Gotcha!
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ピカチュウ大量発生中③
「レッドくんなら朝飯前だね」
『時間的には昼飯前ですね』
バトルフィールドはプールサイド。東西に主役2人が移動して審判役と残りは対岸で観戦だ。
相手に悪いが戦う前から勝敗は確定しているので、レッドには、優しくしてあげて、と伝えてあった。強さを魅せたかったその男だがそれには相手が悪い。彼も彼女に同意した。
「よろしいですねーーッ?」
「はい!いつでもー!」
「………………」
審判役のおじさんがあちら側へ大声で呼び掛ける。レポータークルルが意気揚々返事をして、声を返さないもう一人のトレーナーの代理でミミがゴーサインを出した。おじさんは右手を高く上げる。
「ポケモンバトルーファイトーーッ!」
振り下ろされた右手とを合図に、2人がポケモンを繰り出した。
クルルはミルタンク。
レッドはフシギバナ。
「行くわよ!ミルル!」
「……フシギバナ、行けるね?」
まず自分の相手を見極める。基本的に闘争本能の塊であるポケモン達はレベル等による有利不利も関係なしに体力が尽きるまで闘おうとする。どこで退かせるかはトレーナー次第だ。
右手を帽子ではなく腰に。レッドは敵の様子を窺っている。ここで降参してもらえるのなら楽なのだが確率は0だろう。
『……プールが利用できる状況下で草タイプ……どう思われますか?』
「本気が出せないですからねえ……。今回はそういうバトルができる性格の子が選ばれたんだと思いますよお」
即席の実況と解説がチュウジロウの観戦を盛り上げている。
「ミルル!“しねんのずつき”!」
「………………」
先に動いたのはクルルの方だった。余裕余裕、とレッドのフシギバナ。文字通り斜に構える。猪突、真正面から迫るミルタンクに対し、牛歩で迎撃体勢。フシギバナが狙う方角にあるのはプールだ。
ゴッ。
衝突。
気合の咆哮。合わせて掬うように頭をスイング。すればミルタンクは、ビーチボールの如くポーンと大空へ投げ出された。
綺麗な放物線を追って上を向いたら日の光が眩しかった。皆一様に目を細める。
「高いですねえ」
『このプールは飛込許可がありますので。問題ありませんね』
ドッパーン!!
「チューッ!」
キラキラ光る水飛沫と虹。安全第一の観客席はミュウツーが“バリアー”を張っていた。ナイスショットです、おじさん感心。チュウジロウも拍手を送っている。
「この威力……“すてみタックル”なら相手だってダメージを負っている筈よ!」
「………………」
残念はずれ、只の“たいあたり”なのでケロリ、だ。ミルタンクのダメージもコンクリートに落とされるよりは軽いだろう。あくまでコンクリートよりはの話だが。
「次の攻撃の前にキズぐすりを……、あれ……?ミルル……?」
「………………」
「キャー!ミルルーッ!」
プールど真ん中ぷかあと桃色の体が浮いている。トレーナー指示で“つるのムチ”を操るフシギバナそして救助される瀕死のミルタンク。
「次のポケモンを出しますかーーッ?」
「いないですーー」
審判はバトルの終了とレッドの勝利を宣言した。
そこへクルルが駆け付け、わーわー喚きながらもげんきのかけらとキズぐすりでミルタンクを回復させる。ミミもタオルを持って馳せ参じた。
「タオルどうぞー。遠慮はいらないですよ」
「あ……ありがとうございます……」
「はあいミルタンクちゃんおいで。拭いてあげる」
ミルタンクと戯れるミミを横目に、レッドは渡されたタオルで腕に付いた水滴を拭った。帽子や服の方も少し濡れていたがこの天気のお陰で既に乾きそうだった。
水際に移動したフシギバナはつるで水面を叩いて水を被っている。
「………………」
顔を拭っているとタオルの柔らかないい匂いに気を引かれて、彼はつい鼻をうずめた。ミミと同じ匂いがする。
くい、くい、服の裾を引かれて振り向いた彼に彼女が笑い掛ける。
「レッドくん、ありがとう。あとね、チュウジロウが個人的に贈り物をしたいって「そういうことだったんですね!あなたはあのレジェンドだったんですね!その比類なき強さと赤い帽子間違いありません!」
意気消沈していた筈のレポーターが瞬間復活、ミミの台詞諸共に二人の間を遮りレジェンドに詰め寄って行った。嫌だって顔をしたって効果がないようで、レッドは困る。
「インタビューいいでしょうかまずアローラへ来た目的ですがお目当てはポケモンリーグでしょうかやはりバトルツリーでしょうか――」
「……」
「待ってくださいっ。
権利を勝ち取っていないんだから、それはなしですよ」
今度はポケモンレンジャーが強引に割って入った。その背中でレッドの体を押し遣り、押し遣れず一二歩足を滑らせる。かわいい守人の想いを彼はある意味確と受け止めていた。
チュウジロウさんの件は負けましたが、と言うクルル。更に続け喧嘩を売り付けてくる。
「……では、レッドさんの独占取材を賭けてバトルです!邪魔をしてきたあなたに勝てば許可してもらえますよね?」
『聞き捨てなりませんね』
「にぃに」
隣に“テレポート”してきたのはミミのミュウツーだ。テレパシー能力は釣りの餌にしかならないため迷惑を防ぎ強欲レポーターは対象から除外してある。
彼は兄妹と呼ぶ自分のトレーナーが弱く見られたことに腹を立てているらしかった。
「そのポケモンがあなたのポケモンですね!バトル、始めますか?」
『……。あちらの方はレポーターですよね?……見る目がないのはどうかと思うのですが』
「うん」
見物中のチュウジロウが面白がり、2戦目か?と囃してくる。
フシギバナも、1ターンで倒せる?と生意気に煽ってくる。
賞品にされている人物との距離は0、その胸に頭を押し付ける形で顔を上に90度、目を合わせればレッドは少しはにかんだ。
暫し言い淀んだ末、頼っていい?と困り顔で尋ねられミミは任されるしかない。何より元より見捨てる気等ない。クルルに向き直る。
「もう遠慮しないですからねッ!」
「望むところです!」
女同士の負けられない戦いはミュウツーの“はどうだん”一撃で決着した。
今日一番の頑張り賞はミルタンクだ。
「レッドくんなら朝飯前だね」
『時間的には昼飯前ですね』
バトルフィールドはプールサイド。東西に主役2人が移動して審判役と残りは対岸で観戦だ。
相手に悪いが戦う前から勝敗は確定しているので、レッドには、優しくしてあげて、と伝えてあった。強さを魅せたかったその男だがそれには相手が悪い。彼も彼女に同意した。
「よろしいですねーーッ?」
「はい!いつでもー!」
「………………」
審判役のおじさんがあちら側へ大声で呼び掛ける。レポータークルルが意気揚々返事をして、声を返さないもう一人のトレーナーの代理でミミがゴーサインを出した。おじさんは右手を高く上げる。
「ポケモンバトルーファイトーーッ!」
振り下ろされた右手とを合図に、2人がポケモンを繰り出した。
クルルはミルタンク。
レッドはフシギバナ。
「行くわよ!ミルル!」
「……フシギバナ、行けるね?」
まず自分の相手を見極める。基本的に闘争本能の塊であるポケモン達はレベル等による有利不利も関係なしに体力が尽きるまで闘おうとする。どこで退かせるかはトレーナー次第だ。
右手を帽子ではなく腰に。レッドは敵の様子を窺っている。ここで降参してもらえるのなら楽なのだが確率は0だろう。
『……プールが利用できる状況下で草タイプ……どう思われますか?』
「本気が出せないですからねえ……。今回はそういうバトルができる性格の子が選ばれたんだと思いますよお」
即席の実況と解説がチュウジロウの観戦を盛り上げている。
「ミルル!“しねんのずつき”!」
「………………」
先に動いたのはクルルの方だった。余裕余裕、とレッドのフシギバナ。文字通り斜に構える。猪突、真正面から迫るミルタンクに対し、牛歩で迎撃体勢。フシギバナが狙う方角にあるのはプールだ。
ゴッ。
衝突。
気合の咆哮。合わせて掬うように頭をスイング。すればミルタンクは、ビーチボールの如くポーンと大空へ投げ出された。
綺麗な放物線を追って上を向いたら日の光が眩しかった。皆一様に目を細める。
「高いですねえ」
『このプールは飛込許可がありますので。問題ありませんね』
ドッパーン!!
「チューッ!」
キラキラ光る水飛沫と虹。安全第一の観客席はミュウツーが“バリアー”を張っていた。ナイスショットです、おじさん感心。チュウジロウも拍手を送っている。
「この威力……“すてみタックル”なら相手だってダメージを負っている筈よ!」
「………………」
残念はずれ、只の“たいあたり”なのでケロリ、だ。ミルタンクのダメージもコンクリートに落とされるよりは軽いだろう。あくまでコンクリートよりはの話だが。
「次の攻撃の前にキズぐすりを……、あれ……?ミルル……?」
「………………」
「キャー!ミルルーッ!」
プールど真ん中ぷかあと桃色の体が浮いている。トレーナー指示で“つるのムチ”を操るフシギバナそして救助される瀕死のミルタンク。
「次のポケモンを出しますかーーッ?」
「いないですーー」
審判はバトルの終了とレッドの勝利を宣言した。
そこへクルルが駆け付け、わーわー喚きながらもげんきのかけらとキズぐすりでミルタンクを回復させる。ミミもタオルを持って馳せ参じた。
「タオルどうぞー。遠慮はいらないですよ」
「あ……ありがとうございます……」
「はあいミルタンクちゃんおいで。拭いてあげる」
ミルタンクと戯れるミミを横目に、レッドは渡されたタオルで腕に付いた水滴を拭った。帽子や服の方も少し濡れていたがこの天気のお陰で既に乾きそうだった。
水際に移動したフシギバナはつるで水面を叩いて水を被っている。
「………………」
顔を拭っているとタオルの柔らかないい匂いに気を引かれて、彼はつい鼻をうずめた。ミミと同じ匂いがする。
くい、くい、服の裾を引かれて振り向いた彼に彼女が笑い掛ける。
「レッドくん、ありがとう。あとね、チュウジロウが個人的に贈り物をしたいって「そういうことだったんですね!あなたはあのレジェンドだったんですね!その比類なき強さと赤い帽子間違いありません!」
意気消沈していた筈のレポーターが瞬間復活、ミミの台詞諸共に二人の間を遮りレジェンドに詰め寄って行った。嫌だって顔をしたって効果がないようで、レッドは困る。
「インタビューいいでしょうかまずアローラへ来た目的ですがお目当てはポケモンリーグでしょうかやはりバトルツリーでしょうか――」
「……」
「待ってくださいっ。
権利を勝ち取っていないんだから、それはなしですよ」
今度はポケモンレンジャーが強引に割って入った。その背中でレッドの体を押し遣り、押し遣れず一二歩足を滑らせる。かわいい守人の想いを彼はある意味確と受け止めていた。
チュウジロウさんの件は負けましたが、と言うクルル。更に続け喧嘩を売り付けてくる。
「……では、レッドさんの独占取材を賭けてバトルです!邪魔をしてきたあなたに勝てば許可してもらえますよね?」
『聞き捨てなりませんね』
「にぃに」
隣に“テレポート”してきたのはミミのミュウツーだ。テレパシー能力は釣りの餌にしかならないため迷惑を防ぎ強欲レポーターは対象から除外してある。
彼は兄妹と呼ぶ自分のトレーナーが弱く見られたことに腹を立てているらしかった。
「そのポケモンがあなたのポケモンですね!バトル、始めますか?」
『……。あちらの方はレポーターですよね?……見る目がないのはどうかと思うのですが』
「うん」
見物中のチュウジロウが面白がり、2戦目か?と囃してくる。
フシギバナも、1ターンで倒せる?と生意気に煽ってくる。
賞品にされている人物との距離は0、その胸に頭を押し付ける形で顔を上に90度、目を合わせればレッドは少しはにかんだ。
暫し言い淀んだ末、頼っていい?と困り顔で尋ねられミミは任されるしかない。何より元より見捨てる気等ない。クルルに向き直る。
「もう遠慮しないですからねッ!」
「望むところです!」
女同士の負けられない戦いはミュウツーの“はどうだん”一撃で決着した。
今日一番の頑張り賞はミルタンクだ。
おしまい