Gotcha!
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レッドに探される
“マサラタウンに帰る”
グリーンが受け取った飾り気のない手紙に綴られていたのはそのたった一文だった。差出人はシンオウ地方にいるのだろう、茶封筒に貼られた切手につぼみポケモンのスボミーが描かれている。
「……スマホロトムも普及してるこの時代に伝書ポッポとは……」
視線を向けた先、トキワジムの看板で“はねやすめ”をしていたポッポは、空になった郵便鞄をくちばしで整え一鳴き、翼を広げ“そらをとぶ”。
その姿につられてグリーンはマサラタウンに続く青空を見上げた。
大きく深呼吸する。
手紙の差出人はレッド。最後に連絡があったのはレッドがシロガネやまを下りる時だったとグリーンは記憶している。その時に、やりたいことがあるから、と彼は相棒のポケモン達と共に再び旅に出たのだ。
カントー地方ポケモンリーグ制覇者でありトキワシティジムリーダーが認めたライバルだ、やりたいことについて詳しく聞いていないが、やり遂げてきたのだろうと思う。
「ん?」
マサラタウンの方角、青空にポッポ以外の影を見付けたグリーン。何の気なしに眺めていると、その影が近付いてくること、そして影の正体がリザードンだということがわかり――
「え?」
リザードンの背中に見えた赤い帽子とピカチュウの尻尾で確信した。
「……レッド?」
目を丸くするグリーンに大きな影を落とす、その背中から飛び降りたのはやはりレッドだった。
「……あのさ、相談があって……」
「挨拶もなしかよ」
ああ、ごめん、久しぶり。と、数年ぶりの再会となる友に生返事しつつリザードンをモンスターボールに。戻すなり今度はリュックを漁り一枚の写真を差し出した。
グリーンを見るレッドに倣ってピカチュウもグリーンを見る。このピカチュウ、相変わらず目付きが悪い。
「あー。とりあえず中に入れよ。何か長くなりそうだし」
「……そうする」
手紙はいつ出したんだとか聞きたいこともいくつかあったがそれはもう置いておくことにした。
奥ではポケモン達がトレーニング中だ。
ジムの一角の休憩スペースにレッドを案内して、ジムの長は近くの自動販売機でサイコソーダを2本購入。1本をレッドに投げて寄越す。
「で、その写真がどうしたって?」
机の上の写真をパッと見て得られた情報は、シロガネやま、レッド、とレッドの帽子を被った女の子と緑色のミュウツーだった。撮影した時期はそこのやまおとこが山籠りをしていた頃だろう。
「この、女の子……探したくて。
どうしたらいいかな……」
サイコソーダを飲みながら椅子に腰を掛けるグリーン。対面のレッドはまだ缶を開けずに手の中でころころと遊ばせている。
目付きの悪いピカチュウが赤い帽子を奪って机上に投げ置くも、レッドはそれをいつものことのように流し見ただけだった。
「何かあったのか?」
「いや、何も……。ただ、会いたいなって」
「!?」
吃驚したグリーンはサイコソーダを噴き出しそうになったため、飲むのを一旦やめることにした。
カン!
身を乗り出す勢いのまま缶を置き、無表情の彼に詰め寄る。
こいつポケモンバトル以外興味ない野郎だったのに。
「もしかしてあれか?惚の字か?」
「ほのじ?何の話?」
イエスの反応を見せたのはレッド……ではなくピカチュウの方だ。自分の主人を指差し、そうなんですよ、と言いたげにどこかニヤニヤしている感じだ。
当の本人は何故だか日本語の意味を理解しかねている。確かにグリーンの言い方も古臭いかも知れないが。
「……。自覚ねーの?」
グリーンがついレッドではなくピカチュウの方に話しかけてしまうのも仕方がない。
レッドの小さな相棒は眉間にシワを寄せて残念そうに頷いた。そして、ライバルであるはずのグリーン側へ移動し主人のレッドに対峙する。
まるで、恋愛レベル0のこの小僧に言ってやってください、等と訴えているようだ。
「えーと……。
おまえ、この子のこと好きなの?」
「……それは考えたことないな……」
「考えろよ」
グリーンの口から反射的に出たのは促しというよりツッコミに近い感覚だったのだが、まずはそれで十分。暫く様子を見てみると、レッドの頬がだんだんと赤くなってきた。
「そっか……。好きか……」
返答している訳ではない。独り言を呟いて、レッドは帽子を手に取り顔を隠してしまう。真っ赤な耳は流石に隠せていないが。
ポケモンバトルに限っては連戦連敗中のジムリーダーは少しおもしろくなってきた。
「よしよし、親友のためだ。
この俺様が協力してやろう」
グリーンとピカチュウは互いの拳を合わせて意気投合。
「うわ……恥ずかしくなってきた……」
ついにレッドは頭を抱えて机に突っ伏した。
「俺は顔が広いからな。俺を頼ったのは正解だぜ」
「いやいい。また一人で探す……」
吹っ切れたのか、頬に赤みを残したままのレッドはサイコソーダを開けぐいっと飲んだ。
それから自分の反対側にいる相棒を両手で捕獲する。ピカチュウは渋い顔。
「ちょ待て『また』って、シロガネやまを下りた理由って、それ?」
「……悪い?」
自棄になり始めた幼馴染をグリーンはどうどうと宥める。
この口下手な男のことだ、どうせ旅の最中も人を頼ることはしなかったのだろう。そりゃ何年を費やしても見付かりっこない。
「まずは探すためにもこの子のことを教えてくれよ。
あ、あと写真もコピーさせてもらうから「やだ」何でだよ!」
「上手く言えないんだけど……。
その子のことは、僕が全部独り占めしたい」
「サイコソーダってノンアルコールだよな?」
真っ赤な男の子よりも、まだ名前も知らない女の子のことが心配になるグリーンだった。
“マサラタウンに帰る”
グリーンが受け取った飾り気のない手紙に綴られていたのはそのたった一文だった。差出人はシンオウ地方にいるのだろう、茶封筒に貼られた切手につぼみポケモンのスボミーが描かれている。
「……スマホロトムも普及してるこの時代に伝書ポッポとは……」
視線を向けた先、トキワジムの看板で“はねやすめ”をしていたポッポは、空になった郵便鞄をくちばしで整え一鳴き、翼を広げ“そらをとぶ”。
その姿につられてグリーンはマサラタウンに続く青空を見上げた。
大きく深呼吸する。
手紙の差出人はレッド。最後に連絡があったのはレッドがシロガネやまを下りる時だったとグリーンは記憶している。その時に、やりたいことがあるから、と彼は相棒のポケモン達と共に再び旅に出たのだ。
カントー地方ポケモンリーグ制覇者でありトキワシティジムリーダーが認めたライバルだ、やりたいことについて詳しく聞いていないが、やり遂げてきたのだろうと思う。
「ん?」
マサラタウンの方角、青空にポッポ以外の影を見付けたグリーン。何の気なしに眺めていると、その影が近付いてくること、そして影の正体がリザードンだということがわかり――
「え?」
リザードンの背中に見えた赤い帽子とピカチュウの尻尾で確信した。
「……レッド?」
目を丸くするグリーンに大きな影を落とす、その背中から飛び降りたのはやはりレッドだった。
「……あのさ、相談があって……」
「挨拶もなしかよ」
ああ、ごめん、久しぶり。と、数年ぶりの再会となる友に生返事しつつリザードンをモンスターボールに。戻すなり今度はリュックを漁り一枚の写真を差し出した。
グリーンを見るレッドに倣ってピカチュウもグリーンを見る。このピカチュウ、相変わらず目付きが悪い。
「あー。とりあえず中に入れよ。何か長くなりそうだし」
「……そうする」
手紙はいつ出したんだとか聞きたいこともいくつかあったがそれはもう置いておくことにした。
奥ではポケモン達がトレーニング中だ。
ジムの一角の休憩スペースにレッドを案内して、ジムの長は近くの自動販売機でサイコソーダを2本購入。1本をレッドに投げて寄越す。
「で、その写真がどうしたって?」
机の上の写真をパッと見て得られた情報は、シロガネやま、レッド、とレッドの帽子を被った女の子と緑色のミュウツーだった。撮影した時期はそこのやまおとこが山籠りをしていた頃だろう。
「この、女の子……探したくて。
どうしたらいいかな……」
サイコソーダを飲みながら椅子に腰を掛けるグリーン。対面のレッドはまだ缶を開けずに手の中でころころと遊ばせている。
目付きの悪いピカチュウが赤い帽子を奪って机上に投げ置くも、レッドはそれをいつものことのように流し見ただけだった。
「何かあったのか?」
「いや、何も……。ただ、会いたいなって」
「!?」
吃驚したグリーンはサイコソーダを噴き出しそうになったため、飲むのを一旦やめることにした。
カン!
身を乗り出す勢いのまま缶を置き、無表情の彼に詰め寄る。
こいつポケモンバトル以外興味ない野郎だったのに。
「もしかしてあれか?惚の字か?」
「ほのじ?何の話?」
イエスの反応を見せたのはレッド……ではなくピカチュウの方だ。自分の主人を指差し、そうなんですよ、と言いたげにどこかニヤニヤしている感じだ。
当の本人は何故だか日本語の意味を理解しかねている。確かにグリーンの言い方も古臭いかも知れないが。
「……。自覚ねーの?」
グリーンがついレッドではなくピカチュウの方に話しかけてしまうのも仕方がない。
レッドの小さな相棒は眉間にシワを寄せて残念そうに頷いた。そして、ライバルであるはずのグリーン側へ移動し主人のレッドに対峙する。
まるで、恋愛レベル0のこの小僧に言ってやってください、等と訴えているようだ。
「えーと……。
おまえ、この子のこと好きなの?」
「……それは考えたことないな……」
「考えろよ」
グリーンの口から反射的に出たのは促しというよりツッコミに近い感覚だったのだが、まずはそれで十分。暫く様子を見てみると、レッドの頬がだんだんと赤くなってきた。
「そっか……。好きか……」
返答している訳ではない。独り言を呟いて、レッドは帽子を手に取り顔を隠してしまう。真っ赤な耳は流石に隠せていないが。
ポケモンバトルに限っては連戦連敗中のジムリーダーは少しおもしろくなってきた。
「よしよし、親友のためだ。
この俺様が協力してやろう」
グリーンとピカチュウは互いの拳を合わせて意気投合。
「うわ……恥ずかしくなってきた……」
ついにレッドは頭を抱えて机に突っ伏した。
「俺は顔が広いからな。俺を頼ったのは正解だぜ」
「いやいい。また一人で探す……」
吹っ切れたのか、頬に赤みを残したままのレッドはサイコソーダを開けぐいっと飲んだ。
それから自分の反対側にいる相棒を両手で捕獲する。ピカチュウは渋い顔。
「ちょ待て『また』って、シロガネやまを下りた理由って、それ?」
「……悪い?」
自棄になり始めた幼馴染をグリーンはどうどうと宥める。
この口下手な男のことだ、どうせ旅の最中も人を頼ることはしなかったのだろう。そりゃ何年を費やしても見付かりっこない。
「まずは探すためにもこの子のことを教えてくれよ。
あ、あと写真もコピーさせてもらうから「やだ」何でだよ!」
「上手く言えないんだけど……。
その子のことは、僕が全部独り占めしたい」
「サイコソーダってノンアルコールだよな?」
真っ赤な男の子よりも、まだ名前も知らない女の子のことが心配になるグリーンだった。
おしまい
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