Gotcha!
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ダンジョンを進もう!
「この先は……バックヤード、かなあ……?」
「……多分……」
奥へ奥へと導かれて来た二人。そこよりももっと深い所、開け放たれたスイングドアの先に待ち構えているのは、大きくて、厚い、重い、どす黒い空間だった。それを黒い壁だと形容するには閉塞感がなさ過ぎたし、黒い布だと形容するには圧迫感があり過ぎた。
例えようもない、唯の黒。外界からの明かりの望みが薄い位置だからといったって、境界線手前こっち側の闇には陰影くらいあるというのに。あっち側の暗さは異常だった。
ミミはこちらにあるピカチュウやマリルのぬいぐるみとゲンガーらをちらっと見た後あちらを見遣る。
「ぬう……真っ暗っていうか、真っ黒……」
まるでその部分だけが切り取られたかのようにぽっかりと、黒が浮いている。目を凝らしてみても何っにも見えない。その内部に何があるのか全くわからない。その部屋がバックヤードだと思うという憶測はその域を出そうになかった。
「………………」
しかし、そこに並び立っているのは大胆不敵な歴戦の冒険者共なのだ。
嫌な感じはしない、と安全性を嗅ぎ分けたレッドが次に取った行動は、人体実験。矢庭に無遠慮に混沌の中へ片手を突っ込んだ。
「………………」
ぞんッ、と喰われたかのように消え失せた彼の手首だが、引っこ抜いてみれば無事にくっ付いている。二三度ぶらぶらと揺らして確認。ポロッと落ちたりすることはなさそう。
レッドはミミへ目を向ける。一見無表情に見える眼の奥底に冒険心を灯しながら。
「……どうしようか……」
引き返そうか?なんてニュアンスは含まれていないこの問い掛け、これはここを一緒に突破できるかという相談に他ならない。
んんとね、と相槌を打つ少々慎重派な彼女は鞄を触りつつ考える。回復アイテムに不足なし。ムウマージやピカチュウ達は体力が満タンだ。彼が楽しみにしているミミッキュの影も未だ捉えていないので、まだまだ足掻きたいところ。
「うん。ま、何が起きても、何とかなるかな」
「……うん、何とかする」
「よおし。
とりあえずここは、はぐれないように手を繋いで入ろう」
柔らかに差し出された手を取って、だが男は突っ立ったままで、彼女が言ったこと頭の端っこ隅っこに引っ掛かった言葉に逡巡を巡らす。
はぐれないように。
今一度今度は自分の声で呟くように繰り返せば身体が勝手に呼応して、小さな手を包む大きな手にぎっと力が入った。
「レッドくん?どうかした?」
「……あの、……。ミミちゃん……」
大好きなその子と離れ離れになるのは嫌なのだ。最悪の可能性が微粒子レベルででも存在するならより確かな方法で行かせてもらおうと決める男の子。
「抱っこしていい?」
「………………」
「………………」
時空が歪んだかな?
「……みぅ……」
「………………」
「ごめん変な声が出た。あ、あい、お願いしますです」
「うん……。じゃ、失礼します」
微々たる差だろうと微差なかろうともその方が彼は物凄く安心できた。
ので早速、俵担ぎ。をした無礼千万な野郎の背中は女の平手にバンバンとぶたれた。何か、駄目らしい。
「いやいや、これ、頭に血が上るって!」
思っていたのと違う!現状に乙女心的には違った意味でも頭に血が上ると怒っていい案件なのだが。レッドがレッドであるように、また、ミミもミミである。ツッコミどころがずれていた。
因みにアローラ地方ポケモンライドのカイリキー達は“おひめさまだっこ”をしてくれる紳士だ。戦士気質な此奴と違って。
「ぇ。と、……こう?」
「ゎ」
本気めな拒否反応に対して真面目に対応するももう下ろす気がないため下ろさないまま体勢変更。小柄とはいえ成人女性を腕一本で抱えられるのは彼の剛力の為せる業、レッドは縦抱きをしてみる。
「どう?」
「だ、大丈夫……っ」
片手は空けておきたいソロプレイヤーの頭の中に“おひめさまだっこ”のおの字もないことなぞ百も承知のミミは不承不承ながらも了承した。
そんなミミの両の手はハムスターか何かの小動物さながらにキュッと縮こまっている。
(はわわわわあっ!私のお尻の下にレッドくんの生の腕がっ!すっごいでっかいぶっといかったいえっちい「だ、大丈夫……?落ち着いて……?」
「うい。おちけつ」
顔にまで駄々漏れな心の声には流石の朴念仁もストップを掛けた。
そして支える方の逆の手で、彼女の可愛い手を優しくほどく。
「……しっかり掴まってて」
「うんっ」
「――っ!!」
がっちりホールドされたのは、頭。まあ、高さ的にそこしかないし仕方がない。だから、彼女の元気な豊満が頬に当たるのも仕方がないのだ!
勿怪の幸い。ふやけそうになる顔を赤色の帽子で隠しつつ色々な意味でドキドキしつつ、でも足腰と意思は確とレッドは一歩前へ踏み出した。
ゲッゲッゲッ。背後に送られる嘲笑めいた声援へ向けてはミミが苦笑と共にペコペコ頭を下げる。
「お、お騒がせしましたあ……」
人間男女二人の痴話喧嘩を遠くから観察していたゲンガーは、食える物を探してその場を離れていった。
「この先は……バックヤード、かなあ……?」
「……多分……」
奥へ奥へと導かれて来た二人。そこよりももっと深い所、開け放たれたスイングドアの先に待ち構えているのは、大きくて、厚い、重い、どす黒い空間だった。それを黒い壁だと形容するには閉塞感がなさ過ぎたし、黒い布だと形容するには圧迫感があり過ぎた。
例えようもない、唯の黒。外界からの明かりの望みが薄い位置だからといったって、境界線手前こっち側の闇には陰影くらいあるというのに。あっち側の暗さは異常だった。
ミミはこちらにあるピカチュウやマリルのぬいぐるみとゲンガーらをちらっと見た後あちらを見遣る。
「ぬう……真っ暗っていうか、真っ黒……」
まるでその部分だけが切り取られたかのようにぽっかりと、黒が浮いている。目を凝らしてみても何っにも見えない。その内部に何があるのか全くわからない。その部屋がバックヤードだと思うという憶測はその域を出そうになかった。
「………………」
しかし、そこに並び立っているのは大胆不敵な歴戦の冒険者共なのだ。
嫌な感じはしない、と安全性を嗅ぎ分けたレッドが次に取った行動は、人体実験。矢庭に無遠慮に混沌の中へ片手を突っ込んだ。
「………………」
ぞんッ、と喰われたかのように消え失せた彼の手首だが、引っこ抜いてみれば無事にくっ付いている。二三度ぶらぶらと揺らして確認。ポロッと落ちたりすることはなさそう。
レッドはミミへ目を向ける。一見無表情に見える眼の奥底に冒険心を灯しながら。
「……どうしようか……」
引き返そうか?なんてニュアンスは含まれていないこの問い掛け、これはここを一緒に突破できるかという相談に他ならない。
んんとね、と相槌を打つ少々慎重派な彼女は鞄を触りつつ考える。回復アイテムに不足なし。ムウマージやピカチュウ達は体力が満タンだ。彼が楽しみにしているミミッキュの影も未だ捉えていないので、まだまだ足掻きたいところ。
「うん。ま、何が起きても、何とかなるかな」
「……うん、何とかする」
「よおし。
とりあえずここは、はぐれないように手を繋いで入ろう」
柔らかに差し出された手を取って、だが男は突っ立ったままで、彼女が言ったこと頭の端っこ隅っこに引っ掛かった言葉に逡巡を巡らす。
はぐれないように。
今一度今度は自分の声で呟くように繰り返せば身体が勝手に呼応して、小さな手を包む大きな手にぎっと力が入った。
「レッドくん?どうかした?」
「……あの、……。ミミちゃん……」
大好きなその子と離れ離れになるのは嫌なのだ。最悪の可能性が微粒子レベルででも存在するならより確かな方法で行かせてもらおうと決める男の子。
「抱っこしていい?」
「………………」
「………………」
時空が歪んだかな?
「……みぅ……」
「………………」
「ごめん変な声が出た。あ、あい、お願いしますです」
「うん……。じゃ、失礼します」
微々たる差だろうと微差なかろうともその方が彼は物凄く安心できた。
ので早速、俵担ぎ。をした無礼千万な野郎の背中は女の平手にバンバンとぶたれた。何か、駄目らしい。
「いやいや、これ、頭に血が上るって!」
思っていたのと違う!現状に乙女心的には違った意味でも頭に血が上ると怒っていい案件なのだが。レッドがレッドであるように、また、ミミもミミである。ツッコミどころがずれていた。
因みにアローラ地方ポケモンライドのカイリキー達は“おひめさまだっこ”をしてくれる紳士だ。戦士気質な此奴と違って。
「ぇ。と、……こう?」
「ゎ」
本気めな拒否反応に対して真面目に対応するももう下ろす気がないため下ろさないまま体勢変更。小柄とはいえ成人女性を腕一本で抱えられるのは彼の剛力の為せる業、レッドは縦抱きをしてみる。
「どう?」
「だ、大丈夫……っ」
片手は空けておきたいソロプレイヤーの頭の中に“おひめさまだっこ”のおの字もないことなぞ百も承知のミミは不承不承ながらも了承した。
そんなミミの両の手はハムスターか何かの小動物さながらにキュッと縮こまっている。
(はわわわわあっ!私のお尻の下にレッドくんの生の腕がっ!すっごいでっかいぶっといかったいえっちい「だ、大丈夫……?落ち着いて……?」
「うい。おちけつ」
顔にまで駄々漏れな心の声には流石の朴念仁もストップを掛けた。
そして支える方の逆の手で、彼女の可愛い手を優しくほどく。
「……しっかり掴まってて」
「うんっ」
「――っ!!」
がっちりホールドされたのは、頭。まあ、高さ的にそこしかないし仕方がない。だから、彼女の元気な豊満が頬に当たるのも仕方がないのだ!
勿怪の幸い。ふやけそうになる顔を赤色の帽子で隠しつつ色々な意味でドキドキしつつ、でも足腰と意思は確とレッドは一歩前へ踏み出した。
ゲッゲッゲッ。背後に送られる嘲笑めいた声援へ向けてはミミが苦笑と共にペコペコ頭を下げる。
「お、お騒がせしましたあ……」
人間男女二人の痴話喧嘩を遠くから観察していたゲンガーは、食える物を探してその場を離れていった。
おしまい