Geschichte

25/12/XXXX クリスマスの日

本日は降誕祭。良い子は良い物が貰える日です。
朝、大尉が寝床の傍に倒れていて、ニコラウスさんはお部屋のどこにもいませんでした。
靴下の中は空っぽで、そこには何もありませんでした。
しかし、ニコラウスさんへ宛てた水筒の中が空っぽだった事から、ニコラウスさんがここにいた事がわかります。
そして、水筒の中の飲む物の中に入れておいた、大型獣用の麻酔薬程度では足留にさえならない事もわかります。
追跡をしようにも少しのにおいも残っていないので不可能です。本の絵によればもこもこした白髭のふくふくしたご老人なのに不可解なのです。
ニコラウスさんは何者なのか、皆からお話を聞く事にしました。

どこにでもいてどこにもいない、と准尉は言いました。
言葉の意味はよくわかりませんが、准尉の所には来ていないらしいです。
それは准尉が子供ではないからで、悪い子だからではないのだそうです。悪い子はループレヒトさんから枝や石を貰えると聞きました。

存在する、正体は恋人である、と博士は考えているようです。
一つ、日本国で歌われている詞を教えてくれました。それによれば正体は背の高い恋人だそうです。
大隊の中で1番背の高い人は大尉で、つむじ風を追い越せるのですが、家族は恋人ではありません。惜しくも違うようです。

存在しない、正体は親である、と少佐は考えているようです。
父も母もご主人である総統も昔々にいなくなりました。霊体ならば薬効がないのもにおいがないのも説明が付きます。
恋人説については
「偽者だ。恋人を騙り聖人を騙り行為に及ぶ色魔だ。狩らねば」
と申されていました。

狩りから帰ってきてもまだ大尉は眠っていました。起きてほしくて頬をぺたぺた叩いたら、寝ぼけた大尉に捕まり抱き枕にされました。
頬をぷにぷに抓りつつニコラウスさんについてを聞いたら、途端に目を覚ました大尉に突然問答無用で絞め落とされてしまいました。
理由はわかりません。

気が付けば靴下の中に小枝と小石がありました。今年は少し悪い子だったようで、ループレヒトさんが来たようです。
ループレヒトさんは怖い、と人間の子は考えているらしいのですが、悪い子にも少し良い物をくれるので優しいと思います。後でお礼のお手紙を書きます。
少し良い物は、庭にいる雪だるまくんにも分けてさしあげました。

結局のところ、今年もニコラウスさんに会えませんでした。

ENDE
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