Gotcha!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
レッドのおかいもの(裏)
「………………………………」
再スタートを切ったレッドは己の影に導かれつつ店内を行く。影の中に潜んでいるこのムウマージが、彼が人見知りを発症している最中に目的の物を見付けていたそうなのだ。
先刻の往き来で2度は通った経路をまた1度なぞって中継地点、包帯や絆創膏等の衛生材料が陳列する箇所へと、お陰で最短ルートで到達することができた。
「……っ……!」
……あった……!けれども一旦スルー。素知らぬ振りして通り過ぎて、隣のコーナーで立ち止まる。
独身男性に縁ない粉ミルクや離乳食を物色、しているように見せ掛けてチラリと横目で再確認した。
「………………………………」
ここまで来たらもう気付かれていると思うが、挙動不審な童貞が探していた物はそう、何を隠そう男性用のコンドームである。
万が一、億が一、滅茶苦茶に大好きな女の子とやんごとなき事情にまで発展した際の必需品だ。避妊大事。
「………………………………」
後は購入して帰るだけ、買うだけ。しかしレッドは困っていた。
それがこの店舗この売場にたった1個のだったなら迷うことはなかったのに、残念ながら数種類のそれらが待ち構えていた訳だ。
「………………」
その場凌ぎで買う予定にない乳児用調製乳を手にしてみたりして意味もなく成分表に目を通してみるものの。どれがいいの?何が違うの?頭の中は別の事でいっぱいいっぱい。
「……?……?………………??」
当たり前だがドラッグストアは貸切状態ではないし他の利用客も居る。
普段は他人の目をビー玉程度にしか思えぬ彼だが、彼女への熱い想いが絡めば忽ち普通の男の子。近くを誰かが通る度ハラハラしている。
悪いことは考えていないにしろ、邪な考えを持っていることは火を見るより明らかだった。
「………………っ」
このままじゃ埒が明かんと悟った足裏の住人に責付かれてしまって、1文字も頭に入らなかった成分表を棚へ戻す。
成るように成ってくれ。かぁぁっと汗を掻きつつレッドは勘を頼りに1つのパッケージを選び取った。即座に両手で覆い隠すように持つ。
「………………!」
やったー!
コンドームを手に入れたぞ!
(良し)
勇み足でレジへ向かう。ゴールまでもう少し。
「……」
と一瞬そう思ったけどやっぱり良しじゃなかったらしい。二歩進んで、思い直して、三歩下がる。
何じゃ何じゃ!?
ラストスパート気分で先行していたムウマージの影は、宿主の急な後退に伴い千切れた影にいそいそ慌ててくっ付いた。
「………………」
その男は停止した後、手の甲をじいっと見ながら脳内シュミレーションを繰り返す。これだけじゃ足りないんじゃないかという不安に駆られたのだ。
「………………」
助兵衛?いやなに同一商品の話ではなくて偽装工作用の商品の話だ。
合計で1点、性欲肉欲を満足させる為だけのアイテムだけを人前に出すのは初心な男の子には憚られた。
「………………………………っ!」
……ミミちゃんと、セ……セ……セッしたい!
事実だが、まるでその事しか考えていないようで罪悪感がするからと、贖罪者レッドは適当な商品棚へ方向転換する。
正直者なムウマージはどうでもいいと思っている。客の購入物如き店員も一々詮索しないだろうに。
「……!」
当事者だけがドキドキ時々ワクワクしたまま、道中見掛けたポケモンを手当たり次第捕らえつつ。
「……!」
そうこうしている内に何をしたいのか軽く錯乱、何が起きているのか訳わからなくなりつつも。
「………………!!」
這う這うの体で会計を済ませて店を出た。
「……ふぅ………………」
アローラの爽やかな夜道を戦利品を提げて歩く。脱力した歩調は力んでいた自身の心も落ち着けてゆく。
ミミから連絡がないかとスマホを確認すればグリーンの方からは所在を報せるメッセージが届いていた。
大仕事を遣り遂げた面持のレッドはそちらへ向かう。
「アローラ。ようレッド。ちゃんと買えたか?」
程無くしてバス乗場の喫煙所。漸く合流した親友へグリーンは尋ねた。語られる前から顔が物語っていたがそこはコミュニケーションってやつだ。肺に回していた煙草の煙を宙へ向けてふぅぅーっと吐き切る。
「………………ん」
友の口は一文字。不貞不貞しい面構でどうだと出されたレジ袋、その口を人差指で広げれば、覗くと見えるピカチュウ、カビゴン、キュワワー等のポケモンのイラスト達。
ムウマージも影からちゃっかり顔を出す。
「何か要らねーもんあるなー……っておま……っ」
グリーンは口元を手で覆った。何かを言い難そうにする彼は、手の裏側では笑いを隠しているけど。
「お前のアレってSサイズなの?」
「?」
何の話だろうと言った表情。表記はなかった筈と袋の中でパッケージを確認する男。箱にはSの文字が印字されている。
「……あの……これ、スペシャルレアって意味じゃ……ない……の?」
「ゲーム脳かよ!馬っ鹿じゃねーのっ!?」
その質問のアンサーは馬鹿以外有り得ない。
「つかその理論だとLはレジェンドってか!?」
「あ……そっか。レアだと思った……。レアはRか……Lはレジェンドか……」
「何でだよっ!『そっか』じゃねーわ!レアもレジェンドもねーからなっ!?」
レッドの叡智はそのレベルってことさ。
グリーンのツッコミにスモーカー共の野次馬的視線が集まるも、レッドの自意識にはもう掠りもしない。
「……そっか。じゃぁこれ……グリーンにあげる」
「馬鹿にしてんのか」
ミミのムウマージだけがケラケラ笑っていた。
師匠、弟子ちゃんには内緒だよ?
「………………………………」
再スタートを切ったレッドは己の影に導かれつつ店内を行く。影の中に潜んでいるこのムウマージが、彼が人見知りを発症している最中に目的の物を見付けていたそうなのだ。
先刻の往き来で2度は通った経路をまた1度なぞって中継地点、包帯や絆創膏等の衛生材料が陳列する箇所へと、お陰で最短ルートで到達することができた。
「……っ……!」
……あった……!けれども一旦スルー。素知らぬ振りして通り過ぎて、隣のコーナーで立ち止まる。
独身男性に縁ない粉ミルクや離乳食を物色、しているように見せ掛けてチラリと横目で再確認した。
「………………………………」
ここまで来たらもう気付かれていると思うが、挙動不審な童貞が探していた物はそう、何を隠そう男性用のコンドームである。
万が一、億が一、滅茶苦茶に大好きな女の子とやんごとなき事情にまで発展した際の必需品だ。避妊大事。
「………………………………」
後は購入して帰るだけ、買うだけ。しかしレッドは困っていた。
それがこの店舗この売場にたった1個のだったなら迷うことはなかったのに、残念ながら数種類のそれらが待ち構えていた訳だ。
「………………」
その場凌ぎで買う予定にない乳児用調製乳を手にしてみたりして意味もなく成分表に目を通してみるものの。どれがいいの?何が違うの?頭の中は別の事でいっぱいいっぱい。
「……?……?………………??」
当たり前だがドラッグストアは貸切状態ではないし他の利用客も居る。
普段は他人の目をビー玉程度にしか思えぬ彼だが、彼女への熱い想いが絡めば忽ち普通の男の子。近くを誰かが通る度ハラハラしている。
悪いことは考えていないにしろ、邪な考えを持っていることは火を見るより明らかだった。
「………………っ」
このままじゃ埒が明かんと悟った足裏の住人に責付かれてしまって、1文字も頭に入らなかった成分表を棚へ戻す。
成るように成ってくれ。かぁぁっと汗を掻きつつレッドは勘を頼りに1つのパッケージを選び取った。即座に両手で覆い隠すように持つ。
「………………!」
やったー!
コンドームを手に入れたぞ!
(良し)
勇み足でレジへ向かう。ゴールまでもう少し。
「……」
と一瞬そう思ったけどやっぱり良しじゃなかったらしい。二歩進んで、思い直して、三歩下がる。
何じゃ何じゃ!?
ラストスパート気分で先行していたムウマージの影は、宿主の急な後退に伴い千切れた影にいそいそ慌ててくっ付いた。
「………………」
その男は停止した後、手の甲をじいっと見ながら脳内シュミレーションを繰り返す。これだけじゃ足りないんじゃないかという不安に駆られたのだ。
「………………」
助兵衛?いやなに同一商品の話ではなくて偽装工作用の商品の話だ。
合計で1点、性欲肉欲を満足させる為だけのアイテムだけを人前に出すのは初心な男の子には憚られた。
「………………………………っ!」
……ミミちゃんと、セ……セ……セッしたい!
事実だが、まるでその事しか考えていないようで罪悪感がするからと、贖罪者レッドは適当な商品棚へ方向転換する。
正直者なムウマージはどうでもいいと思っている。客の購入物如き店員も一々詮索しないだろうに。
「……!」
当事者だけがドキドキ時々ワクワクしたまま、道中見掛けたポケモンを手当たり次第捕らえつつ。
「……!」
そうこうしている内に何をしたいのか軽く錯乱、何が起きているのか訳わからなくなりつつも。
「………………!!」
這う這うの体で会計を済ませて店を出た。
「……ふぅ………………」
アローラの爽やかな夜道を戦利品を提げて歩く。脱力した歩調は力んでいた自身の心も落ち着けてゆく。
ミミから連絡がないかとスマホを確認すればグリーンの方からは所在を報せるメッセージが届いていた。
大仕事を遣り遂げた面持のレッドはそちらへ向かう。
「アローラ。ようレッド。ちゃんと買えたか?」
程無くしてバス乗場の喫煙所。漸く合流した親友へグリーンは尋ねた。語られる前から顔が物語っていたがそこはコミュニケーションってやつだ。肺に回していた煙草の煙を宙へ向けてふぅぅーっと吐き切る。
「………………ん」
友の口は一文字。不貞不貞しい面構でどうだと出されたレジ袋、その口を人差指で広げれば、覗くと見えるピカチュウ、カビゴン、キュワワー等のポケモンのイラスト達。
ムウマージも影からちゃっかり顔を出す。
「何か要らねーもんあるなー……っておま……っ」
グリーンは口元を手で覆った。何かを言い難そうにする彼は、手の裏側では笑いを隠しているけど。
「お前のアレってSサイズなの?」
「?」
何の話だろうと言った表情。表記はなかった筈と袋の中でパッケージを確認する男。箱にはSの文字が印字されている。
「……あの……これ、スペシャルレアって意味じゃ……ない……の?」
「ゲーム脳かよ!馬っ鹿じゃねーのっ!?」
その質問のアンサーは馬鹿以外有り得ない。
「つかその理論だとLはレジェンドってか!?」
「あ……そっか。レアだと思った……。レアはRか……Lはレジェンドか……」
「何でだよっ!『そっか』じゃねーわ!レアもレジェンドもねーからなっ!?」
レッドの叡智はそのレベルってことさ。
グリーンのツッコミにスモーカー共の野次馬的視線が集まるも、レッドの自意識にはもう掠りもしない。
「……そっか。じゃぁこれ……グリーンにあげる」
「馬鹿にしてんのか」
ミミのムウマージだけがケラケラ笑っていた。
師匠、弟子ちゃんには内緒だよ?
おしまい