yhj series
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「おい晴明、本当にこの道であってんのか?」
「疲れたぁ…疲れたよぉ…」
「うん…たぶん…学園長の地図ではもうすぐ見えてくるっぽいけど…」
「何で僕たちまでこんなことに…」
「大体おめーらが悪いんだぞ」
私たちはいま、何故かセンセとみんなと森の中をさまよっています。
こうなったのも一時間前…
掃除の時間中皆で野球をしていたら、佐野っちの投げた球がボール球になり、ガシャーーンという音とともに窓ガラスが盛大に割れた。
「で?廊下を掃除していたら窓を突き破ってこの野球ボールが俺の顔面にヒットしたわけだが」
「そ、そんなに怒っちゃやだよ秦中センセ♡」
「うるせぇ苗字お前も同罪だ。弐年参組は掃除の時間に何をやってたのかな?」
「そもそも晴明が悪いぞ、ヒット狙えと入ったが誰が秦中の顔面ヒットしろって言ったよ」
「そもそも佐野君があんな球投げるから…」
「あんなサイン出さなきゃよかったなぁ…」
「そもそも前の打席で泥田が打ってりゃこんなことにはならんかったぞ」
「そもそも掃除の時間に野球してんじゃねーよ!!小学生か!!
大体何で教師のアンタが一緒になって野球やってんだ、このアホ毛ちょうちょ結びにしてやろうか?あ?」
「あ…あこがれてたんです、掃除の時間に教室で野球やるの…!!友達いなかったし…」
「ンなモン憧れんでいい!!」
「まあまあ飯綱君そこまでにしておやりなさい」
「学園長!!!」
「秦中先生の下の名前初めて知った」
「な」
「せっかくですので弁償する代わりにやっていただきたいことがあるんです…」
という経緯で、今に至る。
紅ちゃんが一緒に来そう?残念今日は紅ちゃんイベント走ってる。私も手伝う予定だったのに…
「…で一緒に教室掃除班だった俺と大田まで連帯責任とらされるとはな、やってらんねえ…」
「ごめんよ連々ゴロニャン」
「猫なで声でゴマをするなクソ腹立つ」
「そもそもうちの学校ってプールあったんだ」
「昨年までは海で授業だったんだけどな」
「まあ今年は海入れないしね~」
「えっそうなの?」
「うん、なんでも今年は暑くなるのが早かったせいで海水浴場に海坊主が大量発生しちゃったんだってさ」
「そんなクラゲじゃないんだからさ…」
「ん?オイ…あれじゃないか?」
「本当だやっと見えた!!」
佐野っちの指さす方を見るとそれらしきものが見えていて晴明センセが喜んでいる。
が、遠目にも結構…朽ちた雰囲気というか…見える水面?が淀んでいる。
「こ…これは…」
「何コレもはや廃墟じゃん」
「掃除っていうか改修工事が必要なレベルだよなコレ…」
「プールの水も汚いし…」
「汚いどころじゃねーよ…」
「煮えたぎって瘴気みたいなの出てるじゃん…絶対こんなとこにあっちゃダメなやつ…」
「もうコレ魔界の入り口じゃねーか!!」
あまりの汚さにみんなで衝撃を受ける。
たしかにこれは地獄の釜の中と言われても納得する酷さである。
とりあえずそこらへんに落ちていた木の棒で謎の液体をつつく。
「と…とりあえずこの水捨てようか…」
「捨てて大丈夫かこれ、自然破壊になりそうなんだが…」
「まあ…自然に生まれたものが自然に還るだけだよ」
「じゃあ俺排水してくるわ」
「あっ泥たんプールサイドは走ったら危な…」
泥たんが駆け出すのが見えたため声をかけるが、ツルッと滑って液体の中に落下してしまった泥たん。ヤバい。絶対ヤバい。
「死んだ!!絶対死んだ!!溶ける音がしたぞ!!」
「泥田ああああぁあぁん」
「泥の妖怪が溶けて死ぬか?」
「あっそういえば」
「まあ死なねーな」
「うぐぐ…ヒドイ目にあった…」
「あっ泥たんよかっ…た…」
液体からあがってきた泥たんは、なんと昔の少女漫画チックの見た目になって、髪色も金に変わり「やれやれマジでまいっちんぐだぜ」と言い放つ。おかしい。
「やべえ…泥田の奴見た目から性格まで再構築されたぞ…」
「耽美を通り越してグロテスクだな」
「しかたねぇ…泥田は死んだと思って俺たちはこのプールをなんとかしよう」
ゲシッと泥たんをプールにけり落とした連くん。
なるほどもう一回落とせば元に…むしろ女神様的なのでてきてあなたが落としたのはどっち?って聞いてくれないかなぁ。だめだ今の状況じゃ乙女泥たんを返却される。
沼の成分がとっても気になるので少し離れたところで液体をつつく。
この色…粘度…ただの放置されたプールがこんなゴポゴポ音立てる…?煙出る…?
ん?なんかぶくぶくも言ってる
「っぅわ!?」
「愚民よ…我々の場所に何をしに来た」
河童!?こんなとこに!?
え、妖怪学校のプールだからなの?え?っていうか…引きずり込まれる!!
「ちょっと放せよ!!」
「引きずり込んでエロ同人みたいにしてやる」
「ぬるぬる」
「何触手でもまさか埋まってんの!!??
た…助けてええええええ」
「えっ何アレ!!河童!?」
「苗字がプールへ引きずり込もうとされてるな」
「もうこれ掃除どころじゃねえ!!」
みんなが気づいて引き上げてくれようとしてるけど河童の力がまさかのなかなか強い。
「うわっ力強っ!!」
「やだぁ~!!こいつらさっき、引きずり込んでエロ同人みたいにぬるぬるしてやるとか言ったの、っ、ちょっ何力緩めてんの馬鹿!!!!引き!!上げて!!!」
「はっ悪い」
「も〰〰〰こいつらッ」
足掻いていたその時、河童の顔に足がめり込んだ。
「へ」
ギャンッと音を立ててふっとぶ河童達。
一匹が遠くまで飛ばされたのが目に入った。
「悪ぃ名前ちゃん、向こうにいて気づかなかった」
「連くん〰〰〰〰♡♡♡ありがとう好き〰〰!!!」
「よしよしあいつらはあとで煮るなり焼くなりしような」
助けてくれたのがうれしくて連くんの胸に飛び込む。
うぅん連くんカッコイイなぁ…優しい…
「晴明~もう止めようぜ、いいじゃんプールなんてビニールプールでさあ」
「僕だってそうしたいけどそしたら窓ガラスと眼鏡代僕らで割り勘する羽目になるよ?」
「あ…じゃあ…頑張る」
「グフフ…我々を倒したからって勝ち誇ってくれるなよ、愚民が」
「あっしゃべった」
「誰が愚民だ?あ?」
「すんません」
「煮るのと焼くのどっちにしよっか、河童っておいしいの?」
「とりあえず本人たちに味見してもらえばいいんじゃない?」
「怖っ!!!すんませんでした!!!
しかしこのプールには…まだ主様がおられるのだ」
「はあ?」
そのときとてつもなく大きな水音を立てて現れたのは、巨大な…魚…?
「「ギャアアアアア巨大人面魚!!!」」
「やあ私が主だよ …さて愚かなる妖怪どもよこのプールを掃除したくば私を倒してみよ」
「なんでそうなんの!?」
「RPGかよ、確かに中ボスに魚人的なのとか見たわ」
「魚一匹倒せないちんけな妖怪共をこの神聖な場所に入れるわけにはいかんのでな」
「ただのプールでしょ?何言ってんだこの魚」
「うるさいぞ小娘」
その瞬間プールから勢いよく何かがのびてきて、反応することができずに足を取られて、
片足を絡めとられ宙づりになる。
「ッ 嘘でしょ」
「名前ちゃん!!」
「苗字さん!!」
「RPG風に人質とってみた」
「ざけんな丸焼きにするぞコラァ!!!」
「貴様これスカートでやってたらマジで処刑モンだからな!!!」
「さっきから黙って聞いてりゃ魚の分際で喧嘩売りおってよォ、我猫又ぞ!!」
玉ちゃんが動物型に変化すると、
「上等だ!!三枚におろしてやるよ魚野郎!!」
と人面魚にとびかかった。
が、呆気なくぱくっと大きい口に食べられた。
「た…タマアアアア!!!」
「玉ちゃん!!」
「入道君近づいたら危ないよ!!」
「そう嘆くな愚かなる妖怪どもよ」
「うるせえ!!さっきから愚かなる妖怪愚かなる妖怪言ってるけどよくよく考えりゃテメエも妖怪じゃねーかボケが!!」
「落ち着いて入道君!!」
「お前ほんとキレると手ぇつけられないな」
むしゃむしゃしてる人面魚の口の中から「ギェエエェェ」と玉ちゃんの悲鳴が聞こえる。周りで河童がケラケラ笑っているのが非常に不愉快である。くっそ…
「!! 佐野っち、妖術でこの触手みたいなの破壊できないの!?」
「おま…万が一服破けたらどうすんだよ」
「はっそうかそのリスクがある」
佐野っちそういや晴明くんの服破く常習犯(語弊)って聞いた!!
それはR18な事態になりかねん、ダメだ。
「すぐに腹の中で愚かなる妖怪と涙の再会をさせてやる!!!」
「ギャッ襲い掛かってきた!!」
「腹減ってるだけじゃねーか?」
「イヤー!?水しぶきやばいんですけど!!」
「、いちいちこいつに付き合う義理はねぇ」
「よっこいせ」と、飛びかかってきた人面魚をいとも簡単に片手で止めると、大田くんに人面魚を捕まえられるだろと問いかける佐野っち。
マジで佐野っちの筋力どうなってんの?
そして「あっそうか」と気づいたように言うと元の大きい姿に変化した大田くん。
「とりゃ!! わーい、取ったどー!!」
「そうか!!大田くんはダイダラボッチだったね!!!」
大田君が人面魚をむんずと掴むと呆気なく高いところで捕まった人面魚。意外と呆気ない終わりだった。私まだ捕まったまんまなんだけど。
「く…こうなってしまってはもはや為す術がない…妖怪どもと共存するくらいなら潔く自決しようぞ」
「え、アンタ結局妖怪じゃないの?」
「煮るなり焼くなり好きにせい…あっ刺身とか案外美味っすよ」
「同種食ったことあんのかよ闇が深いわ」
「ねぇねぇ主~生物部に来ない?」
「ぬ?」
「豪華巨大水槽で三食昼寝付き!!女の子の人面魚もいるし水も頻繁に取り換えるよ!!なんなら河童も一緒に」
考えるそぶりを見せる人面魚。
あんなにボロカス言ってたのに嘘でしょ。
「うん、まあ…共存って大事だよね、いいよ」
「「主意志弱っ!!」」
「で…この巨大人面魚どうするの?」
「とりあえず俺らが掃除してる間しっかりとホールドしてて」
「えっ僕魚持ってる役?」
「ちょっと!!私のこと忘れてない!?」
「あっ」
「何今のあって!!センセ酷い!!」
「苗字のこと降ろしてやれよ」
「あっそうでした」
突然、高いところからプールサイドへ放り投げられる。
ちょっと投げるとか荒いんだけど!!!ってか…
「(ちょっ受け身、取れない…っ)」
衝撃を覚悟していると、
「バ、お前、受け身くらい取れよ!!」
「へ…」
まさかの佐野っちが受け止めてくれた。
「と…取れるんだったら取ってるよ!!」
「意外と鈍くさいな苗字」
「な、あんなたっかいところから落とされてビビるわ!!」
落とされたドキドキと、佐野っちとこんな近いことないからドキドキしてなんかいろいろ錯覚しそうになる。こやつとにかく顔が良い。
「…あの、佐野っちありがと。助かった」
「! …ああ」
「お取込み中悪いけど秋雨君も救出しなきゃ…ぎゃん!!なんで蹴るのさ!!」
「うるせぇ晴明」
「さてと、じゃあ秋雨君も救出できたし、とっとと掃除終わらせよっ!!」
「おーっ!!」
「やっと掃除できるんだな…」
「私ずっと宙に浮いてた気がするよ…」
「ところで大田君、さっきから気になってたんだけど…大きくなってからずっとプールに両足突っ込んでるけど大丈夫…?」
フラグの立つ音が聞こえた気がする。
「アッチ!!」
「熱いの!?」
あれ?そういや泥たんは?と気づくやいなや、視界に影がかかった。
見上げると大田くんが倒れて………潰される!?
「え…ちょっ待―――…」
その後、学園長と秦中センセが様子を見に来るまで私たちは目を回していた。
散々だ………