サッチ隊長の場合
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夕飯の下ごしらえを厨房の皆としていた時、それを見つけた。
「ん?なんだこれ?」
デザートのパイナップルの皮むきを大量にしていたその中にそれはあった。
前の島で仕入れた時には気付かなかった。
おそらく売った側も気付いていなかったのだろう。
ストックのパイナップルが大量に入っているその中に、ぐるぐる模様のそれ。
「ぬぁぁぁああああ!!」
「どうしたサッチ!?」
「あ…悪魔の実見つけた…!!」
俺はもっと、こう…どこかの島に冒険へ出た先でとか、敵船からの戦利品でとか、そういう状況で見つかると思っていた。
いや、今まで見つかってきた悪魔の実も大半がそうだった。
しかしまさか厨房で見つけるとは…
夢にも思っていなかった。
一応オヤジに報告すれば、この船のルール通り好きにしていいと言われた。
さっき能力組にはもう助けてやれないな、なんて言ったものの、実際のところかなり悩んでいる。
食べて戦力アップを図るか(そもそも何の実だ?戦力アップになればいいが…)食べずに売るか、誰かにくれてやるか…
食ってみたいとは思ってはいたが…
何の実だったかを調べてくるのを忘れた。
どんな能力か分からない状態で食べるのはかなり抵抗がある。
さっきオヤジの部屋へ行ってきたんだからその時図鑑を見てこればよかったと少し後悔。
しかしまたオヤジの部屋へ行く口実が出来たと思えばいいとするか。
しかし食べるとなると食糧を取りに行けなくなる。
それはかなり後ろ髪引かれる思いだ。
誰かにくれるか…?
しかし売れば莫大な金が手に入ることを思うともったいない気もする。
悩みながら不寝番の奴らの為の夜食を作り終えたところでティーチに声をかけられる。
「サッチ!」
「おう、お前の為にチェリーパイ作って置いたぜ」
「そりゃありがたい!ゼハハハハ!」
兄弟の好物を把握するのもコックの努め、ってね!
少し一緒に飲まないか、と誘われて頷く。
一緒に、と言われたから二人だけで飲みたいのか?と思い俺の部屋を指定した。
俺の部屋は食堂と同じ階だからもし何かあってもすぐにティーチは合流出来るだろう。
部屋に向かいながらティーチが話しかけてくる。
「サッチ、悪魔の実手に入れたんだってな」
「おう!何の実かわかんねぇけどな!あとでオヤジのところ行って調べるんだ」
「俺にもその実、見せてくれよ」
「いいが…やらねぇぞ?」
「ゼハハハハハ!」
ドアを開けて中へ促せば大柄なティーチは少し狭そうにドアをくぐる。
テーブルの上にはさっき見つけた悪魔の実。
剥きだしで見つけたのだから仕方がない。
それを見た瞬間ティーチの目の色が変わった。
何だ…?
「見つけた…やっと見つけたぜ!ゼハハハハ!!」
「ティ…ティーチ?」
狂ったように笑うティーチ。
こんな奴だったか…?
人の影に隠れるようにひっそりと、野心なんか無くてなんでこの船に乗ったんだろうなんて思っていた。
ところが今はどうだ。
目をぎらつかせ、狂ったように笑いながらも俺を見ている。
どす黒い目に見えない何かを纏ったティーチに呆然とするしかなかった。
だから反応が遅れた。
まさか友だちだと思っていた兄弟に刃を向けられるなんて…
刺される。
そう思った。
だけど突然。
本当に突然、目の前…つまり俺とティーチとの間に何かが降ってきて…
俺に刺さるはずだったナイフはそれに刺さる。
「死ねサッチ!ゼハハハ…ハ?」
刺した本人もあっけにとられてる。
そして…
「……ん?」
刺された本人もあっけにとられていた。
変な間が空間を支配する。
おそらくティーチも俺と同じことを思っているはず。
誰だ、これは。
どこから来た?
後ろ姿しか見えないが、小柄で華奢な体に白いブラウスと短いスカートを履いていたから女だろうとは思う。
それにしては異様に髪が短い。
ふとその女が振り向いた。
大きな瞳が俺をとらえる。
その視線に俺の心臓がドクンと一つ大きく跳ねた。
何だ?
誰だこいつは。
振り向いて視界の隅に見えた女の正面。
腹にはティーチがもっていたナイフが深々と刺さっていて、見る見るうちに白が血で染まる。
それでも呆然と俺を見ている。
ちらり、とティーチと目が合う。
そこでお互いハッ、と我に返る。
ティーチが女からナイフを引き抜けば、一瞬ぐらりと傾く女の体。
支えようと手を出すも、それは不発に終わる。
まさかティーチのその腕を追いかけるなんて夢にも思わなかった。
ティーチの腕に飛びつき、そのままよじ登る様はまるで子ザルだ。
あぁ、あの髪形、なんかどこかで見たことがあると思ったんだ。
子ザルだ子ザル。
毛並みが柔らかそうな、ほわほわの子ザルだ。
その子ザルは大きく息を吸い込んだと思ったら…
「ぴぃぃぃぁぁぁあああああああ!!!」
超音波を発した。
甲高い雄たけびに思わず耳を塞ぐ。
ビリビリと空気が震えて、テーブルの上に置いてあったグラスがカタカタとなる。
どんだけの声量なんだ、と内心舌を巻く。
耳元で叫ばれたティーチは一瞬目を回し、体を大きく傾けた。
しかしすぐに復活し、女を引きはがしにかかる。
ところが強力な磁石にでもなったかのようにティーチから離れる気配がない。
ぴったりと張り付きながらも未だ叫んでいる。
引きはがせないと分かったティーチはナイフを逆の手に持ち替えて女を何度も刺しにかかる。
そこで俺もようやく我に帰り、状況を分析している場合ではない、とティーチを止めにかかろうとする。
しかし、器用に女は体を振って大柄のティーチを操り俺が近付くことを許さない。
ティーチも女をどうにか剥がすのに夢中で、それに抗うように体を振りながらナイフを振り回すもんだから俺もうかつに近づけなくなる。
何度も背中に刺さるナイフ。
その度に俺を女の血が汚す。
あぁ、この服はもう着れないななんて頭の隅で思う辺り、未だティーチの行動を含め混乱中なんだと思う。
「何の騒ぎだよいサッチ!」
バタン!と締まりかけてたドアをマルコが勢いよく開けて入ってくる。
マルコもこの状況に一瞬目を丸くしていた。
「ティーチ…?お前何して…」
ティーチの体が大きく跳ね、再び女を引きはがそうと躍起になる。
「離れろ、小娘!」
「いや!サッチを殺させない!!」
殺させない…?
そうか、俺は殺されるところだったのか。
この女が現れてからマルコがこの部屋に来るまで実際はほんの数十秒。
だけど混乱の中俺は情けないほどに、結局はただ見ているしか出来なかった。
「ん?なんだこれ?」
デザートのパイナップルの皮むきを大量にしていたその中にそれはあった。
前の島で仕入れた時には気付かなかった。
おそらく売った側も気付いていなかったのだろう。
ストックのパイナップルが大量に入っているその中に、ぐるぐる模様のそれ。
「ぬぁぁぁああああ!!」
「どうしたサッチ!?」
「あ…悪魔の実見つけた…!!」
俺はもっと、こう…どこかの島に冒険へ出た先でとか、敵船からの戦利品でとか、そういう状況で見つかると思っていた。
いや、今まで見つかってきた悪魔の実も大半がそうだった。
しかしまさか厨房で見つけるとは…
夢にも思っていなかった。
一応オヤジに報告すれば、この船のルール通り好きにしていいと言われた。
さっき能力組にはもう助けてやれないな、なんて言ったものの、実際のところかなり悩んでいる。
食べて戦力アップを図るか(そもそも何の実だ?戦力アップになればいいが…)食べずに売るか、誰かにくれてやるか…
食ってみたいとは思ってはいたが…
何の実だったかを調べてくるのを忘れた。
どんな能力か分からない状態で食べるのはかなり抵抗がある。
さっきオヤジの部屋へ行ってきたんだからその時図鑑を見てこればよかったと少し後悔。
しかしまたオヤジの部屋へ行く口実が出来たと思えばいいとするか。
しかし食べるとなると食糧を取りに行けなくなる。
それはかなり後ろ髪引かれる思いだ。
誰かにくれるか…?
しかし売れば莫大な金が手に入ることを思うともったいない気もする。
悩みながら不寝番の奴らの為の夜食を作り終えたところでティーチに声をかけられる。
「サッチ!」
「おう、お前の為にチェリーパイ作って置いたぜ」
「そりゃありがたい!ゼハハハハ!」
兄弟の好物を把握するのもコックの努め、ってね!
少し一緒に飲まないか、と誘われて頷く。
一緒に、と言われたから二人だけで飲みたいのか?と思い俺の部屋を指定した。
俺の部屋は食堂と同じ階だからもし何かあってもすぐにティーチは合流出来るだろう。
部屋に向かいながらティーチが話しかけてくる。
「サッチ、悪魔の実手に入れたんだってな」
「おう!何の実かわかんねぇけどな!あとでオヤジのところ行って調べるんだ」
「俺にもその実、見せてくれよ」
「いいが…やらねぇぞ?」
「ゼハハハハハ!」
ドアを開けて中へ促せば大柄なティーチは少し狭そうにドアをくぐる。
テーブルの上にはさっき見つけた悪魔の実。
剥きだしで見つけたのだから仕方がない。
それを見た瞬間ティーチの目の色が変わった。
何だ…?
「見つけた…やっと見つけたぜ!ゼハハハハ!!」
「ティ…ティーチ?」
狂ったように笑うティーチ。
こんな奴だったか…?
人の影に隠れるようにひっそりと、野心なんか無くてなんでこの船に乗ったんだろうなんて思っていた。
ところが今はどうだ。
目をぎらつかせ、狂ったように笑いながらも俺を見ている。
どす黒い目に見えない何かを纏ったティーチに呆然とするしかなかった。
だから反応が遅れた。
まさか友だちだと思っていた兄弟に刃を向けられるなんて…
刺される。
そう思った。
だけど突然。
本当に突然、目の前…つまり俺とティーチとの間に何かが降ってきて…
俺に刺さるはずだったナイフはそれに刺さる。
「死ねサッチ!ゼハハハ…ハ?」
刺した本人もあっけにとられてる。
そして…
「……ん?」
刺された本人もあっけにとられていた。
変な間が空間を支配する。
おそらくティーチも俺と同じことを思っているはず。
誰だ、これは。
どこから来た?
後ろ姿しか見えないが、小柄で華奢な体に白いブラウスと短いスカートを履いていたから女だろうとは思う。
それにしては異様に髪が短い。
ふとその女が振り向いた。
大きな瞳が俺をとらえる。
その視線に俺の心臓がドクンと一つ大きく跳ねた。
何だ?
誰だこいつは。
振り向いて視界の隅に見えた女の正面。
腹にはティーチがもっていたナイフが深々と刺さっていて、見る見るうちに白が血で染まる。
それでも呆然と俺を見ている。
ちらり、とティーチと目が合う。
そこでお互いハッ、と我に返る。
ティーチが女からナイフを引き抜けば、一瞬ぐらりと傾く女の体。
支えようと手を出すも、それは不発に終わる。
まさかティーチのその腕を追いかけるなんて夢にも思わなかった。
ティーチの腕に飛びつき、そのままよじ登る様はまるで子ザルだ。
あぁ、あの髪形、なんかどこかで見たことがあると思ったんだ。
子ザルだ子ザル。
毛並みが柔らかそうな、ほわほわの子ザルだ。
その子ザルは大きく息を吸い込んだと思ったら…
「ぴぃぃぃぁぁぁあああああああ!!!」
超音波を発した。
甲高い雄たけびに思わず耳を塞ぐ。
ビリビリと空気が震えて、テーブルの上に置いてあったグラスがカタカタとなる。
どんだけの声量なんだ、と内心舌を巻く。
耳元で叫ばれたティーチは一瞬目を回し、体を大きく傾けた。
しかしすぐに復活し、女を引きはがしにかかる。
ところが強力な磁石にでもなったかのようにティーチから離れる気配がない。
ぴったりと張り付きながらも未だ叫んでいる。
引きはがせないと分かったティーチはナイフを逆の手に持ち替えて女を何度も刺しにかかる。
そこで俺もようやく我に帰り、状況を分析している場合ではない、とティーチを止めにかかろうとする。
しかし、器用に女は体を振って大柄のティーチを操り俺が近付くことを許さない。
ティーチも女をどうにか剥がすのに夢中で、それに抗うように体を振りながらナイフを振り回すもんだから俺もうかつに近づけなくなる。
何度も背中に刺さるナイフ。
その度に俺を女の血が汚す。
あぁ、この服はもう着れないななんて頭の隅で思う辺り、未だティーチの行動を含め混乱中なんだと思う。
「何の騒ぎだよいサッチ!」
バタン!と締まりかけてたドアをマルコが勢いよく開けて入ってくる。
マルコもこの状況に一瞬目を丸くしていた。
「ティーチ…?お前何して…」
ティーチの体が大きく跳ね、再び女を引きはがそうと躍起になる。
「離れろ、小娘!」
「いや!サッチを殺させない!!」
殺させない…?
そうか、俺は殺されるところだったのか。
この女が現れてからマルコがこの部屋に来るまで実際はほんの数十秒。
だけど混乱の中俺は情けないほどに、結局はただ見ているしか出来なかった。
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