伝説の三振り



琥珀「戻るよ、兄さん」
霧人「もう良いんですか?」
琥珀「うん、確認も終わったし、疲れたし痛いから休みたい」
霧人「そうですね」
黒羽「…琥珀、仮にも女の子が身体に傷を付けるのは赦さないよ」
琥珀「……はぁい」

 黒羽は琥珀を抱き上げる。
 琥珀は大人しく黒羽の腕に収まる←お姫様抱っこ。

「「「「「なっ…!」」」」」

黒羽「離れに戻るよ」
琥珀「うん」

 黒羽は歩き出し、先に行く。
 霧人は一期一振を見る。

霧人「本来なら僕は妖刀です。琥珀が止めなければキミを祟っていましたよ、良かったですね。命拾いして」

一期一振「っ…!」

 霧人はにこりと笑うか瞳の奧は氷のように冷えていた。
 そして霧人も大広間を後にする。

「…大空、何処かで聞いた事があるね」
「ウム、何処だったか」
「……あっ!」

 奥に座っていた小さな刀剣男士が声をあげる。
 刀剣男士は短剣の今剣で、回りにいるのが三日月宗近、小狐、石切丸だ。

今剣「岩融にきいたことがあります、かまくらじだいにつくられた、でんせつのかたながあり3つそろうとすごいちからをはっきさせ、しょうりをもたらすといっていました」
三日月「伝説の三振りか…(琥珀と言った者からは清い神気が感じられたな)」
石切丸「一期一振殿」
一期一振「はい」
石切丸「キミの気持ちは分かるがそれを私達も同じだと決め付けるのはいけないよ」
「拙僧も石切丸殿と同じ意見だ。ソナタの弟を思う気持ちは分からないでも無い。しかし拙僧は兄弟の怪我を治して欲しいと思っている」
「私も山伏と同じです。一期一振殿、貴方の意見を我らの総意とするのは尚早です。少なくとも私は我が弟の青江の傷を癒して欲しいと思っています」

 そう言うのは山伏と数珠丸の2人で一期一振は信じられないという顔をする。
 そして大広間にいる刀剣男士達は今後の事を話し合いどうするか決める。
 そして琥珀達は離れに帰って来た。

黒羽「琥珀、どうしてさっきは止めたんだい」
琥珀「あの一期一振は堕ち掛けている。多分、彼を顕現したのは此所をブラックにした審神者。希にいる、審神者に似る刀剣男士がいるのを」
霧人「似るですか、しかし、気に食わないですね。一期一振は」

 霧人は綱吉を布団に寝かせ顔を見詰める。

霧人「まさか、こうして彼に仕える事になるとは思ってもなかったですね」
琥珀「うん、でも主はきっと大丈夫。あんな事にはならないよ」
黒羽「そうだね、僕らがそばにいるからには守るよ」
霧人「そうですね、さて黒羽。僕らは出陣して資材を集めに行きますよ」
黒羽「分かってるよ。琥珀の為に取って来るよ」
琥珀「兄さん、希に刀が落ちてるんだけど粟田口の刀は拾ってこないで、それで拾って来て欲しいのが三条派の岩融と一期一振の2振りを拾って来て欲しいなぁ」
黒羽「一期一振を?」

 黒羽は顔を顰め、琥珀はにこりと笑う。

琥珀「うん、彼には受け皿としていて、欲しいんだ」
霧人「受け皿ですか。今はその2振りを探して来れば良いんですね」
琥珀「うん」

 霧人達は琥珀の頭を撫で立ち上がる。

こんのすけ「あの、行けるのは池田屋の記憶までです。しかし、池田屋の記憶は主に短剣や脇差しの刀剣男士様達がメインの場所です。お2人は太刀と大太刀です、夜戦がメインの江戸の記憶は不向きなので琥珀様が言った2振りを手にするのは難しいと思います」
霧人「僕は妖刀です、夜戦は関係ありません」
黒羽「僕も関係無いよ。他の刀剣とは作りが違う。夜戦なんか関係無いね」
こんのすけ「……琥珀様」
琥珀「大丈夫だよ、兄さん達は強いから」
こんのすけ「分かりました、では装置の所に案内します」

 こんのすけは2人を連れて部屋を出て行く。
 琥珀は眠っている、綱吉を見て頬を優しく撫でる。
 綱吉は朝方に目を覚ます。

綱吉「んっ……」
琥珀「目を覚ましたの、主?」
綱吉「…琥珀君」
琥珀「うん、此所にいるよ」
綱吉「っつ…!そうだ、怪我!」

 綱吉はガバリと起き上がり琥珀を見ると琥珀の手に包帯が巻かれていて、綱吉は眉間に皺を寄せる。

琥珀「大丈夫だよ。主には悪いんだけど手入れをして貰っても良いかな?」
綱吉「勿論だよ!」
琥珀「って言っても今、兄さん達が資材を集めに行ってるから帰って来るのを待ってる所なんだけど」
綱吉「えっ?…大丈夫かな?」
琥珀「大丈夫だよ、兄さん達は強いから」
綱吉「……………」
琥珀「体調は大丈夫?」
綱吉「うん…俺、そう言えば」
琥珀「大丈夫、ちょっと吃驚したけど主は主だよ」
綱吉「っ…俺、俺は……」

 綱吉はポロポロと涙を流す。
 琥珀は優しく抱きしめ背中を撫でる。
 綱吉は琥珀の背中に手を回し、抱き付く。
 しばらくして綱吉は落ち着き琥珀を見詰める。

綱吉「…琥珀君はどうして俺の所に来てくれたの?」
琥珀「主の心に惹かれたからだよ。主の心はオレ達に取ってとても惹かれるんだ。そばにいるだけで癒される」
綱吉「…俺はそんなに凄い奴じゃ無いよ。皆からダメな奴だって言われてるんだ」
琥珀「そいつらは主の良さに気付いて無いんだ。主はダメな奴じゃ無い。オレが保証する。主はどの審神者寄りも輝いている。オレ達は心が清らかな人間所にしか現れない。だから、自信を持って」
綱吉「うん、ありがとう。琥珀君」

 綱吉はふにゃりと笑い、琥珀もその笑顔を見て笑う。

霧人「おや、起きていたのですか?」
黒羽「うん、キミは笑ってる方が似合う」
綱吉「っ…!」

 綱吉は驚き、入口を見ると大袋を抱えた黒羽達が立っていた。

黒羽「琥珀、頼まれた刀を拾って来たよ」
琥珀「本当?」
霧人「えぇ、運良く見付けたんですよ」

 袋を置き、外に置いてあった太刀と薙刀を取る。

綱吉「…刀と薙刀?」
琥珀「うん、薙刀は岩融って言う刀剣男士で太刀はこの本丸に居るんだけど、一期一振って言う刀剣男士だよ」
綱吉「……琥珀君を傷付けた男の人」

 綱吉は顔を強張らせ琥珀を見る。

琥珀「大丈夫、この2振りは主の力になってくれる刀剣男士だよ」
綱吉「…でも、何か言われないかな」
琥珀「しばらくは2人には母家に行かないように言うから大丈夫。だから、2振りを顕現して欲しいんだ」
綱吉「分かった、琥珀君がそう言うなら」
琥珀「ありがとう、主」
霧人「僕としては先に琥珀の手入れをして欲しいですね」
綱吉「そうだ、怪我!」
琥珀「それじゃ、先に手入れをして貰おうかな?母屋から手入れを手伝ってくれる妖精を連れて来てるから」
綱吉「妖精?」
琥珀「うん、どの本丸にも妖精がいて、色んな手伝いをしてくれるんだよ」
綱吉「……知らなかった」
琥珀「そうなんだ、離れにも手入れ部屋や鍛刀部屋があるからそこに妖精がいるよ」
綱吉「そうなんだ」
黒羽「手入れ部屋に資材を運んでおくよ」
琥珀「じゃ、手入れ部屋に行こうか」
綱吉「うん」

 綱吉達は手入れ部屋に行き、琥珀は手入れを受け、傷を治す。
 そして綱吉の部屋に戻り2振りを顕現する。

一期「私は一期一振。粟田口吉光の唯一の太刀。藤四郎は私の弟達です」
岩融「俺は岩融。…まさか、また此所に来るとは」
琥珀「また?以前にもこの本丸に?」
岩融「……あぁ、記憶がある。此所は離れだな?」
琥珀「そうだよ、主はキミの前にいる」
岩融「おお、小さくって見えなかったぞ!」
綱吉「…えっと、宜しくお願いします」
岩融「おお、宜しく頼むぞ」
一期「あの、母屋から弟達の気配が感じられるのですが」
琥珀「一期さんには悪いんだけど、今は母屋に行かないで欲しいんだ。此所はブラック本丸で母屋には貴方と同じ同位体がいる」

 琥珀はこの本丸の事を説明する。
 母屋にいる一期一振や弟達の状況を説明する。
 すると一期は怒り、母屋に特攻仕様とするが琥珀に止められる。



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