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Zに追われる②
『ゾロアークにも、ミミに好きってさせて?』
「!」
「んなあ……っ!レッドくんの姿と声を借りるのは反則……っ!」
ゾロアークがレッドに化けた。その偽者に対立するピカチュウとレッドのコンビ、最強ポケモントレーナーを盾にして隠れるのはミミ。彼女からキャンキャン吠えられてもニセモンに逃げるそぶりはない。
ニセモンを睨み付けるピカチュウは増々表情を険しくしていく。鼻面にしわが寄る。嗅覚での認識と視聴覚での認識の違いに少し苛ついているようだ。
レッド本人はというとゾロアークのイリュージョンにわくわくしている真っ最中。相棒が被っている帽子を取って被ると?摩訶不思議、幻像にノイズが走って姿が上書きされる。大道芸の見物人な気分の彼は帽子を被ったニセレッドへ心の中で拍手を送った。
『何が反則だった?ゾロアークは、ミミが、この人間に触られて嬉しいなってしてたから「あ゛あああっ!ゾロアークは賢いなあああっ!!」「ッ!?」ゾロアークも、この人間になってミミを嬉しくしたいなって思った』
「くそう!喋るのやめないし……!」
悔しさからか、レッドの腰の位置にあるミミの手が服を掴んでくる。のでシャツが引き絞られた。
本当なら僕も嬉しい。
好きな人の心情を知りたくてもまず自分の感情の奔流に呑まれてしまう男はいつもそこまで漕ぎ着けないでいた。だから第三者視点での分析は大変ありがたいものなのだ。
「……ミミちゃ――」
ニセレッドの分析結果を基に真偽を問うためレッドは背後に隠れている女の子へ顔を向けようとする。が、火が出る程に熱くなったかわいい掌に押し戻される。
「「………………」」
あ、れ、顔を合わせたくないくらい嫌いなんだろうか、としょぼくれる男の子。顔を合わせられないくらい好きなんだろうが、と男の子のピカチュウは呆れ顔を見せた。
『ミミは、嬉しくなかった?』
「否定はしない……!けどっ!
ピカチュウお願い“でんきショック”」
彼からの一生に一度の初告白を待つと誓った彼女にとって門外漢からの先制暴露は泣ける展開であって何をしてでも避けたい事態だ。
機微に聡いピカチュウは、ピッ!と承知。両の頬の赤い電気袋に電気を溜める。例え火の中水の中草の中、あの娘のスカートの中を守るために一肌脱ごうではないか。
誰かに対する憂さを晴らすかの如く自分の分の“でんきショック”もおまけしてニセモンへ“10まんボルト”を放つピカチュウ。
「いいねピカチュウ。ありがとう」
「………………」
衝撃の光景に自身を攻撃された錯覚に陥ったレッドは痛がるように顔を顰めた。ゾロアークの声で、くあ、と細く鳴いたニセレッドは元のポケモンの姿に戻される。体表に電流が走る。確率10%の追加効果のまひを引き当てさせられたらしくて痺れて動けないでいる。
フンッと鼻を鳴らしたピカチュウはどこかスカッとした表情だ。
「レッドくんレッドくん、とっととトレーナーに引き渡して、とっととグリーンくんと落ち合おう」
「………………あ。うん……」
ゾロアークをお願いします、と早口に言うミミに押されながらレッドは歩を進める。友人を待たせていたことを頭の片隅で思い出しつつ彼はジーンズのピスポケットから絶縁性の黒手袋片方を取り出した。
耐電のそれを嵌めた手でまひ状態のゾロアークのたてがみを掴む。彼女の天敵を無力化できたならば、餌食だったその人は弱っている息を全て吐き切って、強く握り締めていた男の服を離す。
レッドはちょっぴり寂しい。
「ごめんね。そのゾロアークは苦手でさ……。抑えておいてね」
「……意外だった。苦手なポケモンはいないのかと……」
「他のゾロアークは平気なんだよ。そいつは………………」
オブラートに包んだ方がいいかなと思考を巡らせるミミだったが面倒に感じ始めたためそれを停止した。味方には、奴はやばい、という共通認識を持ってもらえる方がいい。
「そいつは『タマゴをつくらせて』って本気で襲って来るから駄目」
「……。ひんしにしておく……?」
「抑えて抑えて。
ええっとなんでもなおしは……っと」
職業ポケモンレンジャー。仮にそうでなくても厄介でしかないポケモンが対象でも置き去りにできない性格なのだった。
オスのゾロアークは慕わしい人から状態異常だけ回復してもらって元気はまんたんだ。くああんくああん、と甘えた声で鳴いている。
「……はいはい。それはいらないからね」
ミミに近付きたがる危険ポケモンは凄腕ポケモントレーナーが手綱を握っている。たてがみを引っ張って行動を制御。
それは僕が許さない。レッドはそう小声で呟く。
“ひっかく”ぞ、“かみつく”ぞ、とふりをしてくるゾロアークだが実際にはそうしてこない辺りにポケモンの親の最低限の躾を感じ取れた。
そいつを見ていたレッドが顔を別の場所へ向ける。
「誰かこっちに来るよ……」
「探す手間は省けたね」
ゾロアークが通ってきた暗がりから黒い帽子の青年とゾロアが現れる。ミミは一歩だけ足を引いた。
『ゾロアークにも、ミミに好きってさせて?』
「!」
「んなあ……っ!レッドくんの姿と声を借りるのは反則……っ!」
ゾロアークがレッドに化けた。その偽者に対立するピカチュウとレッドのコンビ、最強ポケモントレーナーを盾にして隠れるのはミミ。彼女からキャンキャン吠えられてもニセモンに逃げるそぶりはない。
ニセモンを睨み付けるピカチュウは増々表情を険しくしていく。鼻面にしわが寄る。嗅覚での認識と視聴覚での認識の違いに少し苛ついているようだ。
レッド本人はというとゾロアークのイリュージョンにわくわくしている真っ最中。相棒が被っている帽子を取って被ると?摩訶不思議、幻像にノイズが走って姿が上書きされる。大道芸の見物人な気分の彼は帽子を被ったニセレッドへ心の中で拍手を送った。
『何が反則だった?ゾロアークは、ミミが、この人間に触られて嬉しいなってしてたから「あ゛あああっ!ゾロアークは賢いなあああっ!!」「ッ!?」ゾロアークも、この人間になってミミを嬉しくしたいなって思った』
「くそう!喋るのやめないし……!」
悔しさからか、レッドの腰の位置にあるミミの手が服を掴んでくる。のでシャツが引き絞られた。
本当なら僕も嬉しい。
好きな人の心情を知りたくてもまず自分の感情の奔流に呑まれてしまう男はいつもそこまで漕ぎ着けないでいた。だから第三者視点での分析は大変ありがたいものなのだ。
「……ミミちゃ――」
ニセレッドの分析結果を基に真偽を問うためレッドは背後に隠れている女の子へ顔を向けようとする。が、火が出る程に熱くなったかわいい掌に押し戻される。
「「………………」」
あ、れ、顔を合わせたくないくらい嫌いなんだろうか、としょぼくれる男の子。顔を合わせられないくらい好きなんだろうが、と男の子のピカチュウは呆れ顔を見せた。
『ミミは、嬉しくなかった?』
「否定はしない……!けどっ!
ピカチュウお願い“でんきショック”」
彼からの一生に一度の初告白を待つと誓った彼女にとって門外漢からの先制暴露は泣ける展開であって何をしてでも避けたい事態だ。
機微に聡いピカチュウは、ピッ!と承知。両の頬の赤い電気袋に電気を溜める。例え火の中水の中草の中、あの娘のスカートの中を守るために一肌脱ごうではないか。
誰かに対する憂さを晴らすかの如く自分の分の“でんきショック”もおまけしてニセモンへ“10まんボルト”を放つピカチュウ。
「いいねピカチュウ。ありがとう」
「………………」
衝撃の光景に自身を攻撃された錯覚に陥ったレッドは痛がるように顔を顰めた。ゾロアークの声で、くあ、と細く鳴いたニセレッドは元のポケモンの姿に戻される。体表に電流が走る。確率10%の追加効果のまひを引き当てさせられたらしくて痺れて動けないでいる。
フンッと鼻を鳴らしたピカチュウはどこかスカッとした表情だ。
「レッドくんレッドくん、とっととトレーナーに引き渡して、とっととグリーンくんと落ち合おう」
「………………あ。うん……」
ゾロアークをお願いします、と早口に言うミミに押されながらレッドは歩を進める。友人を待たせていたことを頭の片隅で思い出しつつ彼はジーンズのピスポケットから絶縁性の黒手袋片方を取り出した。
耐電のそれを嵌めた手でまひ状態のゾロアークのたてがみを掴む。彼女の天敵を無力化できたならば、餌食だったその人は弱っている息を全て吐き切って、強く握り締めていた男の服を離す。
レッドはちょっぴり寂しい。
「ごめんね。そのゾロアークは苦手でさ……。抑えておいてね」
「……意外だった。苦手なポケモンはいないのかと……」
「他のゾロアークは平気なんだよ。そいつは………………」
オブラートに包んだ方がいいかなと思考を巡らせるミミだったが面倒に感じ始めたためそれを停止した。味方には、奴はやばい、という共通認識を持ってもらえる方がいい。
「そいつは『タマゴをつくらせて』って本気で襲って来るから駄目」
「……。ひんしにしておく……?」
「抑えて抑えて。
ええっとなんでもなおしは……っと」
職業ポケモンレンジャー。仮にそうでなくても厄介でしかないポケモンが対象でも置き去りにできない性格なのだった。
オスのゾロアークは慕わしい人から状態異常だけ回復してもらって元気はまんたんだ。くああんくああん、と甘えた声で鳴いている。
「……はいはい。それはいらないからね」
ミミに近付きたがる危険ポケモンは凄腕ポケモントレーナーが手綱を握っている。たてがみを引っ張って行動を制御。
それは僕が許さない。レッドはそう小声で呟く。
“ひっかく”ぞ、“かみつく”ぞ、とふりをしてくるゾロアークだが実際にはそうしてこない辺りにポケモンの親の最低限の躾を感じ取れた。
そいつを見ていたレッドが顔を別の場所へ向ける。
「誰かこっちに来るよ……」
「探す手間は省けたね」
ゾロアークが通ってきた暗がりから黒い帽子の青年とゾロアが現れる。ミミは一歩だけ足を引いた。
おしまい