伝説の三振り



琥珀「こんのすけ、主は式神を使う事は出来るの?」
こんのすけ「なるほど!その手がありました!」
霧人「仮にもサポート式神でしょう」
こんのすけ「済みません、色々とあり、そこまで頭が回りませんでした」
綱吉「式神って何?」
こんのすけ「はい、式神とは主様の霊力を札に込めて同じ姿をした人形を作り操るのです」
綱吉「へぇ、式神って凄いんだね」
琥珀「こんのすけ、札は?」
こんのすけ「はい、あります。ですが、あるのはたった3枚だけです」
琥珀「一つあれば大丈夫だよ。主、意識を集中させ、自身の姿をイメージすると札が人形になる」
綱吉「うん…やって見る」

 綱吉は言われた通りに意識を集中させイメージする。
 すると札は人形になり、綱吉と同じ姿になる。

綱吉「…俺と同じ姿」
琥珀「さて、主は兄さん達と一緒にいて、オレは母家に行って来るから」
綱吉「…気を付けてね」
琥珀「うん、行って来るね」

 琥珀はにこりと笑い、式神を連れて母家に向かう。
 入口に管狐がいて、大広間に案内される。
 琥珀は式神に後ろにいるように言い襖を開ける。

 ガキィィィン!

 琥珀の刀と斬りかかって来た刀剣男士の刀が合わさり音がなる。
 琥珀は大広間の中を見る。

琥珀「危ないなぁ、いきなり斬りかかって来るなんて。礼儀がなって無い挨拶だね、一期一振さん」
一期一振「誰ですか、貴方は?そこを退いて下さい!我らに審神者等、必要ありません!弟達を傷付ける人間等我らには不要です!」
琥珀「でも、貴方の弟の傷を癒せるのは審神者だけだよ?とりあえず、話しを聞いて欲しいんだけど。それに双方の意見を出し合って妥協点を探すのが話し合いでしょ?」
一期一振「お断りします!」

 練度で言えば琥珀の方が上だがわざと力を抑え、わざと体制を崩す。
 すると一期一振は式神に斬りかかる。
 式神は札に戻り床に落ちる。

一期一振「なっ!」

 一期一振は驚いた顔をさせ唖然とする。
 琥珀は札を拾い、一期一振を見る。

琥珀「危害を加える可能性が高い所に主を連れて来る訳無いでしょ?明らか様に殺気を感じる所には」
一期一振「ひ、卑怯ですぞ!」
琥珀「卑怯っていきなり斬りかかって来た方が卑怯でしょ」
一期一振「人間の手下が!」

 一期一振は刀を振り上げ琥珀に斬りかかる。
 琥珀は動こうとせず肩に刀を受ける。

琥珀「っ……」

「「「っ…!?」」」

一期一振「なっ…!」

琥珀「満足?無抵抗の者に力を振るうのは?」

一期一振「っ…!」

 琥珀は刀の刃をを掴み手から血が垂れ、琥珀は刀を肩から抜く。
 血は傷口から溢れ琥珀の服を赤く染める。
 次の瞬間、離れから凄まじい殺気が感じられる。

「「「「「っ……!」」」」」

琥珀「あぁ、うん。やっぱりこうなったなぁ」

 時間を少し戻り、離れではこんのすけが端末を使い、琥珀の様子を見ていた。

綱吉「琥珀君、大丈夫かな?」
霧人「琥珀は大丈夫ですよ、我らの末の弟です。頭は誰よりも回り、先を読みどうするかを考えます」
綱吉「凄い……」

 ガキィィィン!

綱吉「っ!」
琥珀『危ないなぁ、いきなり斬りかかって来るなんて。礼儀がなって無い挨拶だね、一期一振さん』
黒羽「殺す!」
綱吉「ひぃ!」
霧人「黒羽、主が怯えてます。その殺気を抑えて下さい」
黒羽「…チッ!」

 黒羽は殺気を抑え、端末を見る。
 話し合いは進まず式神が札に戻ってしまった。

「「「……………」」」

 そして一期一振の刀が琥珀の肩に食い込む。

綱吉「っ…琥珀君!」

 綱吉は立ち上がり部屋を出て行ってしまった。
 その後をこんのすけが追いかける。

こんのすけ「主様!どうかお待ち下さい!」
霧人「…僕は主を追いかけます」
黒羽「咬み殺す!」

 黒羽から凄まじい殺気が溢れ、霧人はそんな黒羽を見て綱吉の後を追う為に走って行く。

 そして………。

 バタバタ!

綱吉「琥珀君!」

「「「「「っ…!」」」」」

琥珀「…主、離れから出ちゃ駄目って言って置いたでしょ」
綱吉「っ…!血が……」

 綱吉は顔を青ざめ、琥珀に近寄る。
 こんのすけも少し遅れて大広間に現れる。

綱吉「ぁ…ゃだ」
琥珀「(ヤバい)」

綱吉「う…あ……嫌だーーー!」

「「「「「なっ!」」」」」

 綱吉は悲鳴をあげ、力が暴走する。
 巨大な霊力と大空の炎が混ざり綱吉を掴み込む。
 大広間にいた刀剣男士達やこんのすけは驚き、霧人と黒羽も大広間に来て驚いた顔をさせる。

綱吉「いやぁ……嫌だーーー!」
琥珀「……………」

 琥珀は綱吉に抱き付く。

黒羽「琥珀!」
霧人「なんて無茶を!」
琥珀「大丈夫、大丈夫だよ…落ち着いて主」
綱吉「っ…!」

 綱吉は暴れ、琥珀は優しく背中を叩く。

琥珀「オレは大丈夫だよ、だから落ち着いて主。ねっ?」
綱吉「うぅーー!」
琥珀「皆が吃驚してる。俺は本当に大丈夫だよ。約束したでしょ、主と一緒にいるって………」
綱吉「……………」

 綱吉は落ち着き、ぐったりとして琥珀にもたれ掛かる。

綱吉「…琥珀君」
琥珀「うん…」
綱吉「俺……琥珀君が傷付くのは嫌だ」
琥珀「分かったよ。もう怪我はしないって約束する」
綱吉「約束だよ」
琥珀「うん」

 綱吉は気を失い、霧人は綱吉を抱き上げる。

黒羽「……殺す」
琥珀「駄目だよ、兄さん」

 琥珀は今にも一期一振に攻撃を仕掛けようとする黒羽を止める。
 そして大広間をざっと見渡す。

琥珀「(思った寄り少ないなぁ、三条派は岩融以外は揃ってる。粟田口は一期一振以外は多分、部屋にいる。来派は明石国行と蛍丸の2人。新撰組派や他の派は来ていないか)」

 黒羽は布を琥珀の肩に当て止血する。
 そして手にもハンカチを巻く。

琥珀「ありがとう、兄さん。…こっちからは危害を加える積もりは無い。手入れをして欲しいなら、オレが付き添いで主にして貰う。遠征と出陣はそっちが望まない限り要請はしない」
一期一振「信じられません、その言葉をどうやって信じろと?こちらとしては人間をさっさと此所から連れて出ってって欲しいのです。それがこちらの総意です」
こんのすけ「っ…!出て行きたくとも遠征と出陣以外の転移は担当員が管理して出て行く事等出来ません!私は絶対に貴方達等、信用等致しませんぞ!」

 こんのすけは怒りを大広間にいる、刀剣男士達に向ける。
 琥珀はこんのすけを抱き上げる。

琥珀「こんのすけ、怒らない。全員が敵意を向けてる訳じゃ無い、それに主が傷付く事にはもうならないから大丈夫だよ」
こんのすけ「ですが……」
霧人「僕ら三振りが主のそばにいるんです、大丈夫ですよ。何よりも琥珀が主のそばにいるんです、琥珀は神刀であらゆるモノから主を護ります」
一期一振「神刀?君が?どう見ても弱く見えますね」
黒羽「さっきからキミは本当に無礼だね、分霊の癖に…」
琥珀「主は今まで此所と同じ本丸に送られて来た、沢山の痛みや悲しみを味わい、心を壊れ掛けていた。それを感じてオレ達三振りが主を助ける為に来た。“手遅れ”になる前に気付かないと大変な事になる」
一期一振「何を」
琥珀「…それから俺達三振りは本霊だから、派は大空」

「「「っ…!?」」」

琥珀「神刀・守刀・妖刀の三振り。さっきも言ったけど、手入れは主がしてくれる。場所は離れで、遠征や出陣はやりたく無いならやらなくとも大丈夫」
霧人「遠征と出陣なら僕と黒羽がやります。見た所、資材はなさそうなので手入れは1日待って下さい。半日在ればある程度は集める事が出来ます」
琥珀「主は母家には近寄らないように言っておく。その方が今は良いと思うから」

 琥珀はそう言ってチラリと一期一振を見るが直ぐに顔を反らせ大広間を見渡す。



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