愛していると言えない2
俺の背中には「XH-KID-462」という文字が刻まれている。
今流行りのマクシミリアン社製のアンドロイドなんだ。
……本当はマスターの事は「ご主人様」とか「マスター」「誠様」って呼ぶのが正しいと思うんだけど。
俺は、マスターの呼び方も「誠」って呼ぶようにプログラムされていた。
『ただいま』
「っ!?」
いきなり後ろからマスターに抱きしめられて、俺は驚いてしまった。
「お帰り…誠…」
アンドロイドが考え事をして、マスターのお迎えを忘れるなんて……信じられない。
あってはならない事だ……
「ごめんなさい…」
『…え?』
これがマクシミリアン社内の試作実験中の事なら……
間違いなく俺は廃棄処分だ。
「誠のお迎えを忘れるなんて……」
廃棄処分にされたアンドロイド達を思い出して身体が震える……
『………』
「俺っ…。何て…事…」
マスターの顔を見るのが怖い。
もし「もう、お前なんて必要ない」って言われたら……
『…黎? お迎えなんて必要ないだろ』
「……ぇ?」
『黎が…傍に居てくれるだけで嬉しい』
そう言って、マスターは俺を…優しく抱きしめてくれた。