ルームメイト5
「…有森…?」
『…っ…』
薬を飲むと…すぐに。
有森は不調を訴えてベットに横になった。
「大…丈夫…?」
『…寝てれば治る』
口の端を上げて、優しい瞳が細くなる…
柔らかな笑顔を向けられて、
何故だか…胸が苦しくなった。
「何か飲む?」
『…そうだな、冷たい…水が欲しい……』
「待ってて。僕、持ってくるね」
有森は優しい。
僕に酷い事をしたのは…
優しい、有森 誠一郎じゃなかった……。
キッチンに入って、ガラスのコップに水を注ぐ。
氷を入れるのを忘れた事に気付いて、慌てて冷蔵庫に向かうと……
『水瀬…、身体大丈夫だったの?』
「…有…森っ…!」
『何、驚いてるのさ』
背後から冷たい声が聞こえて、思わず跳び上がってしまった。
だって…
この冷たい瞳は……
『…誠一郎に教えてもらったの?』
「な、何を…?」
『オレの事に…決まってるじゃない』
冷たい笑顔に凍り付いてしまう……。
「…悠…陽…」
怖い
怖い…
怖いっ……
『何?…水瀬』
「ぁ、有森っ…。誠一郎は…?」
悠陽は…おかしそうに首をかしげて、
『ここに居るでしょう?』って……笑った。