Gotcha!
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ピカチュウ大量発生中
「………………よし………………。
行くよ、ピカチュウ」
レッドの相棒は、ピ、と短く返事をした。主人の黄色いボディバッグを足場にして肩口から前方を窺う。
気合を入れてポチッとなされたのはエレベーターの1階のボタンだ。後は自動的かつ強制的にロビーへ出ることになる。そのロビーでミミが待っていることをピカチュウは理解していた。
迎えに来たと連絡を受けてから部屋を飛び出して3秒。しかしボタン1つ押すのに3秒以上も掛けるとは。主人の緊張にピカチュウも少し緊張している。
「………………」
振動なし稼働音なしの高性能なせいでエレベーターが停止しているように感じるレッドは、階層を表す数字が小さくなっていくことを確かめていた。
3、2、1階がロビー。扉が開く。
ピカチュウは“てだすけ”せねばと鼻を利かせてミミを捜そうとした、が必要ないようだ。迷いなく歩く彼の前方には彼女の姿があった。
こいつは本当に人間なのだろうか、と彼のポケモンは疑問に思うことがある。肩に乗り出してその男の鼻を見るが人間の鼻だ。
何?と声を掛けられたピカチュウはとりあえず“はたく”を見舞う。そしてくるりと定位置に戻った。
「……ありがとう。頑張るよ」
ピ、と強めの返事に背中を押されて若者は大きな歩幅で前へ進む。
レッドが見付けたミミはロビーにあるソファの一つに腰掛けて、隣に立つポケモンに話し掛けていた。
尻尾が緑色のミュウツー。
レッド然りポケモンの名前を言える者ならばそのポケモンが2つの意味で珍しいことも知っているが、それを知らない多数の人には初めて見るポケモンくらいの感覚なのだ。
彼女もミュウツーも一般トレーナーとそのパートナーとして普段通りにゆるりと寛いでいる。
「来たね!」
長身に赤い帽子が目印だ。
レッドに気付いたミミがピョンと立ち上がる。
「レッドくんおはよう!今日もいい天気だねっ」
はい今日も彼女はかわいい。レッドは挨拶も忘れて頷くだけだった。
更に、ピカチュウに挨拶していい?と聞かれてそれにも頷く。と、ミミは彼の胸を支えに、んーっ、と爪先立ちをした。
「!!」
目を瞑ったその愛らしい顔はまるでねだられているようでとても目に毒だ。瞬時にレッドは目を固く瞑って息を止めた。首の辺りで温い息遣いを感じる。
それが離れた後、ピ、と言う相棒の声と、聞いてからね、と言う彼女の声が聞こえてきた。
「ねえレッドくん」
「……?」
恐る恐る目を開ければ小首を傾げるミミが映る。
「レッドくんもピカチュウの挨拶、する?」
好きな子がそうしたいのなら何でもする。よくわからないまま男は首を縦に振った。次には、屈んでー、と注文されて言われるがまま。
「………………」
今度の爪先立ちには肩を貸して。顔が近い。あれ?これもしかして?とレッドの予想が導き出されるよりも早く二人の鼻先が触れ合った。赤い帽子のつばが押し上げられてふわりと浮く。
「………………。っ!!」
「わっ」
それを知覚するなり被害者はガバッと顔を上げた。右腕で鼻を防御するが時既に遅し。
体勢を崩したミミをミュウツーが然り気なくカバーした。
フーッフーッと熱を発散するレッドの鼻息はまだ落ち着かない。
「ふふっ。真っ赤っ赤。ピカチュウみたい」
斯く言う加害者も頬を真っ赤っ赤にしていたりするのでそこはお互い様だ。本物のピカチュウをちらり横目で確認したらばそいつは、行け、と指を指して主に指示を出した。
レッドは呆けていた口を締め直して反撃に移る。彼女の熟れた頬を自分の両手でパンっとサンドウィッチ。
「………………ぇ」
で?
「………………え」
どうしたらいいの。なぜこうしたの僕は。
手が震え始める男の子。掌の中の女の子は誘惑するような瞳でこちらを見詰めている。引き込まれそうだ。
ごくりと喉を鳴らす。
ぺろりと唇を舐める。
「……食べちゃう?」
『満腹ですごちそうさまでした』
「!?」
唐突に割って入った第三者の声なき声に未遂犯は両手を上に上げて無実を主張した。
声の主はミュウツーだった。レッドのポケモン達と違ってテレパシーを使って語り掛けているようだ。ピカチュウからは、チ、と舌打ちに似た鳴き声が聞こえる。
「えーっ。私はお預け?」
『チュウジロウ様のお約束が先ですよ』
「えーっ。時間切れかあ」
嫌がられてはいなかった。と嘘でもいいからそう思いたい。下げる両手と一緒に気分まで盛り下がる。
「!」
帽子を整えられる感覚がしてレッドは肩を見る。そこに居る自分の相棒は首を横に振った。
ではこれはミュウツーの“ねんりき”の仕業だろうか。
主人に似て少々好戦的な双眼と目が合ったレッドは軽く辞儀をした。
「じゃあ行こうか、レッドくん」
どこへ行くのかも知らないが、彼はとても楽しみにしている。
「………………よし………………。
行くよ、ピカチュウ」
レッドの相棒は、ピ、と短く返事をした。主人の黄色いボディバッグを足場にして肩口から前方を窺う。
気合を入れてポチッとなされたのはエレベーターの1階のボタンだ。後は自動的かつ強制的にロビーへ出ることになる。そのロビーでミミが待っていることをピカチュウは理解していた。
迎えに来たと連絡を受けてから部屋を飛び出して3秒。しかしボタン1つ押すのに3秒以上も掛けるとは。主人の緊張にピカチュウも少し緊張している。
「………………」
振動なし稼働音なしの高性能なせいでエレベーターが停止しているように感じるレッドは、階層を表す数字が小さくなっていくことを確かめていた。
3、2、1階がロビー。扉が開く。
ピカチュウは“てだすけ”せねばと鼻を利かせてミミを捜そうとした、が必要ないようだ。迷いなく歩く彼の前方には彼女の姿があった。
こいつは本当に人間なのだろうか、と彼のポケモンは疑問に思うことがある。肩に乗り出してその男の鼻を見るが人間の鼻だ。
何?と声を掛けられたピカチュウはとりあえず“はたく”を見舞う。そしてくるりと定位置に戻った。
「……ありがとう。頑張るよ」
ピ、と強めの返事に背中を押されて若者は大きな歩幅で前へ進む。
レッドが見付けたミミはロビーにあるソファの一つに腰掛けて、隣に立つポケモンに話し掛けていた。
尻尾が緑色のミュウツー。
レッド然りポケモンの名前を言える者ならばそのポケモンが2つの意味で珍しいことも知っているが、それを知らない多数の人には初めて見るポケモンくらいの感覚なのだ。
彼女もミュウツーも一般トレーナーとそのパートナーとして普段通りにゆるりと寛いでいる。
「来たね!」
長身に赤い帽子が目印だ。
レッドに気付いたミミがピョンと立ち上がる。
「レッドくんおはよう!今日もいい天気だねっ」
はい今日も彼女はかわいい。レッドは挨拶も忘れて頷くだけだった。
更に、ピカチュウに挨拶していい?と聞かれてそれにも頷く。と、ミミは彼の胸を支えに、んーっ、と爪先立ちをした。
「!!」
目を瞑ったその愛らしい顔はまるでねだられているようでとても目に毒だ。瞬時にレッドは目を固く瞑って息を止めた。首の辺りで温い息遣いを感じる。
それが離れた後、ピ、と言う相棒の声と、聞いてからね、と言う彼女の声が聞こえてきた。
「ねえレッドくん」
「……?」
恐る恐る目を開ければ小首を傾げるミミが映る。
「レッドくんもピカチュウの挨拶、する?」
好きな子がそうしたいのなら何でもする。よくわからないまま男は首を縦に振った。次には、屈んでー、と注文されて言われるがまま。
「………………」
今度の爪先立ちには肩を貸して。顔が近い。あれ?これもしかして?とレッドの予想が導き出されるよりも早く二人の鼻先が触れ合った。赤い帽子のつばが押し上げられてふわりと浮く。
「………………。っ!!」
「わっ」
それを知覚するなり被害者はガバッと顔を上げた。右腕で鼻を防御するが時既に遅し。
体勢を崩したミミをミュウツーが然り気なくカバーした。
フーッフーッと熱を発散するレッドの鼻息はまだ落ち着かない。
「ふふっ。真っ赤っ赤。ピカチュウみたい」
斯く言う加害者も頬を真っ赤っ赤にしていたりするのでそこはお互い様だ。本物のピカチュウをちらり横目で確認したらばそいつは、行け、と指を指して主に指示を出した。
レッドは呆けていた口を締め直して反撃に移る。彼女の熟れた頬を自分の両手でパンっとサンドウィッチ。
「………………ぇ」
で?
「………………え」
どうしたらいいの。なぜこうしたの僕は。
手が震え始める男の子。掌の中の女の子は誘惑するような瞳でこちらを見詰めている。引き込まれそうだ。
ごくりと喉を鳴らす。
ぺろりと唇を舐める。
「……食べちゃう?」
『満腹ですごちそうさまでした』
「!?」
唐突に割って入った第三者の声なき声に未遂犯は両手を上に上げて無実を主張した。
声の主はミュウツーだった。レッドのポケモン達と違ってテレパシーを使って語り掛けているようだ。ピカチュウからは、チ、と舌打ちに似た鳴き声が聞こえる。
「えーっ。私はお預け?」
『チュウジロウ様のお約束が先ですよ』
「えーっ。時間切れかあ」
嫌がられてはいなかった。と嘘でもいいからそう思いたい。下げる両手と一緒に気分まで盛り下がる。
「!」
帽子を整えられる感覚がしてレッドは肩を見る。そこに居る自分の相棒は首を横に振った。
ではこれはミュウツーの“ねんりき”の仕業だろうか。
主人に似て少々好戦的な双眼と目が合ったレッドは軽く辞儀をした。
「じゃあ行こうか、レッドくん」
どこへ行くのかも知らないが、彼はとても楽しみにしている。
おしまい