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愛していると言えない1

 


昨日も色々と昔の事を考えていたせいで……

ちゃんと眠りについたのは朝日が差し込む頃だった。






おかしいな…

何だか…重い………



「おはよう誠…」

『黎っ!!?』


俺は一気に眠気がさめた。

黎が俺に馬乗りになって微笑んでいたのだ……



「ねぇ、俺の事嫌いになったの?」

黎の綺麗な顔が近付く。

駄目だと分かっているのに、目が離せない……


『そんな筈ないだろう……』

今まで何度も口付けた、薄い唇が目の前にある。

淡いピンク色の……


「キス…してもいい?」

甘えた猫撫で声が…たまらなく愛しい。


…これは夢の続きじゃないのか?



『…俺がしてやる』

「…うん……」


俺がそう言うと、黎はおずおずと…ベッドの上からフローリングの床に足をおろした。



『おいで。』

「…っ…」

俺は黎をベッドに手招いた。


黎の白い頬がピンク色に染まる…



いつもそうだ。

黎は…自分から誘っておいて、俺がその気になると急に黙り込んで恥ずかしそうに肩を震わす。



『黎…』

俺の腕の中にスッポリと収まってしまう…

小さな身体。


『………』

愛していると伝えられたら、どんなに幸せだろうか。




きっとこれは、黎を傷付けた報いなんだろう………



俺は黎の唇に軽く触れるだけのキスをした。



 
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