求めよさらば与えられん
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あれから10年の月日が流れた。
風の噂で3年前からメイは海兵になったと聞く。
今では立派にガープの右腕としてやっているらしい。
弟のルフィも先日司法の島を落として新聞を賑わせた。
賞金も跳ね上がり、超新星と呼ばれるようになった。
そして二人の兄であるポートガス・D・エース…
彼の公開処刑が決まった。
こうなる前に阻止したかったが、白ひげとの交渉は決裂した。
すでに戦争は始まってしまった。
ならば戦争を終わらせるためにと船を走らせる。
目指すはマリンフォード…
シャンクス達がマリンフォードについた時にはすでに勝敗は決していた。
白ひげ海賊団のエース奪還成功。
戦死した者も少なくない。
みんなボロボロになりながらも撤退のために戦っていた。
殿をつとめるのは白ひげ海賊団船長本人。
そしてその傍らには小柄な身体で正義の文字を背負う海兵…
「あれは…!」
「頭ァ!ありゃメイだぜ!?なんで白ひげと…?」
二人は赤犬と対峙していた。
傷だらけの白ひげを庇いながら戦うメイに赤犬は怒りをぶつける。
「モンキー・D・メイ!貴様何をしちょるかわかっとるのか!」
「もちろんですよサカズキさん!私はこのためにここに来た!」
「恩知らずにもほどがある!貴様のその背中は一体何じゃぁ!!」
「海軍の絶対正義なんて私は知らないッ!私の正義はエースを助ける、それだけだ!!」
「あれだけ目をかけてやったっちゅうのに…ここで死ぬがええ!!」
止むことのない赤犬の攻撃。
白ひげもメイも何とか攻撃をかわしていたが…
「グッ…」
気力でもどうにもすることが出来なかった白ひげの衰え。
一瞬胸を押さえる白ひげを見逃すほど赤犬は甘くない。
赤犬が白ひげにトドメをさすべく大きく腕を振りかぶった。
ダメだ、やめろ!
どんなに声を張り上げてもそれは止まらない。
次の瞬間にはメイは白ひげを庇いながらそのマグマに身体を貫かれた。
戦いは終わった。
戦いの終結を宣言したのはシャンクスだ。
もう攻撃してくる者はいない。
メイの目からはあの強い光は消えていた。
あの強くて…触れたら壊れてしまいそうな脆さを合わせ持っていた目はなりを潜め、代わりに安堵の色が浮かんでいた。
「メイ…」
「あ…シャンクスだぁ…」
シャンクスを視界に捉えたメイは柔らかく微笑む。
「夢は叶ったか?」
「うん…エースも白ひげも…みんな無事だ…」
白ひげの腕の中でメイは満足そうに笑う。
そんなメイに白ひげはぐっと眉をひそめる。
「何故だ小娘ェ…何故俺をかばった?」
「何故って…」
メイは何かを懐かしむようにふっと目を閉じる。
シャンクスは焦ってメイの顔を覗き込むが、メイはすぐに目を開けた。
「好き…だったんだ…白ひげ海賊団が…」
「どこかで会ったか?」
「ううん。でもずっと…ずっと好きだった…好きだった人が…いた…」
「……そうか…」
白ひげがメイの言葉に目を細める。
「ほら、『お父さん』。みんなのところへ…帰りなよ…みんな…泣いてるよ?」
「あぁ…そうだな。まだまだ手のかかる息子共だァ」
「ふふ…白ひげ、エースをお願いね…」
「メイッ…!」
いったん引いていたエースとルフィがメイに駆け寄る。
メイはエースに手を伸ばした。
その手をエースはしっかりと握る。
「エース…よかった…ちゃんと助けられたね…」
「馬鹿メイ!お前が無事じゃなきゃ…っ!」
「今度はちゃんとお父さんの言う事…聞くんだよ…?もう勝手したら…駄目よ?」
「メイ…?」
メイの言っている意味が分からない。
いや、分かるけど、何故エースが皆の制止を振り切ってモビーディックを降りた事を知っているんだ?
首をかしげるがメイは笑うだけで何も言わない。
エースから視線を外すと、メイはぐしぐしと泣いているルフィに今度は反対の手を伸ばす。
「何泣いてんの。相変わらず泣き虫だね」
「だってメイが…ッ!」
もう力が入らないのだろうメイの手をルフィはぎゅっと握りしめる。
「メイ握れよ、俺の手を!一緒に旅しよう?もう良いんだろ?お前はもう海軍にいなくて良いんだろ!?」
「ゴメンねルフィ…私はルフィと一緒に行けないんだぁ…」
「そんな事言うな!そうだ、イワちゃんが…」
イワンコフを探すルフィにメイは首を横に振る。
「違うの…ルフィ、私ね…シャンクスと行くんだ…」
「シャンクスと…?」
ぐしぐしと泣きながらシャンクスを見上げるルフィ。
笑うメイに対し、シャンクスの顔は厳しい。
「ね、シャンクス…やくそく…」
「あぁ、一緒に行こうメイ」
エースとルフィは自然にメイから手を離す。
メイは両手をシャンクスへ伸ばした。
シャンクスは白ひげからメイを受け取ると、メイは満足そうに笑う。
メイはこんなに柔らかく笑っていたか。
いつもにこにこしていたが、この笑顔を見た後では今まで見てきたあの笑顔は作りものだったのではないかと思う。
満足そうに笑いながら…メイは目を閉じる。
「メイ、起きろ」
「うん…」
「この俺がせっかく迎えに来たんだぞ」
「うん…」
「俺の船に乗るんだろ?」
「……うん…」
「メイ、目を開けろ」
「…う…ん……」
「メイ…」
「…………」
だらんと零れた腕を、片腕がふさがっているシャンクスでは持ち上げてやる事が出来ない。
笑いながら一筋零れた涙をぬぐってやる事が出来ない。
だんだん冷たくなる身体を温めてやる事が出来ない。
メイは笑ながら…
シャンクスの腕の中で静かに息を引き取った。
風の噂で3年前からメイは海兵になったと聞く。
今では立派にガープの右腕としてやっているらしい。
弟のルフィも先日司法の島を落として新聞を賑わせた。
賞金も跳ね上がり、超新星と呼ばれるようになった。
そして二人の兄であるポートガス・D・エース…
彼の公開処刑が決まった。
こうなる前に阻止したかったが、白ひげとの交渉は決裂した。
すでに戦争は始まってしまった。
ならば戦争を終わらせるためにと船を走らせる。
目指すはマリンフォード…
シャンクス達がマリンフォードについた時にはすでに勝敗は決していた。
白ひげ海賊団のエース奪還成功。
戦死した者も少なくない。
みんなボロボロになりながらも撤退のために戦っていた。
殿をつとめるのは白ひげ海賊団船長本人。
そしてその傍らには小柄な身体で正義の文字を背負う海兵…
「あれは…!」
「頭ァ!ありゃメイだぜ!?なんで白ひげと…?」
二人は赤犬と対峙していた。
傷だらけの白ひげを庇いながら戦うメイに赤犬は怒りをぶつける。
「モンキー・D・メイ!貴様何をしちょるかわかっとるのか!」
「もちろんですよサカズキさん!私はこのためにここに来た!」
「恩知らずにもほどがある!貴様のその背中は一体何じゃぁ!!」
「海軍の絶対正義なんて私は知らないッ!私の正義はエースを助ける、それだけだ!!」
「あれだけ目をかけてやったっちゅうのに…ここで死ぬがええ!!」
止むことのない赤犬の攻撃。
白ひげもメイも何とか攻撃をかわしていたが…
「グッ…」
気力でもどうにもすることが出来なかった白ひげの衰え。
一瞬胸を押さえる白ひげを見逃すほど赤犬は甘くない。
赤犬が白ひげにトドメをさすべく大きく腕を振りかぶった。
ダメだ、やめろ!
どんなに声を張り上げてもそれは止まらない。
次の瞬間にはメイは白ひげを庇いながらそのマグマに身体を貫かれた。
戦いは終わった。
戦いの終結を宣言したのはシャンクスだ。
もう攻撃してくる者はいない。
メイの目からはあの強い光は消えていた。
あの強くて…触れたら壊れてしまいそうな脆さを合わせ持っていた目はなりを潜め、代わりに安堵の色が浮かんでいた。
「メイ…」
「あ…シャンクスだぁ…」
シャンクスを視界に捉えたメイは柔らかく微笑む。
「夢は叶ったか?」
「うん…エースも白ひげも…みんな無事だ…」
白ひげの腕の中でメイは満足そうに笑う。
そんなメイに白ひげはぐっと眉をひそめる。
「何故だ小娘ェ…何故俺をかばった?」
「何故って…」
メイは何かを懐かしむようにふっと目を閉じる。
シャンクスは焦ってメイの顔を覗き込むが、メイはすぐに目を開けた。
「好き…だったんだ…白ひげ海賊団が…」
「どこかで会ったか?」
「ううん。でもずっと…ずっと好きだった…好きだった人が…いた…」
「……そうか…」
白ひげがメイの言葉に目を細める。
「ほら、『お父さん』。みんなのところへ…帰りなよ…みんな…泣いてるよ?」
「あぁ…そうだな。まだまだ手のかかる息子共だァ」
「ふふ…白ひげ、エースをお願いね…」
「メイッ…!」
いったん引いていたエースとルフィがメイに駆け寄る。
メイはエースに手を伸ばした。
その手をエースはしっかりと握る。
「エース…よかった…ちゃんと助けられたね…」
「馬鹿メイ!お前が無事じゃなきゃ…っ!」
「今度はちゃんとお父さんの言う事…聞くんだよ…?もう勝手したら…駄目よ?」
「メイ…?」
メイの言っている意味が分からない。
いや、分かるけど、何故エースが皆の制止を振り切ってモビーディックを降りた事を知っているんだ?
首をかしげるがメイは笑うだけで何も言わない。
エースから視線を外すと、メイはぐしぐしと泣いているルフィに今度は反対の手を伸ばす。
「何泣いてんの。相変わらず泣き虫だね」
「だってメイが…ッ!」
もう力が入らないのだろうメイの手をルフィはぎゅっと握りしめる。
「メイ握れよ、俺の手を!一緒に旅しよう?もう良いんだろ?お前はもう海軍にいなくて良いんだろ!?」
「ゴメンねルフィ…私はルフィと一緒に行けないんだぁ…」
「そんな事言うな!そうだ、イワちゃんが…」
イワンコフを探すルフィにメイは首を横に振る。
「違うの…ルフィ、私ね…シャンクスと行くんだ…」
「シャンクスと…?」
ぐしぐしと泣きながらシャンクスを見上げるルフィ。
笑うメイに対し、シャンクスの顔は厳しい。
「ね、シャンクス…やくそく…」
「あぁ、一緒に行こうメイ」
エースとルフィは自然にメイから手を離す。
メイは両手をシャンクスへ伸ばした。
シャンクスは白ひげからメイを受け取ると、メイは満足そうに笑う。
メイはこんなに柔らかく笑っていたか。
いつもにこにこしていたが、この笑顔を見た後では今まで見てきたあの笑顔は作りものだったのではないかと思う。
満足そうに笑いながら…メイは目を閉じる。
「メイ、起きろ」
「うん…」
「この俺がせっかく迎えに来たんだぞ」
「うん…」
「俺の船に乗るんだろ?」
「……うん…」
「メイ、目を開けろ」
「…う…ん……」
「メイ…」
「…………」
だらんと零れた腕を、片腕がふさがっているシャンクスでは持ち上げてやる事が出来ない。
笑いながら一筋零れた涙をぬぐってやる事が出来ない。
だんだん冷たくなる身体を温めてやる事が出来ない。
メイは笑ながら…
シャンクスの腕の中で静かに息を引き取った。