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しょうたいじょう
「ジャリンコ共は朝から晩まで元気だねぇ……」
「あー……、うん……元気………………」
いつもの赤い帽子の上に黄色い相棒がぺたんこっと腹這いに乗っかっているので、深くなった帽子の影で彼は瞑想している。
少々爺臭い独り言をぼやいたグリーンは、その親友の空返事を聞き流しながら大きく欠伸をした。夕焼空が目に染みる。
口を閉じればまた、元気に騒ぐ子供達の声が耳へと飛び込んでくる。
グリーンとレッドが滞在しているリゾートホテル、そのエントランスまでの真っ白なアプローチは今、子供達の遊び場になっていた。地元の子なのか違うのかは知らないけど、肌の色の違う子同士が仲良くこれからの遊びについてミーティング中。
それらを横目に行き交う観光客の中には煩わしげな顔を見せる者も居るけれど、水を差すような真似はなくて。ビーチから吹く潮風は心地好い。
「………………」
「………………」
アプローチの脇を彩る緑鮮やかな南国の草木、水路に煌めくは常夏夕陽の影。放しているドサイドンとバンギラスがゆったり休憩していたり。アローラは平和だ。
そんな風景を余所目にエントランスのキャノピー(庇)の下で青年が2人、主に赤い方が愛する彼女を待っている。
「……。さっき……、ジャラコって言った……?」
「ジ・ャ・リ・ン・コ。砂利。ガキンチョの事だよジャリボーイ。ポケモンの名前は言ってねーから」
薄ら目を開けた友だったが心ここに有らず。何だ、と一言無感情に呟くと再び目を閉じた。
この先に待っている出来事を思えばそうもなるか。頑張れレッド。
今夜、ミミのモーテルで手料理が振る舞われるのだ。宿泊施設とはいえミミの部屋。そして出来合ではなくて手作り料理。もう一度言うが、宿泊施設とはいえ、好きな人の!大好きな人の!部屋なのだッ!
乱れる感情を鎮めることで手一杯なのだろう。1度だけ試行された深呼吸に合わせて、ボトル用の紙袋を提げる手に力が入って抜けていった。
「……そーいえば、同じ言葉でも国に依って意味が変わるやつあるよな」
「へー………………」
只の問わず語り。グリーンも真面に遣り取りする気はない。聞いているのかいないのか気のない返事を投げ遣られても別にという風に。自分のポケモン達を見守りつつグリーンは話を続ける。
「ミミちゃんが借りてる処……モーテルっつーと、カントーの方じゃラブホの事なんだぜ」
「………………。えッ」
その雑学は確実に聞き手の耳へ伝わったようだ。頭で理解されるまでに一瞬タイムラグがあったようだが、彼の目を光の速さでかっ開かせるには十分刺激的な内容だったらしい。
帽子の角度が定位置に戻されたので、ピカチュウが面倒臭そうにポジションを再調整している。
「ぼ、僕、ミミちゃんからラブホに誘われた「っつー話にはなってねーよ?ここはカントーじゃねーからな?」
「……そ、……っ、……。そっか………………」
残念がっているのかどうなのか、その表情を窺ったところで如何とも。
そんなどうでもいい話をしていたらあちらの会話は終了したっぽい。子供の輪が散り散りになって、男の子が1人こちらへタタタと駆け寄って来る。
「……グリーンの友達?」
「初めましてだよ。ま、俺様って意外とキッズ人気あるけど」
「……ふーん……」
その子は赤い帽子の上のテラキュートなポケモンをちらちら見ながら、しかしそっちを避けてイケメン寄りにエンカウント。したものの、仁王の如く隣に立つ人型モンスターから無愛想に見下ろされて若干萎縮する。
擁護しておくと、モンスターさんサイドにそういう積もりは一切ない。歓迎もなければ雀の涙程の忌避もない。
大丈夫大丈夫怖くない怖くない噛まないから、とか何とか雑な暗示と共にその強面をぐーっと押し退けつつ、優秀なポケモントレーナーが愛想割増で話し掛ければ男の子の表情は和らいだ。
「何か用か?」「……」
「あのね!これから結婚式始まるよ!」「……」
キッズ人気関係なかったね。と聞こえてきた小声に小声で五月蝿ぇと返す。
「そーかそーか!そりゃ目出度いな!」「……」
「一緒にお祝いしてほしいなー!」「……!」
舌っ足らず一所懸命元気な招待。纏め役は会話の裏で考える。もう10分もしない内にミミとの合流時間になってしまうのだ。
周りの様子を窺えば同様に招待されている人々の姿を見付ける。ごめんねと優しく断っている者も勿論0人ではなさそうだけれど。でもまー、ちびっこ共のごっこ遊びに巻き込まれたことが理由なら、彼女も笑って許してくれるとも思うけど。
「する……します!結婚式、見学します……ですっ!」
答えたのはレッドだった。来る日の為参考にしようと言いたいのか。
成……程……??いやいや成程には成りませんて。彼の友人と頭上の相棒の口がぽかんと開く。
「ジャリンコ共は朝から晩まで元気だねぇ……」
「あー……、うん……元気………………」
いつもの赤い帽子の上に黄色い相棒がぺたんこっと腹這いに乗っかっているので、深くなった帽子の影で彼は瞑想している。
少々爺臭い独り言をぼやいたグリーンは、その親友の空返事を聞き流しながら大きく欠伸をした。夕焼空が目に染みる。
口を閉じればまた、元気に騒ぐ子供達の声が耳へと飛び込んでくる。
グリーンとレッドが滞在しているリゾートホテル、そのエントランスまでの真っ白なアプローチは今、子供達の遊び場になっていた。地元の子なのか違うのかは知らないけど、肌の色の違う子同士が仲良くこれからの遊びについてミーティング中。
それらを横目に行き交う観光客の中には煩わしげな顔を見せる者も居るけれど、水を差すような真似はなくて。ビーチから吹く潮風は心地好い。
「………………」
「………………」
アプローチの脇を彩る緑鮮やかな南国の草木、水路に煌めくは常夏夕陽の影。放しているドサイドンとバンギラスがゆったり休憩していたり。アローラは平和だ。
そんな風景を余所目にエントランスのキャノピー(庇)の下で青年が2人、主に赤い方が愛する彼女を待っている。
「……。さっき……、ジャラコって言った……?」
「ジ・ャ・リ・ン・コ。砂利。ガキンチョの事だよジャリボーイ。ポケモンの名前は言ってねーから」
薄ら目を開けた友だったが心ここに有らず。何だ、と一言無感情に呟くと再び目を閉じた。
この先に待っている出来事を思えばそうもなるか。頑張れレッド。
今夜、ミミのモーテルで手料理が振る舞われるのだ。宿泊施設とはいえミミの部屋。そして出来合ではなくて手作り料理。もう一度言うが、宿泊施設とはいえ、好きな人の!大好きな人の!部屋なのだッ!
乱れる感情を鎮めることで手一杯なのだろう。1度だけ試行された深呼吸に合わせて、ボトル用の紙袋を提げる手に力が入って抜けていった。
「……そーいえば、同じ言葉でも国に依って意味が変わるやつあるよな」
「へー………………」
只の問わず語り。グリーンも真面に遣り取りする気はない。聞いているのかいないのか気のない返事を投げ遣られても別にという風に。自分のポケモン達を見守りつつグリーンは話を続ける。
「ミミちゃんが借りてる処……モーテルっつーと、カントーの方じゃラブホの事なんだぜ」
「………………。えッ」
その雑学は確実に聞き手の耳へ伝わったようだ。頭で理解されるまでに一瞬タイムラグがあったようだが、彼の目を光の速さでかっ開かせるには十分刺激的な内容だったらしい。
帽子の角度が定位置に戻されたので、ピカチュウが面倒臭そうにポジションを再調整している。
「ぼ、僕、ミミちゃんからラブホに誘われた「っつー話にはなってねーよ?ここはカントーじゃねーからな?」
「……そ、……っ、……。そっか………………」
残念がっているのかどうなのか、その表情を窺ったところで如何とも。
そんなどうでもいい話をしていたらあちらの会話は終了したっぽい。子供の輪が散り散りになって、男の子が1人こちらへタタタと駆け寄って来る。
「……グリーンの友達?」
「初めましてだよ。ま、俺様って意外とキッズ人気あるけど」
「……ふーん……」
その子は赤い帽子の上のテラキュートなポケモンをちらちら見ながら、しかしそっちを避けてイケメン寄りにエンカウント。したものの、仁王の如く隣に立つ人型モンスターから無愛想に見下ろされて若干萎縮する。
擁護しておくと、モンスターさんサイドにそういう積もりは一切ない。歓迎もなければ雀の涙程の忌避もない。
大丈夫大丈夫怖くない怖くない噛まないから、とか何とか雑な暗示と共にその強面をぐーっと押し退けつつ、優秀なポケモントレーナーが愛想割増で話し掛ければ男の子の表情は和らいだ。
「何か用か?」「……」
「あのね!これから結婚式始まるよ!」「……」
キッズ人気関係なかったね。と聞こえてきた小声に小声で五月蝿ぇと返す。
「そーかそーか!そりゃ目出度いな!」「……」
「一緒にお祝いしてほしいなー!」「……!」
舌っ足らず一所懸命元気な招待。纏め役は会話の裏で考える。もう10分もしない内にミミとの合流時間になってしまうのだ。
周りの様子を窺えば同様に招待されている人々の姿を見付ける。ごめんねと優しく断っている者も勿論0人ではなさそうだけれど。でもまー、ちびっこ共のごっこ遊びに巻き込まれたことが理由なら、彼女も笑って許してくれるとも思うけど。
「する……します!結婚式、見学します……ですっ!」
答えたのはレッドだった。来る日の為参考にしようと言いたいのか。
成……程……??いやいや成程には成りませんて。彼の友人と頭上の相棒の口がぽかんと開く。
おしまい