みちのくの…
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地下牢の住人だったメイは今度はしばらく医務室の住人になっていた。
身体の健康状態を調べるためと、心のケアのためだ。
メイの傷がすぐに治る理由はフシフシの実を食べた不死身人間だったという事がわかった。
これは本人も知らなかった事らしい。
通りで傷の治りが早いと思った、と笑っていた。
そう。
笑っていた。
あれだけの事をされたのにメイはすぐに笑えるまでになった。
無理をしているわけでもなく、既に過去の出来事として受け入れてしまった。
その要因にはどうやらメイの悪魔の実の能力があるらしかった。
「男の人って溜まると大変じゃないですか。捕虜さんくるまで私しかいなかったし、お姉ちゃんたちに処理させるわけにはいかないでしょう?多少乱暴されてもすぐ治ったし、来たタイミングが悪かったと、そう思うことにしました」
「…………」
オブラートに包むこと無く下ネタをストレートでぶっこむメイ。
地下牢の住人だった時の淑やかさはどこへ行った。
言った本人は俺が顔をしかめている理由はわからないらしい。
不思議そうに首を傾げていた。
「…あ、処女膜も復k…」
「メイ」
「はい?」
「脳天ブチ抜かれたくなかったら今すぐその口を閉じな?」
「…ゴメンナサイ」
ゴリゴリと額に愛銃を押し付ければメイは真っ青な顔をして口を閉じた。
「手を動かせ、手を」
「あ、はい!」
慌てて手元のそろばんを再び弾き始めた。
幻とされていたフシフシの実の能力者、そして異世界から来たという事実。
そんなメイを匿う事が決まって早ひと月。
医務室の住人だったメイは今度は俺の部屋の住人になっている。
和装仕様に特別作りかえた俺の部屋はメイには馴染み深く居心地がいいらしい。
初めて連れてきた時、畳がある、と目を輝かせていた。
そして溜め込んでしまった書類の山…
空欄だった計算書に目をやると、そろばんを手にして計算してもいいかと聞いてきた。
小さい頃からそろばんを弾いていたらしく、空白だらけの書類たちはあっという間に数字で埋め尽くされて行った。
それ以来俺の事務処理補佐についた。
時々マルコに…いや、書類を溜め込んだ奴らに連れて行かれる。
マルコは睡眠時間が増えたと喜んでいた。
それでも相変わらず眠そうな面をしているが…
背筋を伸ばしてぱちぱちとそろばんを弾くその姿は、地下牢で初めて見た時と変わらない。
最後の一枚の計算が終わると満足そうに笑った。
その笑顔も変わらない。
ふわりと柔らかく笑うメイに手を伸ばす。
「おいでメイ」
「…はい」
立ち上がって俺の手を取るメイを軽く引けばすんなり腕の中へとやってくる。
二人を隔てる檻は今はもうない。
「イゾウ隊長…?」
「…隊長?」
「あ、イゾウ…さん…」
眉を大袈裟に潜めてやれば慌てて言い直すメイが意地らしい。
良く出来ました、と額に唇を寄せればくすぐったそうに笑う。
「ね、イゾウさん…」
「んー?」
じゃれるように口付けをあちこちに降らせながら何だと尋ねれば、身をよじりながら二つのその黒曜石が俺を見上げた。
「みちのくの…」
「うん」
「…結局どういう意味なんですか?」
島に降りるたびに本屋に足を運ぶも今だ答えが見つからないらしい。
そりゃそうだ。
鎖国中のワノ国の書物なんてそうそう出回っていない。
その中でも過去の誰かが詠んだ句の訳なんてピンポイントで見つける事はワノ国で無い限り雲をつかむくらい難しいのではないか。
「だからそのまんまだって」
「だから何がですか?」
「自分で考えな」
「むぅ……あ」
ふと窓の外を見上げたメイ。
そこには見事な満月が浮かんでいた。
「月が綺麗ですね、イゾウさん」
「…お前、その意味わかってんのか?」
眉を潜めながら尋ねれば、メイは首を傾げながらふわりと柔らかく笑う。
どっちだよ。
ほら、そのまんまじゃねぇか。
お前のせいで俺の心はこんなにも乱れる…
僅かな腹立たしさと、愛おしさをぶつけるように、ゆるりと笑うその口元にかじりついてやった。
身体の健康状態を調べるためと、心のケアのためだ。
メイの傷がすぐに治る理由はフシフシの実を食べた不死身人間だったという事がわかった。
これは本人も知らなかった事らしい。
通りで傷の治りが早いと思った、と笑っていた。
そう。
笑っていた。
あれだけの事をされたのにメイはすぐに笑えるまでになった。
無理をしているわけでもなく、既に過去の出来事として受け入れてしまった。
その要因にはどうやらメイの悪魔の実の能力があるらしかった。
「男の人って溜まると大変じゃないですか。捕虜さんくるまで私しかいなかったし、お姉ちゃんたちに処理させるわけにはいかないでしょう?多少乱暴されてもすぐ治ったし、来たタイミングが悪かったと、そう思うことにしました」
「…………」
オブラートに包むこと無く下ネタをストレートでぶっこむメイ。
地下牢の住人だった時の淑やかさはどこへ行った。
言った本人は俺が顔をしかめている理由はわからないらしい。
不思議そうに首を傾げていた。
「…あ、処女膜も復k…」
「メイ」
「はい?」
「脳天ブチ抜かれたくなかったら今すぐその口を閉じな?」
「…ゴメンナサイ」
ゴリゴリと額に愛銃を押し付ければメイは真っ青な顔をして口を閉じた。
「手を動かせ、手を」
「あ、はい!」
慌てて手元のそろばんを再び弾き始めた。
幻とされていたフシフシの実の能力者、そして異世界から来たという事実。
そんなメイを匿う事が決まって早ひと月。
医務室の住人だったメイは今度は俺の部屋の住人になっている。
和装仕様に特別作りかえた俺の部屋はメイには馴染み深く居心地がいいらしい。
初めて連れてきた時、畳がある、と目を輝かせていた。
そして溜め込んでしまった書類の山…
空欄だった計算書に目をやると、そろばんを手にして計算してもいいかと聞いてきた。
小さい頃からそろばんを弾いていたらしく、空白だらけの書類たちはあっという間に数字で埋め尽くされて行った。
それ以来俺の事務処理補佐についた。
時々マルコに…いや、書類を溜め込んだ奴らに連れて行かれる。
マルコは睡眠時間が増えたと喜んでいた。
それでも相変わらず眠そうな面をしているが…
背筋を伸ばしてぱちぱちとそろばんを弾くその姿は、地下牢で初めて見た時と変わらない。
最後の一枚の計算が終わると満足そうに笑った。
その笑顔も変わらない。
ふわりと柔らかく笑うメイに手を伸ばす。
「おいでメイ」
「…はい」
立ち上がって俺の手を取るメイを軽く引けばすんなり腕の中へとやってくる。
二人を隔てる檻は今はもうない。
「イゾウ隊長…?」
「…隊長?」
「あ、イゾウ…さん…」
眉を大袈裟に潜めてやれば慌てて言い直すメイが意地らしい。
良く出来ました、と額に唇を寄せればくすぐったそうに笑う。
「ね、イゾウさん…」
「んー?」
じゃれるように口付けをあちこちに降らせながら何だと尋ねれば、身をよじりながら二つのその黒曜石が俺を見上げた。
「みちのくの…」
「うん」
「…結局どういう意味なんですか?」
島に降りるたびに本屋に足を運ぶも今だ答えが見つからないらしい。
そりゃそうだ。
鎖国中のワノ国の書物なんてそうそう出回っていない。
その中でも過去の誰かが詠んだ句の訳なんてピンポイントで見つける事はワノ国で無い限り雲をつかむくらい難しいのではないか。
「だからそのまんまだって」
「だから何がですか?」
「自分で考えな」
「むぅ……あ」
ふと窓の外を見上げたメイ。
そこには見事な満月が浮かんでいた。
「月が綺麗ですね、イゾウさん」
「…お前、その意味わかってんのか?」
眉を潜めながら尋ねれば、メイは首を傾げながらふわりと柔らかく笑う。
どっちだよ。
ほら、そのまんまじゃねぇか。
お前のせいで俺の心はこんなにも乱れる…
僅かな腹立たしさと、愛おしさをぶつけるように、ゆるりと笑うその口元にかじりついてやった。
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