愛していると言えない2
『黎…』
シャワールームで、マスターは『黎』の事を呼んでいた。
「………」
…気のせいかな?
息遣いが少し荒い気がする……
「……誠?」
『…っ!!?』
シャワールームの扉を開いた瞬間、マスターは慌てて俺の目を塞いだ。
「何!? どうしたの、誠…?」
『どうして入ってくるんだ!?』
「だっ…、だって……」
何でも良いから役に立ちたい。
…なんて、俺の勝手な考えだよね。
『だってじゃない。お願いだから入って来ないでくれ…』
……マスターの言葉の意味。
俺が必要ないって事……?
「…どうして…?」
『何でも良いだろう! いいから早く…』
マスターは俺をシャワールームから追い出そうとしている……
「…俺の事…いらなくなったの?」
『…何…?』
何でだろう…
涙が出そうになる。
「俺。……誠の邪魔なの?」
『…っ…』
「側に居たらいけないの?」
本当はマスターの命令には絶対服従なんだけど…
我が儘な性格をプログラムされている俺は、ただマスターの側に居たくて…
だから……
『俺の気持ちが分からないのか?』
「…俺が側に居たら邪魔って事?」
『………』
人間の感情って難しくて分からない。
…だって、必要だったら側に居る事を拒んだりしないでしょう?
『お前は…面倒だな……』
マスターは溜め息をついて……
俺の身体を引き寄せた。