休日散策デート
(何だか学生時代に戻ったみたいだ…)
口数の少なさは相変わらずだけれど高野さんの顔はまだ僅かに赤らんだままで、思わず嵯峨先輩と歩いてた頃を思い出した。
あの頃は一緒に居られるだけでドキドキしていっぱいいっぱいで顔を見る余裕すらなかったけれど、もしかしたらあの頃の高野さんも同じ表情をしていたのかもしれない。
「で、どこ行くの?」
「特に何処とかは決めてないです。ただ、たまには手を繋いで散策するのも良いかなって思っただけで…ダメですか?」
「そんな事ねーよ。じゃ、とりあえずぶらぶらするか」
「はい!」
差し出された大きな手に自分の手を重ねるとぎゅっと握り返された。こうして並んで歩くのは何年ぶりだろうか?
日々の仕事に忙殺されて、こんな風に穏やかな気持ちになる時間も久しぶりかもしれない。
隣を見上げると優しい眼差しでこちらを見ていて目が合うと柔らかく微笑んでくれた。それだけの事なのに嬉しくて幸せだと感じるなんて、俺も随分と単純になったものだ。
「何か、たまには良いな…こーいうのも。二人で手を繋いで歩くのって学生ん時以来かもな」
「そうですね。確かに懐かしい感じがします」
「あの頃は、俺が律の手握ったらスゲーガチガチに緊張してたよな」
「そっ!それは……好きな人に手を握られたら誰だってそうなりますよ!!」
「今は違うのか?」
「う……今も好きですよ……」
「俺も好きだよ」
高野さんはそう言って指を絡めるように繋ぎ直した。恋人繋ぎというやつだ。
学生時代よりも少し大きくなった高野さんの手に包まれると安心感があって心地良い。そっと指先に力を込めて握り返すと高野さんもそれに応えるようにきつく握ってくれた。
(なんか……こういうの凄く恥ずかしいな)
でも嫌じゃない。むしろもっと触れていたいとすら思う自分がいる事に驚いた。
高野さんとの会話が途切れても全く気にならないし、無言の中にもどこか心地良さを感じて不思議だと思う。
この人とならずっと一緒にいたい。素直にそう思えるようになった。
「そういえば今更ですけど……何かバカップルみたいな事してませんか?俺たち」
「あー…傍(はた)から見ればそうかもな。でも良いんじゃねーの?今までそういうのしたこと無かったし」
「まぁ……それもそうかもしれませんけど……」
「俺は律と一緒に居る時はいつもこうしたかったから」
「え……」
不意打ちで甘い言葉を掛けられて思わず顔を上げると、高野さんの柔らかい視線とかち合った。
「律は?」
「俺も……同じです」
「うん……」
お互いの顔を見合わせて笑い合い、どちらともなくキスをした。触れるだけの軽いものだったけど、心はとても満たされていく。
「今は外だからこれで我慢な」
「もう……いちいち言わなくていいです」
「あ、照れてる」
「照れさせてんのは高野さんでしょう!?」
「律が悪いんだろ。可愛い顔して俺を煽るような事ばっか言うから」
「煽ってるつもりはないですけど……高野さんだから自然とそういう顔になってるだけっていうか……」
「……それ、マジで反則。今日はこのくらいにしておいてやる」
「え……?」
「続きは今夜な」
「なっ……!」
(すぐそうやってエッチな方向に持っていこうとする!!)
「律のその反応は期待してもいいって事でオッケー?」
「違……わないですけど……あんまり調子に乗ると怒りますよ」
「はいはい」
高野さんは俺の手をしっかりと掴むとゆっくりと歩き出した。
意地悪で強引なようでいて、変なとこで遠慮してなかなか踏み込んで来なかった高野さん。
だけど今はこうして俺を甘やかしてくれる。
そんな高野さんが大切で愛おしくて、これから先もこの人の隣にいたいと思った。
口数の少なさは相変わらずだけれど高野さんの顔はまだ僅かに赤らんだままで、思わず嵯峨先輩と歩いてた頃を思い出した。
あの頃は一緒に居られるだけでドキドキしていっぱいいっぱいで顔を見る余裕すらなかったけれど、もしかしたらあの頃の高野さんも同じ表情をしていたのかもしれない。
「で、どこ行くの?」
「特に何処とかは決めてないです。ただ、たまには手を繋いで散策するのも良いかなって思っただけで…ダメですか?」
「そんな事ねーよ。じゃ、とりあえずぶらぶらするか」
「はい!」
差し出された大きな手に自分の手を重ねるとぎゅっと握り返された。こうして並んで歩くのは何年ぶりだろうか?
日々の仕事に忙殺されて、こんな風に穏やかな気持ちになる時間も久しぶりかもしれない。
隣を見上げると優しい眼差しでこちらを見ていて目が合うと柔らかく微笑んでくれた。それだけの事なのに嬉しくて幸せだと感じるなんて、俺も随分と単純になったものだ。
「何か、たまには良いな…こーいうのも。二人で手を繋いで歩くのって学生ん時以来かもな」
「そうですね。確かに懐かしい感じがします」
「あの頃は、俺が律の手握ったらスゲーガチガチに緊張してたよな」
「そっ!それは……好きな人に手を握られたら誰だってそうなりますよ!!」
「今は違うのか?」
「う……今も好きですよ……」
「俺も好きだよ」
高野さんはそう言って指を絡めるように繋ぎ直した。恋人繋ぎというやつだ。
学生時代よりも少し大きくなった高野さんの手に包まれると安心感があって心地良い。そっと指先に力を込めて握り返すと高野さんもそれに応えるようにきつく握ってくれた。
(なんか……こういうの凄く恥ずかしいな)
でも嫌じゃない。むしろもっと触れていたいとすら思う自分がいる事に驚いた。
高野さんとの会話が途切れても全く気にならないし、無言の中にもどこか心地良さを感じて不思議だと思う。
この人とならずっと一緒にいたい。素直にそう思えるようになった。
「そういえば今更ですけど……何かバカップルみたいな事してませんか?俺たち」
「あー…傍(はた)から見ればそうかもな。でも良いんじゃねーの?今までそういうのしたこと無かったし」
「まぁ……それもそうかもしれませんけど……」
「俺は律と一緒に居る時はいつもこうしたかったから」
「え……」
不意打ちで甘い言葉を掛けられて思わず顔を上げると、高野さんの柔らかい視線とかち合った。
「律は?」
「俺も……同じです」
「うん……」
お互いの顔を見合わせて笑い合い、どちらともなくキスをした。触れるだけの軽いものだったけど、心はとても満たされていく。
「今は外だからこれで我慢な」
「もう……いちいち言わなくていいです」
「あ、照れてる」
「照れさせてんのは高野さんでしょう!?」
「律が悪いんだろ。可愛い顔して俺を煽るような事ばっか言うから」
「煽ってるつもりはないですけど……高野さんだから自然とそういう顔になってるだけっていうか……」
「……それ、マジで反則。今日はこのくらいにしておいてやる」
「え……?」
「続きは今夜な」
「なっ……!」
(すぐそうやってエッチな方向に持っていこうとする!!)
「律のその反応は期待してもいいって事でオッケー?」
「違……わないですけど……あんまり調子に乗ると怒りますよ」
「はいはい」
高野さんは俺の手をしっかりと掴むとゆっくりと歩き出した。
意地悪で強引なようでいて、変なとこで遠慮してなかなか踏み込んで来なかった高野さん。
だけど今はこうして俺を甘やかしてくれる。
そんな高野さんが大切で愛おしくて、これから先もこの人の隣にいたいと思った。