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子供に好かれろ②
「2人共ごめんね。ちょこっとこの子に協力していいかな」
「いいぜ。そんくらい付き合うって。な?レッド」
「うん」
反対にここで見捨てろと言われても見捨てられない話だが。易々と困難なミッションを引き受けた彼女へ、どうすんの?と問うグリーン。それに一番簡単な案を出したのはレッドだった。
「……お金くらい僕が出すよ」
「いいの!?」
男の子も問題なさそうでミッションクリア。
否、そうは問屋が卸さない。ミミの片手がバッグを手繰る男性の手を優しく押し戻す。ついでにもう片方で少年の手皿もきちんと仕舞う。
「レッドくんそれは甘いって……」
「……そう?」
「いいじゃん。けち」
「ええ……何で……。
好きなお姉ちゃんに渡すプレゼントでしょう?知らないお兄ちゃんのお金で買うのって悔しくない?」
でもでもだってとブツブツ口籠もる男の子。大人組が聞き取れたのは、おじさんのお手伝いをしてビーチを守ってきたのに、の部分。清掃活動をしてきたのだろう。今や彼のその頑張りは水の泡になっているのだ藁にも縋りたいのも頷ける。
だがまあ待て。
代案はある。提案させてほしい。
「わかったっ!おねえちゃん、彼氏がおれのねえちゃんにお花を買うのが悔しいんだなっ?」
「ええ……?まあ……そういう見方も、できなくはない、けど……ええ……?」
「………………」
ここでハッとなったのは勿論レッドだ。タダの善意なのにそういう見方をされては困る。手を当てた額に、漫画であれば一筋の汗が流れているところだ。
眉間にしわが寄る。
自分が、こちらにおわす可憐なお嬢さんの彼氏。そう見てくれた子供に裏では非常に感謝している彼だったが。いつだったか、子供に好かれると何かが得だかどこかで誰かに押し売りされたような気もする彼だったが。
そちらのたんぱんこぞうには申し訳ないがこの二者択一、譲れない想いはこちらにある。
「……この話はなかったことにして」
「えーっ!嘘つきーっ!」
「え……なん……いや、うん、甘んじて受け入れる……」
その想い人にも気にされないレベルの話であることにも気付かずレッドは真剣だった。
裏切者ー!と正直者を非難している男の子を、まーまー、とグリーンが宥める。ぺルシアンもその靴に脚を乗せてな゛~な゛~鳴いた。
「逆の立場で考えてみろって。ねーちゃんからのプレゼントが、あいつが買った物だったとしたら?……どう思うよ」
「複雑」
「そうだよな?」
「………………」
複雑なのは引き合いに出された人物もである。そのあいつは、むん、と口をへの字に曲げた。
あははと苦笑しながら、今度は漸くミミのターン。
「だからさ、また頑張ろうよ。すぐできるお手伝いなら、一つ心当たりがあるから」
わかった、と男の子が納得したのでここから本題。
「私達お花屋さんに行きたいんだ。
道がわからないからさ、君がガイドしてくれると凄く助かるなっ」
「……わかった!おれ、お花屋さんの道わかるしっ」
「………………」
さっき地図を見ていたことは言わぬが何とやら。
地域差はあれど、この世界では10歳前後でそれ相応の責任を持って社会に出られる。ポケモン博士から分布調査というミッションを受けて地方一周の旅に出たり、ジムリーダーにもなれれば四天王チャンピオンにもなれる。
そういう訳で、社会人候補生の園児達がポケモンバトルで小遣いを稼ぐのも、こうしてアルバイトするのも突飛な話ではないのだ。
「保安官さんも、いいかな?」
見ず知らずの大人達を半目で値踏みしていたぺルシアンはう゛る゛る゛っと喉を鳴らした。
「じゃあ、お願いします。チップはこれで足りる?」
「おれの100円!」
「あははっ。わかるの?自分の名前でも書いておいた?」
ミミが手をグーパーすると手品のように現れた100円。
いつ仕込んだのだろうとグリーンは一瞬だけ考える。考えるだけ無駄な気がしたので一瞬だけ。
彼の手に戻ったチップはその短パンのポッケへ仕舞われた。
「案内したげるっ」
「任せたぞっ」
元気な男の子は近くにあったミミとレッドの手を取って歩き始める。グリーンとぺルシアンは3人の後を付いてゆく。
レッドの視線が繋がれた手そして次にその向こう側へ移って最後にブンッと後ろへ動いた。
「……グ、グリーン……!僕、ミミちゃんと間接的に手を繋いでることに……っ」
「なってねーわ間接的過ぎるわ馬鹿じゃねーの」
「……」
恋は人を狂わせるとはいうがこれは酷い。
「おにいちゃんはおねえちゃんとがいいの?」
んじゃ、はい、と無慈悲に離された手。スッと冷めた手に、あれ?と足を止める男が一匹。
困ったような照れたような顔を見せつつ彼女も歩みを止めて彼を待つ。
「レッドくん、こっちこっち」
「………………っ」
呼ばれてしまっては無下にはできずひとまず近寄るレッドだが。行くよっ、と掛けられた声と共にその手は奪われる。
「!」
「手え大きいね」
それこそ花咲くかの如く、胸の内側からぶわっと広がる多幸感。きゅっと力が籠められても加減がわからず握り返せない。でも幸せだった。
グリーンは、片手に花だな、なんて両手に花が似合わない友の事を評価する。
「ねーねー。おねえちゃんは何色のお花が好き?」
「赤い花が一番好きだよっ!」
満開に咲いた笑顔に射止められて、赤い帽子で高揚を誤魔化す真っ赤なレッドがそこに居た。
余談だが、見知らぬ人物への花束は、三者が各々に内緒で行った好意にて、大分豪華な物になったとか。大盤振舞したのは多分、彼。
「2人共ごめんね。ちょこっとこの子に協力していいかな」
「いいぜ。そんくらい付き合うって。な?レッド」
「うん」
反対にここで見捨てろと言われても見捨てられない話だが。易々と困難なミッションを引き受けた彼女へ、どうすんの?と問うグリーン。それに一番簡単な案を出したのはレッドだった。
「……お金くらい僕が出すよ」
「いいの!?」
男の子も問題なさそうでミッションクリア。
否、そうは問屋が卸さない。ミミの片手がバッグを手繰る男性の手を優しく押し戻す。ついでにもう片方で少年の手皿もきちんと仕舞う。
「レッドくんそれは甘いって……」
「……そう?」
「いいじゃん。けち」
「ええ……何で……。
好きなお姉ちゃんに渡すプレゼントでしょう?知らないお兄ちゃんのお金で買うのって悔しくない?」
でもでもだってとブツブツ口籠もる男の子。大人組が聞き取れたのは、おじさんのお手伝いをしてビーチを守ってきたのに、の部分。清掃活動をしてきたのだろう。今や彼のその頑張りは水の泡になっているのだ藁にも縋りたいのも頷ける。
だがまあ待て。
代案はある。提案させてほしい。
「わかったっ!おねえちゃん、彼氏がおれのねえちゃんにお花を買うのが悔しいんだなっ?」
「ええ……?まあ……そういう見方も、できなくはない、けど……ええ……?」
「………………」
ここでハッとなったのは勿論レッドだ。タダの善意なのにそういう見方をされては困る。手を当てた額に、漫画であれば一筋の汗が流れているところだ。
眉間にしわが寄る。
自分が、こちらにおわす可憐なお嬢さんの彼氏。そう見てくれた子供に裏では非常に感謝している彼だったが。いつだったか、子供に好かれると何かが得だかどこかで誰かに押し売りされたような気もする彼だったが。
そちらのたんぱんこぞうには申し訳ないがこの二者択一、譲れない想いはこちらにある。
「……この話はなかったことにして」
「えーっ!嘘つきーっ!」
「え……なん……いや、うん、甘んじて受け入れる……」
その想い人にも気にされないレベルの話であることにも気付かずレッドは真剣だった。
裏切者ー!と正直者を非難している男の子を、まーまー、とグリーンが宥める。ぺルシアンもその靴に脚を乗せてな゛~な゛~鳴いた。
「逆の立場で考えてみろって。ねーちゃんからのプレゼントが、あいつが買った物だったとしたら?……どう思うよ」
「複雑」
「そうだよな?」
「………………」
複雑なのは引き合いに出された人物もである。そのあいつは、むん、と口をへの字に曲げた。
あははと苦笑しながら、今度は漸くミミのターン。
「だからさ、また頑張ろうよ。すぐできるお手伝いなら、一つ心当たりがあるから」
わかった、と男の子が納得したのでここから本題。
「私達お花屋さんに行きたいんだ。
道がわからないからさ、君がガイドしてくれると凄く助かるなっ」
「……わかった!おれ、お花屋さんの道わかるしっ」
「………………」
さっき地図を見ていたことは言わぬが何とやら。
地域差はあれど、この世界では10歳前後でそれ相応の責任を持って社会に出られる。ポケモン博士から分布調査というミッションを受けて地方一周の旅に出たり、ジムリーダーにもなれれば四天王チャンピオンにもなれる。
そういう訳で、社会人候補生の園児達がポケモンバトルで小遣いを稼ぐのも、こうしてアルバイトするのも突飛な話ではないのだ。
「保安官さんも、いいかな?」
見ず知らずの大人達を半目で値踏みしていたぺルシアンはう゛る゛る゛っと喉を鳴らした。
「じゃあ、お願いします。チップはこれで足りる?」
「おれの100円!」
「あははっ。わかるの?自分の名前でも書いておいた?」
ミミが手をグーパーすると手品のように現れた100円。
いつ仕込んだのだろうとグリーンは一瞬だけ考える。考えるだけ無駄な気がしたので一瞬だけ。
彼の手に戻ったチップはその短パンのポッケへ仕舞われた。
「案内したげるっ」
「任せたぞっ」
元気な男の子は近くにあったミミとレッドの手を取って歩き始める。グリーンとぺルシアンは3人の後を付いてゆく。
レッドの視線が繋がれた手そして次にその向こう側へ移って最後にブンッと後ろへ動いた。
「……グ、グリーン……!僕、ミミちゃんと間接的に手を繋いでることに……っ」
「なってねーわ間接的過ぎるわ馬鹿じゃねーの」
「……」
恋は人を狂わせるとはいうがこれは酷い。
「おにいちゃんはおねえちゃんとがいいの?」
んじゃ、はい、と無慈悲に離された手。スッと冷めた手に、あれ?と足を止める男が一匹。
困ったような照れたような顔を見せつつ彼女も歩みを止めて彼を待つ。
「レッドくん、こっちこっち」
「………………っ」
呼ばれてしまっては無下にはできずひとまず近寄るレッドだが。行くよっ、と掛けられた声と共にその手は奪われる。
「!」
「手え大きいね」
それこそ花咲くかの如く、胸の内側からぶわっと広がる多幸感。きゅっと力が籠められても加減がわからず握り返せない。でも幸せだった。
グリーンは、片手に花だな、なんて両手に花が似合わない友の事を評価する。
「ねーねー。おねえちゃんは何色のお花が好き?」
「赤い花が一番好きだよっ!」
満開に咲いた笑顔に射止められて、赤い帽子で高揚を誤魔化す真っ赤なレッドがそこに居た。
余談だが、見知らぬ人物への花束は、三者が各々に内緒で行った好意にて、大分豪華な物になったとか。大盤振舞したのは多分、彼。
おしまい