Gotcha!
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レッドに聞かされる
「何、ここ……天国……?」
「楽園ではあるかなあ?」
昼前の中途半端な時間を過ごしに2人が訪れたのはピカチュウのたに。名前の通り多数のピカチュウが生息している谷だ。
浅緑と碧い川。濃い岩肌を露出した滝が堂々と生み続ける音をBGMに、黄色の毛毬達が思い思いにその時々を過ごしている。観光客も散見されるが多くはないようだ。
「涼しいし、ここでゆっくりしようか」
「……うん」
懐っこいピカチュウに出迎えられるレッドとミミ。レッドが屈んで頭を撫でると我も我もとつぶらな瞳達に寄られて集られて囲まれる。
傍らの彼女へ視線を投げかければ応と返事。後ろをとことこ付いてくるピカチュウ達とミミを木陰へ誘導して彼はそこへ座り込んだ。
ミミは遊び道具のポケボールを手渡しながらその隣に腰を下ろして、ふう、と脚を投げ出す。彼の相棒の照れ屋なピカチュウは木の上に避難中。
「レッドくんってピカチュウが好きだよねえ」
「うん、好き……」
ボールを投げて受け取って。
ボールを投げて受け取って。
繰り返し。ポケじゃらしでピチューをあやしつつミミはそのキャッチボールの様子を眺めていた。肩いいねえ、等とたまに会話して。
ボールを投げて受け取って。
ピカチュウ達のボールを巡る競走が突発的にサッカーへ発展して、返せとレッドが乱入していく。毛毬達が繋ぐパスに華麗なインターセプトを決めて川手前で無事回収。
そして、元気な子供達と帰って来た彼は自分達に和やかな表情を向けるミミを見てふと思った。もし家族になれたら、こういう感じだろうか、と。男の口は弛んでいる。
「レッドくんって私が好きだよね」
「うん、好――やッ!?」
バッ。レッドは矢庭に蹲んで彼女の両耳を塞ぐ。女性の脚を跨いでいるとか気にしていられないし、落ちたボールが拐われて第2試合のキックオフをされたが今はそれどころではない。
ミミが揺らしているポケじゃらしは野生ポケモンとの戦闘から絶対に逃げられる道具。ミミはそれを手放した。
「……。き、聞こえた……?」
かあっと紅潮していく男の子へ悪戯に、最後までは聞いていないよ、と女の子は告げる。
震える両手をそのままに段々と顔を伏せていく男の子は最終的に地面へ声を落とした。その子の太腿は極力無視。玩具の羽根が視界に入る。
「それは、僕から言わせてほしい……だから……その……僕は………………」
今か!今なのか?今でいいのか!?彼女の耳を解放してからスッと顔を上げる。
リリリリリン!
そんな折に耳に届いたのは、無念、スマホからのコールだった。黒電話の音を鳴らしているのはミミの方のスマホ。人工音に驚いたピチューは逃げて行った。
開いた口が塞がらないとはまさに。
「あーごめんね……」
「あっはい……」
レッドはふらりと立ち上がるとそこから本の少し距離を取る。
「――――――っ」
酷く恥ずかしかった。目の前の川へダイブしたい気分だった。
とりあえず火照りを冷まそうと顔を両手で覆ったもののその両手は彼女から貰った体温で熱されていた。
「――居るよ。代わろうか?
レッドくん、グリーンくんから」
「……」
パスされたスマホの通話終了ボタンを微塵の躊躇いもなく押す。
だが直ぐにツッコミの着信があったためレッドは嫌々電話に出ることにした。
『切んなよ』
「冗談半分だよ」
『残り半分は本気か?』
ミミに聞かれて困る話もないが今の顔を見せるのはどうかと思って彼は陰の外を向く。ピカチュウ達は川から離れた場所でボール遊びをしてくれているらしい。心配りができるポケモン達だ。
『つかおまえスマホは?繋がらねーし』
「切ってある」
『は?何で』
「デート中だから」
『は?……いや……いいや……それよりミミちゃんとはどうよ』
ちらり背後を見遣るレッド。偶然か否か振り向いた意中の子にふにゃっと笑いかけられて彼は木霊するように口に弧を描いた。
「……邪魔しないでね」
ボタンを押した。グリーンも心配はしてくれているのだ。それはわかるのだが。
深呼吸。何か言っておかなければと首の後ろをさする。
「ミミちゃん……話は、また……」
「いいよ。待つよ」
「ありがとう……」
膝を抱えて座るレッド。ミミが指を指した先、滝に掛かる七色の虹の橋を二人で眺めてクールダウン。
根元には宝があると言われていたりするが果たして見付かるのだろうか。
「……告白って難しいね」
「運も味方に付けないとかなあ……。私も未経験だからね」
主人監視中の木の上のピカチュウは思った。キャッチボールする相手が違わない?
「何、ここ……天国……?」
「楽園ではあるかなあ?」
昼前の中途半端な時間を過ごしに2人が訪れたのはピカチュウのたに。名前の通り多数のピカチュウが生息している谷だ。
浅緑と碧い川。濃い岩肌を露出した滝が堂々と生み続ける音をBGMに、黄色の毛毬達が思い思いにその時々を過ごしている。観光客も散見されるが多くはないようだ。
「涼しいし、ここでゆっくりしようか」
「……うん」
懐っこいピカチュウに出迎えられるレッドとミミ。レッドが屈んで頭を撫でると我も我もとつぶらな瞳達に寄られて集られて囲まれる。
傍らの彼女へ視線を投げかければ応と返事。後ろをとことこ付いてくるピカチュウ達とミミを木陰へ誘導して彼はそこへ座り込んだ。
ミミは遊び道具のポケボールを手渡しながらその隣に腰を下ろして、ふう、と脚を投げ出す。彼の相棒の照れ屋なピカチュウは木の上に避難中。
「レッドくんってピカチュウが好きだよねえ」
「うん、好き……」
ボールを投げて受け取って。
ボールを投げて受け取って。
繰り返し。ポケじゃらしでピチューをあやしつつミミはそのキャッチボールの様子を眺めていた。肩いいねえ、等とたまに会話して。
ボールを投げて受け取って。
ピカチュウ達のボールを巡る競走が突発的にサッカーへ発展して、返せとレッドが乱入していく。毛毬達が繋ぐパスに華麗なインターセプトを決めて川手前で無事回収。
そして、元気な子供達と帰って来た彼は自分達に和やかな表情を向けるミミを見てふと思った。もし家族になれたら、こういう感じだろうか、と。男の口は弛んでいる。
「レッドくんって私が好きだよね」
「うん、好――やッ!?」
バッ。レッドは矢庭に蹲んで彼女の両耳を塞ぐ。女性の脚を跨いでいるとか気にしていられないし、落ちたボールが拐われて第2試合のキックオフをされたが今はそれどころではない。
ミミが揺らしているポケじゃらしは野生ポケモンとの戦闘から絶対に逃げられる道具。ミミはそれを手放した。
「……。き、聞こえた……?」
かあっと紅潮していく男の子へ悪戯に、最後までは聞いていないよ、と女の子は告げる。
震える両手をそのままに段々と顔を伏せていく男の子は最終的に地面へ声を落とした。その子の太腿は極力無視。玩具の羽根が視界に入る。
「それは、僕から言わせてほしい……だから……その……僕は………………」
今か!今なのか?今でいいのか!?彼女の耳を解放してからスッと顔を上げる。
リリリリリン!
そんな折に耳に届いたのは、無念、スマホからのコールだった。黒電話の音を鳴らしているのはミミの方のスマホ。人工音に驚いたピチューは逃げて行った。
開いた口が塞がらないとはまさに。
「あーごめんね……」
「あっはい……」
レッドはふらりと立ち上がるとそこから本の少し距離を取る。
「――――――っ」
酷く恥ずかしかった。目の前の川へダイブしたい気分だった。
とりあえず火照りを冷まそうと顔を両手で覆ったもののその両手は彼女から貰った体温で熱されていた。
「――居るよ。代わろうか?
レッドくん、グリーンくんから」
「……」
パスされたスマホの通話終了ボタンを微塵の躊躇いもなく押す。
だが直ぐにツッコミの着信があったためレッドは嫌々電話に出ることにした。
『切んなよ』
「冗談半分だよ」
『残り半分は本気か?』
ミミに聞かれて困る話もないが今の顔を見せるのはどうかと思って彼は陰の外を向く。ピカチュウ達は川から離れた場所でボール遊びをしてくれているらしい。心配りができるポケモン達だ。
『つかおまえスマホは?繋がらねーし』
「切ってある」
『は?何で』
「デート中だから」
『は?……いや……いいや……それよりミミちゃんとはどうよ』
ちらり背後を見遣るレッド。偶然か否か振り向いた意中の子にふにゃっと笑いかけられて彼は木霊するように口に弧を描いた。
「……邪魔しないでね」
ボタンを押した。グリーンも心配はしてくれているのだ。それはわかるのだが。
深呼吸。何か言っておかなければと首の後ろをさする。
「ミミちゃん……話は、また……」
「いいよ。待つよ」
「ありがとう……」
膝を抱えて座るレッド。ミミが指を指した先、滝に掛かる七色の虹の橋を二人で眺めてクールダウン。
根元には宝があると言われていたりするが果たして見付かるのだろうか。
「……告白って難しいね」
「運も味方に付けないとかなあ……。私も未経験だからね」
主人監視中の木の上のピカチュウは思った。キャッチボールする相手が違わない?
おしまい