マスターは俺のことを黎って呼ぶ。


そう呼んだ時のマスターは、辛そうな…悲しそうな顔をしているから。

俺に出来る事があれば、何だってしてあげたくなる。



俺にプログラムされている『黎』はマスターの最愛の恋人。


我が儘で人懐っこくて、優しくて…

……そして、弱い。


頭は良いけれど…愛され方を知らないし、自分をコントロールする事もできない。





……本物の『黎』は今どこに居るんだろう？

マスターは、こんなにも『黎』に会いたがっているのに。



『黎』は何で会ってあげないんだろう？



人間って難しいな……