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Tuesday Night Funkin' Mashup! ②
「うん……まぁ、こんなもんかな……」
15分。これは完成した楽曲の長さを表す値ではなくて、この1曲が完成するまでの時間を表した値だった。
詰めていた息をふーぅと吐き切ってヘッドホンを外すピーニャ。それに気付いたミミが柔らかい声で、お疲れ様、と労いの言葉を掛ける。
「もう完成?流石だね」
彼女の方も丁度、料理の後片付けを終えたところ。こっちも完成だよ、と投げた視線の先には大皿がある。
肉厚トマトスライスが主役のミミ流 ハイパーネオやさいサンド。皿にみっちりポケモンの匹数分+2個。ミミ流のサンドウィッチはバゲットで作らずロールパンで作るのが味噌だ。味噌は使っていないけれども。
「凄い美味しそうじゃん」
「ざっとこんなもんよお」
出来を褒められた料理長はへへんっと演技らしい演技で鼻を高くする。そんな彼女と彼女を中心とした光景に、褒めた側の彼の方が何だか心を擽られる感じだった。
テーブルに囓り付くピーニャのポケモン達はそわそわと落ち着きがないものの、我先にと言うような行儀の悪い真似はせぬ良いこ達。成熟期なミミのミュウツーは少し離れた位置から彼等の姿を見守っている。
「って……まあ、食材は切ってあったし、パンに塗って挟んだだけだけどね。あ、パンは切ったか」
「いやいや……良く言うっしょ、料理は見た目が大切、的な。8割9割は見た目が占めるらしいよ?」
ミミの証言。透かさずピーニャの反論。手でリズムを取るようにして話すのは彼の癖。
はへええ、なんて間抜け丸出しな声で貴方の話を聞いているよと相槌を打ちつつ、彼女は旅の共ミュウツーへ“ひやみず”の指示を飛ばす。
宙に生み出されたバスケットボールサイズの水球は冷水と言われはしたが適温に調節されている。ここでは只の洗い場だ。とても便利。
「ボクこの前、チーム・セギンの皆と きほんのサンド を作ったんだよね、分業じゃなくて1人1個」
「おお、楽しそう」
「うん!楽しかったし。
でもさ、出来たサンドウィッチを見比べたらさ、材料も分量も同じ筈なのに、美味しそうに見えたり……後はその……そう見えなかったりしたんだよ」
手を動かしながら話を咀嚼しながらなミミは目を左上へ遣りながら、ああわかるかも、とアカデミー生の青春譚への感想を述べた。
その目で見ているのは視覚的記憶。ガラル地方で土産を買った時の事を思い出していた。
「パン屋さんに並んだアップルパイは1番美味しそうなの探して選んだなあ……」
「そうそう、そういうこと。
ミミくんのサンドウィッチはいいね」
褒め殺されて悪い気はしない。素直に受け取った彼女は、ありがとうね、とだらしない笑顔を返す。
次いでに“ひやみず”で作ったおしぼりを提供先へ差し出せば、今度は彼が感謝の言葉を返したのだった。
「……じゃ、早速再生してみる?」
「しようしよう。
ネオやさいサンド もご賞味あれー」
ミュージック、スタート!
と同時にわっとサンドウィッチの前へ1列に整列し直すピーニャのポケモン達。配給受給は輪番制らしい。
「あぁ……世話まで任せてごめんね」
「良かろう。このくらい任せ給え」
気が大きくなっている点に関しては目を瞑って欲しい。するべきことはきちんとしている。はいどうぞはいどうぞーとパンを配る職人の手際はそこそこだ。
「ピーニャくん、学校の給食当番ってこんな感じ?」
「アカデミーの食堂はバイキングだよ、セルフだね」
「わあお……豪勢な学校だなあ……。
あ。おおい、にぃにも並んで並んでーっ」
それで以て皆へ行き渡ってから一斉の声で、いただきます。
バリバリムシャムシャ、新鮮な音がBGMに混ざる。だがそれも高々数十秒間のアンサンブル。ふっわふわもっちもちのロールパンサンドはあっと言う間に消えてなくなった。
「後はまったり急がず焦らず参ろうかあ」
「何してようかな……」
「私ちょっと、ベイクタウンのお皿のカタログを眺めているよ」
先程の、料理は見た目、という教えに倣って先ず食器のバリエーションを増やしておくつもりなのだろう。
明日金曜日の夜は、あの人の胃袋を掴む、一世一代のチャンスだから。
「ちょっと前にアカデミーで話題になってたけど、ポケモンを16×16ピクセルのドットでデザインしたお皿とかあるんだって」
「興味あるう……!探してみるねっ。かいじゅうアイコンとかピカチュウアイコンあるかなあっ」
了解したピーニャは推しのVTuberの動画を見ていることにして、スマホロトムへ声を掛けた。
PCの真横にドスンと座してモフンと膨らんだドンカラス、マスターの横でうとうとし始めたノクタス以外はボールで遊び始める。
各々が思い思いに過ごす協調性ない空間。ここは洞窟、加えて今は夜でもあるのだが、デバイスのライトやテーブル上のランタン、そこかしこに生す光苔やスパイス等のお陰か、ピーニャはキラキラ輝く宝箱の中にでも居る気分だった。
「んむう……GBドット懐かしい……」
「どれどれ?」
「これ」
「おぉ……へぇ……ピカチュウはわかるね。もう一匹はニドキング?」
「ふっふっふっ……ピカチュウはライチュウかも知れないしニドキングはルージュラかも知れないのだよ」
「えぇ……ぇどういうことなの……」
たまにジェネレーションギャップなトークを楽しんだりして、のんびりゆったり待ち惚け。チタンカップの底が見えてきたらマンサニージャをおかわり。
暫くして、遊び疲れたドドゲザンはマスターと一緒に動画を見ているし、ボールに飽きたマフィティフはモトトカゲとかけっこをしている。
ミュウツーはどうしているだろうかとミミは洞窟出入口の壁際を視界に収めた。
門番は相変わらず門番中。
近くにボールを持ったワルビアルがやって来て居るが、一匹狼気取りな彼は“めいそう”をして知らんぷりしている様子。ふむふむ。
「ワルビアルちゃん、それ狸寝入りだからボールぶつけていいよっ」
『………………』
そんな指示をされても。ワルビアルが遠慮がちに伝説ポケモンの足下へボールを転がせば、それは手前の小石にコツンと触れて止まった。
困った。失敗。実行犯が悪戯教唆犯へ体毎顔を向ける。
しんなりしてしまった表情と尻尾のその後ろ、やれやれ……と目を開けたミュウツーが、“ねんりき”でボールを拾っている姿がミミから見えた。
……おいおい、こっちがやれやれだよ きょうだい。満更でもない癖にい。
『………………』
バインッ!
「いたっ!」
見事、でこにぶつけられたボールはビニールボールなので、あまり痛くなかった。あまり、ね。
「うん……まぁ、こんなもんかな……」
15分。これは完成した楽曲の長さを表す値ではなくて、この1曲が完成するまでの時間を表した値だった。
詰めていた息をふーぅと吐き切ってヘッドホンを外すピーニャ。それに気付いたミミが柔らかい声で、お疲れ様、と労いの言葉を掛ける。
「もう完成?流石だね」
彼女の方も丁度、料理の後片付けを終えたところ。こっちも完成だよ、と投げた視線の先には大皿がある。
肉厚トマトスライスが主役のミミ流 ハイパーネオやさいサンド。皿にみっちりポケモンの匹数分+2個。ミミ流のサンドウィッチはバゲットで作らずロールパンで作るのが味噌だ。味噌は使っていないけれども。
「凄い美味しそうじゃん」
「ざっとこんなもんよお」
出来を褒められた料理長はへへんっと演技らしい演技で鼻を高くする。そんな彼女と彼女を中心とした光景に、褒めた側の彼の方が何だか心を擽られる感じだった。
テーブルに囓り付くピーニャのポケモン達はそわそわと落ち着きがないものの、我先にと言うような行儀の悪い真似はせぬ良いこ達。成熟期なミミのミュウツーは少し離れた位置から彼等の姿を見守っている。
「って……まあ、食材は切ってあったし、パンに塗って挟んだだけだけどね。あ、パンは切ったか」
「いやいや……良く言うっしょ、料理は見た目が大切、的な。8割9割は見た目が占めるらしいよ?」
ミミの証言。透かさずピーニャの反論。手でリズムを取るようにして話すのは彼の癖。
はへええ、なんて間抜け丸出しな声で貴方の話を聞いているよと相槌を打ちつつ、彼女は旅の共ミュウツーへ“ひやみず”の指示を飛ばす。
宙に生み出されたバスケットボールサイズの水球は冷水と言われはしたが適温に調節されている。ここでは只の洗い場だ。とても便利。
「ボクこの前、チーム・セギンの皆と きほんのサンド を作ったんだよね、分業じゃなくて1人1個」
「おお、楽しそう」
「うん!楽しかったし。
でもさ、出来たサンドウィッチを見比べたらさ、材料も分量も同じ筈なのに、美味しそうに見えたり……後はその……そう見えなかったりしたんだよ」
手を動かしながら話を咀嚼しながらなミミは目を左上へ遣りながら、ああわかるかも、とアカデミー生の青春譚への感想を述べた。
その目で見ているのは視覚的記憶。ガラル地方で土産を買った時の事を思い出していた。
「パン屋さんに並んだアップルパイは1番美味しそうなの探して選んだなあ……」
「そうそう、そういうこと。
ミミくんのサンドウィッチはいいね」
褒め殺されて悪い気はしない。素直に受け取った彼女は、ありがとうね、とだらしない笑顔を返す。
次いでに“ひやみず”で作ったおしぼりを提供先へ差し出せば、今度は彼が感謝の言葉を返したのだった。
「……じゃ、早速再生してみる?」
「しようしよう。
ネオやさいサンド もご賞味あれー」
ミュージック、スタート!
と同時にわっとサンドウィッチの前へ1列に整列し直すピーニャのポケモン達。配給受給は輪番制らしい。
「あぁ……世話まで任せてごめんね」
「良かろう。このくらい任せ給え」
気が大きくなっている点に関しては目を瞑って欲しい。するべきことはきちんとしている。はいどうぞはいどうぞーとパンを配る職人の手際はそこそこだ。
「ピーニャくん、学校の給食当番ってこんな感じ?」
「アカデミーの食堂はバイキングだよ、セルフだね」
「わあお……豪勢な学校だなあ……。
あ。おおい、にぃにも並んで並んでーっ」
それで以て皆へ行き渡ってから一斉の声で、いただきます。
バリバリムシャムシャ、新鮮な音がBGMに混ざる。だがそれも高々数十秒間のアンサンブル。ふっわふわもっちもちのロールパンサンドはあっと言う間に消えてなくなった。
「後はまったり急がず焦らず参ろうかあ」
「何してようかな……」
「私ちょっと、ベイクタウンのお皿のカタログを眺めているよ」
先程の、料理は見た目、という教えに倣って先ず食器のバリエーションを増やしておくつもりなのだろう。
明日金曜日の夜は、あの人の胃袋を掴む、一世一代のチャンスだから。
「ちょっと前にアカデミーで話題になってたけど、ポケモンを16×16ピクセルのドットでデザインしたお皿とかあるんだって」
「興味あるう……!探してみるねっ。かいじゅうアイコンとかピカチュウアイコンあるかなあっ」
了解したピーニャは推しのVTuberの動画を見ていることにして、スマホロトムへ声を掛けた。
PCの真横にドスンと座してモフンと膨らんだドンカラス、マスターの横でうとうとし始めたノクタス以外はボールで遊び始める。
各々が思い思いに過ごす協調性ない空間。ここは洞窟、加えて今は夜でもあるのだが、デバイスのライトやテーブル上のランタン、そこかしこに生す光苔やスパイス等のお陰か、ピーニャはキラキラ輝く宝箱の中にでも居る気分だった。
「んむう……GBドット懐かしい……」
「どれどれ?」
「これ」
「おぉ……へぇ……ピカチュウはわかるね。もう一匹はニドキング?」
「ふっふっふっ……ピカチュウはライチュウかも知れないしニドキングはルージュラかも知れないのだよ」
「えぇ……ぇどういうことなの……」
たまにジェネレーションギャップなトークを楽しんだりして、のんびりゆったり待ち惚け。チタンカップの底が見えてきたらマンサニージャをおかわり。
暫くして、遊び疲れたドドゲザンはマスターと一緒に動画を見ているし、ボールに飽きたマフィティフはモトトカゲとかけっこをしている。
ミュウツーはどうしているだろうかとミミは洞窟出入口の壁際を視界に収めた。
門番は相変わらず門番中。
近くにボールを持ったワルビアルがやって来て居るが、一匹狼気取りな彼は“めいそう”をして知らんぷりしている様子。ふむふむ。
「ワルビアルちゃん、それ狸寝入りだからボールぶつけていいよっ」
『………………』
そんな指示をされても。ワルビアルが遠慮がちに伝説ポケモンの足下へボールを転がせば、それは手前の小石にコツンと触れて止まった。
困った。失敗。実行犯が悪戯教唆犯へ体毎顔を向ける。
しんなりしてしまった表情と尻尾のその後ろ、やれやれ……と目を開けたミュウツーが、“ねんりき”でボールを拾っている姿がミミから見えた。
……おいおい、こっちがやれやれだよ きょうだい。満更でもない癖にい。
『………………』
バインッ!
「いたっ!」
見事、でこにぶつけられたボールはビニールボールなので、あまり痛くなかった。あまり、ね。
おしまい