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レッドに待たれる
“お昼ご飯がまだならご一緒していいかな?”
レッドはスマホの画面に表示されたミミの言葉を眺めていた。
勿論。と一言、己を奮い起てて返答した結果それから二往復の遣り取りがあって彼女とここで合流する流れとなっている。早く会いたいと送りかけては何度も削除して訂正して、ゆっくりでいいよ、と送った最後のメッセージは5分前のものだった。
彼は待ち人からの連絡を待っている訳ではなくてただ始まりの一文を見直していた。そこにどういう感情が載せられているのだろう。デジタルな表示では何も見破れない。
「ニコニコだな……。何だか羨ましいぜ……」
「………………。
渡さないよ?」
「どうどう。そういう意味じゃねーから殺気を放つなって」
レッドを茶化したグリーンは顔を手で扇ぎながら暑いと愚痴る。
2人が観光に来ていたのはメレメレじまハウオリシティ。ショッピングモール前がとりあえずの待ち合わせ場所だ。外で待つと言い張る熱い男に付き合ってそこに居るが、正午のこの時間帯は建物の影が短くなって安全地帯が狭い。
壁際に並び立つレッドとグリーン。グリーン同様レッドの供をしているピカチュウは冷たいコンクリートに腹をくっ付けて涼んでいる。
また隣の建物の看板裏にはゾロアが1匹、彼等と同じようにトレーナーを待っているようだ。
「……実は俺等はバトルバイキングで昼食を取った後だからな……何を食べに行くかね……」
「ミミちゃんが居るなら、まだ……お米一升いける」
「ミミちゃんはオカズかよ」
「………………ミミちゃんには据膳を出されるんだけどね………………」
その度に男ノ恥と云う代価を支払い続けてきたのだからもう懐の財布に底を突いてほしいのに。レッドは己の不甲斐なさに目を薄めた。
察するも何も初めから、だろうな、な赤点評価点を付けていたグリーンは、頑張れよ、と通常会話のトーンで応援する。正直に言ってしまえばミミとレッドの間に双方向の矢印が見えているので応援も気楽だった。寧ろ彼女に合わせて彼を揶揄うのが楽しいくらいだ。
「マラサダショップ行くか?おまえにオススメだぜ?
おおきいマラサダ1個を2人で半分個、で、2人のなかよし度アップ」
「マラサダ食べる……」
「よし。ウィンウィンだ。俺はポケモン達に食べさせられるしな」
モンスターボールからナッシーを。日陰を作るため近くに立たせると、緑の葉を広く大きく伸ばして三つの顔が嬉しそうにしている。
「つかアローラとガラルは移動だけでも往復34時間はかかるのに半日でトンボ返りって何てトリック?」
「さあ?」
「……考える気ねーな」
「帰って来るんだからそれでいい」
今もスマホを見続けているレッドを放置して、グリーンは自身のスマホで検索してみた。対象はミミの男友達のモデル君。
Instagram、数時間前に投稿された複数の写真にはガラル地方の著名な男性2名と女性2名とポケモン達の笑顔が収められている。自宅らしいが1対1ではなさそうだ。
Twitter(X)、更に数時間前のこちらはファンの投稿、遠目からだが2枚の写真には一組の男女が街を歩く姿が撮られている。フードを目深に被るのは女の方だ。1枚目はノーガードに和気藹々な2人の様子。2枚目はカメラを感知したのか男がワンパチスマイルをサービスする様子で、姫の姿は前に歩み出た褐色の騎士の背に守られていた。
キバナさんは脚が長いねえ。
オレ様のセールスポイントの一つだぜ。
キバナさんの脚は高いねえ。
友達価格でタダにしてやるよ。
等という友人同士の会話はその写真には載っていない。
「ガラルには居たっぽいな……」
「……そいつがキバナ?」
「おー。ジムリーダーもしてるんだと」
「……ふーん……」
覚えておく。そう言って一睨みしてレッドは自分のスマホをポケットに戻す。
ヒエ。彼と幼馴染のグリーンの悲鳴さえ彼に見付かるのが怖いと肺の奥へ引き返してきた。南無三宝、して心の中でキバナに手を合わせる。人を覚えない奴が直々に目を付けたと断言したのだ、末恐ろしくて仕方がない。寒気をもたらしてくれたことには感謝する。
「迎えに行ってくる。ピカチュウ、おいで!」
それはいつもながら突然だった。
赤い帽子を被った大型犬は小鼠の耳が察知するよりも早く地を蹴った。足はショッピングモールの角路地裏の方へ。地面に引っ繰り返っていた小鼠もコンマ一秒遅れて走り出す。
「レッドー?ピカチュウー?
………………。
行ってらっしゃい……?」
動く気が起きないグリーンはその場で煙草でも吸って待つことに。
箱を探す彼は例のゾロアがのしのしとピカチュウの尻尾を付けて行ったところまでは見ていなかった。
“お昼ご飯がまだならご一緒していいかな?”
レッドはスマホの画面に表示されたミミの言葉を眺めていた。
勿論。と一言、己を奮い起てて返答した結果それから二往復の遣り取りがあって彼女とここで合流する流れとなっている。早く会いたいと送りかけては何度も削除して訂正して、ゆっくりでいいよ、と送った最後のメッセージは5分前のものだった。
彼は待ち人からの連絡を待っている訳ではなくてただ始まりの一文を見直していた。そこにどういう感情が載せられているのだろう。デジタルな表示では何も見破れない。
「ニコニコだな……。何だか羨ましいぜ……」
「………………。
渡さないよ?」
「どうどう。そういう意味じゃねーから殺気を放つなって」
レッドを茶化したグリーンは顔を手で扇ぎながら暑いと愚痴る。
2人が観光に来ていたのはメレメレじまハウオリシティ。ショッピングモール前がとりあえずの待ち合わせ場所だ。外で待つと言い張る熱い男に付き合ってそこに居るが、正午のこの時間帯は建物の影が短くなって安全地帯が狭い。
壁際に並び立つレッドとグリーン。グリーン同様レッドの供をしているピカチュウは冷たいコンクリートに腹をくっ付けて涼んでいる。
また隣の建物の看板裏にはゾロアが1匹、彼等と同じようにトレーナーを待っているようだ。
「……実は俺等はバトルバイキングで昼食を取った後だからな……何を食べに行くかね……」
「ミミちゃんが居るなら、まだ……お米一升いける」
「ミミちゃんはオカズかよ」
「………………ミミちゃんには据膳を出されるんだけどね………………」
その度に男ノ恥と云う代価を支払い続けてきたのだからもう懐の財布に底を突いてほしいのに。レッドは己の不甲斐なさに目を薄めた。
察するも何も初めから、だろうな、な赤点評価点を付けていたグリーンは、頑張れよ、と通常会話のトーンで応援する。正直に言ってしまえばミミとレッドの間に双方向の矢印が見えているので応援も気楽だった。寧ろ彼女に合わせて彼を揶揄うのが楽しいくらいだ。
「マラサダショップ行くか?おまえにオススメだぜ?
おおきいマラサダ1個を2人で半分個、で、2人のなかよし度アップ」
「マラサダ食べる……」
「よし。ウィンウィンだ。俺はポケモン達に食べさせられるしな」
モンスターボールからナッシーを。日陰を作るため近くに立たせると、緑の葉を広く大きく伸ばして三つの顔が嬉しそうにしている。
「つかアローラとガラルは移動だけでも往復34時間はかかるのに半日でトンボ返りって何てトリック?」
「さあ?」
「……考える気ねーな」
「帰って来るんだからそれでいい」
今もスマホを見続けているレッドを放置して、グリーンは自身のスマホで検索してみた。対象はミミの男友達のモデル君。
Instagram、数時間前に投稿された複数の写真にはガラル地方の著名な男性2名と女性2名とポケモン達の笑顔が収められている。自宅らしいが1対1ではなさそうだ。
Twitter(X)、更に数時間前のこちらはファンの投稿、遠目からだが2枚の写真には一組の男女が街を歩く姿が撮られている。フードを目深に被るのは女の方だ。1枚目はノーガードに和気藹々な2人の様子。2枚目はカメラを感知したのか男がワンパチスマイルをサービスする様子で、姫の姿は前に歩み出た褐色の騎士の背に守られていた。
キバナさんは脚が長いねえ。
オレ様のセールスポイントの一つだぜ。
キバナさんの脚は高いねえ。
友達価格でタダにしてやるよ。
等という友人同士の会話はその写真には載っていない。
「ガラルには居たっぽいな……」
「……そいつがキバナ?」
「おー。ジムリーダーもしてるんだと」
「……ふーん……」
覚えておく。そう言って一睨みしてレッドは自分のスマホをポケットに戻す。
ヒエ。彼と幼馴染のグリーンの悲鳴さえ彼に見付かるのが怖いと肺の奥へ引き返してきた。南無三宝、して心の中でキバナに手を合わせる。人を覚えない奴が直々に目を付けたと断言したのだ、末恐ろしくて仕方がない。寒気をもたらしてくれたことには感謝する。
「迎えに行ってくる。ピカチュウ、おいで!」
それはいつもながら突然だった。
赤い帽子を被った大型犬は小鼠の耳が察知するよりも早く地を蹴った。足はショッピングモールの角路地裏の方へ。地面に引っ繰り返っていた小鼠もコンマ一秒遅れて走り出す。
「レッドー?ピカチュウー?
………………。
行ってらっしゃい……?」
動く気が起きないグリーンはその場で煙草でも吸って待つことに。
箱を探す彼は例のゾロアがのしのしとピカチュウの尻尾を付けて行ったところまでは見ていなかった。
おしまい