夢の続きの話をしよう
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「あなたが死の外科医さん?」
停泊中のとある島で、ローは一人で歩いているところを木の上から呼び止められた。
見上げれば、一人の女が木の枝に腰をかけて足をぶらぶらさせながらローを見下ろしていた。
まだ幼さが残るその容姿。
だけどその目だけはギラリと獲物を狙う獣のようだと、そう思った。
「貴様は誰だ。俺に何の用だ」
「私はモンキー・D・メイ。今はまだ海兵」
海兵…ならば敵か、と刀に手をかけた。
しかしDのその名と『今はまだ海兵』と言ったその言葉が気になり、能力の発動を躊躇した。
「ログはもう溜まった?」
そう言いながらメイは木から飛び降りる。
一定の距離を保ちつつ、メイは続ける。
「明日、ここにじーちゃんが来るよ」
「じーさん?」
「モンキー・D・ガープ。今のあなたには厄介でしょう?」
その言葉にカチンときたが、メイの言葉もまた事実。
やすやす負けるつもりもないが、年老いてもなお前線に出てくるあの老兵とやりあって無事でいられるか…
思わず舌打ちをする。
「ログがたまったならすぐに出た方がいい。もし溜まってないなら、この島の裏手に小さな洞窟があるからそこに船を隠すといいよ」
海兵にそう言われて、はいそうですかと素直に信用する海賊などいない。
なんの罠だ。
「罠じゃないって」
「信じられねぇ」
「じゃあじーちゃんに捕まってしまえ」
それだけ言い残すとメイはじゃーねと立ち去って行った。
「何だ今の…」
ログはあと数時間で溜まるはずだ。
出港は明日を予定していたが今のメイの言葉も気になるのも事実。
進路を他人に決められるのは気に食わないが、船員達を守るのも船長の勤め。
「チッ」
ローは電伝虫を取り出しベポに繋ぐ。
「ログが溜まり次第出港する。準備をしておけ」
その数日後、ニュース・クーが伝えたのはガープがあの島にいた海賊達を全てインペルダウン送りにしたという事だった。
「船長が予定変更しなかったらヤバかったッスね」
シャチは大げさなほどに胸を撫で下ろして見せた。
インペルダウンなんて冗談じゃない。
この時ばかりはメイの言葉にのってよかったと思った。
それから何度もメイと出会った。
いつもふらっとやってきてはロー達に有益な情報をおいて行く。
「お前はいったい何がしたいんだ?」
ある時メイにそう訪ねてみた。
普段情報のやりとり以外の会話はなかったが、この時初めてローはメイという人物を理解するための質問を投げた。
思わずローは息を飲む。
いつものあの獲物を狙う獣のような鋭い眼差しはなりを潜めて、変わりに花のような笑顔を見せたのだ。
それもすぐになりを潜めてしまったが、敵から知人くらいには認識を改めていい気がした。
「私ね、やりたいことがあるの」
「やりたいこと?」
「うん。それにあなたの力を貸して欲しい」
「断る、と言ったら?」
「残念、って思う」
肩を竦めながらおどけた物言いにローは思わず頬が緩んだ。
「それだけか?」
「うん、それだけ。だってあなたは海賊で、私は今は海兵。元々ダメ元のお願いだもの」
「変な奴」
「ありがとう」
メイはにっこり笑いながら歩き出す。
いつもはこれで別れるのだが、今日はなんとなくローもそれに続いた。
「珍しい」
「そうだな。それにまだ聞きたいことがある」
「…本当に珍しい」
歩みをやめてメイはローを振り返る。
まだ会話を続ける気になったらしい。
木の幹に背中を預けるように腰を下ろした。
ローもそれに習い同じ木にもたれかかる。
「今は海兵…前にもそんな事を言ってたな」
「覚えてたの?」
「あぁ」
「やりたいことが終わったら、私海賊になるの」
「へぇ。…じゃあ俺のところに来るか?」
そう勝手に口から言葉がこぼれ落ちた。
仲間にしてやってもいいと、そう思えるほどいつの間にか気を許していた。
しかしメイはくすくす笑いながら首を横に降る。
「残念。もう予約済みなの」
「どこだ」
「シャンクスのところ」
「赤髪?」
「そ。約束してるの。私の夢が叶ったら一緒に連れてくれるって」
懐かしそうに頬を緩めながら笑うメイ。
きっと約束した当時を思い出しているのだろう。
それを面白くないと、そう思った。
「その夢にはね、たくさんの犠牲者がでるの」
「犠牲者?」
「そう。もうすぐで海軍と白ひげが全面戦争を起こす」
「…なんだって?」
「これは内緒の話よ?あなたには全部教える」
そう言いながらメイは話し出した。
火拳のエースが海軍に捕まる事。
エースを公開処刑しようとする事。
白ひげがそれを阻止すべく立ちはだかる事。
「エースは私のお兄ちゃんなの」
「そうなのか?」
「うん。だから助けたい。その為に海軍に入った」
一番近くから助けられるように…
その一瞬のためだけに海兵になった。
エースさえ助けられたらメイの夢は達成される。
「…俺に何をして欲しいんだ」
「弟がね、その時ひどい怪我をするの」
「今度は弟だと?」
「うん、モンキー・D…」
「…麦わら屋か」
「そうそう。双子の弟なの。ルフィを助けてあげて欲しい」
予知能力でもあるのか、メイの話は決定事項らしい。
それを捻じ曲げてエースを助ける。
それがメイの夢…
「でも…もし…もしね?その時私が…」
「……?」
「いや、やっぱりなんでもない」
力なく笑いながらメイは顔を上げてローを見上げた。
それまで自信たっぷりだったのに急に弱気になったのか、その顔には迷いと焦りが浮かんでいた。
「…やっぱりお前、俺のところに来いよ」
「なんで突然そうなるの。話聞いてた?」
それから約半年。
その間もメイは時々ふらっとやってきては有益な情報をロー達に与えていた。
メイの言っていた通り、エースが捕まった事がニュース・クーによって伝えられた時、メイは一通の手紙を持ってローの前に姿を表した。
「もうすぐマリンフォードで戦争がおきるよ」
「そうか」
「うん。……ね、もし…もし私が死んだら…」
そんな事を言うな、と口を開く前にメイはローに手紙を渡す。
「もちろん死ぬつもりなんてないよ?でも、万が一の時は…私の体使ってルフィを助けてあげて」
「ドナーになるつもりか」
「うん。その時、シャンクスが私を連れて行こうとしてくれていたら、これを渡して欲しい」
そう言いながらもメイの目には力があった。
死ぬつもりはないと、死なない自信もあると…
そうか、この目に惹かれたのか…
ローはぼんやりとそう思った。
「……やっぱりお前、俺と来いよ」
「だーかーらー…あ、じゃあこうしよう」
名案が思い浮かんだと言わんばかりにメイはぽん、と手を打った。
「万が一私が死んだら、私を使ってルフィを助ける。それでも余った臓器があったらそれはあなた達にあげる。そしたら一緒に行けるね」
「だからなんで死ぬこと前提なんだよ」
「だから万が一だって。だって私はシャンクス達と一緒に行くんだから」
だからあなたとは一緒に行けない。
そう言いながらにっこり笑うメイをローは引き寄せて、ぎゅっと抱きしめた。
「絶対に死ぬんじゃねぇぞ、メイ」
「……!うん、ありがとう、ロー」
出会って約3年。
この時初めてお互いの名前を呼び合った。
停泊中のとある島で、ローは一人で歩いているところを木の上から呼び止められた。
見上げれば、一人の女が木の枝に腰をかけて足をぶらぶらさせながらローを見下ろしていた。
まだ幼さが残るその容姿。
だけどその目だけはギラリと獲物を狙う獣のようだと、そう思った。
「貴様は誰だ。俺に何の用だ」
「私はモンキー・D・メイ。今はまだ海兵」
海兵…ならば敵か、と刀に手をかけた。
しかしDのその名と『今はまだ海兵』と言ったその言葉が気になり、能力の発動を躊躇した。
「ログはもう溜まった?」
そう言いながらメイは木から飛び降りる。
一定の距離を保ちつつ、メイは続ける。
「明日、ここにじーちゃんが来るよ」
「じーさん?」
「モンキー・D・ガープ。今のあなたには厄介でしょう?」
その言葉にカチンときたが、メイの言葉もまた事実。
やすやす負けるつもりもないが、年老いてもなお前線に出てくるあの老兵とやりあって無事でいられるか…
思わず舌打ちをする。
「ログがたまったならすぐに出た方がいい。もし溜まってないなら、この島の裏手に小さな洞窟があるからそこに船を隠すといいよ」
海兵にそう言われて、はいそうですかと素直に信用する海賊などいない。
なんの罠だ。
「罠じゃないって」
「信じられねぇ」
「じゃあじーちゃんに捕まってしまえ」
それだけ言い残すとメイはじゃーねと立ち去って行った。
「何だ今の…」
ログはあと数時間で溜まるはずだ。
出港は明日を予定していたが今のメイの言葉も気になるのも事実。
進路を他人に決められるのは気に食わないが、船員達を守るのも船長の勤め。
「チッ」
ローは電伝虫を取り出しベポに繋ぐ。
「ログが溜まり次第出港する。準備をしておけ」
その数日後、ニュース・クーが伝えたのはガープがあの島にいた海賊達を全てインペルダウン送りにしたという事だった。
「船長が予定変更しなかったらヤバかったッスね」
シャチは大げさなほどに胸を撫で下ろして見せた。
インペルダウンなんて冗談じゃない。
この時ばかりはメイの言葉にのってよかったと思った。
それから何度もメイと出会った。
いつもふらっとやってきてはロー達に有益な情報をおいて行く。
「お前はいったい何がしたいんだ?」
ある時メイにそう訪ねてみた。
普段情報のやりとり以外の会話はなかったが、この時初めてローはメイという人物を理解するための質問を投げた。
思わずローは息を飲む。
いつものあの獲物を狙う獣のような鋭い眼差しはなりを潜めて、変わりに花のような笑顔を見せたのだ。
それもすぐになりを潜めてしまったが、敵から知人くらいには認識を改めていい気がした。
「私ね、やりたいことがあるの」
「やりたいこと?」
「うん。それにあなたの力を貸して欲しい」
「断る、と言ったら?」
「残念、って思う」
肩を竦めながらおどけた物言いにローは思わず頬が緩んだ。
「それだけか?」
「うん、それだけ。だってあなたは海賊で、私は今は海兵。元々ダメ元のお願いだもの」
「変な奴」
「ありがとう」
メイはにっこり笑いながら歩き出す。
いつもはこれで別れるのだが、今日はなんとなくローもそれに続いた。
「珍しい」
「そうだな。それにまだ聞きたいことがある」
「…本当に珍しい」
歩みをやめてメイはローを振り返る。
まだ会話を続ける気になったらしい。
木の幹に背中を預けるように腰を下ろした。
ローもそれに習い同じ木にもたれかかる。
「今は海兵…前にもそんな事を言ってたな」
「覚えてたの?」
「あぁ」
「やりたいことが終わったら、私海賊になるの」
「へぇ。…じゃあ俺のところに来るか?」
そう勝手に口から言葉がこぼれ落ちた。
仲間にしてやってもいいと、そう思えるほどいつの間にか気を許していた。
しかしメイはくすくす笑いながら首を横に降る。
「残念。もう予約済みなの」
「どこだ」
「シャンクスのところ」
「赤髪?」
「そ。約束してるの。私の夢が叶ったら一緒に連れてくれるって」
懐かしそうに頬を緩めながら笑うメイ。
きっと約束した当時を思い出しているのだろう。
それを面白くないと、そう思った。
「その夢にはね、たくさんの犠牲者がでるの」
「犠牲者?」
「そう。もうすぐで海軍と白ひげが全面戦争を起こす」
「…なんだって?」
「これは内緒の話よ?あなたには全部教える」
そう言いながらメイは話し出した。
火拳のエースが海軍に捕まる事。
エースを公開処刑しようとする事。
白ひげがそれを阻止すべく立ちはだかる事。
「エースは私のお兄ちゃんなの」
「そうなのか?」
「うん。だから助けたい。その為に海軍に入った」
一番近くから助けられるように…
その一瞬のためだけに海兵になった。
エースさえ助けられたらメイの夢は達成される。
「…俺に何をして欲しいんだ」
「弟がね、その時ひどい怪我をするの」
「今度は弟だと?」
「うん、モンキー・D…」
「…麦わら屋か」
「そうそう。双子の弟なの。ルフィを助けてあげて欲しい」
予知能力でもあるのか、メイの話は決定事項らしい。
それを捻じ曲げてエースを助ける。
それがメイの夢…
「でも…もし…もしね?その時私が…」
「……?」
「いや、やっぱりなんでもない」
力なく笑いながらメイは顔を上げてローを見上げた。
それまで自信たっぷりだったのに急に弱気になったのか、その顔には迷いと焦りが浮かんでいた。
「…やっぱりお前、俺のところに来いよ」
「なんで突然そうなるの。話聞いてた?」
それから約半年。
その間もメイは時々ふらっとやってきては有益な情報をロー達に与えていた。
メイの言っていた通り、エースが捕まった事がニュース・クーによって伝えられた時、メイは一通の手紙を持ってローの前に姿を表した。
「もうすぐマリンフォードで戦争がおきるよ」
「そうか」
「うん。……ね、もし…もし私が死んだら…」
そんな事を言うな、と口を開く前にメイはローに手紙を渡す。
「もちろん死ぬつもりなんてないよ?でも、万が一の時は…私の体使ってルフィを助けてあげて」
「ドナーになるつもりか」
「うん。その時、シャンクスが私を連れて行こうとしてくれていたら、これを渡して欲しい」
そう言いながらもメイの目には力があった。
死ぬつもりはないと、死なない自信もあると…
そうか、この目に惹かれたのか…
ローはぼんやりとそう思った。
「……やっぱりお前、俺と来いよ」
「だーかーらー…あ、じゃあこうしよう」
名案が思い浮かんだと言わんばかりにメイはぽん、と手を打った。
「万が一私が死んだら、私を使ってルフィを助ける。それでも余った臓器があったらそれはあなた達にあげる。そしたら一緒に行けるね」
「だからなんで死ぬこと前提なんだよ」
「だから万が一だって。だって私はシャンクス達と一緒に行くんだから」
だからあなたとは一緒に行けない。
そう言いながらにっこり笑うメイをローは引き寄せて、ぎゅっと抱きしめた。
「絶対に死ぬんじゃねぇぞ、メイ」
「……!うん、ありがとう、ロー」
出会って約3年。
この時初めてお互いの名前を呼び合った。