Gotcha!
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レッドの道程
「お!島が見えてきたな」
「早く会いたいな……」
太陽がサンサンと照り輝くここは、アローラ地方。の海の上。デボンのぼんぼんとミミが手配したふねのチケットを使い、旅客船のデッキにレッドとグリーンは居た。
ダイゴとミミの関係については、年の離れた幼馴染さ、と男性側からの証言もあって2人の気分も幾分か明るい。
船の速度に合わせて動く潮風が髪を撫でてゆく。心地良い。
「………………」
おもむろに一つのモンスターボールを振りかぶる赤い帽子の成人男性、その腕を同年齢の保護者が素早く且静かに取り押さえた。稚拙な計画は阻止される。
グリーンにはわかる。レッドは自分のポケモンの“なみのり”で一刻も早くミミに会いに行こうとしていたのだ。ボール上部の透明な赤色の奥に出端を挫かれたラプラスの姿とその頭上に浮かぶクエスチョンマークが見える。
ごめんねラプラス出番はまだです。
因みにピカチュウは乗物酔いをするのでモンスターボールで留守番中。
ボール内は力学的エネルギー等々を無効化する快適空間だ。トレーナーが野性的な動きをしてもポケモンが目を回すことはない。
「……何で……じゃあリザードン?」
「駄目だっつの。
アローラじゃ貸し出されるポケモンにしか乗れねーからな」
はあ、と溜息の塊を一気に吐いて恋患い。レッドは柵に腕を掛けて体を預ける。遠くをぼうっと見詰める彼の眼差しは憂いを帯びていた。
緩慢に進む船の終着地アーカラじまには大自然の色以外に人工物の形が見え始めてきている。
グリーンは、んーっと伸びをした。
「じゃー俺も下船の準備するかー。
何号室だったっけ?」
「1203号室だよ」
長年の旅の功かマップを覚えることには長けているレッド。
人のことも覚えておけ、とグリーンは思わなくもない。乗船前にクチバシティで偶然遭遇したジムリーダーマチスを覚えていないことには本当に驚愕した。同時に想い人ミミが特別な存在であると強調された訳だが。
「ポケモン達も迎えに行ってくるわ。マッサージって何階?」
「6階」
「サンキュ」
そうだ!思い立った瞳に光が瞬く。
「フーディンの“テレポート”は?」
「おま……よく思い付くな……。でも今は船客だし道徳的に貸し出せねーよ」
レッドの彼女に対する情熱は再会を目前にして不完全燃焼している。
駄目駄目却下却下と手で払って軽くあしらったグリーンだが、彼は少し急ぎ足でその場を後にした。
「………………」
レッドは、ここにはいないエーフィのことを思い出す。カントー地方を旅して出会いリーグ殿堂入を成した仲間の一匹で、母に気に入られて今は実家で便利屋をしているエスパータイプのポケモン。
開かない瓶の蓋を“ねんりき”を使って開けてもらったりと日常的なところで助けられているらしい。
つい先日帰宅した際は艶々の毛並で出迎えられた。いいポケモンフードを食べているようだ。
エーフィはイーブイからなつき進化したポケモンで、ぐるぐるごろごろと喉を鳴らしてはさらさらすりすりしてきてくれた。かわいい。
「………………」
……そんなことより後何分何秒待てばいいのだろうか。無論これは同行者がここに戻るまでの話ではなくて船があそこに着くまでの話だ。
トン、トン、と規則的に、レッドは走り出せない足を動かす。
波に乗ってメノクラゲ達が島の方へ流れていく。
「………………?」
どうも船が航行を停止しているようだった。
カンタイシティの街並を視認できる距離まで辿り着いたのに嗚呼無情。
何故だと口をへの字に曲げるレッドの下に、グリーンがポケモンと荷物と共に情報を持って戻ってきた。
「おい、港の方でやせいのラプラスが求愛中だから、邪魔しねーように停船するってよ」
「は?」
「アローラのラプラスの保護活動だとか何とかで」
「……僕もミミちゃんに求愛したいのに……」
「求愛はどうかと思う」
「………………」
がむしゃらボーイの沈黙に嫌な予感を感じるグリーン。代わりに周りの旅客の声が耳に入ってくる。暢気な意見が多い中、程度の差はあるが次の予定の時間に困っている人もいるようだ。
結婚式に遅れる!
生まれる!
ここで!?逆にタイミングが良過ぎね!?グリーンがツッコミたくなる会話が聞こえてきて。
「倒してくる」
しかしそれはあくまで自分の為に。その男に他人の会話は聞こえない。
純粋な恋の炎を宿す男は穏やかな海へ迷いなく飛び込んだ。誰かが止めに入る隙はなかった。
高さ五十数m、悲鳴が上がる。
「レッド!」
勿論無傷。
「行くよラプラス」
彼が繰り出すオスのラプラスもやる気満々こちらは嫉み妬みの煤けた炎に燃えている。
恋にゼンリョクの1人と1匹が路を切り開くまで時間はかからなさそうだ。
「お!島が見えてきたな」
「早く会いたいな……」
太陽がサンサンと照り輝くここは、アローラ地方。の海の上。デボンのぼんぼんとミミが手配したふねのチケットを使い、旅客船のデッキにレッドとグリーンは居た。
ダイゴとミミの関係については、年の離れた幼馴染さ、と男性側からの証言もあって2人の気分も幾分か明るい。
船の速度に合わせて動く潮風が髪を撫でてゆく。心地良い。
「………………」
おもむろに一つのモンスターボールを振りかぶる赤い帽子の成人男性、その腕を同年齢の保護者が素早く且静かに取り押さえた。稚拙な計画は阻止される。
グリーンにはわかる。レッドは自分のポケモンの“なみのり”で一刻も早くミミに会いに行こうとしていたのだ。ボール上部の透明な赤色の奥に出端を挫かれたラプラスの姿とその頭上に浮かぶクエスチョンマークが見える。
ごめんねラプラス出番はまだです。
因みにピカチュウは乗物酔いをするのでモンスターボールで留守番中。
ボール内は力学的エネルギー等々を無効化する快適空間だ。トレーナーが野性的な動きをしてもポケモンが目を回すことはない。
「……何で……じゃあリザードン?」
「駄目だっつの。
アローラじゃ貸し出されるポケモンにしか乗れねーからな」
はあ、と溜息の塊を一気に吐いて恋患い。レッドは柵に腕を掛けて体を預ける。遠くをぼうっと見詰める彼の眼差しは憂いを帯びていた。
緩慢に進む船の終着地アーカラじまには大自然の色以外に人工物の形が見え始めてきている。
グリーンは、んーっと伸びをした。
「じゃー俺も下船の準備するかー。
何号室だったっけ?」
「1203号室だよ」
長年の旅の功かマップを覚えることには長けているレッド。
人のことも覚えておけ、とグリーンは思わなくもない。乗船前にクチバシティで偶然遭遇したジムリーダーマチスを覚えていないことには本当に驚愕した。同時に想い人ミミが特別な存在であると強調された訳だが。
「ポケモン達も迎えに行ってくるわ。マッサージって何階?」
「6階」
「サンキュ」
そうだ!思い立った瞳に光が瞬く。
「フーディンの“テレポート”は?」
「おま……よく思い付くな……。でも今は船客だし道徳的に貸し出せねーよ」
レッドの彼女に対する情熱は再会を目前にして不完全燃焼している。
駄目駄目却下却下と手で払って軽くあしらったグリーンだが、彼は少し急ぎ足でその場を後にした。
「………………」
レッドは、ここにはいないエーフィのことを思い出す。カントー地方を旅して出会いリーグ殿堂入を成した仲間の一匹で、母に気に入られて今は実家で便利屋をしているエスパータイプのポケモン。
開かない瓶の蓋を“ねんりき”を使って開けてもらったりと日常的なところで助けられているらしい。
つい先日帰宅した際は艶々の毛並で出迎えられた。いいポケモンフードを食べているようだ。
エーフィはイーブイからなつき進化したポケモンで、ぐるぐるごろごろと喉を鳴らしてはさらさらすりすりしてきてくれた。かわいい。
「………………」
……そんなことより後何分何秒待てばいいのだろうか。無論これは同行者がここに戻るまでの話ではなくて船があそこに着くまでの話だ。
トン、トン、と規則的に、レッドは走り出せない足を動かす。
波に乗ってメノクラゲ達が島の方へ流れていく。
「………………?」
どうも船が航行を停止しているようだった。
カンタイシティの街並を視認できる距離まで辿り着いたのに嗚呼無情。
何故だと口をへの字に曲げるレッドの下に、グリーンがポケモンと荷物と共に情報を持って戻ってきた。
「おい、港の方でやせいのラプラスが求愛中だから、邪魔しねーように停船するってよ」
「は?」
「アローラのラプラスの保護活動だとか何とかで」
「……僕もミミちゃんに求愛したいのに……」
「求愛はどうかと思う」
「………………」
がむしゃらボーイの沈黙に嫌な予感を感じるグリーン。代わりに周りの旅客の声が耳に入ってくる。暢気な意見が多い中、程度の差はあるが次の予定の時間に困っている人もいるようだ。
結婚式に遅れる!
生まれる!
ここで!?逆にタイミングが良過ぎね!?グリーンがツッコミたくなる会話が聞こえてきて。
「倒してくる」
しかしそれはあくまで自分の為に。その男に他人の会話は聞こえない。
純粋な恋の炎を宿す男は穏やかな海へ迷いなく飛び込んだ。誰かが止めに入る隙はなかった。
高さ五十数m、悲鳴が上がる。
「レッド!」
勿論無傷。
「行くよラプラス」
彼が繰り出すオスのラプラスもやる気満々こちらは嫉み妬みの煤けた炎に燃えている。
恋にゼンリョクの1人と1匹が路を切り開くまで時間はかからなさそうだ。
おしまい