愛していると言えない
二年前、最愛の恋人が死んだ。
本当の名前は知らない。
父親が大企業の社長で。取引先の令嬢との見合い話を持ちかけられて、それが嫌で家出をしていたトコロを俺が偶然拾って。
そのまま一緒に暮らしている内に、いつの間にか好きになってた。
俺達は身体の関係も何回かあった。
はじめは好奇心から。二度目はアイツに誘われて……
三度目は、ただ快楽を求めて。
四度目は…
アイツの温もりを求めて。
五度目は無かった。
アイツに溺れるのが怖かったんだ……
身体を重ねる度にアイツの温もりを忘れられなくなる。
めちゃくちゃに傷付けたくなる衝動と、狂おしいくらいの愛しさに……
自分の感情をコントロール出来なくなる事に怖じ気付いて
アイツの変化に気付いてやれなかった。
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