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Tuesday Night Funkin' Mashup!
「このお茶美味しいな」
「いいっしょ。ボクん家じゃ定番はミツハニーのミツ入りね。パルデア人は皆毎日飲んでるよ」
カモミールから抽出された青リンゴ風の香りがほんわか仄かに広がる中、低めのトーンで囁かれる会話。
「……ゃ。やっぱり、皆とか毎日とか誇大広告かも……苦手な人だって絶対居るよね……?」
「気にし過ぎだって、大丈夫だよ。ふふ」
今から何をするのかと言うと、作曲がてらのピクニック。大きな空洞内にあった丁度な形の岩をテーブルとチェアにして、テーブルの上にPCと水筒、水筒の中身のハーブティー マンサニージャに舌鼓を打ちつつ主にピーニャが作曲作業をする予定。
ポケモンには好きな音や嫌いな音があり、そういった音を用いて出現率等々を調整することは良くある手法なのだ。これが割と効果的。更に彼の才能とミミの知識を以てすればそれは絶対的とすら言えるだろう。
「取り敢えずまあ、ピーニャくん、本日も1曲、最高にばっちりなやつをお願いね」
「OK.しっかり仕事させてもらうよ」
首に提げたヘッドホンの奥で起動音が鳴ると、PC所有者はキーボードへ向かった。
この鉱山地帯は至る所が穴だらけ、その無数の穴は野生のポケモン達のねぐらになっている。そんなこんな地で宿屋の店主チックな立場に居るミミズズに訊いたところ、ポニータもどこかの巣穴を借りていったそうで。
しかしながら、宿屋の全体像は蟻の巣の如き様相を呈していて。
「ここでローラー作戦を決行するのは三流よ。我々のような一流と一流が力を合わせれば――」
足で稼ぐだの靴底を減らすやり方では日が暮れるため日が昇る。詰まる所が、果報は寝て待て作戦だ。
作曲者はピーニャ a.k.a. DJ悪事。暇を持て余す知識担当の方は横で愛用のデジタルカメラを弄っている。
「――合わせれば……あっ駄目だ」
「えっ、ボク的には有りだと思ったけど……」
作戦変更?手を緩めつつ次なる指示を待つ悪事。首を傾げるようにして隣を窺っても、駄目発言の割に何でも無さ気な横顔がそこにあるだけだが。
「そっちじゃなくて。一流+一流=の合算だと二流になっちゃうなあと思ってさあ。掛け合わせないとだ」
それはツッコミなのかボケなのか。その感性が可笑しくて微笑ましくてピーニャはグフッと噴き出した。
恥、変な声出た。違うキー押した。
笑いを堪える癖があると、時に逆にこう、失礼な態度になって悪いなと気が咎める彼。笑われた側は大して気に留めていないがごめんごめんと謝った。笑ったままで、だけど。
「まぁ実際ミミくん一流ボク三流で間取って二流じゃん間違いじゃ「はあん?」
「何で怒、えっ、ごめんって!」
謙虚な少年には思い当たる節がないだろうが、言わずもがな、その謙遜に対しての無言の抗議だ。
カメラのレンズを磨こうとしていた手を、自分が止めてしまっている。許しを貰えていない少年は年長者の機嫌におどおどするばかり。
「ピーニャくんが作ったスター団の曲、私は全っ部大っ好きだよ。凄く物凄く尊敬しているんだけどっ?」
“ふいうち”。ミミに、顔をずいっと近付けられた。近付けられた分、思わず退がるピーニャ。
「へぁ!?ぁ、ありがとう……!今日も頑張る、から、ょ、よろしくぅ?」
自称一流の先輩による後輩のための啓発活動は以上。太鼓判を押された彼はドキメキやる気の気流に乗って作業を再開する。
の前に小休止。
モトトカゲを撫でると同時に自分の腹も撫でて、荒ぶるハートビートを落ち着かせてからね。
足下に寄り添うモトトカゲは主人のリュックを抱え込んで寛いでいる。
「……えっと、リクエストはルミナスメイズのもりのイメージね……具体的には?」
「そりゃ はっきり きっかり神秘って言葉が当て嵌まるね」
今回の捜索の対象ガラルポニータの好む音について、ここの感じがぽいかな、とミミが暗い洞窟の岩肌で光る苔へカメラを向けて説明する。ピーニャも顔を向けて確認する。
蛍光色翠色の苔はまるでテラスタルしているかのよう。ひでんスパイスの芽も淡く白く輝いていた。
「日中でも日の光が通らないくらい深あい森なんだけど、赤、緑、青……光るキノコがたっぷりあって」
パシャリ。と耳への触りが良い音を立ててカメラが風景を切り取る。
背面の液晶モニターへ移った風景を保存した彼女はそのまま過去の写真データを閲覧し始めた。
「神秘的じゃなくてもう、神秘そのものだよ。
あったあった写真これっ」
パッと華やぐ声色と共に肩をトンとぶつけてきた。痛、くはない。彼は今度こそは押し返す。
つばが当たらないよう帽子をずらしながら覗き込んだなら、華奢な手に持つ厳ついカメラには彼女の思い出が映し出されている。
「へぇ……嘘みたいな所……現実にあるんだ……」
参考にしてね、とピーニャへカメラを託したミミは本格的にすることがなくなった。
じゃあ、バイクの燃料になるサンドウィッチでもクラフトするかあ、と腰を上げて軽くストレッチするミミ。単語に反応したモトトカゲが顔を上げる。食いしん坊ちゃんめ。
「あ、ねぇミミくん。後さ、ポケモンこもりうたミックスしちゃうのはどうかな」
「おお。天才っ。DJ悪事様々っ。おやすみ中の野生のポケモンも居るだろうしねえ」
プロデューサーからは大きな頷きと賛同の声。クリエイターはえへえへと嬉しそうに眉を垂れた。
そして、資料を見る作業へ戻る。
「……ぁっ……DJ悪事ってボクの事かぁ……」
「「………………」」
「自分のDJネーム早く覚えなよお、悪事い……」
どこが悪事だこの野郎。森の写真のスライドショーに突如ピンクの魔女が現れて、その男の子が可愛らしい悲鳴を上げるのは今から数秒後の話だ。情けなや。
「このお茶美味しいな」
「いいっしょ。ボクん家じゃ定番はミツハニーのミツ入りね。パルデア人は皆毎日飲んでるよ」
カモミールから抽出された青リンゴ風の香りがほんわか仄かに広がる中、低めのトーンで囁かれる会話。
「……ゃ。やっぱり、皆とか毎日とか誇大広告かも……苦手な人だって絶対居るよね……?」
「気にし過ぎだって、大丈夫だよ。ふふ」
今から何をするのかと言うと、作曲がてらのピクニック。大きな空洞内にあった丁度な形の岩をテーブルとチェアにして、テーブルの上にPCと水筒、水筒の中身のハーブティー マンサニージャに舌鼓を打ちつつ主にピーニャが作曲作業をする予定。
ポケモンには好きな音や嫌いな音があり、そういった音を用いて出現率等々を調整することは良くある手法なのだ。これが割と効果的。更に彼の才能とミミの知識を以てすればそれは絶対的とすら言えるだろう。
「取り敢えずまあ、ピーニャくん、本日も1曲、最高にばっちりなやつをお願いね」
「OK.しっかり仕事させてもらうよ」
首に提げたヘッドホンの奥で起動音が鳴ると、PC所有者はキーボードへ向かった。
この鉱山地帯は至る所が穴だらけ、その無数の穴は野生のポケモン達のねぐらになっている。そんなこんな地で宿屋の店主チックな立場に居るミミズズに訊いたところ、ポニータもどこかの巣穴を借りていったそうで。
しかしながら、宿屋の全体像は蟻の巣の如き様相を呈していて。
「ここでローラー作戦を決行するのは三流よ。我々のような一流と一流が力を合わせれば――」
足で稼ぐだの靴底を減らすやり方では日が暮れるため日が昇る。詰まる所が、果報は寝て待て作戦だ。
作曲者はピーニャ a.k.a. DJ悪事。暇を持て余す知識担当の方は横で愛用のデジタルカメラを弄っている。
「――合わせれば……あっ駄目だ」
「えっ、ボク的には有りだと思ったけど……」
作戦変更?手を緩めつつ次なる指示を待つ悪事。首を傾げるようにして隣を窺っても、駄目発言の割に何でも無さ気な横顔がそこにあるだけだが。
「そっちじゃなくて。一流+一流=の合算だと二流になっちゃうなあと思ってさあ。掛け合わせないとだ」
それはツッコミなのかボケなのか。その感性が可笑しくて微笑ましくてピーニャはグフッと噴き出した。
恥、変な声出た。違うキー押した。
笑いを堪える癖があると、時に逆にこう、失礼な態度になって悪いなと気が咎める彼。笑われた側は大して気に留めていないがごめんごめんと謝った。笑ったままで、だけど。
「まぁ実際ミミくん一流ボク三流で間取って二流じゃん間違いじゃ「はあん?」
「何で怒、えっ、ごめんって!」
謙虚な少年には思い当たる節がないだろうが、言わずもがな、その謙遜に対しての無言の抗議だ。
カメラのレンズを磨こうとしていた手を、自分が止めてしまっている。許しを貰えていない少年は年長者の機嫌におどおどするばかり。
「ピーニャくんが作ったスター団の曲、私は全っ部大っ好きだよ。凄く物凄く尊敬しているんだけどっ?」
“ふいうち”。ミミに、顔をずいっと近付けられた。近付けられた分、思わず退がるピーニャ。
「へぁ!?ぁ、ありがとう……!今日も頑張る、から、ょ、よろしくぅ?」
自称一流の先輩による後輩のための啓発活動は以上。太鼓判を押された彼はドキメキやる気の気流に乗って作業を再開する。
の前に小休止。
モトトカゲを撫でると同時に自分の腹も撫でて、荒ぶるハートビートを落ち着かせてからね。
足下に寄り添うモトトカゲは主人のリュックを抱え込んで寛いでいる。
「……えっと、リクエストはルミナスメイズのもりのイメージね……具体的には?」
「そりゃ はっきり きっかり神秘って言葉が当て嵌まるね」
今回の捜索の対象ガラルポニータの好む音について、ここの感じがぽいかな、とミミが暗い洞窟の岩肌で光る苔へカメラを向けて説明する。ピーニャも顔を向けて確認する。
蛍光色翠色の苔はまるでテラスタルしているかのよう。ひでんスパイスの芽も淡く白く輝いていた。
「日中でも日の光が通らないくらい深あい森なんだけど、赤、緑、青……光るキノコがたっぷりあって」
パシャリ。と耳への触りが良い音を立ててカメラが風景を切り取る。
背面の液晶モニターへ移った風景を保存した彼女はそのまま過去の写真データを閲覧し始めた。
「神秘的じゃなくてもう、神秘そのものだよ。
あったあった写真これっ」
パッと華やぐ声色と共に肩をトンとぶつけてきた。痛、くはない。彼は今度こそは押し返す。
つばが当たらないよう帽子をずらしながら覗き込んだなら、華奢な手に持つ厳ついカメラには彼女の思い出が映し出されている。
「へぇ……嘘みたいな所……現実にあるんだ……」
参考にしてね、とピーニャへカメラを託したミミは本格的にすることがなくなった。
じゃあ、バイクの燃料になるサンドウィッチでもクラフトするかあ、と腰を上げて軽くストレッチするミミ。単語に反応したモトトカゲが顔を上げる。食いしん坊ちゃんめ。
「あ、ねぇミミくん。後さ、ポケモンこもりうたミックスしちゃうのはどうかな」
「おお。天才っ。DJ悪事様々っ。おやすみ中の野生のポケモンも居るだろうしねえ」
プロデューサーからは大きな頷きと賛同の声。クリエイターはえへえへと嬉しそうに眉を垂れた。
そして、資料を見る作業へ戻る。
「……ぁっ……DJ悪事ってボクの事かぁ……」
「「………………」」
「自分のDJネーム早く覚えなよお、悪事い……」
どこが悪事だこの野郎。森の写真のスライドショーに突如ピンクの魔女が現れて、その男の子が可愛らしい悲鳴を上げるのは今から数秒後の話だ。情けなや。
おしまい