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グズマは頼られる⑤
眉根を寄せる輩の視線の先、無人販売所の棚の上。色々野菜に混じって何やら蠢く白い物体が1つ。
写真にも写り込んでいたそれの正体はカップルポケモン ワッカネズミだった。つがいのもう1匹は棚の足下で上のネズミが落とす野菜を拾い集めている。
「「………………」」
一旦顔を見合わせたグズミミペアは、“+1G”の真実を追うべく足早に近付いた。
ターゲットに喧嘩を買う素振りはない。オラオラな“とうそうしん”持ちが接近しようとも威嚇せず、人に慣れているのか堂々と作業を継続中だ。
「ちょっとちょっと、そこのカップルさん。お話を聞かせてもらってもいいかな?」
ミミが話し掛けると手を止めて、上が下へ合流、仲良し2匹で固まった。感情を読み難い目が並ぶ。
「私はミミ。こっちはグズマ。私達は、何て言うかな……言うなれば、そのお野菜を作っている農家さんの知り合いなんだけど……」
蹲んで自己紹介を済ませるポケモンレンジャー。
その間相方がサイトで種族名を検索したところ、複数の生息地の中にはデンヂムシとも被るスイリョクタウン西、フジがはら も出てきた。やせいだろうか。Hmm... グズマはしゃくらせた顎を擦る。
「さっき、そこの箱に一円玉を入れたのは君達?」
事実確認すれば素直に認めるワッカネズミ。しかし何食わぬ顔で、だから何?と言った風だ。一円玉と交換したナスの袋やネギやらを、これは自分達の物だと主張するようにずずりと引き寄せる。
ネズミはネギが苦手、と云う通説を今は取り敢えず無視しておこう。ミミは彼等が人様の見様見真似で野菜を購入しているのでは?と仮説を立てる。
「あのね、お金って きのみ みたいに種類毎に価値が違ってね。ここに入れて欲しいのは、百円玉ってやつ……ええと、これ、なんだよね」
現物を見せながら、先ずは人間のルールを説明していく。そして責める積もりはないけれども、自分達の行いが農家を困らせていることまで。
そうすると、じゃあ食料は貰っちゃ駄目?と無垢な瞳が見上げてきて。
「――ウッ――ッ!」
小さき生き物可愛さにミミが言葉を詰まらせる。
そこへ“おいうち”。路傍の草叢がガサガサ、謀ったかの如く仔ネズミが顔を覗かせて。ワッカネズミは3びきかぞくのイッカネズミである事が判明する。
たったか走って来た小粒がママの後ろに隠れるけどぴょっこり、同じ目横一列揃って激熱シャイニー。
「グ……、グズマあ……」
踞ったままなので自ずと上目遣いになる。うるうると、買ってあげちゃ駄目?と宣う彼女に呆れつつ、グズマは腰を折って耳打ちする。
「モンスターボールまだ残ってたろ」
「うん、まだあるけど……?ああ、デンヂムシくん同様お迎えせよって話?」
「……察しが悪ぃな……。面倒臭ぇ、心読め」
「いいの?じゃああれだよ好きなグラビアアイドルとか考えないようにね?」「誘導すんなや」
その、こそこそと為される会話に嫌な予感がしたのだろう。親ネズミは各々、我が子と持てる限りの未精算商品を抱えて逃げ出したっ!
「あっ!待っ「逃がすな!“ねばねばネット”!」
即座に動いたグズマの、力任せの豪速球が逃走経路に回り込み。飛び出したアリアドスが透かさず一家を迎え撃つ、蜘蛛糸を散蒔き退路を断つ。
戦闘態勢に入るイッカネズミの顔が真っ赤に見えるのは体毛がとても短い所為だ。
「ミミッ!」「イエス、ボスッ!」
続いてお縄基モンスターボールを取り出したミミがそれをイッカネズミ容疑者へ投げ付けた。
トレードマークの大きな耳に命中し、そして――
「あれっ!?作動しない!?」
捕獲シーケンスへ移行することなく、地に落ちる。勿論、故障等の原因も考えられるが。
「Grrreatだぜブラザー!
“ひとの ものを とったら どろぼう!”あいつは既に飼われてる。裏にゃ飼い主が居るなぁ」
「な、何だってええッ!?計画的犯行!?まんまと騙された、って、いう、訳!!かあああっ!」
そういう事だったのだ。たいへんよくできました、猟犬を褒める狩人宛ら、グズマは厳つい手でミミの頭をわしわしと撫でた。
ブッ壊していい獲物を見付けてワイルドなハンターはボルテージが上がっている。
「あいつを餌にしてカストレーナー誘き寄せんぞ」
「うっわあ。あくどい……!」
「手を緩めなくて嫌われるのがグズマ様だぜ。
アリアドス!“どくのいと”!」
「うっわあ。えぐ……くはないね。それは只のポケモンバトルだね」
なんだかんだでその後イッカネズミのトレーナー、やさいドロボーを捕まえて、窃盗事件は無事に解決したのだった。
「それじゃ心置き無くお野菜いっぱい買って行こうっと。あっ……百円玉1枚しかなかった、一万円札しかない。両替機なんてないしなあ……。
グズマ、小銭ある?」
「キャッシュレス派だから持たねぇよ」
「仕方ない……近くに自動販売機あったっけ」
「あったとしても万札は使えねぇよ」
眉根を寄せる輩の視線の先、無人販売所の棚の上。色々野菜に混じって何やら蠢く白い物体が1つ。
写真にも写り込んでいたそれの正体はカップルポケモン ワッカネズミだった。つがいのもう1匹は棚の足下で上のネズミが落とす野菜を拾い集めている。
「「………………」」
一旦顔を見合わせたグズミミペアは、“+1G”の真実を追うべく足早に近付いた。
ターゲットに喧嘩を買う素振りはない。オラオラな“とうそうしん”持ちが接近しようとも威嚇せず、人に慣れているのか堂々と作業を継続中だ。
「ちょっとちょっと、そこのカップルさん。お話を聞かせてもらってもいいかな?」
ミミが話し掛けると手を止めて、上が下へ合流、仲良し2匹で固まった。感情を読み難い目が並ぶ。
「私はミミ。こっちはグズマ。私達は、何て言うかな……言うなれば、そのお野菜を作っている農家さんの知り合いなんだけど……」
蹲んで自己紹介を済ませるポケモンレンジャー。
その間相方がサイトで種族名を検索したところ、複数の生息地の中にはデンヂムシとも被るスイリョクタウン西、フジがはら も出てきた。やせいだろうか。Hmm... グズマはしゃくらせた顎を擦る。
「さっき、そこの箱に一円玉を入れたのは君達?」
事実確認すれば素直に認めるワッカネズミ。しかし何食わぬ顔で、だから何?と言った風だ。一円玉と交換したナスの袋やネギやらを、これは自分達の物だと主張するようにずずりと引き寄せる。
ネズミはネギが苦手、と云う通説を今は取り敢えず無視しておこう。ミミは彼等が人様の見様見真似で野菜を購入しているのでは?と仮説を立てる。
「あのね、お金って きのみ みたいに種類毎に価値が違ってね。ここに入れて欲しいのは、百円玉ってやつ……ええと、これ、なんだよね」
現物を見せながら、先ずは人間のルールを説明していく。そして責める積もりはないけれども、自分達の行いが農家を困らせていることまで。
そうすると、じゃあ食料は貰っちゃ駄目?と無垢な瞳が見上げてきて。
「――ウッ――ッ!」
小さき生き物可愛さにミミが言葉を詰まらせる。
そこへ“おいうち”。路傍の草叢がガサガサ、謀ったかの如く仔ネズミが顔を覗かせて。ワッカネズミは3びきかぞくのイッカネズミである事が判明する。
たったか走って来た小粒がママの後ろに隠れるけどぴょっこり、同じ目横一列揃って激熱シャイニー。
「グ……、グズマあ……」
踞ったままなので自ずと上目遣いになる。うるうると、買ってあげちゃ駄目?と宣う彼女に呆れつつ、グズマは腰を折って耳打ちする。
「モンスターボールまだ残ってたろ」
「うん、まだあるけど……?ああ、デンヂムシくん同様お迎えせよって話?」
「……察しが悪ぃな……。面倒臭ぇ、心読め」
「いいの?じゃああれだよ好きなグラビアアイドルとか考えないようにね?」「誘導すんなや」
その、こそこそと為される会話に嫌な予感がしたのだろう。親ネズミは各々、我が子と持てる限りの未精算商品を抱えて逃げ出したっ!
「あっ!待っ「逃がすな!“ねばねばネット”!」
即座に動いたグズマの、力任せの豪速球が逃走経路に回り込み。飛び出したアリアドスが透かさず一家を迎え撃つ、蜘蛛糸を散蒔き退路を断つ。
戦闘態勢に入るイッカネズミの顔が真っ赤に見えるのは体毛がとても短い所為だ。
「ミミッ!」「イエス、ボスッ!」
続いてお縄基モンスターボールを取り出したミミがそれをイッカネズミ容疑者へ投げ付けた。
トレードマークの大きな耳に命中し、そして――
「あれっ!?作動しない!?」
捕獲シーケンスへ移行することなく、地に落ちる。勿論、故障等の原因も考えられるが。
「Grrreatだぜブラザー!
“ひとの ものを とったら どろぼう!”あいつは既に飼われてる。裏にゃ飼い主が居るなぁ」
「な、何だってええッ!?計画的犯行!?まんまと騙された、って、いう、訳!!かあああっ!」
そういう事だったのだ。たいへんよくできました、猟犬を褒める狩人宛ら、グズマは厳つい手でミミの頭をわしわしと撫でた。
ブッ壊していい獲物を見付けてワイルドなハンターはボルテージが上がっている。
「あいつを餌にしてカストレーナー誘き寄せんぞ」
「うっわあ。あくどい……!」
「手を緩めなくて嫌われるのがグズマ様だぜ。
アリアドス!“どくのいと”!」
「うっわあ。えぐ……くはないね。それは只のポケモンバトルだね」
なんだかんだでその後イッカネズミのトレーナー、やさいドロボーを捕まえて、窃盗事件は無事に解決したのだった。
「それじゃ心置き無くお野菜いっぱい買って行こうっと。あっ……百円玉1枚しかなかった、一万円札しかない。両替機なんてないしなあ……。
グズマ、小銭ある?」
「キャッシュレス派だから持たねぇよ」
「仕方ない……近くに自動販売機あったっけ」
「あったとしても万札は使えねぇよ」
おしまい
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