Gotcha!
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ダンデに選ばれる
「ミミ!結婚してくれ!」
「ごめんなさいっ」
パーティー開始から小一時間、迷子をしていたダンデが主催者キバナに保護される形で漸く到着した。が、会場に現れるなり椅子に座るミミの足下に跪いてプロポーズ。真っ赤な薔薇の花束を添えて。
「おれ諦めないから!」
「私だってダンデが諦めるまで何度でも断るよ」
「その芯の強さも好きだっ!」
「どうもありがとうございますでも絆されないからねっ」
今や恒例となっていたそれは無事に何十回目かの失敗に終わる。元無敵のチャンピオンも恋愛では形なし。
しかし黄金色の瞳は尚も希望の光を灯し続けているのでミミはそれを消すつもりでフンと鼻を鳴らした。敵対心に満ちる胸の前で腕を組む。
「飽きないわね~」
「勝ち筋ねェのになァ」
「『心に決めた人がいるから』って何回言われたかしらね~」
本人達は本気だが周りの友人等の目にはただの挨拶にしか見えなくて、キバナとソニアの2人はいつも通りに笑い飛ばしていた。ウイスキーのアルコールに手伝われていつもよりはテンション高めに。
スマホロトムも愉快な気分で好きにシャッターを切って回っている。
彼女に初めて会った時もキラキラと目を輝かせながら開口一番に、結婚してくれ!と言い放った男だ。ミミが他の男性と結ばれるまでやめないかも知れない。
「絶対おれの方がミミのこと好きなのに」
「………………」
喧嘩を売られた気分のミミだったが、これ以上ダンデを拗らせるのも面倒で黙って冷めた紅茶を啜った。
頬を膨らませて抗議しつつ、ダンデは赤い花束を丁寧に紙袋に仕舞うと別の紙袋から別の花束を取り出す。紫色の花と黄色の花。メインを張るリンドウとキバナコスモスは受贈者達に見立てたものだろう。
離れる求婚者を横目にミミは紅茶をもう一口、はふ、と一息。後ろに寄り掛かれば彼女の背と椅子の背の間に挟まれた鞄の鈴がチリンと癒しの音を奏でた。
蛇足だが振られた方の花はダンデの執務室に飾られるとか。プロポーズの都度増えていくらしい。
「はいはいミミも食べて食べて」
「はいはいいただきまあす」
ソニアはつまみが盛り付けられた器をテーブルの真ん中から自席と隣席の真ん中へ滑らせる。元土産も一緒にされている。
肉や魚やチーズの燻製に生ハムやらアボカド等々。どれにしようかなと楽し気に悩む話し相手の指先がナゾのみチョコレートを選んだその隣でソニアは自分のタンブラーグラスに手酌した。
大きなテーブルの反対側ではダンデがヌメルゴンに花束をプレゼント。
「これからも良いバトルをしような!」
「おう!」
そのポケモンはわけもわからずだがファンサービスにハグをした。それは頭の隅にあったトレーナーの仕事姿を真似ているのだと思われる。
男共は笑い合って騒いでいた。
「ダンデくんにはレッドさんの名前を隠しておいた方がいいわよ」
自分の口元に手で戸を立てて小声で耳打するソニア。
口の中にチョコレートを封じたままミミは何か理由があるのかと小首を傾げてもぐもぐする。
「かの生きた伝説が好きな人だってばらしたらもう……あいつの負け嫌いに拍車がかかるわよ」
「っ」
ごくっ。ダンデと幼馴染のソニアが言うのだから現実味がある。ミミはチョコレートを嚥下すると承知とこくこく頷いた。彼に迷惑をかける訳にはいかない。
というか鳴りを潜めている筈なのにレッドという才名は遠くガラル地方にまで轟いているそうだ。凄い。
「めっ!食い物じゃねェぞ、ヌメ!
ミミさんも言ってくれ!」
ヌメルゴンの女の子はおめでとうと贈呈された品の匂いをクンクンして可か不可か吟味中。
「ヌメちゃんそれ食べられないよ」
彼女のトレーナーと彼女の友が念を押したからとりあえずは大丈夫。
「ところでさ……ミミは何でキバナの服を着てるんだ?」
「外に出る時に借りたんだよこれ。替えの服が1着しかなくて。
このバーンコートかっこいいよね」
「だろ?オレ様のオーダーメイドで防水防汚機能付きの優れものだぜ」
粘液対策だね。
そうそう。
レディースもデザインしちゃえば?
3人の会話を止める、狡い!の声。何がかを察したキバナはダンデに、オーダーメイドできる店を教えようか?としらを切るがその男は、違うぞ!と言い切った。
「ミミ!おれが貸すからおれの服を着てくれ!」
「ごめんなさいっ」
また別の攻防が始まる。
「ミミ!結婚してくれ!」
「ごめんなさいっ」
パーティー開始から小一時間、迷子をしていたダンデが主催者キバナに保護される形で漸く到着した。が、会場に現れるなり椅子に座るミミの足下に跪いてプロポーズ。真っ赤な薔薇の花束を添えて。
「おれ諦めないから!」
「私だってダンデが諦めるまで何度でも断るよ」
「その芯の強さも好きだっ!」
「どうもありがとうございますでも絆されないからねっ」
今や恒例となっていたそれは無事に何十回目かの失敗に終わる。元無敵のチャンピオンも恋愛では形なし。
しかし黄金色の瞳は尚も希望の光を灯し続けているのでミミはそれを消すつもりでフンと鼻を鳴らした。敵対心に満ちる胸の前で腕を組む。
「飽きないわね~」
「勝ち筋ねェのになァ」
「『心に決めた人がいるから』って何回言われたかしらね~」
本人達は本気だが周りの友人等の目にはただの挨拶にしか見えなくて、キバナとソニアの2人はいつも通りに笑い飛ばしていた。ウイスキーのアルコールに手伝われていつもよりはテンション高めに。
スマホロトムも愉快な気分で好きにシャッターを切って回っている。
彼女に初めて会った時もキラキラと目を輝かせながら開口一番に、結婚してくれ!と言い放った男だ。ミミが他の男性と結ばれるまでやめないかも知れない。
「絶対おれの方がミミのこと好きなのに」
「………………」
喧嘩を売られた気分のミミだったが、これ以上ダンデを拗らせるのも面倒で黙って冷めた紅茶を啜った。
頬を膨らませて抗議しつつ、ダンデは赤い花束を丁寧に紙袋に仕舞うと別の紙袋から別の花束を取り出す。紫色の花と黄色の花。メインを張るリンドウとキバナコスモスは受贈者達に見立てたものだろう。
離れる求婚者を横目にミミは紅茶をもう一口、はふ、と一息。後ろに寄り掛かれば彼女の背と椅子の背の間に挟まれた鞄の鈴がチリンと癒しの音を奏でた。
蛇足だが振られた方の花はダンデの執務室に飾られるとか。プロポーズの都度増えていくらしい。
「はいはいミミも食べて食べて」
「はいはいいただきまあす」
ソニアはつまみが盛り付けられた器をテーブルの真ん中から自席と隣席の真ん中へ滑らせる。元土産も一緒にされている。
肉や魚やチーズの燻製に生ハムやらアボカド等々。どれにしようかなと楽し気に悩む話し相手の指先がナゾのみチョコレートを選んだその隣でソニアは自分のタンブラーグラスに手酌した。
大きなテーブルの反対側ではダンデがヌメルゴンに花束をプレゼント。
「これからも良いバトルをしような!」
「おう!」
そのポケモンはわけもわからずだがファンサービスにハグをした。それは頭の隅にあったトレーナーの仕事姿を真似ているのだと思われる。
男共は笑い合って騒いでいた。
「ダンデくんにはレッドさんの名前を隠しておいた方がいいわよ」
自分の口元に手で戸を立てて小声で耳打するソニア。
口の中にチョコレートを封じたままミミは何か理由があるのかと小首を傾げてもぐもぐする。
「かの生きた伝説が好きな人だってばらしたらもう……あいつの負け嫌いに拍車がかかるわよ」
「っ」
ごくっ。ダンデと幼馴染のソニアが言うのだから現実味がある。ミミはチョコレートを嚥下すると承知とこくこく頷いた。彼に迷惑をかける訳にはいかない。
というか鳴りを潜めている筈なのにレッドという才名は遠くガラル地方にまで轟いているそうだ。凄い。
「めっ!食い物じゃねェぞ、ヌメ!
ミミさんも言ってくれ!」
ヌメルゴンの女の子はおめでとうと贈呈された品の匂いをクンクンして可か不可か吟味中。
「ヌメちゃんそれ食べられないよ」
彼女のトレーナーと彼女の友が念を押したからとりあえずは大丈夫。
「ところでさ……ミミは何でキバナの服を着てるんだ?」
「外に出る時に借りたんだよこれ。替えの服が1着しかなくて。
このバーンコートかっこいいよね」
「だろ?オレ様のオーダーメイドで防水防汚機能付きの優れものだぜ」
粘液対策だね。
そうそう。
レディースもデザインしちゃえば?
3人の会話を止める、狡い!の声。何がかを察したキバナはダンデに、オーダーメイドできる店を教えようか?としらを切るがその男は、違うぞ!と言い切った。
「ミミ!おれが貸すからおれの服を着てくれ!」
「ごめんなさいっ」
また別の攻防が始まる。
おしまい