求めよさらば与えられん
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初めて出会ったのはもう10年も前の事。
東の海でフーシャ村を拠点に航海をしていた時のこと。
やたら元気な男の子…ルフィの隣にいつもその少女はいた。
時にはルフィのワガママをたしなめて。
時にはそのワガママを聞き入れて。
いつもにこにこと笑っていた。
そんな少女…メイが時々一人になる時がある。
そんな時は大抵桟橋の先端に座りながら海の向こうを眺めていた。
そんなメイの隣にシャンクスは座る。
「なんだお前、泣いてんのか!?」
前を真っ直ぐに見ながらもはらり、はらりととめど無く涙があふれている。
あぁ、先程ルフィが自分の頬にナイフを突き立てたからか。
傷は深くて痕が残るだろう。
「まー、何だ。泣くなよメイ」
くしゃくしゃと頭を撫でてやればルフィとは違った猫っ毛のその髪が柔らかくシャンクスの手にまとわりつく。
顔も体格もほぼ同じなのにその髪質だけが違う。
「不思議なもんだな」
「……?」
ようやくメイはシャンクスを見上げて首を傾げる。
流れる涙を親指の腹で拭ってやると、ようやく笑った。
子どもにしてはやたら大人びたその笑い方に思わず目を見張る。
「シャンクス?」
「お前にゃそんな笑い方はまだ早ぇ」
「そんなってどんな?」
首をこてんと傾げるメイは今度は年相応の動きを見せた。
時々メイはやたら大人びた表情を見せる。
そんな時のメイは何をその瞳に映しているかさっぱり読めない。
ただ静かに真っ直ぐと…何かを決意した目をしていた。
シャンクスはメイの質問には答えずにまた頭を撫でた。
「ルフィの事、悪かったな」
「仕方ない、ルフィだもん。誰が止めたって聞かないよ」
「そうだなぁ…」
あの無鉄砲さにはみんなほとほと呆れている。
本人はけろっとしているから良いものの、そばで見ている方は心臓に悪すぎる。
「ルフィの事…本気で船に乗せる気はあるの?」
「まーだ早ぇがな。その時になってまだルフィが乗りてぇって言うなら考えない事はない」
「そっか」
メイは笑いながらまた海に目をやる。
「でも…ルフィは自分で旗上げすると思うんだ」
「あぁ、俺もそう思う」
もうメイの目には涙はない。
クスクスと笑いながら海を見ている。
「その時メイはどうするんだ?」
「私?」
シャンクスを一度見上げるが、すぐにまた海に目を向ける。
あぁ、その目だ。
強くて真っ直ぐなこの瞳。
この少女は何を見ているんだろう。
「私には夢があるから…ルフィより先にこの村を出るつもり」
「夢?」
「うん。海兵になってやりたい事があるの」
「海兵か」
「ジイちゃんに鍛えて貰うんだ」
ルフィとメイの祖父、モンキー・D・ガープの顔がシャンクスの頭をよぎる。
年老いても相変わらず勇猛な爺さんだ。
「じゃあ俺たちの敵になるな」
「そうだね」
へらりと笑いながらメイは立ち上がる。
ぱたぱたと服の汚れを払うと遠慮がちにシャンクスの袖を小さく摘まんだ。
「でもね…その…夢が叶ったら……」
「……?」
顔を赤くしながら俯いて、小さな声で…うっかりしてると聞き逃してしまいそうなほど小さな声でメイはシャンクスに願いを伝える。
「私もシャンクスの船に乗せて…?」
「海軍は?」
「もちろんやめるよ。夢が叶ったらもういる意味ないもん」
「爺さんが泣くぞ?」
「ジイちゃんの願いは私が叶えるからいいでしょ」
ガープがルフィもメイも海兵にしたがっているのは以前メイ本人から聞いていた。
一時でも海軍になるんだからいいでしょ?とメイは首を傾げる。
「だはははは!」
「え、何?何で笑うの!?」
「笑わずにいられるか!やっぱりメイもルフィの姉ちゃんだったか!」
「そんな事、当たり前じゃない。生まれた頃からずっと一緒にいるのよ?」
海兵になることが夢じゃなく、夢を叶えるための手段だという。
そのために身内も利用しようとしているんだからたいしたタマだ。
「私、ジイちゃんに鍛えて貰ってうんとうーんと強くなるわ。シャンクス達の足なんて引っ張らない。だからお願い!10年後、仲間にして?」
「なんだ、10年でお前は夢を叶えるつもりなのか?」
「うん」
頷きながらメイはまた海に目を向ける。
その目は決意した目だ。
「メイの夢がなんなのかは知らねぇけど、叶うといいな」
「叶うといいじゃない。絶対叶えるんだ」
「そうか…じゃあ10年後、迎えに行ってやるよ」
「ホント!?」
ぱぁっと顔が喜びに色づく。
シャンクスの腕にしがみ付いてピョンピョンと飛び跳ねる様は年相応の反応だ。
不思議な子だ、とシャンクスは思う。
ふわふわの頭を撫でながらしっかりと頷いた。
「あぁ、約束だ」
東の海でフーシャ村を拠点に航海をしていた時のこと。
やたら元気な男の子…ルフィの隣にいつもその少女はいた。
時にはルフィのワガママをたしなめて。
時にはそのワガママを聞き入れて。
いつもにこにこと笑っていた。
そんな少女…メイが時々一人になる時がある。
そんな時は大抵桟橋の先端に座りながら海の向こうを眺めていた。
そんなメイの隣にシャンクスは座る。
「なんだお前、泣いてんのか!?」
前を真っ直ぐに見ながらもはらり、はらりととめど無く涙があふれている。
あぁ、先程ルフィが自分の頬にナイフを突き立てたからか。
傷は深くて痕が残るだろう。
「まー、何だ。泣くなよメイ」
くしゃくしゃと頭を撫でてやればルフィとは違った猫っ毛のその髪が柔らかくシャンクスの手にまとわりつく。
顔も体格もほぼ同じなのにその髪質だけが違う。
「不思議なもんだな」
「……?」
ようやくメイはシャンクスを見上げて首を傾げる。
流れる涙を親指の腹で拭ってやると、ようやく笑った。
子どもにしてはやたら大人びたその笑い方に思わず目を見張る。
「シャンクス?」
「お前にゃそんな笑い方はまだ早ぇ」
「そんなってどんな?」
首をこてんと傾げるメイは今度は年相応の動きを見せた。
時々メイはやたら大人びた表情を見せる。
そんな時のメイは何をその瞳に映しているかさっぱり読めない。
ただ静かに真っ直ぐと…何かを決意した目をしていた。
シャンクスはメイの質問には答えずにまた頭を撫でた。
「ルフィの事、悪かったな」
「仕方ない、ルフィだもん。誰が止めたって聞かないよ」
「そうだなぁ…」
あの無鉄砲さにはみんなほとほと呆れている。
本人はけろっとしているから良いものの、そばで見ている方は心臓に悪すぎる。
「ルフィの事…本気で船に乗せる気はあるの?」
「まーだ早ぇがな。その時になってまだルフィが乗りてぇって言うなら考えない事はない」
「そっか」
メイは笑いながらまた海に目をやる。
「でも…ルフィは自分で旗上げすると思うんだ」
「あぁ、俺もそう思う」
もうメイの目には涙はない。
クスクスと笑いながら海を見ている。
「その時メイはどうするんだ?」
「私?」
シャンクスを一度見上げるが、すぐにまた海に目を向ける。
あぁ、その目だ。
強くて真っ直ぐなこの瞳。
この少女は何を見ているんだろう。
「私には夢があるから…ルフィより先にこの村を出るつもり」
「夢?」
「うん。海兵になってやりたい事があるの」
「海兵か」
「ジイちゃんに鍛えて貰うんだ」
ルフィとメイの祖父、モンキー・D・ガープの顔がシャンクスの頭をよぎる。
年老いても相変わらず勇猛な爺さんだ。
「じゃあ俺たちの敵になるな」
「そうだね」
へらりと笑いながらメイは立ち上がる。
ぱたぱたと服の汚れを払うと遠慮がちにシャンクスの袖を小さく摘まんだ。
「でもね…その…夢が叶ったら……」
「……?」
顔を赤くしながら俯いて、小さな声で…うっかりしてると聞き逃してしまいそうなほど小さな声でメイはシャンクスに願いを伝える。
「私もシャンクスの船に乗せて…?」
「海軍は?」
「もちろんやめるよ。夢が叶ったらもういる意味ないもん」
「爺さんが泣くぞ?」
「ジイちゃんの願いは私が叶えるからいいでしょ」
ガープがルフィもメイも海兵にしたがっているのは以前メイ本人から聞いていた。
一時でも海軍になるんだからいいでしょ?とメイは首を傾げる。
「だはははは!」
「え、何?何で笑うの!?」
「笑わずにいられるか!やっぱりメイもルフィの姉ちゃんだったか!」
「そんな事、当たり前じゃない。生まれた頃からずっと一緒にいるのよ?」
海兵になることが夢じゃなく、夢を叶えるための手段だという。
そのために身内も利用しようとしているんだからたいしたタマだ。
「私、ジイちゃんに鍛えて貰ってうんとうーんと強くなるわ。シャンクス達の足なんて引っ張らない。だからお願い!10年後、仲間にして?」
「なんだ、10年でお前は夢を叶えるつもりなのか?」
「うん」
頷きながらメイはまた海に目を向ける。
その目は決意した目だ。
「メイの夢がなんなのかは知らねぇけど、叶うといいな」
「叶うといいじゃない。絶対叶えるんだ」
「そうか…じゃあ10年後、迎えに行ってやるよ」
「ホント!?」
ぱぁっと顔が喜びに色づく。
シャンクスの腕にしがみ付いてピョンピョンと飛び跳ねる様は年相応の反応だ。
不思議な子だ、とシャンクスは思う。
ふわふわの頭を撫でながらしっかりと頷いた。
「あぁ、約束だ」
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