ルームメイト5
◆
俺は何も聞けない。
……きっと…
聞いてはいけない。
『……パンで良いか?』
水瀬に背を向けたまま問い掛ける。
…こういう時は、お粥でも作ってやるべきなんだろうが。
……俺は料理が出来ない。
『悪いな水瀬…料理なんて、まともに作った事ねぇから……』
「……え…?」
俺は何かおかしな事を言ったのか?
料理が出来ない事が…
そんなに珍しい事なのか?
……水瀬は驚いて、目を見開いている。
「……料…理…」
『…水瀬? どうかしたのか?』
「…嘘……」
……水瀬の様子がおかしい。
青ざめていく可愛い顔、震える声さえ…俺は慰めてやる術を知らない。
……どうしたら良いんだ?
『水瀬…』