みちのくの…
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久しぶりの敵船に活気付く船内。
俺たちに挑んでくるくらいだから少しは腕に自信があったのかもしれないが、こちらも暫くぶりに暴れられる機会だ。
群れをなしてやって来た敵船だったが、俺たちが全力を出す前に脆く崩れていった。
「なんだ、張り合いねぇなぁ」
「全くだぜ」
仲間たちがブチブチ文句を言いながら敵船に乗り込み、宝や食料を奪ってくる。
「やめろっ!」
「離せってんだ!」
そんな中幾つかの高い声がモビーの甲板に響き渡る。
今回は10数人ってところか…
結構多かったな。
「イゾウ隊長、今回捕虜はいねぇみたいです。あいつらどうしますか?」
「いつも通り相手してやんな」
部下にそう言ってやると、ニヤリと笑いながら敵船から連れて来た女海賊達を捕虜とし、船内へと連れて行った。
野郎は殺し、女は捕虜としてモビーに乗せて性処理をさせるなんて事はしょっちゅうしてきた事だ。
でなきゃ長い航海、野郎共の気が狂っちまう。
かといってナース達にそう言う事をさせるわけにはいかない。
だから使い捨てで捕虜を取るのだ。
もちろん敵船で捕虜になっていた奴は別だ。
そう言う奴らは次の島で降ろしてやっていた。
あくまでも女の敵だけ…
敵襲といっても暴れ足りない不完全燃焼の奴らも多いだろう。
あの捕虜達はいつまでもつやら…
ふと、先の地下牢の住人であるメイを思い出した。
あれからなんだかんだと用事が入り様子を見に行っていなかった。
久しぶりに見にいくか、と遅れて俺も足を向けた。
今しがた捕まえた捕虜と同じ扱いされたら困るしな。
「……困る?」
何故困る?
困る必要なんてないはず。
あいつはただの怪しい自称異世界人。
本来どうなろうと知ったこっちゃないのだ。
ただこうして足を運ぶのは、美味そうに飯を食べる姿やふわりと笑うあの顔、そして何より凛とした佇まいがどこか故郷の懐かしさを感じさせるから…
それだけだ。
それだけのはずなんだ。
なのに目の前のメイの姿にどうしてこんなに胸がざわつく…?
「オイ、生きてるか」
「……、い……ぞ…ぅさ……ん…?」
毛布に身をくるんだその姿は、最後に見たあの時と同じだった。
部屋の隅っこで体を小さく丸めているその姿に、初めて見た時の、あの凛とした姿はもう無かった。
のろのろと顔を上げたその目はひどく濁っていた。
あたりに響き渡る耳鳴りな悲鳴と水音にメイは顔を青くしていたが、ぐっと何かを押し殺すように目を閉じる。
次に開かれたその瞳は濁っていながらも鋭さを含み、メイは口元に笑みを浮かべた。
「こんどは…イゾウさんですか…?いいですよ、ただ…びょうきに…なりたくなかったら、ゴムつけてくださいね…」
「何言って…」
「だって、もう、なんにんとやったか…わからない…ナマじゃなきゃ…いやってひともいたから…わたしのせいで、びょうきがこのふねにひろがるの…ねざめわるいですから…」
よろよろと立ち上がり、俺の目の前までやって来た。
メイが元いた場所に目をやれば、いつも着ていたあの黒い服は無惨にも引き裂かれ、所々白い汚れが見て取れた。
はらりと落とされた毛布。
現れた裸体は薄汚れているものの傷一つない綺麗なものだった。
「どうぞ、すきにしてください」
ふわりと笑うメイのこの笑顔が好きだったんだと自覚してももう遅い。
腰布をほどきながら牢の中へはいり、見上げるメイの視界を今しがた脱いだ着物で覆い隠す。
小さく身じろぐメイの身体を引き寄せればすっぽりと腕の中におさまっちまう。
「いつからだ?」
「……?」
「いつから野郎共の相手をしていた」
「……イゾウさんと…サッチさんがいっしょ…に…きてくれたあと…ティーチさんたちがきて……それからです…」
「…ティーチ…たち?」
前話した時には彼や黒ひげと言って名前を呼ばなかったメイがティーチの名前を口にした。
最後に見たあの時には既にヤられた後だったわけだ。
しかも一度だけではなく恐らく名前を呼ぶようになる程にやってきてそれから何度も…
ギリッと奥歯を噛み締める。
「イゾウ…さん…?」
「何で…」
「……え?」
「何で言わなかった、あの時に…」
「……言ったら…私、どうにかなりました…?身元も、話す内容も怪し過ぎる私は…言ったらなにか変ったでしょうか…」
それまでどこかぼんやりとした、拙い話し方をしていたメイだったが、ふと声にはりが戻った。
メイが紡いだその言葉はまるで独り言のようで、俺が目の前にいるのに俺に話しかけているようには聞こえなかった。
俺を責めるわけでもなく、かといってティーチも責めるわけでもない。
ただあの時言っていたら何かが変わっていたか、本当にその疑問だけしか浮かんでいないようだった。
「わたし…この世界に来た事に…なにか意味があるんだと思ってました…私一人だけが生き残って、生きる希望が見出せなくて、ただなんとなく流されるままに生きてきて…そんな時、この世界に来たから、何か私に出来る事があるんだと…そう思ってました……覚悟を決めて、立ち向かおうって…そう思ったんですけどね…」
「立ち向かう…?何に…」
そこまで口を開いてそれが失言だったと後悔する。
あの時メイはティーチが裏切ると言っていた。
その直後にマワされてるのだ。
メイが知ってる未来とやらが現実になり得ないよう全てを受け入れて立ち向かおうと…そう決めたはずの心がポッキリと折れちまったんだ。
何度も何人も受け入れてマワされて…
「私がここに来た意味って何だったんでしょうか…あぁ、長い船旅での…みなさんの役にはたったかなぁ…?」
その問いの答えを俺は持たなかった。
身体の力が抜けてぽすりと俺にもたれかかってくるメイ。
「でも少しだけ…疲れちゃいました…」
「少し…休め」
「ふふっ…やっぱりイゾウさんは優しいですね…」
崩れ落ちる身体を抱き上げた。
俺の着物にすっぽりとくるまれる程に小さな身体がどれだけの苦痛に耐えていたんだろうか。
早くも事切れた捕虜もいるこの地下牢から、独断でメイを連れ出す。
凛とした姿をしていたメイはやっぱりこの薄暗い地下牢は似合わない。
早く日の当たる場所ところへ連れ出してやらないと…
完全に壊れちまう。
俺たちに挑んでくるくらいだから少しは腕に自信があったのかもしれないが、こちらも暫くぶりに暴れられる機会だ。
群れをなしてやって来た敵船だったが、俺たちが全力を出す前に脆く崩れていった。
「なんだ、張り合いねぇなぁ」
「全くだぜ」
仲間たちがブチブチ文句を言いながら敵船に乗り込み、宝や食料を奪ってくる。
「やめろっ!」
「離せってんだ!」
そんな中幾つかの高い声がモビーの甲板に響き渡る。
今回は10数人ってところか…
結構多かったな。
「イゾウ隊長、今回捕虜はいねぇみたいです。あいつらどうしますか?」
「いつも通り相手してやんな」
部下にそう言ってやると、ニヤリと笑いながら敵船から連れて来た女海賊達を捕虜とし、船内へと連れて行った。
野郎は殺し、女は捕虜としてモビーに乗せて性処理をさせるなんて事はしょっちゅうしてきた事だ。
でなきゃ長い航海、野郎共の気が狂っちまう。
かといってナース達にそう言う事をさせるわけにはいかない。
だから使い捨てで捕虜を取るのだ。
もちろん敵船で捕虜になっていた奴は別だ。
そう言う奴らは次の島で降ろしてやっていた。
あくまでも女の敵だけ…
敵襲といっても暴れ足りない不完全燃焼の奴らも多いだろう。
あの捕虜達はいつまでもつやら…
ふと、先の地下牢の住人であるメイを思い出した。
あれからなんだかんだと用事が入り様子を見に行っていなかった。
久しぶりに見にいくか、と遅れて俺も足を向けた。
今しがた捕まえた捕虜と同じ扱いされたら困るしな。
「……困る?」
何故困る?
困る必要なんてないはず。
あいつはただの怪しい自称異世界人。
本来どうなろうと知ったこっちゃないのだ。
ただこうして足を運ぶのは、美味そうに飯を食べる姿やふわりと笑うあの顔、そして何より凛とした佇まいがどこか故郷の懐かしさを感じさせるから…
それだけだ。
それだけのはずなんだ。
なのに目の前のメイの姿にどうしてこんなに胸がざわつく…?
「オイ、生きてるか」
「……、い……ぞ…ぅさ……ん…?」
毛布に身をくるんだその姿は、最後に見たあの時と同じだった。
部屋の隅っこで体を小さく丸めているその姿に、初めて見た時の、あの凛とした姿はもう無かった。
のろのろと顔を上げたその目はひどく濁っていた。
あたりに響き渡る耳鳴りな悲鳴と水音にメイは顔を青くしていたが、ぐっと何かを押し殺すように目を閉じる。
次に開かれたその瞳は濁っていながらも鋭さを含み、メイは口元に笑みを浮かべた。
「こんどは…イゾウさんですか…?いいですよ、ただ…びょうきに…なりたくなかったら、ゴムつけてくださいね…」
「何言って…」
「だって、もう、なんにんとやったか…わからない…ナマじゃなきゃ…いやってひともいたから…わたしのせいで、びょうきがこのふねにひろがるの…ねざめわるいですから…」
よろよろと立ち上がり、俺の目の前までやって来た。
メイが元いた場所に目をやれば、いつも着ていたあの黒い服は無惨にも引き裂かれ、所々白い汚れが見て取れた。
はらりと落とされた毛布。
現れた裸体は薄汚れているものの傷一つない綺麗なものだった。
「どうぞ、すきにしてください」
ふわりと笑うメイのこの笑顔が好きだったんだと自覚してももう遅い。
腰布をほどきながら牢の中へはいり、見上げるメイの視界を今しがた脱いだ着物で覆い隠す。
小さく身じろぐメイの身体を引き寄せればすっぽりと腕の中におさまっちまう。
「いつからだ?」
「……?」
「いつから野郎共の相手をしていた」
「……イゾウさんと…サッチさんがいっしょ…に…きてくれたあと…ティーチさんたちがきて……それからです…」
「…ティーチ…たち?」
前話した時には彼や黒ひげと言って名前を呼ばなかったメイがティーチの名前を口にした。
最後に見たあの時には既にヤられた後だったわけだ。
しかも一度だけではなく恐らく名前を呼ぶようになる程にやってきてそれから何度も…
ギリッと奥歯を噛み締める。
「イゾウ…さん…?」
「何で…」
「……え?」
「何で言わなかった、あの時に…」
「……言ったら…私、どうにかなりました…?身元も、話す内容も怪し過ぎる私は…言ったらなにか変ったでしょうか…」
それまでどこかぼんやりとした、拙い話し方をしていたメイだったが、ふと声にはりが戻った。
メイが紡いだその言葉はまるで独り言のようで、俺が目の前にいるのに俺に話しかけているようには聞こえなかった。
俺を責めるわけでもなく、かといってティーチも責めるわけでもない。
ただあの時言っていたら何かが変わっていたか、本当にその疑問だけしか浮かんでいないようだった。
「わたし…この世界に来た事に…なにか意味があるんだと思ってました…私一人だけが生き残って、生きる希望が見出せなくて、ただなんとなく流されるままに生きてきて…そんな時、この世界に来たから、何か私に出来る事があるんだと…そう思ってました……覚悟を決めて、立ち向かおうって…そう思ったんですけどね…」
「立ち向かう…?何に…」
そこまで口を開いてそれが失言だったと後悔する。
あの時メイはティーチが裏切ると言っていた。
その直後にマワされてるのだ。
メイが知ってる未来とやらが現実になり得ないよう全てを受け入れて立ち向かおうと…そう決めたはずの心がポッキリと折れちまったんだ。
何度も何人も受け入れてマワされて…
「私がここに来た意味って何だったんでしょうか…あぁ、長い船旅での…みなさんの役にはたったかなぁ…?」
その問いの答えを俺は持たなかった。
身体の力が抜けてぽすりと俺にもたれかかってくるメイ。
「でも少しだけ…疲れちゃいました…」
「少し…休め」
「ふふっ…やっぱりイゾウさんは優しいですね…」
崩れ落ちる身体を抱き上げた。
俺の着物にすっぽりとくるまれる程に小さな身体がどれだけの苦痛に耐えていたんだろうか。
早くも事切れた捕虜もいるこの地下牢から、独断でメイを連れ出す。
凛とした姿をしていたメイはやっぱりこの薄暗い地下牢は似合わない。
早く日の当たる場所ところへ連れ出してやらないと…
完全に壊れちまう。