ルームメイト2
◇
広い校舎の中には、もう生徒はいないと思う……。
部活が終わってから教室に忘れ物を取りに来た僕は、すっかり暗くなった外の景色を眺めていた。
「……遅くなっちゃったなぁ…」
腕時計を見ると、もう19時半をまわっていた。
この港南(こうなん)高校は全寮制で、寮の門限は20時に決められている。
「早く帰らなくちゃ……」
時間に厳しくなったルームメイトの事を思い出し、急いで帰り支度を始める。
「おっ疲れ~!!」
背後から、いきなり抱きつかれて僕は飛び上がった。
「夏樹っ!?」
「あはは!…ビックリしただろ?」
…いきなり抱きついてきた この男は、夏樹 千夜。
僕の幼なじみでクラスメイト。
いつも、こうやって僕の事を驚かしては楽しんでるんだ……
「…まだ残ってたんだ、お疲れ様。…生徒会どうだった?」
「へ?…いつもと変わんないよ。樹先輩が仕切って、さっさと会議内容決めちゃってさ~! 俺なんて、意見するひまなかったぜ……」
ヒドいだろ?…と付け足して。夏樹は僕の肩に寄りかかった。
「俺も部活出たかったなぁ…」