Gotcha!
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Somebody scream!!!withポニータ
「ん、ポニータさん見えた?にぃにありがとう」
監視員からのテレパシー。その無言の報告は受信者の声を経由して拡散されて隣の仲間にも知らされた。
ピーニャはヘッドホンを肩へ戻す。
「良かった良かった。今日の音源のチョイスもピッタリだったってことね」
別に自分の仕事や彼女の事を信じていない訳ではない。それとこれとは別の思いの問題。ともあれ、期待を裏切らずに済んで何よりだった。
ほっと息を吐くDJ悪事の目の前に、いえあっ!と登場するのはハイタッチの構えのミミの掌だ。
「凄いやピーニャくん百発百中まじリスペクトっ」
「いやぁ~ミミくんが居てこそだってばぁ~~」
トントン拍子な作戦成功を喜ぶ2人は、右手と右手をポンとくっ付けて太鼓判を押し合って。その流れで彼は友の手を取った。軽く振り解ける程度の力で握った、控え気味な彼の手がきゅっと掴まれる。
「「………………」」
「「へへへへへっ」」
2人で作るガッツポーズ。
褒められたらこそばゆい気分になる性分は互いに同じ。完全一致で笑い声がハモる。共に顔は弛んでいた。
「って笑っている場合じゃないや話を聞かないと」
「ごめん、切り替えて行こう」
表情筋を引き締め切れないながらも本筋へ戻る職場の先輩。ピーニャも己も続かねばと。
するりと離した手でぺちぺちっと頬を叩いたら、その手に共有した熱も少しは冷まされるようだった。
「お出迎えお出迎ええっと……」
プレッシャーを与えてしまうミュウツーは一旦ボールにイン。ピーニャもワルビアル達へ警戒されないよう威嚇しないようにと指示を出す。
洞窟の外、闇の中から、月の光を身に纏って浮き上がる白い影が1つ。
その小さな影には人間と連れの存在へ臆する雰囲気等ない様子。子守唄に誘われるがまま意のままに、洞窟が開ける大きな口へ入って来た。
「おやあ、来てくれるねえ。大胆だなあ」
第一印象を述べるミミの数歩後ろを付いて行って、出番を終えているピーニャは袖から見学する。
あら御機嫌よう。
しゃなりそんな風に仔馬の長い睫毛が下へ上へ一往復して、アーモンド型の宝玉が真正面を見据えた。
「コホン。水色の御髪が美しいそこのポニータさ、!っあわわ危な」
声を発したのとほぼ同時だった。水色が月より白く目映く発光したかと思えば挨拶代わりに選択されたのは“たいあたり”。急な攻撃だがミミはバックステップで難なく避ける。
人が野生のポケモンに襲われることは珍しいことではないし、その為のパートナーポケモン。それに自然と直に密に接するポケモンレンジャーなら尚の事なパターンで。なので小慣れたアクションだった。でも。
「!、ミミくん、下がって……!」
あんなでもプロだし?とかそこまで思考は追い付かず、故に友達を庇うため愚直に前へ躍り出る。
そちらの方はアカデミー生、一般人。剥き身でモンスターと対峙するのは怖いだろうに。健気にも。
「ちょっ、待、攻撃は無しっ!」
及び腰になっていようが自分の格好なんか気にしていられるものか。手はピシッピシッとパー。グーと突き出して、敵対行為を行うポケモンと距離を取る。
そうするから、マスターに指一本も触れさせまいとマフィティフが厳戒態勢だ。尻尾は巻いているけど。
「まま先ず、話を聞いてっっ!」
BGMは再生しっ放しのヒーリングミュージック。噛み合わぬ緊張感が場に流れる。
ちぐはぐなそこへまた、リラックスしたミミボイスが乱入、対バン。
「私達も攻撃しないし、モンスターボールを投げたりもしないよお」
紳士な少年の背より高くサイリウムを振る如く、何も持っていないよと大きくアピールをしたなら。
平和なトーンで語り掛けられたその獣は拍子抜けした反応を見せた。
「まあまあ……ここで逢えたのも何かの縁だよ、少しお茶しない?」
彼女の調子にリズムを狂わされるのはピーニャも一緒だった。仲間の筈なんだが。お陰で無駄に張り詰めていた緊張の糸がへにゃへにゃ。
「……ナンパみたいな……」
いや、ま、バトルを回避できたのは善い展開か。
ふるるんと首を振りたてがみを後ろへ流した仔馬が、カッツカッツと蹄を鳴らしつつ近付いて来る。
ガラルのすがたのポニータの髪色は紫色から水色へのグラデーション、比率は5対5が通常だけれど、このこは水色の比率が高いようだ。
良かった。外傷が見当たらないのは にげあし が速いからかも知れない。
「はじめまして。私はミミ、皆の困った問題を解決していくお仕事、ポケモンレンジャーをしているよ」
彼女は腰を屈めてそのいっかくポケモンを出迎えた。
優秀な後輩は先輩に言われなくても出来る子。取り敢えず おいしいみず を注いだ皿を来客へ差し出した。
「こっちの白い帽子の子は、友達のピーニャくんね」
「ん、よろしくっ」
「君の事は……ポニータくん、でいいかな?」
ガッ!!
怒り露な後脚が地を蹴る。白い軌跡が空に描かれる。
「ふぁっ……!ミミくんこのこは何て!?ミックスオレご所望で!?」
「いや………………」
曰く、彼の性自認は女であると。
「♂だけど♀なんだって。このこ、ポニータちゃん」
「うん?……あ、そういう……へぇぇ」
ごめんねと謝罪して話を聞き出そうとする彼女。雄の彼女との遣り取りに男の子は不参加。小心者な大型犬マフィティフを宥めながら黙って耳を傾ける。
私は♂じゃないよ!心も体も夢見る乙女だよ!という発言は彼がミミの事をくん付けで呼ぶからだろう。
ボクも、女じゃないけどマジボスにピーちゃんってちゃん付けされてるよ。脳内で一人会話するピーニャ。
「ピーニャくん!ポニータちゃんがこの曲ね、『悪くなくてよ』ってよっ」
「あっ!はいっ!ど、どうも……?」
ビビリ状態から復活しつつある愛犬マフィティフの背後には、次は自分を撫でてと言わんばかりにニコニコモトトカゲがスタンバイしている。もう、何か、マイペースだな。
「本題ね。このエリアに君の種族が居るのって珍しいんだ。ここに居る理由を教えてもらえるかな?」
要約してピーニャにも伝えられた話だと、このポニータはトレーナーに逃がされた訳でも何でもない、どうやら只の旅好き。
空を掻く高層建築摩天楼、不夜城、人工物を見るのが趣味らしい。島国ガラル地方出立の際はアーマーガアへお願いして海を渡ったのだとか。行動力◎。
「な、成程……」
「あはは。だよねえ、まじか、ってなるよね。前代未聞のケースだよお」
旅の道中は捕まえられそうになったこと倒されそうになったこと何度もあったそうだ。それはそうだ、野生のポケモンとポケモントレーナーの出会いなんて話し合いの余地皆無、一触即発の果し合いなのだ。
それは前兆のない災害。群れや家族を散り散りにされた同胞を見てきたと語っている。胸が痛い胃が痛い。この件は優しい男の子には内緒だね。
「うん……うん……低レベルポケモンの1匹旅は危険だよ。
じゃあさあ、私と一緒に旅する?」
そう言って持ち出したカメラ1つ、旅をして来た各地方各都市の数々のメモリーを広げて見せれば、写真の概要は馬の耳に念仏。
釘付けになった双眸、そこにはビルの煌めきに負けないくらいの輝きがあった。
「ん、ポニータさん見えた?にぃにありがとう」
監視員からのテレパシー。その無言の報告は受信者の声を経由して拡散されて隣の仲間にも知らされた。
ピーニャはヘッドホンを肩へ戻す。
「良かった良かった。今日の音源のチョイスもピッタリだったってことね」
別に自分の仕事や彼女の事を信じていない訳ではない。それとこれとは別の思いの問題。ともあれ、期待を裏切らずに済んで何よりだった。
ほっと息を吐くDJ悪事の目の前に、いえあっ!と登場するのはハイタッチの構えのミミの掌だ。
「凄いやピーニャくん百発百中まじリスペクトっ」
「いやぁ~ミミくんが居てこそだってばぁ~~」
トントン拍子な作戦成功を喜ぶ2人は、右手と右手をポンとくっ付けて太鼓判を押し合って。その流れで彼は友の手を取った。軽く振り解ける程度の力で握った、控え気味な彼の手がきゅっと掴まれる。
「「………………」」
「「へへへへへっ」」
2人で作るガッツポーズ。
褒められたらこそばゆい気分になる性分は互いに同じ。完全一致で笑い声がハモる。共に顔は弛んでいた。
「って笑っている場合じゃないや話を聞かないと」
「ごめん、切り替えて行こう」
表情筋を引き締め切れないながらも本筋へ戻る職場の先輩。ピーニャも己も続かねばと。
するりと離した手でぺちぺちっと頬を叩いたら、その手に共有した熱も少しは冷まされるようだった。
「お出迎えお出迎ええっと……」
プレッシャーを与えてしまうミュウツーは一旦ボールにイン。ピーニャもワルビアル達へ警戒されないよう威嚇しないようにと指示を出す。
洞窟の外、闇の中から、月の光を身に纏って浮き上がる白い影が1つ。
その小さな影には人間と連れの存在へ臆する雰囲気等ない様子。子守唄に誘われるがまま意のままに、洞窟が開ける大きな口へ入って来た。
「おやあ、来てくれるねえ。大胆だなあ」
第一印象を述べるミミの数歩後ろを付いて行って、出番を終えているピーニャは袖から見学する。
あら御機嫌よう。
しゃなりそんな風に仔馬の長い睫毛が下へ上へ一往復して、アーモンド型の宝玉が真正面を見据えた。
「コホン。水色の御髪が美しいそこのポニータさ、!っあわわ危な」
声を発したのとほぼ同時だった。水色が月より白く目映く発光したかと思えば挨拶代わりに選択されたのは“たいあたり”。急な攻撃だがミミはバックステップで難なく避ける。
人が野生のポケモンに襲われることは珍しいことではないし、その為のパートナーポケモン。それに自然と直に密に接するポケモンレンジャーなら尚の事なパターンで。なので小慣れたアクションだった。でも。
「!、ミミくん、下がって……!」
あんなでもプロだし?とかそこまで思考は追い付かず、故に友達を庇うため愚直に前へ躍り出る。
そちらの方はアカデミー生、一般人。剥き身でモンスターと対峙するのは怖いだろうに。健気にも。
「ちょっ、待、攻撃は無しっ!」
及び腰になっていようが自分の格好なんか気にしていられるものか。手はピシッピシッとパー。グーと突き出して、敵対行為を行うポケモンと距離を取る。
そうするから、マスターに指一本も触れさせまいとマフィティフが厳戒態勢だ。尻尾は巻いているけど。
「まま先ず、話を聞いてっっ!」
BGMは再生しっ放しのヒーリングミュージック。噛み合わぬ緊張感が場に流れる。
ちぐはぐなそこへまた、リラックスしたミミボイスが乱入、対バン。
「私達も攻撃しないし、モンスターボールを投げたりもしないよお」
紳士な少年の背より高くサイリウムを振る如く、何も持っていないよと大きくアピールをしたなら。
平和なトーンで語り掛けられたその獣は拍子抜けした反応を見せた。
「まあまあ……ここで逢えたのも何かの縁だよ、少しお茶しない?」
彼女の調子にリズムを狂わされるのはピーニャも一緒だった。仲間の筈なんだが。お陰で無駄に張り詰めていた緊張の糸がへにゃへにゃ。
「……ナンパみたいな……」
いや、ま、バトルを回避できたのは善い展開か。
ふるるんと首を振りたてがみを後ろへ流した仔馬が、カッツカッツと蹄を鳴らしつつ近付いて来る。
ガラルのすがたのポニータの髪色は紫色から水色へのグラデーション、比率は5対5が通常だけれど、このこは水色の比率が高いようだ。
良かった。外傷が見当たらないのは にげあし が速いからかも知れない。
「はじめまして。私はミミ、皆の困った問題を解決していくお仕事、ポケモンレンジャーをしているよ」
彼女は腰を屈めてそのいっかくポケモンを出迎えた。
優秀な後輩は先輩に言われなくても出来る子。取り敢えず おいしいみず を注いだ皿を来客へ差し出した。
「こっちの白い帽子の子は、友達のピーニャくんね」
「ん、よろしくっ」
「君の事は……ポニータくん、でいいかな?」
ガッ!!
怒り露な後脚が地を蹴る。白い軌跡が空に描かれる。
「ふぁっ……!ミミくんこのこは何て!?ミックスオレご所望で!?」
「いや………………」
曰く、彼の性自認は女であると。
「♂だけど♀なんだって。このこ、ポニータちゃん」
「うん?……あ、そういう……へぇぇ」
ごめんねと謝罪して話を聞き出そうとする彼女。雄の彼女との遣り取りに男の子は不参加。小心者な大型犬マフィティフを宥めながら黙って耳を傾ける。
私は♂じゃないよ!心も体も夢見る乙女だよ!という発言は彼がミミの事をくん付けで呼ぶからだろう。
ボクも、女じゃないけどマジボスにピーちゃんってちゃん付けされてるよ。脳内で一人会話するピーニャ。
「ピーニャくん!ポニータちゃんがこの曲ね、『悪くなくてよ』ってよっ」
「あっ!はいっ!ど、どうも……?」
ビビリ状態から復活しつつある愛犬マフィティフの背後には、次は自分を撫でてと言わんばかりにニコニコモトトカゲがスタンバイしている。もう、何か、マイペースだな。
「本題ね。このエリアに君の種族が居るのって珍しいんだ。ここに居る理由を教えてもらえるかな?」
要約してピーニャにも伝えられた話だと、このポニータはトレーナーに逃がされた訳でも何でもない、どうやら只の旅好き。
空を掻く高層建築摩天楼、不夜城、人工物を見るのが趣味らしい。島国ガラル地方出立の際はアーマーガアへお願いして海を渡ったのだとか。行動力◎。
「な、成程……」
「あはは。だよねえ、まじか、ってなるよね。前代未聞のケースだよお」
旅の道中は捕まえられそうになったこと倒されそうになったこと何度もあったそうだ。それはそうだ、野生のポケモンとポケモントレーナーの出会いなんて話し合いの余地皆無、一触即発の果し合いなのだ。
それは前兆のない災害。群れや家族を散り散りにされた同胞を見てきたと語っている。胸が痛い胃が痛い。この件は優しい男の子には内緒だね。
「うん……うん……低レベルポケモンの1匹旅は危険だよ。
じゃあさあ、私と一緒に旅する?」
そう言って持ち出したカメラ1つ、旅をして来た各地方各都市の数々のメモリーを広げて見せれば、写真の概要は馬の耳に念仏。
釘付けになった双眸、そこにはビルの煌めきに負けないくらいの輝きがあった。
おしまい