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けっこんしきごっこ
「それでは新郎新婦のご入場でございます」
自分は何を見せられているのだろうか。そんな他人行儀な事を思いつつ、他人であるグリーンは目の前の可愛らしい茶番を傍観していた。
演目は結婚式。女の子の司会で式が進行する。
ピーチクパーチク話された内容を取り纏めると5日程前に親族が式を挙げたんだとかで、そのガーデンウエディングを真似しての企画らしい。
ゲストは司会の子を含めて子供が4人。大人2人。モンスターボールから出していた大きなポケモン達も賑やかしで参列させた。
出突っ張りのピカチュウは己がマスターの頭上で耳を垂れている。
「♪パパパ パーン」「♪パパパ パーン」
小さなコーラス隊に依る浮かれたアカペラの始まり始まり。グリーンが合わせて拍手を開始、レッドが倣って拍手し出す。スマートな立ち振る舞いという手本があるのに脇目も振らず、豪快に手を叩く様はシンバルモンキー宛ら。僅かながら持ち上がる口角が彼のテンションの高揚を物語る。
定番の入場曲と区々の拍手。オレンジ色のハノハノの空の下、ホワイトロードど真ん中。
てちてち歩いて現れ出たのは、ピカチュウだった。
「きゃー!きれいよ!ね、おとうさん!」
「ピカミ……うぅっ!」
2匹のピカチュウは恋人同士が手を繋ぐように稲妻尻尾とハートの尻尾を絡め合っている。ピカチュウ好きの男の拍手がパワーアップしたことは言わずもがな。
母親だか父親だか役に入り込んでいる子等の名演技を空目に、新郎新婦へ注目してここで一人一言感想をば。
「ピカチュウかい……」
「……か……可愛い……!」
グリーンには判別しようがないけども、レッド曰く ピカチュウのたに の やせいのピカチュウ だそう。わかるかボケ。
しかしそのフォルムの可愛さは普遍。可愛さ珍しさに足を止める旅行客が出始めて遠巻きにだが参列者が微増する。記念にとカメラを向ける者も。
「……そうだ。写真……」
「名案だな」
初な男が彼女に見せてあげたいと言うのでグリーンは親身になってサポートした。アプリケーションの起動方法と基本操作を教える程度には親身に。
そうすれば わざ の覚えや慣れはポケモン並に早い奴なので、カシャッと1枚、覚えたてスマホでの初カメラでも無難にピカチュウカップルをゲットしている。とっても嬉しそう。
ポケモン博士の孫であるサポーター自身も、祖父の研究材料になりそうなので動画を撮っておくことにした。
「どんなときでもなかよく……あと……えーと……誓いのキスを!」
牧師役の女の子の辿々しい台詞の後に、ピカチュウとピカチュウの鼻ちゅうという微笑ましい光景を見届ける。
可愛い。先程からレッドはそれしか言わない。
この ままごと が花婿候補生にとって勉強になったとは到底思えないが、ちょっと変わった思い出にはなったことだろう。
帽子の上の御方はデフォルトの擦れた瞳で同種族の結婚式を見守っていた。
「おめでとうー!」「きゃー!きゃー!」
そして新郎新婦は退場してしまうようだ。少しだけ増えた参列者からも笑顔を貰いながら来た道をピカダッシュ。役を終えたからとかではなくて通訳曰くこれからハネムーンだそうだ。熱いね。
「――!」
好きなポケモンを追ってスマホと下ばかりを向いていたレッドが途端、顔を上げる。帽子に貼り付いた黄色い耳がピンと立ってピコピコと周囲をサーチ。
「ミミちゃん………………!」
彼が彼女の名前を呼ぶと共に長い耳は前方を指して静止した。グリーンもカメラの枠外でその視線の先を捜してみて、丁度新婚夫婦と擦れ違った場面のミミを見付ける。
カメラを止めるつもりでいたけれど、もう少しだけ回していよう。
どこ行くの?気を付けてね。そう言って通り縋りのピカチュウにバイバイと手を振る彼女はいつも通り晴れ晴れとした笑顔。
知り合い?ポケモンが見分けられないの俺だけ?と云う疑問はグリーンの頭に置いておいて。
今日の彼女にはいつもと違う点が1つあった。職業柄スポーティな格好が常なのだが、ホームパーティを開くとあってか装いが違ったのだ。
「………………ッ」
アローラの夕陽を弾く真っ白なワンピース。歩く度にふわりふわりと裾が跳ねる、マキシ丈のリゾートワンピースだ。
これは、この馬鹿にはウエディングドレスに見えてしまっているのでは?可愛い可愛いとうわ言のように唱えていた口が、か……より先に進めていない。
しかし大問題が。
「……ミミちゃん……。と……グリーン、あいつ、誰?」
「……さ、さぁ……?」
ミミと並んで歩いて来た見覚えのない男。そいつもまた、真っ白だったのだ。
「それでは新郎新婦のご入場でございます」
自分は何を見せられているのだろうか。そんな他人行儀な事を思いつつ、他人であるグリーンは目の前の可愛らしい茶番を傍観していた。
演目は結婚式。女の子の司会で式が進行する。
ピーチクパーチク話された内容を取り纏めると5日程前に親族が式を挙げたんだとかで、そのガーデンウエディングを真似しての企画らしい。
ゲストは司会の子を含めて子供が4人。大人2人。モンスターボールから出していた大きなポケモン達も賑やかしで参列させた。
出突っ張りのピカチュウは己がマスターの頭上で耳を垂れている。
「♪パパパ パーン」「♪パパパ パーン」
小さなコーラス隊に依る浮かれたアカペラの始まり始まり。グリーンが合わせて拍手を開始、レッドが倣って拍手し出す。スマートな立ち振る舞いという手本があるのに脇目も振らず、豪快に手を叩く様はシンバルモンキー宛ら。僅かながら持ち上がる口角が彼のテンションの高揚を物語る。
定番の入場曲と区々の拍手。オレンジ色のハノハノの空の下、ホワイトロードど真ん中。
てちてち歩いて現れ出たのは、ピカチュウだった。
「きゃー!きれいよ!ね、おとうさん!」
「ピカミ……うぅっ!」
2匹のピカチュウは恋人同士が手を繋ぐように稲妻尻尾とハートの尻尾を絡め合っている。ピカチュウ好きの男の拍手がパワーアップしたことは言わずもがな。
母親だか父親だか役に入り込んでいる子等の名演技を空目に、新郎新婦へ注目してここで一人一言感想をば。
「ピカチュウかい……」
「……か……可愛い……!」
グリーンには判別しようがないけども、レッド曰く ピカチュウのたに の やせいのピカチュウ だそう。わかるかボケ。
しかしそのフォルムの可愛さは普遍。可愛さ珍しさに足を止める旅行客が出始めて遠巻きにだが参列者が微増する。記念にとカメラを向ける者も。
「……そうだ。写真……」
「名案だな」
初な男が彼女に見せてあげたいと言うのでグリーンは親身になってサポートした。アプリケーションの起動方法と基本操作を教える程度には親身に。
そうすれば わざ の覚えや慣れはポケモン並に早い奴なので、カシャッと1枚、覚えたてスマホでの初カメラでも無難にピカチュウカップルをゲットしている。とっても嬉しそう。
ポケモン博士の孫であるサポーター自身も、祖父の研究材料になりそうなので動画を撮っておくことにした。
「どんなときでもなかよく……あと……えーと……誓いのキスを!」
牧師役の女の子の辿々しい台詞の後に、ピカチュウとピカチュウの鼻ちゅうという微笑ましい光景を見届ける。
可愛い。先程からレッドはそれしか言わない。
この ままごと が花婿候補生にとって勉強になったとは到底思えないが、ちょっと変わった思い出にはなったことだろう。
帽子の上の御方はデフォルトの擦れた瞳で同種族の結婚式を見守っていた。
「おめでとうー!」「きゃー!きゃー!」
そして新郎新婦は退場してしまうようだ。少しだけ増えた参列者からも笑顔を貰いながら来た道をピカダッシュ。役を終えたからとかではなくて通訳曰くこれからハネムーンだそうだ。熱いね。
「――!」
好きなポケモンを追ってスマホと下ばかりを向いていたレッドが途端、顔を上げる。帽子に貼り付いた黄色い耳がピンと立ってピコピコと周囲をサーチ。
「ミミちゃん………………!」
彼が彼女の名前を呼ぶと共に長い耳は前方を指して静止した。グリーンもカメラの枠外でその視線の先を捜してみて、丁度新婚夫婦と擦れ違った場面のミミを見付ける。
カメラを止めるつもりでいたけれど、もう少しだけ回していよう。
どこ行くの?気を付けてね。そう言って通り縋りのピカチュウにバイバイと手を振る彼女はいつも通り晴れ晴れとした笑顔。
知り合い?ポケモンが見分けられないの俺だけ?と云う疑問はグリーンの頭に置いておいて。
今日の彼女にはいつもと違う点が1つあった。職業柄スポーティな格好が常なのだが、ホームパーティを開くとあってか装いが違ったのだ。
「………………ッ」
アローラの夕陽を弾く真っ白なワンピース。歩く度にふわりふわりと裾が跳ねる、マキシ丈のリゾートワンピースだ。
これは、この馬鹿にはウエディングドレスに見えてしまっているのでは?可愛い可愛いとうわ言のように唱えていた口が、か……より先に進めていない。
しかし大問題が。
「……ミミちゃん……。と……グリーン、あいつ、誰?」
「……さ、さぁ……?」
ミミと並んで歩いて来た見覚えのない男。そいつもまた、真っ白だったのだ。
おしまい