君死にたもう事なかれ!
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「船はログが溜まり次第出航する。あと二日っつったか…また暫く船の上だから忘れモンが無ぇ様にしろよ」
「はーい!」
じゃあ明日あたりふらっと街を見てみようかな!
……あ。
「ねぇ、オヤジ様?」
「どうした」
「私も…オヤジ様のマーク入れても良いですか?」
ふと私の問いにオヤジ様はピクリと反応する。
駄目だったかな、と恐る恐る顔を見上げてみると、オヤジ様はちょっと怖い顔。
「オヤジ様…?」
「メイ、お前に言っておくことがある」
「はい、何でしょう?」
思わず背筋を伸ばす。
「お前、訓練に参加してるみてぇだが…」
「はい、お邪魔にならないように隅っこの方でやらせてもらってます」
「俺ァこの船に乗せる事は許したが…オメェは実践に出さねぇぞ」
「あ、はい、それは…願ってもいない事なのですが…」
私がそう言うとオヤジ様は少し意外そうに目を大きくした。
「オヤジ様、こんなひょろっこい小娘が戦えると思います?」
「まー無理だろうなァ」
オヤジ様は少し機嫌が直ったのか、グラララと笑いながらお酒をあおった。
「船に乗せると俺の為に戦うっつーお転婆が今までもいたからなァ。オメェもてっきりそうなのかと思ったわけだ」
「多分腕に自信があったら私もそう思ってたかもしれません。でもあいにく私は空手を初めて数ヶ月のズブの素人ですから」
「その割りにエースはセンスあるっつってたぞ?」
「本当ですか?」
一発も攻撃当てられなかったけど、エース隊長そんな事言ってくれてたんだ。
嬉しいなぁ。
思わずニンマリとしてしまう。
だったら…
「戦闘員として乗るつもりだったら傘下に預ける事も考えなくちゃなんねぇから手間が省けてよかった」
あっぶねーーー!
迂闊に戦いたいなんて言ってたら船降ろされるところだった…!
戦えない私はただの役立たずだから率先して雑用こなそうと心に決めた。
「戦うつもりが無ぇなら何でオメェは訓練に参加してる?」
「体力づくりと…あと護身のためです」
「護身?ナースたちの様に息子共がオメェも守るぞ?それとも信用ならねぇか?」
「いえ!それは絶対にないです!!皆が強いのは十分知ってます!」
なんせ世界最強の海賊団なのだ。
その実力は漫画でも読んで知っている。
「なら…」
「万が一の時に足を引っ張りたくないんです」
そう、万が一。
仮にもここは『海賊』の船。
この船に戦いを挑んでくる敵はほとんどいないだろうけど、何があるかわからないのだ。
その万が一…例えば敵に見つかった時、もしくはヘマして捕まった時に皆の足枷にだけはなりたくない。
自分の身は自分で守りたい。
迷惑をかけたくない。
…といっても、不死身の私だからたとえ人質にとられたとしても死ぬことはないし多少の無茶をして逃げだせばいいだけの話なのだが。
皆も私が死なない事は知っているから何の心配もいらないのかもしれないけれど。
それでも無力でいるより自分で何とかできるならばしたいと思うのだ。
そう告げるとオヤジ様はグッ、と眉をひそめて少し何かを考えるようなしぐさをした。
それから、ふーっと深いため息をひとつ吐く。
「訓練に参加するのは良しとしてやらァ。だが忘れるなよメイ。前線に立つ事は許さねぇ。絶対にだ。この船で万が一の時があったら俺のそばに来い。ナースたちと一緒に守ってやらァ」
「はい」
こっくりとしっかり頷く。
万が一の時…それは命のやり取りが行われる事。
海賊船に乗っているくせに、私はそれを見たくないと思ってしまう。
それもできるなら戦いたくない事の理由の一つだ。
思い出すのは家族を亡くしたあの瞬間。
辺り一面に広がる赤い色。
ひしゃげた身体。
思わず身を震わせる。
ぽんぽん、とオヤジ様が指で頭を撫でてくれる。
新しい家族…
無くしたくない私の帰る場所。
「オヤジ様…私を拾ってくれてありがとうございます」
「泣くんじゃねぇアホンダラ」
「はいっ…」
ぐしぐしと涙をこする。
そんな私の背中にまわされた大きな手がぎゅっと抱きしめてくれる。
温かい…
もう二度となくしたくない。
この温かさも、何もかも。
そのために私は力をつけなくてはいけない。
皆の為になるように私自身を守るため…
「俺のマークを背負いたいなら好きにしろ。オメェも俺の家族だ」
引っ込みかけた涙がまた溢れ出る。
オヤジ様といいマルコ隊長といい、私の家族は本当に私を泣かせる事が上手だ。
ズビズビ垂れそうになる鼻をすすると、オヤジ様が私を下してくれる。
ダイヤさんからティッシュをもらってズビーっと盛大に鼻水をかむ。
はースッキリ。
「泣きやんだかハナッタレ」
「ハナッタレ泣きやみました」
きっと目は真っ赤だろう。
でも私はオヤジ様ににっこりと笑った。
話は終わりだ。
部屋を出ようとしてそういえばと思いだす。
ポケットに詰め込んだ飴ちゃんの事を。
ごそごそとポケットをあさり先ほどの飴ちゃんをとりだす。
「オヤジ様、これあげます」
「何だァ?ずいぶん小せぇな」
「私の世界から一緒にやってきた飴ちゃんです。何が起こるか舐めてからのお楽しみらしいですよ?」
「オメェの世界はそんな不思議な飴玉があるのか?」
「いや、多分それ嘘です。普通の飴ですよ」
そう言いながら手渡すとオヤジ様は早速袋を開けて口の中へと放り込む。
ジョークといえど怪しいうたい文句を告げたのに躊躇なく口へ入れるオヤジ様、さすがです。
「小さすぎて味わかんねぇな」
「あはは!」
なんてこの時は笑っていたけど。
まさかこの怪しい飴の力が本物だなんて思いもしなかった。
その事を知ったのは次の日の夕方の事だった。
「はーい!」
じゃあ明日あたりふらっと街を見てみようかな!
……あ。
「ねぇ、オヤジ様?」
「どうした」
「私も…オヤジ様のマーク入れても良いですか?」
ふと私の問いにオヤジ様はピクリと反応する。
駄目だったかな、と恐る恐る顔を見上げてみると、オヤジ様はちょっと怖い顔。
「オヤジ様…?」
「メイ、お前に言っておくことがある」
「はい、何でしょう?」
思わず背筋を伸ばす。
「お前、訓練に参加してるみてぇだが…」
「はい、お邪魔にならないように隅っこの方でやらせてもらってます」
「俺ァこの船に乗せる事は許したが…オメェは実践に出さねぇぞ」
「あ、はい、それは…願ってもいない事なのですが…」
私がそう言うとオヤジ様は少し意外そうに目を大きくした。
「オヤジ様、こんなひょろっこい小娘が戦えると思います?」
「まー無理だろうなァ」
オヤジ様は少し機嫌が直ったのか、グラララと笑いながらお酒をあおった。
「船に乗せると俺の為に戦うっつーお転婆が今までもいたからなァ。オメェもてっきりそうなのかと思ったわけだ」
「多分腕に自信があったら私もそう思ってたかもしれません。でもあいにく私は空手を初めて数ヶ月のズブの素人ですから」
「その割りにエースはセンスあるっつってたぞ?」
「本当ですか?」
一発も攻撃当てられなかったけど、エース隊長そんな事言ってくれてたんだ。
嬉しいなぁ。
思わずニンマリとしてしまう。
だったら…
「戦闘員として乗るつもりだったら傘下に預ける事も考えなくちゃなんねぇから手間が省けてよかった」
あっぶねーーー!
迂闊に戦いたいなんて言ってたら船降ろされるところだった…!
戦えない私はただの役立たずだから率先して雑用こなそうと心に決めた。
「戦うつもりが無ぇなら何でオメェは訓練に参加してる?」
「体力づくりと…あと護身のためです」
「護身?ナースたちの様に息子共がオメェも守るぞ?それとも信用ならねぇか?」
「いえ!それは絶対にないです!!皆が強いのは十分知ってます!」
なんせ世界最強の海賊団なのだ。
その実力は漫画でも読んで知っている。
「なら…」
「万が一の時に足を引っ張りたくないんです」
そう、万が一。
仮にもここは『海賊』の船。
この船に戦いを挑んでくる敵はほとんどいないだろうけど、何があるかわからないのだ。
その万が一…例えば敵に見つかった時、もしくはヘマして捕まった時に皆の足枷にだけはなりたくない。
自分の身は自分で守りたい。
迷惑をかけたくない。
…といっても、不死身の私だからたとえ人質にとられたとしても死ぬことはないし多少の無茶をして逃げだせばいいだけの話なのだが。
皆も私が死なない事は知っているから何の心配もいらないのかもしれないけれど。
それでも無力でいるより自分で何とかできるならばしたいと思うのだ。
そう告げるとオヤジ様はグッ、と眉をひそめて少し何かを考えるようなしぐさをした。
それから、ふーっと深いため息をひとつ吐く。
「訓練に参加するのは良しとしてやらァ。だが忘れるなよメイ。前線に立つ事は許さねぇ。絶対にだ。この船で万が一の時があったら俺のそばに来い。ナースたちと一緒に守ってやらァ」
「はい」
こっくりとしっかり頷く。
万が一の時…それは命のやり取りが行われる事。
海賊船に乗っているくせに、私はそれを見たくないと思ってしまう。
それもできるなら戦いたくない事の理由の一つだ。
思い出すのは家族を亡くしたあの瞬間。
辺り一面に広がる赤い色。
ひしゃげた身体。
思わず身を震わせる。
ぽんぽん、とオヤジ様が指で頭を撫でてくれる。
新しい家族…
無くしたくない私の帰る場所。
「オヤジ様…私を拾ってくれてありがとうございます」
「泣くんじゃねぇアホンダラ」
「はいっ…」
ぐしぐしと涙をこする。
そんな私の背中にまわされた大きな手がぎゅっと抱きしめてくれる。
温かい…
もう二度となくしたくない。
この温かさも、何もかも。
そのために私は力をつけなくてはいけない。
皆の為になるように私自身を守るため…
「俺のマークを背負いたいなら好きにしろ。オメェも俺の家族だ」
引っ込みかけた涙がまた溢れ出る。
オヤジ様といいマルコ隊長といい、私の家族は本当に私を泣かせる事が上手だ。
ズビズビ垂れそうになる鼻をすすると、オヤジ様が私を下してくれる。
ダイヤさんからティッシュをもらってズビーっと盛大に鼻水をかむ。
はースッキリ。
「泣きやんだかハナッタレ」
「ハナッタレ泣きやみました」
きっと目は真っ赤だろう。
でも私はオヤジ様ににっこりと笑った。
話は終わりだ。
部屋を出ようとしてそういえばと思いだす。
ポケットに詰め込んだ飴ちゃんの事を。
ごそごそとポケットをあさり先ほどの飴ちゃんをとりだす。
「オヤジ様、これあげます」
「何だァ?ずいぶん小せぇな」
「私の世界から一緒にやってきた飴ちゃんです。何が起こるか舐めてからのお楽しみらしいですよ?」
「オメェの世界はそんな不思議な飴玉があるのか?」
「いや、多分それ嘘です。普通の飴ですよ」
そう言いながら手渡すとオヤジ様は早速袋を開けて口の中へと放り込む。
ジョークといえど怪しいうたい文句を告げたのに躊躇なく口へ入れるオヤジ様、さすがです。
「小さすぎて味わかんねぇな」
「あはは!」
なんてこの時は笑っていたけど。
まさかこの怪しい飴の力が本物だなんて思いもしなかった。
その事を知ったのは次の日の夕方の事だった。