ドスッ！！！

リュウガの肩に剣が刺さった。

『そう同じ手を何度もくらうかよ』

剣は手首を握られた瞬間、反対の手に移動してリュウガの肩を貫いたのだった。

自分の手で最愛の人の肉体を貫く感触にヒロインは声すら出なかった。


ハッ、ハッ…と過呼吸のように浅い息しかできない。
だんだん手足がしびれてきて、酸素が身体に回っていないのに頭の中だけは妙にクリアだ。


(私が…リュウガを…刺した…)



目から大粒の涙がぼたぼた落ちる。

『くそっ！引き抜けねぇ』

涙を流し、苦しそうに顔を歪めたヒロインは剣を引き抜こうとするも、びくともしなかった。

「こんなに泣かせちまって…すまねぇ」

肩の筋肉を膨張させ、剣を固定したリュウガは辛そうに言った。

「今、終わらせてやる」

鋭い眼光でヒロインを見る。

『オイ…やめろ…』

ヒロインは顔をひきつらせて、焦るように何度も剣を引き抜こうとしている。

リュウガは腰から取り出した短剣を剣の赤い宝石に向かって突き刺した。

『ぐぁぁぁやめろぉぉぉ！！！！』

ヒロインの口から出た断末魔は赤い宝石が割れて落ちるのと共に消えていった。

ガクンっと力が抜け倒れかかるヒロインをリュウガが抱き止めた。

「ヒロイン！大丈夫か？」

温かい手に頬を包まれる感覚にヒロインはうっすらと目を開けた。

そこには心配そうなリュウガの顔と、肩に刺さる剣が映った。

「っつ！！ごめ…せんちょ…ごめんなさ…」

悲しみに顔を歪め、力の入らない手でリュウガに縋るヒロイン。

そんなヒロインを強く抱きしめるリュウガ

「お前は何も悪くねぇんだよ！謝るんじゃねぇ！」

悲痛な声は広間にこだまし、他のメンバーも苦しそうに悔しそうに顔を歪めていた。