「くそっ、またヒロインに乗り移りやがって…」

苦々しく言うリュウガにヒロインは笑って答えた。

『この身体とは相性が良いんでね。実に快適だ』

その言葉に怒気を強めたリュウガは、ハヤテの応急処置をしているトワに向かって叫んだ。

「トワ！ハヤテの剣を一本寄越せ！」

トワはすぐに足元に落ちていたハヤテの剣をリュウガに向かって投げる。

「一瞬で終わらせてやる」

その場にいた誰もがゾッとするほどの威圧感。

「…これが…海賊王リュウガ…」

意識を取り戻したハヤテが震える声で言った。

ヒロインだけは楽しそうに笑って、どうかな？と言う。

その言葉通りハヤテの血を吸った剣は先程よりも強くなっていた。

その剣筋を目で追うのは難しいほどの速さだが、リュウガはそれを全て弾いていた。
だが先程のように動きを封じることは出来なかった。

(やめて、やめて、これ以上誰も傷つけたくない！！！)

ヒロインもまた先程のように力を入れてみるが、何も起きなかった。
身体はとっくに限界を超え、動くたびに激痛が走る。
堪えていた涙が再び溢れる。

「リュウガ！ヒロインちゃんの身体はもう限界を超えている！！早くしないと…」

ソウシが叫ぶ。

「チッ…シン！ナギ！一瞬でいい！隙を作れ！」

あまりの速さに手出しができなかったシンとナギだったが、リュウガの言葉にハッとして武器を構えた。

シンとナギは目配せをして頷くと、シンがまずヒロインの足元に向かって発砲した。
もちろん、間違ってもヒロインの足に当たる軌道では無いのだが、それを避けようとして動かした先にナギの鎖が飛んできていた。
ジャラッと足首に巻き付く鎖に、ヒロインはバランスを崩した。

「でかした！」

リュウガは先程のように剣を持つ手首を握った瞬間だったー