Gotcha!
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冒険へ出掛けよう!
「……ミミちゃん。あっち、ヨワシのむれ」
「わ……!凄いね、遠くからでも良く見える」
現在地は15ばんすいどう。水の上。水は深い青に染まらず透明のまま、水面はチカチカと瞬きながら静かに揺れている。
レッドは自分のカメックスに、ミミはレッドのラプラスに乗って水上をゆく。
アローラ地方ではポケモンライドのライセンスがない場合の“なみのり”は禁止行為なのだが、要は大きな波を起こすそのわざを使わなければ良い訳で、のんびり泳いでいるポケモンの背にのんびり乗っているだけなら言い訳で、この辺りは暗黙の了解といったところだ。勿論、渡舟もあるのでそちらを利用しても良い。
「……そっちにケイコウオ」
「わあ。こんにちはあ。あ、こっち来た……」
脱いだ靴と靴下を手に、足先を水に晒しているミミ。時折その足下へポケモン達が挨拶に来ている。今も、はねうおポケモンのケイコウオが指の腹をつんつんとつついて彼女を笑わせていた。
「ふふ、くすぐったいよ」
「……咬まれて人魚になったりしないでね?」
「あはは。ヤドンとシェルダーの話かな?ならないならない」
本気か冗談か見分けが難しい表情をするレッドの冗談に、叶わない恋にはしたくないよねっ、と冗談っぽく返した彼女は水の底のパールルへ手を振る。
そしてラプラスにのってなご機嫌な鼻唄。ラプラスと合唱。
「♪~」
「………………」
人魚はその歌声で人の心を魅了するという。ミミの鼻唄を聴いて目を細める彼は思った。彼女なら歌わずして、ともすれば一息一呼吸で自分の心をドキドキさせることができてしまうのではないだろうかと。
百歩譲っても贔屓目でしかなかろうに。
「♪~」
「ん……見えてきた……。あそこ寄る」
「エーテルハウスだね、了解」
愛くるしい姿に心や目を奪われつつ馬鹿な事を思いつつも男はちゃんとリードする。友人に指南されたからではなくて、ワクワクを共有したい想いが動機となっている。
前方に現れた陸地と月白色の建物を指して伝えると、ミミはパシャと小さな水飛沫を上げて彼の隣を歩く準備を始めた。
もうちょっとだけ、よろしくね。
女性客が船の甲羅をぺちぺち叩けばラプラス船長が勇ましく歌うような汽笛を鳴らして、驚いたコイキング達がバシャバシャと音を立てた。
「ウラウラじまのしまクイーンさんに会うんだよね」
「うん……ここに居るって……」
レッドがミミとのデートに選んだ場所はスーパー・メガやすあとち。守り神の怒りに触れたために潰れたとされている廃スーパーマーケットだった。
廃墟にはやせいのポケモンが隠れていたりする。集めたり、育てたり、バトルしたいポケモントレーナー達の為にも解放してある場合が多い。
しかしながら今回の廃墟はアローラ地方に伝わる儀式が行われる場所の一つなので、探索するには管理者の許可が要る。よって今日の冒険の第一歩はこの地を踏む必要があるのだ。
「ふいい……近付いてきたなあ……」
「……楽しみ?」
「うん!」
いや、ホラー苦手では?という疑問については曰く問題はないそうで。御天道様が昇っている内は大丈夫だから!!とのこと。その独自の判定基準はとても理論的ではなさそうだが。
「……ここで許可を貰って、南……カプのむらを通り抜けたら……メガやすがある14ばんどうろ……」
「詳しいね。助かるう」
「……好きだから……」
少年の笑顔でレッド青年は答える。
ここで言う好きの対象はポケモン。そのくらいミミには解られているしときめかれちゃいないので、モンスターボールの中で揺れる彼の相棒は勿体ないと感じていた。
「ミミッキュ……見られるといいな……」
「私も、図鑑でしか知らないから、一度は本物を見ておきたいなあ。
……ピカチュウに化けているポケモンかあ……」
フェアリータイプのポケモンもいいよなあ等と考えるのは、あくタイプのゾロアークに、むしとあくタイプ使いのグズマ、彼らとの連戦を経た結果だ。縁があれば新しくパーティに加えてもいいかもしれない。
程なくしてラプラスから入港の合図が送られる。
暫くして、着岸。
先行して陸へ降り立ったレッド船頭はカメックスの甲羅を撫でて輸送を労っている。グリーンのデート指南虚しく彼は隣の船の下船に手を貸すことを怠っている。
あーあ手を繋げるチャンスなのに。リードしろよ。
と陰で気を揉むピカチュウを余所に主人の相手は気に留めず、あらよっと!とひょいっと着地してみせた。
「あ~っ!カップルのおねえちゃんとおにいちゃんじゃん!」
「?」「……」
そこへ飛んで来た大きな声。その声の主は昨日ガイドを依頼した男の子だった。
エーテルハウスの前でヤングースとボール遊びをしていたらしいその子は、遊び友達を引き連れてミミ達の下へ駆け寄る。
「ああ!おはよう!ここハジメくんのお家?」
「そうだよっ!もしかして、おねえちゃん達おれのねえちゃんに用?」
「お姉ちゃんはしまクイーンさんで四天王さんかな?そうなら正解だよ」
「じゃおれ正解だ!ねえちゃん妹に絵本読んでた。呼んで来る!」
2回目だから特別に無料でいいよ!そう言った男の子は感謝の言葉を背に受けつつ元気に走って行った。
その間に2匹のポケモンをボールへ戻し終えたレッドは、あっという間を終えたミミへ話し掛ける。
「………………。知り合い?」
「えっ?」
興味のない人間に対しては表情筋も頭さえも働かないのがこのレッド。ド忘れとかではなくって最初っから覚えようとしていないのだ。
そのスクリーンに人の形として存在できたとしても、人として個として解像度を上げられなければ、御覧の有様。たんぱんこぞうならたんぱんこぞうで皆同じ顔に見えているのだ。
しょうがない人だなあ。
その人間性は非難される風でもなく普通に接される。いついつ遭遇した子供だと彼女から教えられて、漸く彼にも思い当たるシーンがあった。
「……ああ。ミミちゃんと初めて手を繋いだ時の」
「覚え方……っ!!」
いつだって大好きな女の子が基準。レッドは大変おめでたい。
「……ミミちゃん。あっち、ヨワシのむれ」
「わ……!凄いね、遠くからでも良く見える」
現在地は15ばんすいどう。水の上。水は深い青に染まらず透明のまま、水面はチカチカと瞬きながら静かに揺れている。
レッドは自分のカメックスに、ミミはレッドのラプラスに乗って水上をゆく。
アローラ地方ではポケモンライドのライセンスがない場合の“なみのり”は禁止行為なのだが、要は大きな波を起こすそのわざを使わなければ良い訳で、のんびり泳いでいるポケモンの背にのんびり乗っているだけなら言い訳で、この辺りは暗黙の了解といったところだ。勿論、渡舟もあるのでそちらを利用しても良い。
「……そっちにケイコウオ」
「わあ。こんにちはあ。あ、こっち来た……」
脱いだ靴と靴下を手に、足先を水に晒しているミミ。時折その足下へポケモン達が挨拶に来ている。今も、はねうおポケモンのケイコウオが指の腹をつんつんとつついて彼女を笑わせていた。
「ふふ、くすぐったいよ」
「……咬まれて人魚になったりしないでね?」
「あはは。ヤドンとシェルダーの話かな?ならないならない」
本気か冗談か見分けが難しい表情をするレッドの冗談に、叶わない恋にはしたくないよねっ、と冗談っぽく返した彼女は水の底のパールルへ手を振る。
そしてラプラスにのってなご機嫌な鼻唄。ラプラスと合唱。
「♪~」
「………………」
人魚はその歌声で人の心を魅了するという。ミミの鼻唄を聴いて目を細める彼は思った。彼女なら歌わずして、ともすれば一息一呼吸で自分の心をドキドキさせることができてしまうのではないだろうかと。
百歩譲っても贔屓目でしかなかろうに。
「♪~」
「ん……見えてきた……。あそこ寄る」
「エーテルハウスだね、了解」
愛くるしい姿に心や目を奪われつつ馬鹿な事を思いつつも男はちゃんとリードする。友人に指南されたからではなくて、ワクワクを共有したい想いが動機となっている。
前方に現れた陸地と月白色の建物を指して伝えると、ミミはパシャと小さな水飛沫を上げて彼の隣を歩く準備を始めた。
もうちょっとだけ、よろしくね。
女性客が船の甲羅をぺちぺち叩けばラプラス船長が勇ましく歌うような汽笛を鳴らして、驚いたコイキング達がバシャバシャと音を立てた。
「ウラウラじまのしまクイーンさんに会うんだよね」
「うん……ここに居るって……」
レッドがミミとのデートに選んだ場所はスーパー・メガやすあとち。守り神の怒りに触れたために潰れたとされている廃スーパーマーケットだった。
廃墟にはやせいのポケモンが隠れていたりする。集めたり、育てたり、バトルしたいポケモントレーナー達の為にも解放してある場合が多い。
しかしながら今回の廃墟はアローラ地方に伝わる儀式が行われる場所の一つなので、探索するには管理者の許可が要る。よって今日の冒険の第一歩はこの地を踏む必要があるのだ。
「ふいい……近付いてきたなあ……」
「……楽しみ?」
「うん!」
いや、ホラー苦手では?という疑問については曰く問題はないそうで。御天道様が昇っている内は大丈夫だから!!とのこと。その独自の判定基準はとても理論的ではなさそうだが。
「……ここで許可を貰って、南……カプのむらを通り抜けたら……メガやすがある14ばんどうろ……」
「詳しいね。助かるう」
「……好きだから……」
少年の笑顔でレッド青年は答える。
ここで言う好きの対象はポケモン。そのくらいミミには解られているしときめかれちゃいないので、モンスターボールの中で揺れる彼の相棒は勿体ないと感じていた。
「ミミッキュ……見られるといいな……」
「私も、図鑑でしか知らないから、一度は本物を見ておきたいなあ。
……ピカチュウに化けているポケモンかあ……」
フェアリータイプのポケモンもいいよなあ等と考えるのは、あくタイプのゾロアークに、むしとあくタイプ使いのグズマ、彼らとの連戦を経た結果だ。縁があれば新しくパーティに加えてもいいかもしれない。
程なくしてラプラスから入港の合図が送られる。
暫くして、着岸。
先行して陸へ降り立ったレッド船頭はカメックスの甲羅を撫でて輸送を労っている。グリーンのデート指南虚しく彼は隣の船の下船に手を貸すことを怠っている。
あーあ手を繋げるチャンスなのに。リードしろよ。
と陰で気を揉むピカチュウを余所に主人の相手は気に留めず、あらよっと!とひょいっと着地してみせた。
「あ~っ!カップルのおねえちゃんとおにいちゃんじゃん!」
「?」「……」
そこへ飛んで来た大きな声。その声の主は昨日ガイドを依頼した男の子だった。
エーテルハウスの前でヤングースとボール遊びをしていたらしいその子は、遊び友達を引き連れてミミ達の下へ駆け寄る。
「ああ!おはよう!ここハジメくんのお家?」
「そうだよっ!もしかして、おねえちゃん達おれのねえちゃんに用?」
「お姉ちゃんはしまクイーンさんで四天王さんかな?そうなら正解だよ」
「じゃおれ正解だ!ねえちゃん妹に絵本読んでた。呼んで来る!」
2回目だから特別に無料でいいよ!そう言った男の子は感謝の言葉を背に受けつつ元気に走って行った。
その間に2匹のポケモンをボールへ戻し終えたレッドは、あっという間を終えたミミへ話し掛ける。
「………………。知り合い?」
「えっ?」
興味のない人間に対しては表情筋も頭さえも働かないのがこのレッド。ド忘れとかではなくって最初っから覚えようとしていないのだ。
そのスクリーンに人の形として存在できたとしても、人として個として解像度を上げられなければ、御覧の有様。たんぱんこぞうならたんぱんこぞうで皆同じ顔に見えているのだ。
しょうがない人だなあ。
その人間性は非難される風でもなく普通に接される。いついつ遭遇した子供だと彼女から教えられて、漸く彼にも思い当たるシーンがあった。
「……ああ。ミミちゃんと初めて手を繋いだ時の」
「覚え方……っ!!」
いつだって大好きな女の子が基準。レッドは大変おめでたい。
おしまい