前編
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ソウシ「そういえば、ヒロインちゃんも回復したことだし、部屋を決めなきゃいけないね。」
朝食をとりながらソウシは皆の顔をみて言った。
リュウガ「そうだな、今までは倒れてたから医務室にいたが、これからどうするかな?」
腕を組み、船の造りを思い浮かべる。
トワ「って言っても、空き部屋無いですよ?僕が乗船した時ですら、倉庫しか空いてなかったですし。」
ナギ「この船は無駄に倉庫が広いからな。」
シン「倉庫の隅で寝ればいいんじゃないか?」
ソウシ「こら、シン。女の子にそんなことさせられないだろう!」
ヒロイン「あ、あの、私どこでも・・・」
ハヤテ「船長の部屋でいいんじゃねーの?」
えっ?と全員がハヤテを見る。
ハヤテ「いや、だって船長の部屋一番広いし・・・」
トワ「ででで、でも、船長ですよっ!?ヒロインさんが危ないですよ!」
トワが真っ赤な顔をして言う。
リュウガ「ん?どういうことだ?」
トワ「いえ、なんでも・・・」
リュウガに不敵な笑みを向けられ、小さくなるトワ。
ナギ「まぁ、元はと言えば船長が誘ったんだし・・・」
シン「流石の船長も、こんな子供に手は出さないでしょう。」
ソウシ「そうだね、船長の部屋が一番上にあるから、襲撃された時でも守り易いし・・・」
トワ「確かに、船長がこの船では一番強いですね・・・」
リュウガをそっちのけで話が進んでゆく。
リュウガ「お、おい、俺の意見は・・・」
ソウシ「ヒロインちゃんは、どう?船長の部屋でも大丈夫?」
リュウガの声など耳に入っていないように、ソウシがヒロインに尋ねる。
ヒロインは少し困ったような顔をして、俯いている。
嫌・・・なのか?
そう思うと、リュウガの胸はチクリと痛んだ。
と、ヒロインは何か決意したように顔を上げた。
ヒロイン「私、父以外の男性と同じ部屋で過ごしたこと無いので、不安はいっぱいですが、よろしくお願いします。」
やや緊張した面持ちでリュウガを見つめるヒロイン。
リュウガ「あ・・・あぁ。」
その瞳に吸い込まれるような感覚に、思わず頷いてしまう。と、同時にくすぐったいような気持ちがこみ上げてきた。
ソウシ「大丈夫だよ。ヒロインちゃんは今まで通りにしていれば。船長なんて空気だと思って、ね。」
ぱちっとウインクをしながらソウシが言った。
ヒロイン「ふふっ、空気って。」
ソウシの言葉にヒロインは軽やかに笑った。
ハヤテ「俺が言い出した事とはいえ、お前スゲーことだぞ!海賊王と同じ部屋なんて!」
ヒロイン「海賊王?」
トワ「はいっ!船長はこの海の海賊を統べる海賊王なんです!」
興奮気味にトワが話す。
ヒロインはよくわからないながらも、感心したように話しを聴いていた。
仲間が自分のことを誇りに思ってくれている。
それはとてもありがたいことではあるが、リュウガは複雑な気持ちだった。
俺は本当の海賊王じゃない・・・
俺は単なる代役だ・・・
ヒロイン「お、お邪魔します。」
おずおずと部屋に入ってくるヒロイン。
部屋に置いてある宝石や置物を珍しそうに見ながらも、どこか所在なげにしている。
リュウガ「ふっ、そんなに緊張するなよ。まぁ、適当に座れ。ベッドの上でもいいぞ?」
ベッドという言葉に反応したのだろう。顔を真赤にしてふるふると首を振る。
やれやれ、どうせハヤテかトワ辺りが変な入れ知恵をしたに違いない。
リュウガ「一丁前になーに期待してんだ?そこのイスにでも座ってろ」
真赤な顔のまま、ヒロインはゆっくりベロアの椅子に座った。
ヒロイン「わぁ、ふかふか!」
まだリュウガと名乗る前、長くいた宿屋で気に入った、本当の俺を知る大事な椅子。
だからこそ、誰にも触らせ無かったが、ヒロインなら不思議と触っても構わなかった。
ヒロイン「あっ!これからトワくんに掃除の仕方とか教えて貰うんだった!」
ヒロインは突然思い出したように椅子からぴょんと飛び降りた。
リュウガ「ほぉー、もう仕事見つけたのか?」
ヒロイン「はいっ!この船に居させて貰ってますし、美味しいご飯も頂いてるんですから、働かないと」
そう言って、ドアの前に立つと満面の笑みでこちらを振り返った。
ヒロイン「いってきます!」
リュウガ「あっ・・・あぁ」
「行ってらっしゃい・・・?」
ドアが閉まり、パタパタという足音が遠のく。
リュウガ「は、ははっ・・・いってらっしゃいなんて、初めて言ったぞ・・・。」
思わず笑いが込み上げた。
ヒロインと会ってからなんだか自分が自分じゃないみたいだ。
自分の奥底にしまってあった感情が呼び起こされる感覚ーー
だが不思議と嫌な気はしなかった。
朝食をとりながらソウシは皆の顔をみて言った。
リュウガ「そうだな、今までは倒れてたから医務室にいたが、これからどうするかな?」
腕を組み、船の造りを思い浮かべる。
トワ「って言っても、空き部屋無いですよ?僕が乗船した時ですら、倉庫しか空いてなかったですし。」
ナギ「この船は無駄に倉庫が広いからな。」
シン「倉庫の隅で寝ればいいんじゃないか?」
ソウシ「こら、シン。女の子にそんなことさせられないだろう!」
ヒロイン「あ、あの、私どこでも・・・」
ハヤテ「船長の部屋でいいんじゃねーの?」
えっ?と全員がハヤテを見る。
ハヤテ「いや、だって船長の部屋一番広いし・・・」
トワ「ででで、でも、船長ですよっ!?ヒロインさんが危ないですよ!」
トワが真っ赤な顔をして言う。
リュウガ「ん?どういうことだ?」
トワ「いえ、なんでも・・・」
リュウガに不敵な笑みを向けられ、小さくなるトワ。
ナギ「まぁ、元はと言えば船長が誘ったんだし・・・」
シン「流石の船長も、こんな子供に手は出さないでしょう。」
ソウシ「そうだね、船長の部屋が一番上にあるから、襲撃された時でも守り易いし・・・」
トワ「確かに、船長がこの船では一番強いですね・・・」
リュウガをそっちのけで話が進んでゆく。
リュウガ「お、おい、俺の意見は・・・」
ソウシ「ヒロインちゃんは、どう?船長の部屋でも大丈夫?」
リュウガの声など耳に入っていないように、ソウシがヒロインに尋ねる。
ヒロインは少し困ったような顔をして、俯いている。
嫌・・・なのか?
そう思うと、リュウガの胸はチクリと痛んだ。
と、ヒロインは何か決意したように顔を上げた。
ヒロイン「私、父以外の男性と同じ部屋で過ごしたこと無いので、不安はいっぱいですが、よろしくお願いします。」
やや緊張した面持ちでリュウガを見つめるヒロイン。
リュウガ「あ・・・あぁ。」
その瞳に吸い込まれるような感覚に、思わず頷いてしまう。と、同時にくすぐったいような気持ちがこみ上げてきた。
ソウシ「大丈夫だよ。ヒロインちゃんは今まで通りにしていれば。船長なんて空気だと思って、ね。」
ぱちっとウインクをしながらソウシが言った。
ヒロイン「ふふっ、空気って。」
ソウシの言葉にヒロインは軽やかに笑った。
ハヤテ「俺が言い出した事とはいえ、お前スゲーことだぞ!海賊王と同じ部屋なんて!」
ヒロイン「海賊王?」
トワ「はいっ!船長はこの海の海賊を統べる海賊王なんです!」
興奮気味にトワが話す。
ヒロインはよくわからないながらも、感心したように話しを聴いていた。
仲間が自分のことを誇りに思ってくれている。
それはとてもありがたいことではあるが、リュウガは複雑な気持ちだった。
俺は本当の海賊王じゃない・・・
俺は単なる代役だ・・・
ヒロイン「お、お邪魔します。」
おずおずと部屋に入ってくるヒロイン。
部屋に置いてある宝石や置物を珍しそうに見ながらも、どこか所在なげにしている。
リュウガ「ふっ、そんなに緊張するなよ。まぁ、適当に座れ。ベッドの上でもいいぞ?」
ベッドという言葉に反応したのだろう。顔を真赤にしてふるふると首を振る。
やれやれ、どうせハヤテかトワ辺りが変な入れ知恵をしたに違いない。
リュウガ「一丁前になーに期待してんだ?そこのイスにでも座ってろ」
真赤な顔のまま、ヒロインはゆっくりベロアの椅子に座った。
ヒロイン「わぁ、ふかふか!」
まだリュウガと名乗る前、長くいた宿屋で気に入った、本当の俺を知る大事な椅子。
だからこそ、誰にも触らせ無かったが、ヒロインなら不思議と触っても構わなかった。
ヒロイン「あっ!これからトワくんに掃除の仕方とか教えて貰うんだった!」
ヒロインは突然思い出したように椅子からぴょんと飛び降りた。
リュウガ「ほぉー、もう仕事見つけたのか?」
ヒロイン「はいっ!この船に居させて貰ってますし、美味しいご飯も頂いてるんですから、働かないと」
そう言って、ドアの前に立つと満面の笑みでこちらを振り返った。
ヒロイン「いってきます!」
リュウガ「あっ・・・あぁ」
「行ってらっしゃい・・・?」
ドアが閉まり、パタパタという足音が遠のく。
リュウガ「は、ははっ・・・いってらっしゃいなんて、初めて言ったぞ・・・。」
思わず笑いが込み上げた。
ヒロインと会ってからなんだか自分が自分じゃないみたいだ。
自分の奥底にしまってあった感情が呼び起こされる感覚ーー
だが不思議と嫌な気はしなかった。