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Nに追われる③
「――トモダチ数匹から事件と思しき情報を得たんだよ嫌がるポケモンをクラブバッグに押し込んでいる少女を目撃したそうなんだそれも複数箇所でだキミは何か知らないかい白いキャプリンとワンピースにブロンドの長髪の子なんだけれど」
「んえ?ええ……初耳ですけれども。穏やかじゃないですね」
一ポケモンレンジャーとして以前に只のポケモン大好き人間として到底許容できない行為だと思う。ミミはううむと唸った。
悉く狂っていたミステリアスボーイから漸く普通の話題を投げられ、只のバトル大好き人間も初めてまともに受け止めている。
「……どろぼう……?」
「どうだろう?」
そのレッドの話し相手が仕事人の方なのは愛嬌。彼にとって情報提供者Nとのコミュニケーションは微塵も価値がないので。
「その件に関しては私も気に掛けておきますよ。じゃあ失礼しますね」
それはそれこれはこれの精神が働き一時的に足を留めるも、どうしても去りたい思いから結論は早かった。
「ありがとうヨロシクそれはそうとボクの父ゲーチスとキミの父に逢いに行こう挨拶も済ませておきたいし悪役更生プログラムの一環でフェスサークルの施設バトルエージェントに居ると聞いたから」
うんざりなミミの真横でレッドは真面目に、重要事項のみを頭の中のレポートにしっかり書き残した。
お義父さんはバトルエージェントに居る。
午前中フェスサークルへ行った際、ポケモン達とはしゃぎにはしゃいでバルーンアスレチック1店に全ての持ち時間を注ぎ込んだことを今後悔した。リセットできないので次こそは。将来の家族に挨拶したい。まだ職業さえ知らないとしても。
「何であなたがそうなるんです?」
「諦めなよ「それ私の台詞ーッ!」
終われ!このままでは終われないと判断した彼女は遂に決断する。
強行突破戦術!!
「お願いします、シショー!」
「……!」
「――!」
手にしたダークボール、頭上に高々と掲げ召還したるはのろいのおふだを右目に貼り付けたムウマージ♀。霊体と同じ闇色の靄と共に登場し、放つ強力な光は“マジカルシャイン”。
アピール目的で使ったその技は注目していた者共の目を眩ませた。
同時に“サイコキネシス”を使われたのだろうか、レッドは帽子をずらされ目眩ましを回避していた。
「レッドくん!」
「わかった。初めてだけど、やれると思う」
「?何の話……」
邪魔になる帽子を脱ぎそのつばをガッと咥えたレッドは左手でミミの右手首を取る。
サッと彼女の右腕を自分の首後方に回しお姫様抱っこ――
「わっ!ぬわっ!何するの!?」
「……」
ではなく、彼女の腋下へ自分の首を差し入れ、口を塞いで答えられないレッドは何はともあれ素早く行動に移った。
左手で背中を抱える、なんてことはなく、右手首を掴みっぱなし。
右手で膝裏を抱える、なんてことはなく、右太股を内側から掴み。
所謂ファイヤーマンズキャリー。肩の上に担ぎ上げる。再確認するが、お姫様抱っこではなかった。
「……?」
「あいえもうすきにしてくだしあ」
ムウマージが“くろいまなざし”をN等に向けている隙に正面突破。出口へ向かい全力疾走。ミミも恥じらいを振り切り大声を出す。
「シショー!ぶちかましてくださいッ!」
トレーナーが背後に指示を飛ばせば師匠と呼ばれたパートナーが詠唱を開始する。空気が一変する。
「輪唱します!
心の深淵に燃え上がる、我が憎しみの炎よ――!」
弟子に該当するミミがムウマージの鳴き声に呪文めいた言語を重ねてゆく。
彼女の名誉の為に捕捉しておくと、これはムウマージの趣味だ。かっこいいからじゃ!というのが本ポケ談。人間にもアピールするため人語を弟子に担当させている。
「黒き怒濤となりてこの世界を蹂躙せよ――!」
完全にエンジン全開モードの両者がバチバチと眼を光らせたなら、Nのポケモン達は何が起こるのかを理解し、即座に王を庇護する。
ムウマージが体内に隠し持っていたほのおのジュエルが一つ、緋い光を放って砕け散る。
「“†イ・ン・フ・ェ・ル・ノ†”!!」
ゴォオオオンッ!!
激しい炎が足下から噴き出した。
カントー語で言う“れんごく”に当たる威力100の技。もちもの効果で1.5倍になるのは通常時なら。しかし口上に加え短剣符+イッシュ語+短剣符=の中二病的技名の決まりっぷりによるノリッノリマジカルポケモンが繰り出したのは“だいばくはつ”に匹敵する威力。命中50のその技を当てる計算は初めっからなく、見事に外しNとミミ達の間に壁を成す。
「パーフェクトですシショー!」
「………………」
キャラキャラと笑ってクルクル回りながらムウマージが戻って来る。
何とか逃げることに成功した。
野良バトルが日常茶飯事なこの世界ではこの程度の爆音も火柱も騒ぎにならない。あーバトルかーいい天気だなーくらいの認識だからだ。
レスキュー隊員は被災者をその肩に担いだまま友グリーンと合流する。
「よー、おかえりレッド。
そっちで凄い音した……け、ど、え、何してんの。誘拐?」
「………………。いや、救助……」
ぽと。レッドの支えを失って落ちた赤い帽子を、先に逃げていた相棒のピカチュウがしれっと拾い上げた。
「――トモダチ数匹から事件と思しき情報を得たんだよ嫌がるポケモンをクラブバッグに押し込んでいる少女を目撃したそうなんだそれも複数箇所でだキミは何か知らないかい白いキャプリンとワンピースにブロンドの長髪の子なんだけれど」
「んえ?ええ……初耳ですけれども。穏やかじゃないですね」
一ポケモンレンジャーとして以前に只のポケモン大好き人間として到底許容できない行為だと思う。ミミはううむと唸った。
悉く狂っていたミステリアスボーイから漸く普通の話題を投げられ、只のバトル大好き人間も初めてまともに受け止めている。
「……どろぼう……?」
「どうだろう?」
そのレッドの話し相手が仕事人の方なのは愛嬌。彼にとって情報提供者Nとのコミュニケーションは微塵も価値がないので。
「その件に関しては私も気に掛けておきますよ。じゃあ失礼しますね」
それはそれこれはこれの精神が働き一時的に足を留めるも、どうしても去りたい思いから結論は早かった。
「ありがとうヨロシクそれはそうとボクの父ゲーチスとキミの父に逢いに行こう挨拶も済ませておきたいし悪役更生プログラムの一環でフェスサークルの施設バトルエージェントに居ると聞いたから」
うんざりなミミの真横でレッドは真面目に、重要事項のみを頭の中のレポートにしっかり書き残した。
お義父さんはバトルエージェントに居る。
午前中フェスサークルへ行った際、ポケモン達とはしゃぎにはしゃいでバルーンアスレチック1店に全ての持ち時間を注ぎ込んだことを今後悔した。リセットできないので次こそは。将来の家族に挨拶したい。まだ職業さえ知らないとしても。
「何であなたがそうなるんです?」
「諦めなよ「それ私の台詞ーッ!」
終われ!このままでは終われないと判断した彼女は遂に決断する。
強行突破戦術!!
「お願いします、シショー!」
「……!」
「――!」
手にしたダークボール、頭上に高々と掲げ召還したるはのろいのおふだを右目に貼り付けたムウマージ♀。霊体と同じ闇色の靄と共に登場し、放つ強力な光は“マジカルシャイン”。
アピール目的で使ったその技は注目していた者共の目を眩ませた。
同時に“サイコキネシス”を使われたのだろうか、レッドは帽子をずらされ目眩ましを回避していた。
「レッドくん!」
「わかった。初めてだけど、やれると思う」
「?何の話……」
邪魔になる帽子を脱ぎそのつばをガッと咥えたレッドは左手でミミの右手首を取る。
サッと彼女の右腕を自分の首後方に回しお姫様抱っこ――
「わっ!ぬわっ!何するの!?」
「……」
ではなく、彼女の腋下へ自分の首を差し入れ、口を塞いで答えられないレッドは何はともあれ素早く行動に移った。
左手で背中を抱える、なんてことはなく、右手首を掴みっぱなし。
右手で膝裏を抱える、なんてことはなく、右太股を内側から掴み。
所謂ファイヤーマンズキャリー。肩の上に担ぎ上げる。再確認するが、お姫様抱っこではなかった。
「……?」
「あいえもうすきにしてくだしあ」
ムウマージが“くろいまなざし”をN等に向けている隙に正面突破。出口へ向かい全力疾走。ミミも恥じらいを振り切り大声を出す。
「シショー!ぶちかましてくださいッ!」
トレーナーが背後に指示を飛ばせば師匠と呼ばれたパートナーが詠唱を開始する。空気が一変する。
「輪唱します!
心の深淵に燃え上がる、我が憎しみの炎よ――!」
弟子に該当するミミがムウマージの鳴き声に呪文めいた言語を重ねてゆく。
彼女の名誉の為に捕捉しておくと、これはムウマージの趣味だ。かっこいいからじゃ!というのが本ポケ談。人間にもアピールするため人語を弟子に担当させている。
「黒き怒濤となりてこの世界を蹂躙せよ――!」
完全にエンジン全開モードの両者がバチバチと眼を光らせたなら、Nのポケモン達は何が起こるのかを理解し、即座に王を庇護する。
ムウマージが体内に隠し持っていたほのおのジュエルが一つ、緋い光を放って砕け散る。
「“†イ・ン・フ・ェ・ル・ノ†”!!」
ゴォオオオンッ!!
激しい炎が足下から噴き出した。
カントー語で言う“れんごく”に当たる威力100の技。もちもの効果で1.5倍になるのは通常時なら。しかし口上に加え短剣符+イッシュ語+短剣符=の中二病的技名の決まりっぷりによるノリッノリマジカルポケモンが繰り出したのは“だいばくはつ”に匹敵する威力。命中50のその技を当てる計算は初めっからなく、見事に外しNとミミ達の間に壁を成す。
「パーフェクトですシショー!」
「………………」
キャラキャラと笑ってクルクル回りながらムウマージが戻って来る。
何とか逃げることに成功した。
野良バトルが日常茶飯事なこの世界ではこの程度の爆音も火柱も騒ぎにならない。あーバトルかーいい天気だなーくらいの認識だからだ。
レスキュー隊員は被災者をその肩に担いだまま友グリーンと合流する。
「よー、おかえりレッド。
そっちで凄い音した……け、ど、え、何してんの。誘拐?」
「………………。いや、救助……」
ぽと。レッドの支えを失って落ちた赤い帽子を、先に逃げていた相棒のピカチュウがしれっと拾い上げた。
おしまい