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Tuesday Night Funkin'
「出番だよ!サイザー!」
ピケタウンを紹介する看板が立つ東3番エリアの入口で。PCリュックを下ろしたピーニャがリュックから出したモンスターボール、タイマーボールの中から現れたのは、イッツ ア ビッグなサイズのライドポケモン モトトカゲだ。
新品同様タンデム仕様ライドパーツをビシッと装着した彼は、誰の現在の姿をリスペクトしているのだか、何だか悪ぶった態度を取っている。
「サイザーくん今日はよろしくね」
ノーマルなスマイルと変哲ない挨拶に対しても、非行モドキトカゲは、安全運転で行くんで夜露死苦、と変にあくタイプぶるのだった。
ミュウツーは“バトンタッチ”と称して己のボールへカムバック済み。後はそちらの方に面倒見てもらいます、だそうだ。どこの女の子の面倒の事かなきょうだい。アイスあげたのに冷たいや。
「何故かマジボスだけ舐めるんだよね。ミミくんにもしないとは思うけど、注意しておいて」
「あいよお」
その行動は水分やミネラルの摂取だと思われる。ミミは汚部屋の住人ボタンへ風呂に入れと注意喚起しておこうと思った。
「シート拭くから、ちょい待って」
「はいはあい」
整理整頓されたリュックの中からスッと取り出す、丁寧に折り畳まれたマフラータオル。一旦広げて几帳面に2折3折と畳み直して、ピーニャが既に綺麗にしてあるシートを拭き始める。その隣、ミミはヘッドを撫でることにした。作業中は与太話。
「ミミくんもうちのアカデミーに入ればいいのに」
「年齢制限ないもんねえ。家庭科の授業は受けてみたいかなあ……」
「体験入学するっ?」
でっていう感じでプレゼン レペゼン パルデアアカデミー。すると、ついさっき安全運転を宣言した筈のモトトカゲが早速スリップ。
今日の昼にグラウンドでマスターとオルナントカとニケツの練習をしてサンドウィッチが美味しかったと口を滑らせるそのポケモン。マスターが貰い事故。
「ぉぅ………………」
ペロンと口回りを舐めたその舌にも人懐こいその目にも悪意はないし、被害者本人がまだ巻き込まれ事故に気付いていない。
君のマスターは本当に生真面目だねえ、と彼女は小さな口に手を当ててこっそりと笑った。しかし。
「ミミくん?」
ばれた。
ポヨーンと跳ねればその姿はまるで蛇に驚いた猫のよう。くふくふと歯を見せて笑われる。
「Oh! ピーニャくん座席の隙間の汚れWatchは?」
「それ何構文?セイジ先生みたいになってない?」
他人の目を気にしがちな白い帽子の男の子は、そういうことには敏感で繊細なのだ。悪口かも。陰口かも。それも自分の事かも知れない。ミミの人となりを良く知らない内は一人で気に病んだりもしたらしい。
だが彼女の言葉に触れ続けた今の彼は全てが杞憂だと理解できている。
「答えなくてもいいんだけどさ――」
でも、それはそれ、これはこれ、次は違う感情の話。好きな友達の隠し事は気になるものだ。
ピーニャはタオルを正しく戻しつつ話を続ける。彼女から目を外す些細な行動さえ自分の女々しさから目を逸らしたようで悲しくなった。
「――2人で何話してたの?」
知りたい。隠さないでほしい。心のどこかで訊かれるのは嫌かなと相手の事を慮りながら、心を開いた相手だからこそこうして開けっ広げに声にする。
ま、やっぱり杞憂なんだけれども。
会話は言葉のキャッチボールだとかいうのに、飛んで行った弱気な声はミミがカキーンと打ち負かした。
「2人乗りの予行練習をして来たって言うから、可愛い可愛いねって話を」
「………………。えっ」
ピッチャー強襲の打球を捕り損ねた投手は間抜け面を晒す羽目に。
可愛い可愛いね。
うにょーんと距離を詰めてちょいと意地悪にリピートして。線の細い彼の二の腕に“つつく”をすればつんつんつつかれたピーニャは仔鹿のようにぷるぷると震え出す。
「Fxxkin'!!ばらさないでよサイザー……!カッコワルいじゃんか……!」
そのギャップよ。好きな音楽の方向性の影響で真面目に見えてふとした瞬間顔を出す悪態。あはははと腹を抱えて笑うミミに、口元に残した手一つで大きく開いた口を隠すことは無理だった。
怒られている理由もわからぬ人好きモトトカゲはケロンとしたまま愛嬌ある目でマスターを見遣る。
「ちょ、ミミくんミミくんからサイザーに伝えてくんないっ!?」
1人が笑っているものだから、そのポケモンもプラスの引力に惹かれて陽気でお喋りになっている。
待って待って。
そう言ったのに聞く耳は持たれず肩を掴まれ揺すられつつ、笑いながら彼女が言った。
「サイザーが『ポケモンウォッシュ サンキュー』ってよ」
未だ止まぬ笑いがマスターの不安を煽っていく。
「『今日は何回もした』ってね」
「またっ……!
もーっ!そういうのは隠してて!」
“わるあがき”の見ざる選択。大きな両の手でバチーンと音が出るくらいの勢いで真っ赤な顔を覆い隠す。多分その所為で顔の赤みは増している。
「隠さなくていいじゃん。そこが君のいいところだよっ!」
夜のドライブはこれからだ。今夜は楽しく行こうぜ!
「出番だよ!サイザー!」
ピケタウンを紹介する看板が立つ東3番エリアの入口で。PCリュックを下ろしたピーニャがリュックから出したモンスターボール、タイマーボールの中から現れたのは、イッツ ア ビッグなサイズのライドポケモン モトトカゲだ。
新品同様タンデム仕様ライドパーツをビシッと装着した彼は、誰の現在の姿をリスペクトしているのだか、何だか悪ぶった態度を取っている。
「サイザーくん今日はよろしくね」
ノーマルなスマイルと変哲ない挨拶に対しても、非行モドキトカゲは、安全運転で行くんで夜露死苦、と変にあくタイプぶるのだった。
ミュウツーは“バトンタッチ”と称して己のボールへカムバック済み。後はそちらの方に面倒見てもらいます、だそうだ。どこの女の子の面倒の事かなきょうだい。アイスあげたのに冷たいや。
「何故かマジボスだけ舐めるんだよね。ミミくんにもしないとは思うけど、注意しておいて」
「あいよお」
その行動は水分やミネラルの摂取だと思われる。ミミは汚部屋の住人ボタンへ風呂に入れと注意喚起しておこうと思った。
「シート拭くから、ちょい待って」
「はいはあい」
整理整頓されたリュックの中からスッと取り出す、丁寧に折り畳まれたマフラータオル。一旦広げて几帳面に2折3折と畳み直して、ピーニャが既に綺麗にしてあるシートを拭き始める。その隣、ミミはヘッドを撫でることにした。作業中は与太話。
「ミミくんもうちのアカデミーに入ればいいのに」
「年齢制限ないもんねえ。家庭科の授業は受けてみたいかなあ……」
「体験入学するっ?」
でっていう感じでプレゼン レペゼン パルデアアカデミー。すると、ついさっき安全運転を宣言した筈のモトトカゲが早速スリップ。
今日の昼にグラウンドでマスターとオルナントカとニケツの練習をしてサンドウィッチが美味しかったと口を滑らせるそのポケモン。マスターが貰い事故。
「ぉぅ………………」
ペロンと口回りを舐めたその舌にも人懐こいその目にも悪意はないし、被害者本人がまだ巻き込まれ事故に気付いていない。
君のマスターは本当に生真面目だねえ、と彼女は小さな口に手を当ててこっそりと笑った。しかし。
「ミミくん?」
ばれた。
ポヨーンと跳ねればその姿はまるで蛇に驚いた猫のよう。くふくふと歯を見せて笑われる。
「Oh! ピーニャくん座席の隙間の汚れWatchは?」
「それ何構文?セイジ先生みたいになってない?」
他人の目を気にしがちな白い帽子の男の子は、そういうことには敏感で繊細なのだ。悪口かも。陰口かも。それも自分の事かも知れない。ミミの人となりを良く知らない内は一人で気に病んだりもしたらしい。
だが彼女の言葉に触れ続けた今の彼は全てが杞憂だと理解できている。
「答えなくてもいいんだけどさ――」
でも、それはそれ、これはこれ、次は違う感情の話。好きな友達の隠し事は気になるものだ。
ピーニャはタオルを正しく戻しつつ話を続ける。彼女から目を外す些細な行動さえ自分の女々しさから目を逸らしたようで悲しくなった。
「――2人で何話してたの?」
知りたい。隠さないでほしい。心のどこかで訊かれるのは嫌かなと相手の事を慮りながら、心を開いた相手だからこそこうして開けっ広げに声にする。
ま、やっぱり杞憂なんだけれども。
会話は言葉のキャッチボールだとかいうのに、飛んで行った弱気な声はミミがカキーンと打ち負かした。
「2人乗りの予行練習をして来たって言うから、可愛い可愛いねって話を」
「………………。えっ」
ピッチャー強襲の打球を捕り損ねた投手は間抜け面を晒す羽目に。
可愛い可愛いね。
うにょーんと距離を詰めてちょいと意地悪にリピートして。線の細い彼の二の腕に“つつく”をすればつんつんつつかれたピーニャは仔鹿のようにぷるぷると震え出す。
「Fxxkin'!!ばらさないでよサイザー……!カッコワルいじゃんか……!」
そのギャップよ。好きな音楽の方向性の影響で真面目に見えてふとした瞬間顔を出す悪態。あはははと腹を抱えて笑うミミに、口元に残した手一つで大きく開いた口を隠すことは無理だった。
怒られている理由もわからぬ人好きモトトカゲはケロンとしたまま愛嬌ある目でマスターを見遣る。
「ちょ、ミミくんミミくんからサイザーに伝えてくんないっ!?」
1人が笑っているものだから、そのポケモンもプラスの引力に惹かれて陽気でお喋りになっている。
待って待って。
そう言ったのに聞く耳は持たれず肩を掴まれ揺すられつつ、笑いながら彼女が言った。
「サイザーが『ポケモンウォッシュ サンキュー』ってよ」
未だ止まぬ笑いがマスターの不安を煽っていく。
「『今日は何回もした』ってね」
「またっ……!
もーっ!そういうのは隠してて!」
“わるあがき”の見ざる選択。大きな両の手でバチーンと音が出るくらいの勢いで真っ赤な顔を覆い隠す。多分その所為で顔の赤みは増している。
「隠さなくていいじゃん。そこが君のいいところだよっ!」
夜のドライブはこれからだ。今夜は楽しく行こうぜ!
おしまい