Gotcha!
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ポケモンを探そう!
ワクワクするねっ……。
……うん……。
スーパーマーケットの跡地、入口。二人は目的地に到着した。到る道々で聞こえていた生物達の賑やかしも糸を断つようにブツリと消え失せ、この場においては自らが発する声も自ずと小さなものとなっていった。
暗然たる雰囲気がそうさせているには違いないがこの二人の場合は恐怖でなく、野生生物を観察するため、観察対象をできうる限り驚かさないようにするためのちっぽけな配慮である。
動かぬ自動ドアの向こう側をミミが覗こうとしているが、ガラスにはスモークフィルムが貼られており中の様子は窺えない。後付されたそれはここの住人達の為、遮光や遮熱、後はもしもの時の飛散防止の役目を果たしているものと思われる。
レッドが自動ドアに手を掛ければ、手動式に切り換えてある元自動ドアは大きな抵抗もせずカラカラと口を開けた。
お邪魔しまあす……。
………………。
陽光が煜く眩い外から一転して、内側は暗がりしか存在せぬ陰鬱とした世界。
くっきりと分け隔てられた光と影の境を探索者達の足が越える。
あれ……?何だか、涼しいね……?
……ポケモンの仕業かな……。
恐らくでんきタイプのわざを使える者が空調設備を操作中なのだろう。常夏の島、快晴の昼、閉め切られていた筈の空間は思いの外暑苦しい所ではなかった。
天井を見上げたなら井井と列を成す蛍光灯にパラパラと逆さゴルバットの姿が見られた。力が失われた照明器具は彼等の寝床になっているようである。
使えやしない人工光源共はさて置き頼るは大自然。廃墟デート企画者は前方を注目する。此度の探索、奥が怪しいが、その他おおよその領域はフィルムを透過してくる太陽光で事足りそうだと判断できる。
ゲームだったら、一番奥に何かあるよね……お宝とか……。
……ボスとかね……。
同じ気持ちで居ることが既に面白く二人は静かに笑い合った。
風が生まれているお陰で埃っぽさも酷くはない。先頭レッド、後にミミ、好奇心旺盛な奴等は見知らぬ土地の初めてのダンジョンを履き慣れたスニーカーで進んでゆく。
大小2つの連なる歩みは芯に緊張感を持ちながらも楽しげにしている。
………………。
……。
回収作業さえも困難であったのか、遺された陳列棚や陳列台、梱包途中で放り出されたダンボール箱の中に山程の商品が見棄てられていた。
死屍累々散らかった飲食物の類いは歩行の妨げになれど、腐敗臭の原因になるような たべのこし がないのは幸いだと思える。悉く平らげられた中身の行方は訊くまでもなく住人の胃袋であろう。パッケージの残骸には引き裂かれたり咬み千切られたりの痕があった。
カサコソ、カサコソ。
人の足音と異なる音が幽かにする。
直ぐ様その発生源を特定したレッドがミミへアイコンタクトをし、しぃ、と唇に人差指を当て合図。無言のままその指で差す方、ひしゃげたダンボール箱の陰で白無地の角底袋が不自然に揺れ動いていた。
頭隠して尻隠さず、被っている袋の口部分からはみ出ている青紫のひだはカゲボウズの特徴である。侵入者の動向が気になる彼は、あれで忍びつつ見張るつもりらしかった。
カサコソ、カサコソ。
かわいいね等と表した眼差しを彼に見付からぬ内に、侵入者達はそうっと先へ進む。
………………。
……。
イラッシャイマセーヨウコソー。
いつからともなくレジに立っていたのはゴースである。かくれんぼよりごっこ遊びをしたい気配を漂わせる彼女は、二名の来客へ愛想良く声を掛けた。
来客二名は足を止め、用件を伺ってくるレジスタッフにはミミが応対する。
………………、………………。
……。
探しものを聞き取るなりカシコマリと承ったスタッフは、レジのベルトコンベアーへ指示を出した。指示を聞きガガガッと掛け声を上げながら動き始めたベルトコンベアー。
ギギッ。ゴゴッ。
電力でなく念力で動いているためかスマートとはいかないが、音に悲痛さを感じぬのは機材に年季を感じぬせいかも知れない。
ギッ。ゴッ。
数秒待ち、流れに乗りクレッフィが登場した。が、それもまた数秒間の出来事であった。かぎたばポケモンは1本の小綺麗な鍵をミミへ渡し出番を終え、再びギーゴーギーゴーと自家発電ならぬ自家発念で裏へと帰って行った。
………………、………………。
……。
続けてミミはゴースから幾らかのガラス瓶の蓋を渡される。瓶コーラ等瓶ジュースで見掛けるそれは金属製。把握した。買物客役は渡されたばかりの硬貨をキャッシュトレイへカランカランと置いてみる。
アリガトウゴザイマシター。
最後までフレンドリィなスマイルでなりきるゴースに見送られ、二人は更に奥へ進む。
………………。
……。
レジの区画を抜け壁際の通路を行く手前、止まれのハンドサインを出すレッド。差し出されたその腕にミミが掴まり前を覗き込む。
女性に免疫のない男がドキリとしたのはまた別の話である。
ガーーーーーーーー。
どこからともなく真一文字、目の前をショッピングカートが横切った。過ぎ去った先を目で追えばカートに乗っているのがゴーストだと判る。フロアを周回して遊んでいた様子の彼は3周目にして通行人に気付いたようで、気付いた後は往来往来、何度もその横を蛇行運転で通り縋り、相手の出方を窺っていた。
………………、………………。
……、……。
ミミの同意もあり、レッドは親指を立てヒッチハイク定番のポーズを取る。
もう一度だけ横を通り過ぎたカートは、ガーッ!と猛スピードのバック走行で幅を寄せ急ブレーキにて停車した。ノリの良い対応にライダーは喜んでおり、フロアの奥まで運んでやると言う。
大型のショッピングカートは大人が入れるサイズ。
それに乗り走り回ることは大多数の人間が子供の時分に憧れたことではなかろうか。と、いうのは言い過ぎであろうが、少なくとも赤い帽子の腕白小僧と隣の跳ね返り娘はそうであった。
これにレッドは即応する。
残念ながらこの時の坊やは想像力が脱落していた。もう一人を膝の上に乗せないといけなかったのである。
危険なので真似しないでください。
ワクワクするねっ……。
……うん……。
スーパーマーケットの跡地、入口。二人は目的地に到着した。到る道々で聞こえていた生物達の賑やかしも糸を断つようにブツリと消え失せ、この場においては自らが発する声も自ずと小さなものとなっていった。
暗然たる雰囲気がそうさせているには違いないがこの二人の場合は恐怖でなく、野生生物を観察するため、観察対象をできうる限り驚かさないようにするためのちっぽけな配慮である。
動かぬ自動ドアの向こう側をミミが覗こうとしているが、ガラスにはスモークフィルムが貼られており中の様子は窺えない。後付されたそれはここの住人達の為、遮光や遮熱、後はもしもの時の飛散防止の役目を果たしているものと思われる。
レッドが自動ドアに手を掛ければ、手動式に切り換えてある元自動ドアは大きな抵抗もせずカラカラと口を開けた。
お邪魔しまあす……。
………………。
陽光が煜く眩い外から一転して、内側は暗がりしか存在せぬ陰鬱とした世界。
くっきりと分け隔てられた光と影の境を探索者達の足が越える。
あれ……?何だか、涼しいね……?
……ポケモンの仕業かな……。
恐らくでんきタイプのわざを使える者が空調設備を操作中なのだろう。常夏の島、快晴の昼、閉め切られていた筈の空間は思いの外暑苦しい所ではなかった。
天井を見上げたなら井井と列を成す蛍光灯にパラパラと逆さゴルバットの姿が見られた。力が失われた照明器具は彼等の寝床になっているようである。
使えやしない人工光源共はさて置き頼るは大自然。廃墟デート企画者は前方を注目する。此度の探索、奥が怪しいが、その他おおよその領域はフィルムを透過してくる太陽光で事足りそうだと判断できる。
ゲームだったら、一番奥に何かあるよね……お宝とか……。
……ボスとかね……。
同じ気持ちで居ることが既に面白く二人は静かに笑い合った。
風が生まれているお陰で埃っぽさも酷くはない。先頭レッド、後にミミ、好奇心旺盛な奴等は見知らぬ土地の初めてのダンジョンを履き慣れたスニーカーで進んでゆく。
大小2つの連なる歩みは芯に緊張感を持ちながらも楽しげにしている。
………………。
……。
回収作業さえも困難であったのか、遺された陳列棚や陳列台、梱包途中で放り出されたダンボール箱の中に山程の商品が見棄てられていた。
死屍累々散らかった飲食物の類いは歩行の妨げになれど、腐敗臭の原因になるような たべのこし がないのは幸いだと思える。悉く平らげられた中身の行方は訊くまでもなく住人の胃袋であろう。パッケージの残骸には引き裂かれたり咬み千切られたりの痕があった。
カサコソ、カサコソ。
人の足音と異なる音が幽かにする。
直ぐ様その発生源を特定したレッドがミミへアイコンタクトをし、しぃ、と唇に人差指を当て合図。無言のままその指で差す方、ひしゃげたダンボール箱の陰で白無地の角底袋が不自然に揺れ動いていた。
頭隠して尻隠さず、被っている袋の口部分からはみ出ている青紫のひだはカゲボウズの特徴である。侵入者の動向が気になる彼は、あれで忍びつつ見張るつもりらしかった。
カサコソ、カサコソ。
かわいいね等と表した眼差しを彼に見付からぬ内に、侵入者達はそうっと先へ進む。
………………。
……。
イラッシャイマセーヨウコソー。
いつからともなくレジに立っていたのはゴースである。かくれんぼよりごっこ遊びをしたい気配を漂わせる彼女は、二名の来客へ愛想良く声を掛けた。
来客二名は足を止め、用件を伺ってくるレジスタッフにはミミが応対する。
………………、………………。
……。
探しものを聞き取るなりカシコマリと承ったスタッフは、レジのベルトコンベアーへ指示を出した。指示を聞きガガガッと掛け声を上げながら動き始めたベルトコンベアー。
ギギッ。ゴゴッ。
電力でなく念力で動いているためかスマートとはいかないが、音に悲痛さを感じぬのは機材に年季を感じぬせいかも知れない。
ギッ。ゴッ。
数秒待ち、流れに乗りクレッフィが登場した。が、それもまた数秒間の出来事であった。かぎたばポケモンは1本の小綺麗な鍵をミミへ渡し出番を終え、再びギーゴーギーゴーと自家発電ならぬ自家発念で裏へと帰って行った。
………………、………………。
……。
続けてミミはゴースから幾らかのガラス瓶の蓋を渡される。瓶コーラ等瓶ジュースで見掛けるそれは金属製。把握した。買物客役は渡されたばかりの硬貨をキャッシュトレイへカランカランと置いてみる。
アリガトウゴザイマシター。
最後までフレンドリィなスマイルでなりきるゴースに見送られ、二人は更に奥へ進む。
………………。
……。
レジの区画を抜け壁際の通路を行く手前、止まれのハンドサインを出すレッド。差し出されたその腕にミミが掴まり前を覗き込む。
女性に免疫のない男がドキリとしたのはまた別の話である。
ガーーーーーーーー。
どこからともなく真一文字、目の前をショッピングカートが横切った。過ぎ去った先を目で追えばカートに乗っているのがゴーストだと判る。フロアを周回して遊んでいた様子の彼は3周目にして通行人に気付いたようで、気付いた後は往来往来、何度もその横を蛇行運転で通り縋り、相手の出方を窺っていた。
………………、………………。
……、……。
ミミの同意もあり、レッドは親指を立てヒッチハイク定番のポーズを取る。
もう一度だけ横を通り過ぎたカートは、ガーッ!と猛スピードのバック走行で幅を寄せ急ブレーキにて停車した。ノリの良い対応にライダーは喜んでおり、フロアの奥まで運んでやると言う。
大型のショッピングカートは大人が入れるサイズ。
それに乗り走り回ることは大多数の人間が子供の時分に憧れたことではなかろうか。と、いうのは言い過ぎであろうが、少なくとも赤い帽子の腕白小僧と隣の跳ね返り娘はそうであった。
これにレッドは即応する。
残念ながらこの時の坊やは想像力が脱落していた。もう一人を膝の上に乗せないといけなかったのである。
危険なので真似しないでください。
おしまい