求めよさらば与えられん
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「お頭!オイ起きろお頭ッ!!」
「……ん…朝?」
ヤソップに身体をゆすられて目を覚ましたシャンクス。
「あぁ、朝だよ。うなされてたが…大丈夫か?」
「……あぁ」
なんだか夢を見ていた気がする。
どこか懐かしい夢を…
夢と現実がごちゃごちゃになって、何が正しい現実なのか分からない。
身体を起こすとズキリと頭が痛む。
完全に二日酔いだ。
そうか、これは二日酔いのせいか…
「お頭、白ひげのところのあの嬢ちゃんと知り合いだったのか?」
「白ひげのところの…?」
「うなされながら名前を呼んでたからよ」
白ひげのところのあの嬢ちゃん?
一体何の事だったか、と思い返す。
そうだ、そうだった。
昨日は白ひげのところで飲んでいたんだった。
それはもう二日酔いになる程に。
そして帰ってきてそのまま甲板で寝たんだったか…
白ひげの病が完治したとのうわさを聞きつけて、祝い酒を持って行ったんだった。
そこでティーチを始末した事と、新しいクルーが入った事を聞いたんだった。
たしかその新しいクルーがメイと言ったか…
「なぁベン」
「何だ?」
「ルフィに姉ちゃんっていたか?」
「姉ちゃん?お頭、そりゃ夢だ」
「そうか、夢か…」
そうだ。
ルフィに姉なんていなかった。
この間アラバスタで七武海を倒したといって賞金が上がったところだ。
「夢か…」
やたらリアルな夢だった。
気分転換に水を飲もう、と一度船内に入る。
食堂から水を汲んできて、再び甲板に戻り、船首へと足を向ける。
そこに広がるのは広大な海。
邪魔するものは何もない、目の前に広がる水平線。
「……ん?」
何も無いと思ったが、少し離れた所に小舟が見える。
誰か乗っている…?
小舟に横たわる小さな身体。
見覚えがある気がした。
もう少しよく見ようと、身を乗り出した瞬間…
「あぁぁぁっ!!?」
「!!?どうした、お頭!」
「ベン!毛布準備しておけ!!」
「毛布?あっ、待て!!」
ベンが止める間もなく、シャンクスは海へと飛び込んだ。
片腕で泳ぎにくいことこの上ない。
別に自分が行かなくても、誰かに行かせればよかったのではと一瞬頭をよぎる。
だけど気がついたらもうシャンクスは海の中にいたのだ。
転覆した小舟に乗っていた奴は深く深く海の底へと沈んでいく。
あと少し、と手を伸ばし、捕まえた身体を引き寄せて急いで水面へと上がる。
ちらりと見たその顔は、やっぱりどこかで見た事のある顔だった。
だけど会った事は無い。
謎の既視感を抱えながら、ようやく水面へと顔を出した。
「ぷハッ!」
「お頭、その子をこっちに!」
「頼むヤソップ」
シャンクス一人では彼女を抱えたまま船に上がることはできない。
ヤソップが待機してくれていてよかった。
しばらくして少女は目を覚ました。
「ここは…?」
どこか部屋の中のようだが、辺りを見渡しても見覚えの無い景色に首をかしげる。
ふと、ドアが開き、少女は身体をビクリと震わせる。
「よう、起きたか」
「シャンクス…?」
「お、俺を知っているか」
そりゃそうだよな、俺って有名だもんな!と大笑いするシャンクスに少女は首をかしげる。
「具合はどうだ」
「あ…平気」
「そりゃよかった」
笑いながら頭をくしゃくしゃと撫でられて、少女はひどく安心した顔をする。
「ところでお嬢ちゃん」
「…………」
まだ頭がぼーっとしているのか、反応が無い。
ペシペシと頬を叩いてやると、ハッ、と意識が戻ってきた。
「俺達どこかで会った事、あるか?」
「…新手のナンパみたい」
「うん、言ってて俺もそう思ったよ」
だはははは!と大笑いをするシャンクスに少女もつられて小さく笑う。
シャンクスは目を細めながら少女の頭を撫でる。
「…なぁ、勘違いだったらすまないんだが…」
「うん」
「夢は叶ったか?」
シャンクスの問いに少女は目を見開く。
それからすぐにはらり、はらりと涙を流した。
顔を両手で隠してしまった少女に質問の順番を間違えたか、とシャンクスは頭をかいた。
「なぁ、メイ」
「え…?」
呼ばれて少女は思わず顔を上げる。
相変わらず涙がポタポタと流れているから、それを親指の腹で拭ってやる。
「お前は…メイで良いのか?メイであってるか?」
「シャンクス…ッ!」
ベッドから飛び出してシャンクスに飛びつきながら、うん、うんと首を縦に振る。
やっぱり、とシャンクスはその小さな背中に手を回し、ゆっくりと背中をさすってやる。
「なぁ、メイ…夢は叶ったか?」
「わか…ッわからないッ…私は死んだんじゃないの?何が起きてるの?ねぇ、シャンクス…教えて…?」
シャンクスにぎゅーっとしがみつくメイに、シャンクスはもう一本腕があったら良いのに、と思う。
そしたらメイの頭を撫でてやって安心させられるのに…
もう叶わない事を考えながら、シャンクスは昨日白ひげの船で見聞きした事を教えてやった。
メイと同じ名前の少女が乗っていた話も全て…
「その子は…きっと前世の私だ…」
「前世の?」
首を傾げるシャンクスにメイは多分、と頷く。
沈みゆく意識の中で掴んだアレはきっと前世の自分だったのだろう。
それであの先の未来が少し変わったのだ。
それでも死んだはずの自分が今ここにいる理由は解らずじまいだが…
「黒ひげは本当に死んじゃった?」
「…あぁ」
「エースは…元気にしてた?」
「相変わらず飯食いながら寝てたな」
「四番隊隊長の彼も…生きてる?」
「あいつの料理は相変わらず美味かったなぁ」
「白ひげは…ッ」
「医療器具なしでピンピンしてたぜ」
あの死に損ないのジジィめ、とシャンクスは笑う。
「ねぇ、シャンクス。その子は笑ってた?」
「…あぁ、笑ってた。幸せだっつって笑ってた」
「そっか…。ね、シャンクス」
「ん?」
「もう…もう我慢しなくて…いいかなぁ?」
「あぁ」
「もう頑張らなくてもいいかなぁ?」
「あー、この船に乗りたいなら強さは維持して貰わなきゃ困るな」
「ふふっ、そうだった。じゃあ頑張る」
やっと笑ったメイはようやく顔を上げる。
どこかスッキリした顔をしていて、あの夢でみた柔らかい笑みを浮かべている。
「ね、シャンクス…約束はまだ有効?」
「当たり前だ。俺がどこまでお前を迎えに行ったと思ってるんだ」
この身体で海の中まで行ったんだぞ、と笑うシャンクスのその言葉にメイは満足そうに笑う。
「一緒に連れてって、シャンクス。あなたの隣で世界を見てみたい」
「あぁ、見せてやるよ。世界の果てでも何でも…俺について来い、メイ」
その答えの代わりにメイはシャンクスを抱きしめる腕に力を入れたのだった。
「……ん…朝?」
ヤソップに身体をゆすられて目を覚ましたシャンクス。
「あぁ、朝だよ。うなされてたが…大丈夫か?」
「……あぁ」
なんだか夢を見ていた気がする。
どこか懐かしい夢を…
夢と現実がごちゃごちゃになって、何が正しい現実なのか分からない。
身体を起こすとズキリと頭が痛む。
完全に二日酔いだ。
そうか、これは二日酔いのせいか…
「お頭、白ひげのところのあの嬢ちゃんと知り合いだったのか?」
「白ひげのところの…?」
「うなされながら名前を呼んでたからよ」
白ひげのところのあの嬢ちゃん?
一体何の事だったか、と思い返す。
そうだ、そうだった。
昨日は白ひげのところで飲んでいたんだった。
それはもう二日酔いになる程に。
そして帰ってきてそのまま甲板で寝たんだったか…
白ひげの病が完治したとのうわさを聞きつけて、祝い酒を持って行ったんだった。
そこでティーチを始末した事と、新しいクルーが入った事を聞いたんだった。
たしかその新しいクルーがメイと言ったか…
「なぁベン」
「何だ?」
「ルフィに姉ちゃんっていたか?」
「姉ちゃん?お頭、そりゃ夢だ」
「そうか、夢か…」
そうだ。
ルフィに姉なんていなかった。
この間アラバスタで七武海を倒したといって賞金が上がったところだ。
「夢か…」
やたらリアルな夢だった。
気分転換に水を飲もう、と一度船内に入る。
食堂から水を汲んできて、再び甲板に戻り、船首へと足を向ける。
そこに広がるのは広大な海。
邪魔するものは何もない、目の前に広がる水平線。
「……ん?」
何も無いと思ったが、少し離れた所に小舟が見える。
誰か乗っている…?
小舟に横たわる小さな身体。
見覚えがある気がした。
もう少しよく見ようと、身を乗り出した瞬間…
「あぁぁぁっ!!?」
「!!?どうした、お頭!」
「ベン!毛布準備しておけ!!」
「毛布?あっ、待て!!」
ベンが止める間もなく、シャンクスは海へと飛び込んだ。
片腕で泳ぎにくいことこの上ない。
別に自分が行かなくても、誰かに行かせればよかったのではと一瞬頭をよぎる。
だけど気がついたらもうシャンクスは海の中にいたのだ。
転覆した小舟に乗っていた奴は深く深く海の底へと沈んでいく。
あと少し、と手を伸ばし、捕まえた身体を引き寄せて急いで水面へと上がる。
ちらりと見たその顔は、やっぱりどこかで見た事のある顔だった。
だけど会った事は無い。
謎の既視感を抱えながら、ようやく水面へと顔を出した。
「ぷハッ!」
「お頭、その子をこっちに!」
「頼むヤソップ」
シャンクス一人では彼女を抱えたまま船に上がることはできない。
ヤソップが待機してくれていてよかった。
しばらくして少女は目を覚ました。
「ここは…?」
どこか部屋の中のようだが、辺りを見渡しても見覚えの無い景色に首をかしげる。
ふと、ドアが開き、少女は身体をビクリと震わせる。
「よう、起きたか」
「シャンクス…?」
「お、俺を知っているか」
そりゃそうだよな、俺って有名だもんな!と大笑いするシャンクスに少女は首をかしげる。
「具合はどうだ」
「あ…平気」
「そりゃよかった」
笑いながら頭をくしゃくしゃと撫でられて、少女はひどく安心した顔をする。
「ところでお嬢ちゃん」
「…………」
まだ頭がぼーっとしているのか、反応が無い。
ペシペシと頬を叩いてやると、ハッ、と意識が戻ってきた。
「俺達どこかで会った事、あるか?」
「…新手のナンパみたい」
「うん、言ってて俺もそう思ったよ」
だはははは!と大笑いをするシャンクスに少女もつられて小さく笑う。
シャンクスは目を細めながら少女の頭を撫でる。
「…なぁ、勘違いだったらすまないんだが…」
「うん」
「夢は叶ったか?」
シャンクスの問いに少女は目を見開く。
それからすぐにはらり、はらりと涙を流した。
顔を両手で隠してしまった少女に質問の順番を間違えたか、とシャンクスは頭をかいた。
「なぁ、メイ」
「え…?」
呼ばれて少女は思わず顔を上げる。
相変わらず涙がポタポタと流れているから、それを親指の腹で拭ってやる。
「お前は…メイで良いのか?メイであってるか?」
「シャンクス…ッ!」
ベッドから飛び出してシャンクスに飛びつきながら、うん、うんと首を縦に振る。
やっぱり、とシャンクスはその小さな背中に手を回し、ゆっくりと背中をさすってやる。
「なぁ、メイ…夢は叶ったか?」
「わか…ッわからないッ…私は死んだんじゃないの?何が起きてるの?ねぇ、シャンクス…教えて…?」
シャンクスにぎゅーっとしがみつくメイに、シャンクスはもう一本腕があったら良いのに、と思う。
そしたらメイの頭を撫でてやって安心させられるのに…
もう叶わない事を考えながら、シャンクスは昨日白ひげの船で見聞きした事を教えてやった。
メイと同じ名前の少女が乗っていた話も全て…
「その子は…きっと前世の私だ…」
「前世の?」
首を傾げるシャンクスにメイは多分、と頷く。
沈みゆく意識の中で掴んだアレはきっと前世の自分だったのだろう。
それであの先の未来が少し変わったのだ。
それでも死んだはずの自分が今ここにいる理由は解らずじまいだが…
「黒ひげは本当に死んじゃった?」
「…あぁ」
「エースは…元気にしてた?」
「相変わらず飯食いながら寝てたな」
「四番隊隊長の彼も…生きてる?」
「あいつの料理は相変わらず美味かったなぁ」
「白ひげは…ッ」
「医療器具なしでピンピンしてたぜ」
あの死に損ないのジジィめ、とシャンクスは笑う。
「ねぇ、シャンクス。その子は笑ってた?」
「…あぁ、笑ってた。幸せだっつって笑ってた」
「そっか…。ね、シャンクス」
「ん?」
「もう…もう我慢しなくて…いいかなぁ?」
「あぁ」
「もう頑張らなくてもいいかなぁ?」
「あー、この船に乗りたいなら強さは維持して貰わなきゃ困るな」
「ふふっ、そうだった。じゃあ頑張る」
やっと笑ったメイはようやく顔を上げる。
どこかスッキリした顔をしていて、あの夢でみた柔らかい笑みを浮かべている。
「ね、シャンクス…約束はまだ有効?」
「当たり前だ。俺がどこまでお前を迎えに行ったと思ってるんだ」
この身体で海の中まで行ったんだぞ、と笑うシャンクスのその言葉にメイは満足そうに笑う。
「一緒に連れてって、シャンクス。あなたの隣で世界を見てみたい」
「あぁ、見せてやるよ。世界の果てでも何でも…俺について来い、メイ」
その答えの代わりにメイはシャンクスを抱きしめる腕に力を入れたのだった。
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