後編

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タッタッタッと軽快な足音が鳴り響く。

住人「おぅ、スルガ、今帰りか?」
スルガ「うん!ただいま!」

茶色い、ちょっとクセのある髪をなびかせ、少年は元気よく答えた。
母親譲りの黒曜石のような黒い瞳は、タレ目ながら意志の強さを感じさせた。

スルガは学校が終わると友人と遊ぶのもそこそこに走って帰るのが日課だ。
母の店は夕食時になるといつも混雑する評判の店なので、皿洗いは自分の役目だ。

いつもの帰り道を急いで走っている時だった。

ドンッ!!

と、誰かにぶつかった。

スルガ「いてっ!!」

地面に尻もちをついて、目の前を見ると、今までに見た事無いくらい大きな男が立っていた。
左手には杖を持っている。

スルガ「ご、ごめん、おじさん!よそ見してぶつかっちゃった!大丈夫?」

急いで立ち上がり、男の心配をする。

男「いや、こっちこそ悪かった。俊敏な動きができなくてな・・・ボウズ、お前こそ大丈夫か?」

スルガ「うん、僕は平気だよ。」

男「そうか、良かった」

一見怖そうな見た目をしていたが、その男はスルガの返事を聞くとホッとして優しい笑顔を見せた。

男「なぁ、ボウズ。俺はとても腹が減っているんだが、ここいらに美味い飯屋はあるか?」

スルガ「うん!あるよ!うちの母ちゃんの店、めちゃめちゃ美味い飯屋なんだ!まだ開店前だけど案内するよ!」

男「いいのか?」

スルガ「うん!母ちゃんが、困ってる人がいたらすぐ連れて来なさいって、いつも言ってるんだ」

スルガは片足を引きずりながら歩く男に肩を貸しながら言った。

男「・・・お前も、お前の母ちゃんも優しいんだな」

男の歩調に合わせてゆっくり歩く少年を、男は優しい目で見つめていた。

スルガ「まだ会ったことないけど、僕の父ちゃんはすごく強くて、優しくて、カッコいい人なんだ。母ちゃんはね、ずっと尊敬してて、毎日父ちゃんのすごさを教えてくれるんだ!だから、僕も父ちゃんみたいになろうって。そう決めてるからね」

男は眩しいものでも見るかのように、目を細めると、

男「・・・そうか」

とだけ呟いた。


##NAME2#「着いたよ!ただいまー!母ちゃん!」

スルガが勢いよく扉を開けると、中から優しい、懐かしい声がした。

ヒロイン「おかえりー」

スルガ「あのね、帰り道にこのおじさんにぶつかっちゃったんだ。おじさん、お腹空いてるって言うから連れてきたよー」

ヒロイン「あら、そうなの?ぶつかってごめんなさいね、いらっしゃ・・・」

そう言って顔を上げたヒロインは、男の顔を見るなり元々大きい瞳をさらに見開いた。

男「・・・ただいま」

男が優しい声でそう呟くと、ポロポロと黒曜石の瞳から涙が溢れる。

男「ちゃんと、約束通りお前から預かったこのネックレスを返しに来たぜ」

傷跡だらけのガサガサの大きな手には、ボロボロになった桜のネックレスがあった。
その手にヒロインは自分の手を重ねると、そっと男の胸に寄り添った。


ヒロイン「・・・お帰り・・・


・・・お帰りなさい、


リュウガ・・・」




ーHappy Endー
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