし俺達はソナタ達の事は知らんぞ?」
琥珀「あぁ、自己紹介がしてなかったね。俺は大空琥珀。神刀だよ」
黒羽「兄の黒羽。守り刀」
霧人「琥珀の兄の霧人です。妖刀です。我ら3兄弟は海空綱吉殿が打った最高傑作の3振りです」
岩融「…まさか噂の伝説の3振りか!」
一期「伝説の3振り?」
岩融「噂にしか知らんが3振り揃うと、凄い力が発揮して持ち主に幸運をもたらすと言われているのだ」
琥珀「幸運かぁ、オレ達はただ主を守りたいって思っているだけ、だからあらゆるモノから主を守り仇なす者は全てを断って来ただけ」
霧人「ある意味僕らは気紛れです。本当に気に入った者の前にしか現れないですから。特に琥珀が気に入った人間の前にしか現れないですね」

 霧人はそう言って琥珀を抱きしめると琥珀はふわりと笑い綱吉を見る。

綱吉「3人はそんなに凄い刀なんだ……」
琥珀「そんな事無いよ、作られた時に刀匠の想いが込められているんだ。彼は俺達3振りを大切な幼馴染の為に作ったんだよ。彼が無事に戦から帰って来られるように願いを込めて」
綱吉「願いを…」
琥珀「うん、さあ、もう朝だね。主は人の子だ、ご飯を食べないと生きて行けない」
綱吉「…ご飯、あの琥珀君達も一緒に食べないかな?1人で食べても美味しくないんだ、駄目かな?」

 綱吉は上目遣いで琥珀達を見ると琥珀はふわりと笑い、黒羽は綱吉の頭を撫でる。

岩融「がははは、主は良い人の子だな」
一期「そうですね、私達は主の所に来られて良かったのですね」

 綱吉達はこんのすけに頼み、食材を用意して貰い少し大きなテーブルで作った料理を食べる。

綱吉「美味しい……」
琥珀「うん、美味しいね」

 琥珀は笑い、綱吉も笑う。
 そんな2人を見て黒羽達は和み食事をしていく。
 食べ終わると琥珀は綱吉に頼み事をする。

琥珀「主は結界を張っているけど少し変えて欲しいんだ。今の結界は刀剣男士達が入って来れないようにしている物だけど、今度の結界は悪意を持っている者を弾く結界にして欲しい」
綱吉「……結界って幾つもあるんだ。俺は今の結界の張り方しか知らないんだ」
こんのすけ「今までの本丸は本当に酷かったのです。手入れと請じて呼び出されては手入れが終わった瞬間試し切りとして刀を振るわれたり結界を壊され暴力を振るわれて来たりしたので全ての者を弾く結界を張るしかなかったのです」

「「「………………」」」

 琥珀達は顔を顰める。

琥珀「これまで幾つのブラック本丸を回ったの?」
こんのすけ「私が主様にで出会って2年が経ちます。此所を入れて5つです。半年には見習いと言うなの乗っ取りで本丸を奪われ次のブラック本丸に送り込まれて来たのです!あのクソ担当員は信用等出来ません!思い出しても腹がたちます!」
綱吉「……俺、琥珀君と離れたくない。琥珀君は俺にとって大切な存在なんだ」

 綱吉はそう言って顔を歪ませ俯いてしまう。
 琥珀は隣にいる綱吉の手を握る。

琥珀「オレは主の初期刀だよ。だからずっと一緒にいる。誰かなんと言ってもずっと一緒にいる」
綱吉「琥珀君……」
霧人「僕らは本霊です。本来なら神域にいるのですが、琥珀が主の事が大好きになり、そばにいたいと願い此所に来たのです。それに時の政府は我らの事は知らない、希に他の本霊に会ったとしても時の政府には言わないように言って置いたので知られる事はなかったのですよ」
岩融「なるほどな。だから噂しかなかったのだな」
一期「しかし、本霊自ら審神者に付くのは珍しいですね」
琥珀「そうだね」

 琥珀は優しく手を握り、綱吉も握り返す。
 そして今後の事を話し合い、一期と岩融はレベリングの為に黒羽と共に遠征や出陣に専念する。
 綱吉はゆとりが出来たので一から審神者の勉強をする事になる。
 そして結界を新しく張り直した。
 昼過ぎに離れに山伏と数珠丸は自信の兄弟を連れてやって来る。
 綱吉は最初は怯えるが琥珀がそばにいる事で落ち着く。

山伏「拙僧は山伏国広と申す。主殿に兄弟の手入れをして欲しい。拙僧は兄弟達の為なら遠征や出陣をしても構わないと思っている」
数珠丸「私もです。弟の青江を手入れをしてくれるなら山伏殿と同じ意見です」
綱吉「…えっと、あの……手入れはします。でも遠征や出陣は頼んだりはしません。皆さんが嫌なら遠征や出陣はしなくっても良いんです。俺は…無理強いはしたくないんです」

「「………………」」

 山伏達は目を見開き綱吉を見ると綱吉は困った表情をさせる。

琥珀「主は今までの審神者とは違う。オレ達を案じて1人ひとりを見て考えてくれる」
山伏「…そうであるな」

 綱吉達は手入れ部屋に行き綱吉は1人ずつを手入れしていく。
 山伏と数珠丸も綱吉から手入れを受け、弟達を連れ母屋に帰っていく。
 次の日、山伏や数珠丸から話を聴い来派の2人が離れに来て、愛染国俊を連れて来る。

 綱吉は直ぐに手入れ部屋に行き愛染国俊を手入れすると明石や蛍丸も手入れをする。
 来派はしきりにお礼を言い何か礼をすると言っていたが綱吉は山伏達に言った事を3兄弟にも言いやはり驚いていたが母屋に送り返す。

琥珀「…お疲れ様、主」
綱吉「うん、やっぱり。皆、酷い怪我をしていたね」
琥珀「そうだね、でも悪いのは前審神者で彼らを酷使していた事だ。彼らは末端だとしても仮にも神。その事を忘れちゃ駄目だよ」
綱吉「うん」
琥珀「さぁ、勉強の続きをしようか?」
綱吉「うん、俺頑張るよ」

 琥珀はにこりと笑い、綱吉も笑う。
 そして1ヶ月が経ち、手入れを受けたのは堀川派、来派 、青江派だけだ。

琥珀「まぁそんなものだよね、まだ、主を信じられないだろうな」

 琥珀は黒羽はに綱吉のそばにいるように言い、母屋のそばに来ていた。
 そして意識を集中させ、粟田口の座敷を探り神気を微量だが送る。

粟田口座敷………。


「「「「「っ…!?」」」」」

 藤四郎兄弟達は送られて来た神気に驚き動揺する。
 それに気付いた一期一振は顔を顰める。

一期一振「どうしたんだい、お前達?」
薬研「いち兄は気付いて無いのか?」
一期一振「何をだい?」
薬研「…いや、なんでもない」

 一期一振は顔を顰めながら離れの方を睨んでいた。
 そして座敷の隅に薬研や他の弟達は身体を縮め固まっていた。



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