君死にたもう事なかれ!
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「メイ準備は出来た?」
「はい!ダイヤさん!」
小さいバッグにオヤジ様からもらった軍資金を入れて私とダイヤさんは甲板へ出た。
甲板は雪が積もっていて、そりゃ昨日寒かったわけだと納得する。
ちなみに現在の私の格好は制服姿である。
ブレザーの下にダイヤさんからセーターを借りて着ているから、だいぶ寒さをしのげている。
ちなみに生足だけどそこは女子高生の気合いってやつである。
すでに甲板で待っててくれた隊長たちの元へと近寄れば、イゾウ隊長が眉をひそめた。
「メイ、お前寒くないのか?」
「あちらの世界の女の子は寒くても気合いで乗り切るんですよ!」
「寒いは寒いんだな?」
「えへへ」
さすがに美形ぞろいの集団の中、カエルちゃんや道着姿で歩けるほど私の肝は座っていない。
ちなみにお姉ちゃん達がコートを貸してくれようとしたのだけれども、私の身長が足りなくて裾を引きずって歩く羽目になってしまうので遠慮した。
今日は晴れていて昨日ほど寒くないからとりあえずセーターを借りるにとどまった。
「とりあえず防寒具を先に見るか。行くぞ」
「はーい!」
言うなりイゾウ隊長はダイヤさんをサッと抱きかかえてモビーから飛び降りた。
おぉ…軽やか…!!
しかも美男美女。
うーん、さまになってたなぁ…!
「俺たちも行くか…ってどうした?」
エース隊長が私を担ぎあげようと近づいてきたが、私がエース隊長をじーっと見ていたのに気がついて首をかしげた。
「今日は上着てるんですね」
「冬島だからな」
「寒いからってわけじゃないですよね?」
「脱いでたら目立つだろ?さすがに」
確かにこのクソ寒い中上半身裸というのはさすがに目立つ。
この島は治安が良いらしいし、波風立てないようにとの配慮らしい。
それでも隠れてしまった背中の代わりにジャケットの袖にオヤジ様のマークが。
「このジャケット、良いですね!」
「…着るか?」
エース隊長は私の返事を待たずに上着を脱ごうとするから、慌てて止める。
「いいです!大丈夫です!だから早く買いに行きましょう!!」
「そうか?んじゃ行くか」
「わーーー!待って下さい待ってさい!!」
「今度は何だよ!」
抱っこされた!
流れるように抱っこされた!
こっち来てから二度目のお姫様だっこされたーーー!!
隊長たちはきっとお姉ちゃんたちと一緒に買い物に行く機会が多いからお姫様だっこしなれてるのね…!
だけど私には不要です!
いらないですよーぅ!
恥ずかしいのもあるけど、大丈夫なんです!
じたばたと暴れて、なんとか降ろしてもらう。
きっと顔が赤くなってるだろうけど、そこは見ないでほしい。
「大丈夫ですエース隊長!私も飛び降りますから!」
「は?マジで?結構高さあるぞ?」
モビーの船縁から下をのぞくと確かに結構な高さがあった。
しかーし!
不死身となったメイさんにはこんな高さ屁でもないのだ!
「大丈夫ですって!いっち、にー、バンジー!!」
「あっ!オイ!!」
エース隊長が止める前に私は船縁に足をかけて飛び降りた。
きっと慣れたらイゾウ隊長やエース隊長のように軽やかに着地できるようになるのかもしれない。
だけど私はズボッ!と頭から雪に突っ込んだ。
おかしいな、足から飛び降りたはずなのにいつの間にか頭が下になっていた。
雪のおかげで痛くなかったけど、これ雪なかったら完熟トマトのようにグシャってなってたね!
防寒具はすんなりと決まった。
赤のタータンチェックでフードや袖や裾に白いもこもこがついたコート。
一目惚れでした。
耳あてに手袋、マフラーも買ってその場で身につけました。
あったかーい!!
気に行ったコートを手に入れてほくほくとしていると、イゾウ隊長とダイヤさんは早速次の服屋さんへと入って行った。
しかし、ここからが長かった。
一軒、二軒、三軒目と服屋さんをくまなく見てみるも、どうやらお二人のお眼鏡にかなう服が見つからないらしい。
私はそれぞれの店で訓練の時に着るための服を数着ずつ購入している。
それで私は十分なのだが、イゾウ隊長とダイヤさんはあーでもないこーでもないと話をしている。
「オイ主役、おいてけぼり喰らってるぞ」
「ねー。私は欲しいもの着実に買えてるから別に良いんですけれども…」
エース隊長と私は若干飽きてしまい、外で二人を待っていた。
すでに七軒目のお店だったけれども今回も二人は手ぶらで出てきた。
「メイ、あなたは壊滅的に女の子の服が似合わないのね」
「お前、本当に女か?」
「ひどいっ!一応女ですよーぅ!」
お風呂場でぽろり事件もやったんですから!
……え、こぼれるものが何もなかったって?
あーあーあー聞こえない―!!
「その子ザルみてぇな頭のせいだな」
私の短い髪の毛をつんつんと引っ張るイゾウ隊長。
地味に痛いです!
「それだわ!メイ、今後髪の毛を自分で切ったら駄目よ!」
「えー!?」
顔にかからないし、頭洗うのも楽だし、ついでにお金もかからないし正直私はこの頭を気にいっていた。
今回欲しいものの中にすきバサミも入っていたのだけれども、それを告げたらものすごい勢いで怒られそうだ。
「顔に髪の毛がかかるのが嫌なら髪いじってあげるから!」
「え、それは悪いでs…」
「おだまり!」
お姉ちゃんたちは朝からオヤジ様のメディカルチェックとかあって忙しいだろうに、断ろうとしたらピシャリと怒られた。
「自分で勝手に髪の毛を切ってはだめよ!わかった?」
「は…はい」
「少し伸びたら切りそろえてあげるから。…そんな顔しないの!」
ぶー、と唇を尖らせていたらダイヤさんが笑いながら私の唇をちょん、と押した。
な…なんだか恥ずかしい…。
思わず顔を赤くしてしまった。
「じゃあそうと決まったら小物屋にでも行くか」
とにかく私に髪を切ろうと言う気を起させない事が優先らしいイゾウ隊長は来た道を少し戻って雑貨屋さんへと入って行った。
カランカラン、と音を立ててドアをくぐると、これまた可愛らしい小物がたくさんあった。
これは心がおどる…!!
カラフルな色使いの可愛い小物は見ていて楽しい。
私もシンプルなヘアピンとゴムを手に取ったけど、イゾウ隊長とダイヤさんは即刻それを取り上げて別の飾りつきのヘアピンとゴムを手に取る。
…あ、そのヘアピン好きです。
蝶々とか、私の心をくすぐりまくりです。
その他にもキラキラしたカチューシャなどのヘアアクセサリを数点購入していた。
「そうだ、あと櫛も一つ選べよ」
「一つですか?」
「結えるくらい伸びたら今度は俺が似合うの選んでやる」
確かに櫛は髪が長くないとつけられない。
そのくらい伸びたらイゾウ隊長、櫛の結い方教えてくれるかな?
櫛も色々なものがあって目移りしてしまう。
どれが良いかと悩んでいると、イゾウ隊長がエース隊長に声をかけた。
「オイ、エース」
「んあ?」
入口付近で外をぼーっと眺めていたエース隊長が気の抜けた返事をする。
「お前さんどれがいいと思う」
「なんでもいいんじゃね?」
ですよねー。
エース隊長はそういうと思ってました。
しかしイゾウ隊長はそれを許さないらしい。
エース隊長に近づいたと思えば、容赦無く耳を引っ張りながら私の隣まで連れてきた。
「いでででで!おいイゾウ耳がちぎれる!!」
「ほら、末の妹がいつまでも子ザルでいいのか」
「ルフィだって猿みてぇなもんだし別に変わんねぇって!」
「山育ちの野生児と一緒にしてやるな!」
今、ウキーって言ってるルフィが頭に浮かんじゃいましたよ。
ブチブチ文句を言いながらも結局は櫛を選んでくれたエース隊長。
というか、迷いなく一本の櫛を引き抜いた。
テキトウにえいや!で選んだのかもしれないけれど…
私は一発で気に入ってしまった。
櫛の先にはキラキラとした飾りにワンポインで赤い石がついていた。
その石は色鮮やかに輝いていて、なんとなく炎のようだと思ったから。
「エース隊長みたいですね!」
「え?」
何気無く思った事を口にすれば、エース隊長は首を傾げる。
私はふふふーと笑いながらイゾウ隊長を振り向いた。
「イゾウ隊長これにします!」
「あいよ」
自分で短く切って置いてなんだけど、早くこの櫛が結えるくらい髪が伸びればいいと思った。
選んだ諸々が良い感じに収まる箱型の小物入も購入し、早速詰めてもらって雑貨屋さんを後にした。
木箱にガラスの覗き穴がついていてオシャレで超可愛い!
小物入れだけ見ててもなんだかわくわくする。
髪の毛伸ばすの面倒臭いなと思っていたけど、今から使うのが楽しみだ。
それはきっとイゾウ隊長とダイヤさんの作戦なんだろうなー。
完敗です!
結局洋服は動きやすさ重視の物を数点購入した。
正直船に乗っている限り動きやすい服を着ていたいと思ったので私はありがたかったけれど、二人はちょっと納得がいってなかったみたい。
けれども今の私に絶対に似合う物だと言ってくれた。
明日早速着てみよっと!
今日はもう日も傾いてきた事もあり、モビーに帰ることとなった。
荷物は私が持ちきれない分をエース隊長に手伝ってもらっている。
イゾウ隊長とダイヤさんは全部エース隊長に持たせればいいのにと笑っていたけど、買ったお店の紙袋があまりにも可愛くて持って歩きたかったのだ。
「エース隊長、荷物本当にすみません」
「いや、全然少ねぇけど。良かったのか?」
「え?これでですか?」
気温の変化に合わせて薄手の物や厚手の物など様々な服を買ったのだ。
私は両手に二袋、エース隊長も三袋づつ持っている。
これでも少ないというのか。
「ダイヤたちは気に行った店の物は買い占めるからな」
「買い占め!?」
そりゃ少なく感じますね…!
というか、こっちの女性(特に海賊)は洋服好きな人多いよね!
ナミやロビンも凄い量買ってたし。
みんなスタイル良いから何でも選べるんだよね。
それに引き換え私と言ったら貧相なもので、似合う服なんて限られてくる(しかも髪形のせいでさらに似合うものが限られているらしい)
「明日は私一緒に出れないから、他の子と回ってね。伝えておくから」
「え?明日も…ですか?」
「まだ服しか買ってないじゃない。日用品とか色々必要なものはまだあるわ」
「そ、そうですね…!」
船で生活するって事をすっかり忘れてた。
服ばかり気にしてたけど、私普段から色々お姉ちゃんたちに借りてたじゃない…!
「あとお前、靴も買わないとだろ」
「あ、忘れてました」
スニーカーしか持っていない私。
こんな冬島にはブーツが欲しいし、夏島だったらサンダルが欲しい。
身の回りの物を一気に買うとなると本当大変なんだなー。
「こりゃ明日の方が荷物重そうだな」
「明日は絶対サッチも道連れにしてやる…!」
道連れとは人聞きの悪い…そう思ったけど、道連れということはどうやらエース隊長は明日も一緒に行ってくれるらしい。
イゾウ隊長とエース隊長、ダイヤさんの三人がわいわい言うのを聞きながら、私はこっそりとにんまり笑った。
「はい!ダイヤさん!」
小さいバッグにオヤジ様からもらった軍資金を入れて私とダイヤさんは甲板へ出た。
甲板は雪が積もっていて、そりゃ昨日寒かったわけだと納得する。
ちなみに現在の私の格好は制服姿である。
ブレザーの下にダイヤさんからセーターを借りて着ているから、だいぶ寒さをしのげている。
ちなみに生足だけどそこは女子高生の気合いってやつである。
すでに甲板で待っててくれた隊長たちの元へと近寄れば、イゾウ隊長が眉をひそめた。
「メイ、お前寒くないのか?」
「あちらの世界の女の子は寒くても気合いで乗り切るんですよ!」
「寒いは寒いんだな?」
「えへへ」
さすがに美形ぞろいの集団の中、カエルちゃんや道着姿で歩けるほど私の肝は座っていない。
ちなみにお姉ちゃん達がコートを貸してくれようとしたのだけれども、私の身長が足りなくて裾を引きずって歩く羽目になってしまうので遠慮した。
今日は晴れていて昨日ほど寒くないからとりあえずセーターを借りるにとどまった。
「とりあえず防寒具を先に見るか。行くぞ」
「はーい!」
言うなりイゾウ隊長はダイヤさんをサッと抱きかかえてモビーから飛び降りた。
おぉ…軽やか…!!
しかも美男美女。
うーん、さまになってたなぁ…!
「俺たちも行くか…ってどうした?」
エース隊長が私を担ぎあげようと近づいてきたが、私がエース隊長をじーっと見ていたのに気がついて首をかしげた。
「今日は上着てるんですね」
「冬島だからな」
「寒いからってわけじゃないですよね?」
「脱いでたら目立つだろ?さすがに」
確かにこのクソ寒い中上半身裸というのはさすがに目立つ。
この島は治安が良いらしいし、波風立てないようにとの配慮らしい。
それでも隠れてしまった背中の代わりにジャケットの袖にオヤジ様のマークが。
「このジャケット、良いですね!」
「…着るか?」
エース隊長は私の返事を待たずに上着を脱ごうとするから、慌てて止める。
「いいです!大丈夫です!だから早く買いに行きましょう!!」
「そうか?んじゃ行くか」
「わーーー!待って下さい待ってさい!!」
「今度は何だよ!」
抱っこされた!
流れるように抱っこされた!
こっち来てから二度目のお姫様だっこされたーーー!!
隊長たちはきっとお姉ちゃんたちと一緒に買い物に行く機会が多いからお姫様だっこしなれてるのね…!
だけど私には不要です!
いらないですよーぅ!
恥ずかしいのもあるけど、大丈夫なんです!
じたばたと暴れて、なんとか降ろしてもらう。
きっと顔が赤くなってるだろうけど、そこは見ないでほしい。
「大丈夫ですエース隊長!私も飛び降りますから!」
「は?マジで?結構高さあるぞ?」
モビーの船縁から下をのぞくと確かに結構な高さがあった。
しかーし!
不死身となったメイさんにはこんな高さ屁でもないのだ!
「大丈夫ですって!いっち、にー、バンジー!!」
「あっ!オイ!!」
エース隊長が止める前に私は船縁に足をかけて飛び降りた。
きっと慣れたらイゾウ隊長やエース隊長のように軽やかに着地できるようになるのかもしれない。
だけど私はズボッ!と頭から雪に突っ込んだ。
おかしいな、足から飛び降りたはずなのにいつの間にか頭が下になっていた。
雪のおかげで痛くなかったけど、これ雪なかったら完熟トマトのようにグシャってなってたね!
防寒具はすんなりと決まった。
赤のタータンチェックでフードや袖や裾に白いもこもこがついたコート。
一目惚れでした。
耳あてに手袋、マフラーも買ってその場で身につけました。
あったかーい!!
気に行ったコートを手に入れてほくほくとしていると、イゾウ隊長とダイヤさんは早速次の服屋さんへと入って行った。
しかし、ここからが長かった。
一軒、二軒、三軒目と服屋さんをくまなく見てみるも、どうやらお二人のお眼鏡にかなう服が見つからないらしい。
私はそれぞれの店で訓練の時に着るための服を数着ずつ購入している。
それで私は十分なのだが、イゾウ隊長とダイヤさんはあーでもないこーでもないと話をしている。
「オイ主役、おいてけぼり喰らってるぞ」
「ねー。私は欲しいもの着実に買えてるから別に良いんですけれども…」
エース隊長と私は若干飽きてしまい、外で二人を待っていた。
すでに七軒目のお店だったけれども今回も二人は手ぶらで出てきた。
「メイ、あなたは壊滅的に女の子の服が似合わないのね」
「お前、本当に女か?」
「ひどいっ!一応女ですよーぅ!」
お風呂場でぽろり事件もやったんですから!
……え、こぼれるものが何もなかったって?
あーあーあー聞こえない―!!
「その子ザルみてぇな頭のせいだな」
私の短い髪の毛をつんつんと引っ張るイゾウ隊長。
地味に痛いです!
「それだわ!メイ、今後髪の毛を自分で切ったら駄目よ!」
「えー!?」
顔にかからないし、頭洗うのも楽だし、ついでにお金もかからないし正直私はこの頭を気にいっていた。
今回欲しいものの中にすきバサミも入っていたのだけれども、それを告げたらものすごい勢いで怒られそうだ。
「顔に髪の毛がかかるのが嫌なら髪いじってあげるから!」
「え、それは悪いでs…」
「おだまり!」
お姉ちゃんたちは朝からオヤジ様のメディカルチェックとかあって忙しいだろうに、断ろうとしたらピシャリと怒られた。
「自分で勝手に髪の毛を切ってはだめよ!わかった?」
「は…はい」
「少し伸びたら切りそろえてあげるから。…そんな顔しないの!」
ぶー、と唇を尖らせていたらダイヤさんが笑いながら私の唇をちょん、と押した。
な…なんだか恥ずかしい…。
思わず顔を赤くしてしまった。
「じゃあそうと決まったら小物屋にでも行くか」
とにかく私に髪を切ろうと言う気を起させない事が優先らしいイゾウ隊長は来た道を少し戻って雑貨屋さんへと入って行った。
カランカラン、と音を立ててドアをくぐると、これまた可愛らしい小物がたくさんあった。
これは心がおどる…!!
カラフルな色使いの可愛い小物は見ていて楽しい。
私もシンプルなヘアピンとゴムを手に取ったけど、イゾウ隊長とダイヤさんは即刻それを取り上げて別の飾りつきのヘアピンとゴムを手に取る。
…あ、そのヘアピン好きです。
蝶々とか、私の心をくすぐりまくりです。
その他にもキラキラしたカチューシャなどのヘアアクセサリを数点購入していた。
「そうだ、あと櫛も一つ選べよ」
「一つですか?」
「結えるくらい伸びたら今度は俺が似合うの選んでやる」
確かに櫛は髪が長くないとつけられない。
そのくらい伸びたらイゾウ隊長、櫛の結い方教えてくれるかな?
櫛も色々なものがあって目移りしてしまう。
どれが良いかと悩んでいると、イゾウ隊長がエース隊長に声をかけた。
「オイ、エース」
「んあ?」
入口付近で外をぼーっと眺めていたエース隊長が気の抜けた返事をする。
「お前さんどれがいいと思う」
「なんでもいいんじゃね?」
ですよねー。
エース隊長はそういうと思ってました。
しかしイゾウ隊長はそれを許さないらしい。
エース隊長に近づいたと思えば、容赦無く耳を引っ張りながら私の隣まで連れてきた。
「いでででで!おいイゾウ耳がちぎれる!!」
「ほら、末の妹がいつまでも子ザルでいいのか」
「ルフィだって猿みてぇなもんだし別に変わんねぇって!」
「山育ちの野生児と一緒にしてやるな!」
今、ウキーって言ってるルフィが頭に浮かんじゃいましたよ。
ブチブチ文句を言いながらも結局は櫛を選んでくれたエース隊長。
というか、迷いなく一本の櫛を引き抜いた。
テキトウにえいや!で選んだのかもしれないけれど…
私は一発で気に入ってしまった。
櫛の先にはキラキラとした飾りにワンポインで赤い石がついていた。
その石は色鮮やかに輝いていて、なんとなく炎のようだと思ったから。
「エース隊長みたいですね!」
「え?」
何気無く思った事を口にすれば、エース隊長は首を傾げる。
私はふふふーと笑いながらイゾウ隊長を振り向いた。
「イゾウ隊長これにします!」
「あいよ」
自分で短く切って置いてなんだけど、早くこの櫛が結えるくらい髪が伸びればいいと思った。
選んだ諸々が良い感じに収まる箱型の小物入も購入し、早速詰めてもらって雑貨屋さんを後にした。
木箱にガラスの覗き穴がついていてオシャレで超可愛い!
小物入れだけ見ててもなんだかわくわくする。
髪の毛伸ばすの面倒臭いなと思っていたけど、今から使うのが楽しみだ。
それはきっとイゾウ隊長とダイヤさんの作戦なんだろうなー。
完敗です!
結局洋服は動きやすさ重視の物を数点購入した。
正直船に乗っている限り動きやすい服を着ていたいと思ったので私はありがたかったけれど、二人はちょっと納得がいってなかったみたい。
けれども今の私に絶対に似合う物だと言ってくれた。
明日早速着てみよっと!
今日はもう日も傾いてきた事もあり、モビーに帰ることとなった。
荷物は私が持ちきれない分をエース隊長に手伝ってもらっている。
イゾウ隊長とダイヤさんは全部エース隊長に持たせればいいのにと笑っていたけど、買ったお店の紙袋があまりにも可愛くて持って歩きたかったのだ。
「エース隊長、荷物本当にすみません」
「いや、全然少ねぇけど。良かったのか?」
「え?これでですか?」
気温の変化に合わせて薄手の物や厚手の物など様々な服を買ったのだ。
私は両手に二袋、エース隊長も三袋づつ持っている。
これでも少ないというのか。
「ダイヤたちは気に行った店の物は買い占めるからな」
「買い占め!?」
そりゃ少なく感じますね…!
というか、こっちの女性(特に海賊)は洋服好きな人多いよね!
ナミやロビンも凄い量買ってたし。
みんなスタイル良いから何でも選べるんだよね。
それに引き換え私と言ったら貧相なもので、似合う服なんて限られてくる(しかも髪形のせいでさらに似合うものが限られているらしい)
「明日は私一緒に出れないから、他の子と回ってね。伝えておくから」
「え?明日も…ですか?」
「まだ服しか買ってないじゃない。日用品とか色々必要なものはまだあるわ」
「そ、そうですね…!」
船で生活するって事をすっかり忘れてた。
服ばかり気にしてたけど、私普段から色々お姉ちゃんたちに借りてたじゃない…!
「あとお前、靴も買わないとだろ」
「あ、忘れてました」
スニーカーしか持っていない私。
こんな冬島にはブーツが欲しいし、夏島だったらサンダルが欲しい。
身の回りの物を一気に買うとなると本当大変なんだなー。
「こりゃ明日の方が荷物重そうだな」
「明日は絶対サッチも道連れにしてやる…!」
道連れとは人聞きの悪い…そう思ったけど、道連れということはどうやらエース隊長は明日も一緒に行ってくれるらしい。
イゾウ隊長とエース隊長、ダイヤさんの三人がわいわい言うのを聞きながら、私はこっそりとにんまり笑った。