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グズマは頼られる④
前略。斯くしてグズマのモンスターボールに新たなパーティメンバー、デンヂムシが収まった。近日中にクワガノンへ進化する予定。パチパチパチパチ。
上半分半透明のそのボールの中まだ少し不安そうにしているポケモンとは裏腹に、手中のそれらを握り締めるトレーナーの方は心無しか機嫌良く見える。
すわエモーショナル。拍手を送っていたミミは、ここぞとばかりにインスタントカメラを取り出す。
「へい若者よっ!記念に1枚、撮っておく?」
「……あー、まぁ、たまには悪くねぇなぁ……」
構えてみればフィルター越しにある、気紛れの類稀なる賛同と、満更でもなさそうな悪い顔。
しかし次の瞬間被写体の大きな手がぬっとフレームインしてきて、予想外、撮影道具を取り上げた。
「えっ……?撮るんじゃないの……?」
きょとんと素頓狂な声が上がる。虚を衝かれた両手はカメラがあるべき空間に取り残されたままだ。
この男はどういう積もりなのだろうか。心算読まぬサイキッカーガールがこてんと小首を傾げたなら。
「はぁ?撮るんだろ?」
そう言って、彼はモンスターボールを持った方の腕をミミの肩にどっかりと回した。些か体重を掛け過ぎな嫌いはあるが、所謂肩を組む構図。
もう一方のピンと突っ張った腕の先では、彼が持つカメラのレンズがベストショットを狙っている。
……ははあ、そういう事ねっ!
「おら笑え」
「はいはいっ」
言われずとも勝手ににやけてしまうのだけれども。っとそういう事は口に出さぬよう肝に銘じつつ、ミミは戦友の肩をがっちり掴んで応じる。
「デンヂムシくんもあっち向いてねえ」
で以て2人揃って写るその手々は、じゃんけんグーの形から、グズマはボールを握った形から親指小指を伸ばすアローラポーズのハングルース。
「Say」「「Cheese ! 」」
ピピッとパシャリで記念の1枚GETだぜ!
その出来映えについて撮影者は別にどうでもいいといった態度なので。見向きもされず戻されたカメラの、持ち主がモニターをウキウキチェッキング。
その評価は好印象。ミミがぷふっと吹き出した。
「あっはは!ねえねえグズマっ、グズマ目え瞑ってしまっているんだけどさ、見て見てっ、ニコニコッ!個人的には滅茶いい顔していると思う」
「タイミングわかり辛ぇんだよ」
悪怯れもせず一層爽快に笑い飛ばす彼女に、短気な元ごろつきも怒る気が起きなかった様子。いつもの調子で舌打ちはするけれど、平静に吐き捨てる。
そんな応えに対して困り笑いをしながらも。
「わかるわかる。デジタルだとオートフォーカスのピピッが来たり来なかったり、来たら来たでパシャッまでの間隔がまちまちだしねえ」
うんうんと共感を見せるアマチュアカメラマン。
「あとあれあれ!人力部分は はいっチーズっ の ズっ でパシャるパターンと、はいっチーズっ パシャッのパターンがあるよね」
「あるから何なんだよ……」
良かった良かった、今日も平和だ。
「どうする?撮り直したい?」
「写ってりゃいいだろ写ってりゃ」
私は失敗写真も好きだよ等とのんべんだらり語るミミだったが、カメラのモニターへと移したその双眸に、違和感が飛び込んで来て押し黙る。
「ん、??」
ぎゅむむっと目を凝らすミミ。彼女の挙動に引っ掛かりを覚えたグズマが横からそれを覗いて共有。
広角モードで撮影された写真の背景には遠くの無人販売所も写っていて、中央線ない道路を挟んで反対側その足下に何か白い塊が2つ落ちている。
大きさは1つが30cm程だろうか。数分前その場に居たが、その時は何もなかった筈だ。あったら気付いている。多分。と思う。
「オ……オーブとかじゃ……なさそうだけど……?」
びびりな視線が行ったり来たり現実世界との間違い探しを始めようとしたその時。
キュインキュインキュインキュイン!
コインチェッカーがけたたましい音を発した。販売所の料金箱に不正があった合図だ!
「「!!」」
2人揃って弾かれたようにそちらを向いた。
が、ぱっと見には人が居ないことを確認して。直ぐ様グズマの腕へ目視をシフト。
キュキュキュキュと確かにエラーを知らせている、ポケッチが液晶に示すはキンキラ3D赤文字での“+1G”と、ギンギラレインボーのド派手な演出。
「これ五月蝿ぇなぁ!パチンコかよ!」
「大当たりッ!アローラには遊戯機が無いのに良くわかったね!
因みにパチンコじゃなくてパチスロ。尚レッドくんチョイスです!」「クソどぉでもいい」
アラームを止めれば射幸心を煽る画面やらも纏めて正気に戻る。
グッドサイン×2を作る親指両方圧し折りたくなるグズマだったが、時間の無駄だしするのもなんだし、じゃれるのは赦してやることにしておいて。
彼はふんと鼻を鳴らすだけして現場へ足を運ぶ。
「おいローロー、あそこ……ネズミだ」
「ん?あ、本当だ」
前略。斯くしてグズマのモンスターボールに新たなパーティメンバー、デンヂムシが収まった。近日中にクワガノンへ進化する予定。パチパチパチパチ。
上半分半透明のそのボールの中まだ少し不安そうにしているポケモンとは裏腹に、手中のそれらを握り締めるトレーナーの方は心無しか機嫌良く見える。
すわエモーショナル。拍手を送っていたミミは、ここぞとばかりにインスタントカメラを取り出す。
「へい若者よっ!記念に1枚、撮っておく?」
「……あー、まぁ、たまには悪くねぇなぁ……」
構えてみればフィルター越しにある、気紛れの類稀なる賛同と、満更でもなさそうな悪い顔。
しかし次の瞬間被写体の大きな手がぬっとフレームインしてきて、予想外、撮影道具を取り上げた。
「えっ……?撮るんじゃないの……?」
きょとんと素頓狂な声が上がる。虚を衝かれた両手はカメラがあるべき空間に取り残されたままだ。
この男はどういう積もりなのだろうか。心算読まぬサイキッカーガールがこてんと小首を傾げたなら。
「はぁ?撮るんだろ?」
そう言って、彼はモンスターボールを持った方の腕をミミの肩にどっかりと回した。些か体重を掛け過ぎな嫌いはあるが、所謂肩を組む構図。
もう一方のピンと突っ張った腕の先では、彼が持つカメラのレンズがベストショットを狙っている。
……ははあ、そういう事ねっ!
「おら笑え」
「はいはいっ」
言われずとも勝手ににやけてしまうのだけれども。っとそういう事は口に出さぬよう肝に銘じつつ、ミミは戦友の肩をがっちり掴んで応じる。
「デンヂムシくんもあっち向いてねえ」
で以て2人揃って写るその手々は、じゃんけんグーの形から、グズマはボールを握った形から親指小指を伸ばすアローラポーズのハングルース。
「Say」「「
ピピッとパシャリで記念の1枚GETだぜ!
その出来映えについて撮影者は別にどうでもいいといった態度なので。見向きもされず戻されたカメラの、持ち主がモニターをウキウキチェッキング。
その評価は好印象。ミミがぷふっと吹き出した。
「あっはは!ねえねえグズマっ、グズマ目え瞑ってしまっているんだけどさ、見て見てっ、ニコニコッ!個人的には滅茶いい顔していると思う」
「タイミングわかり辛ぇんだよ」
悪怯れもせず一層爽快に笑い飛ばす彼女に、短気な元ごろつきも怒る気が起きなかった様子。いつもの調子で舌打ちはするけれど、平静に吐き捨てる。
そんな応えに対して困り笑いをしながらも。
「わかるわかる。デジタルだとオートフォーカスのピピッが来たり来なかったり、来たら来たでパシャッまでの間隔がまちまちだしねえ」
うんうんと共感を見せるアマチュアカメラマン。
「あとあれあれ!人力部分は はいっチーズっ の ズっ でパシャるパターンと、はいっチーズっ パシャッのパターンがあるよね」
「あるから何なんだよ……」
良かった良かった、今日も平和だ。
「どうする?撮り直したい?」
「写ってりゃいいだろ写ってりゃ」
私は失敗写真も好きだよ等とのんべんだらり語るミミだったが、カメラのモニターへと移したその双眸に、違和感が飛び込んで来て押し黙る。
「ん、??」
ぎゅむむっと目を凝らすミミ。彼女の挙動に引っ掛かりを覚えたグズマが横からそれを覗いて共有。
広角モードで撮影された写真の背景には遠くの無人販売所も写っていて、中央線ない道路を挟んで反対側その足下に何か白い塊が2つ落ちている。
大きさは1つが30cm程だろうか。数分前その場に居たが、その時は何もなかった筈だ。あったら気付いている。多分。と思う。
「オ……オーブとかじゃ……なさそうだけど……?」
びびりな視線が行ったり来たり現実世界との間違い探しを始めようとしたその時。
キュインキュインキュインキュイン!
コインチェッカーがけたたましい音を発した。販売所の料金箱に不正があった合図だ!
「「!!」」
2人揃って弾かれたようにそちらを向いた。
が、ぱっと見には人が居ないことを確認して。直ぐ様グズマの腕へ目視をシフト。
キュキュキュキュと確かにエラーを知らせている、ポケッチが液晶に示すはキンキラ3D赤文字での“+1G”と、ギンギラレインボーのド派手な演出。
「これ五月蝿ぇなぁ!パチンコかよ!」
「大当たりッ!アローラには遊戯機が無いのに良くわかったね!
因みにパチンコじゃなくてパチスロ。尚レッドくんチョイスです!」「クソどぉでもいい」
アラームを止めれば射幸心を煽る画面やらも纏めて正気に戻る。
グッドサイン×2を作る親指両方圧し折りたくなるグズマだったが、時間の無駄だしするのもなんだし、じゃれるのは赦してやることにしておいて。
彼はふんと鼻を鳴らすだけして現場へ足を運ぶ。
「おいローロー、あそこ……ネズミだ」
「ん?あ、本当だ」
つづく